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2020年12月04日

そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ 文春文庫

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。
その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない父≠ニ暮らす。
血の繋がらない親の間をリレーされながらも、出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき――。

2019年の本屋大賞受賞作。

本屋大賞というと、ほっこりしたのが選ばれることが多いですが、この作品もほっこりします。超します。さすがの本屋大賞です。

実際、二回も三回も親が変わって多少グレない子供もいないような気もするんですが、主人公優子は、まあ問題なく育っていきます。本人も、境遇にも関わらず順調に育っている自覚を持って大きくなっていきます。

でも、そんな自覚を持って大きくなっていく子供なんていないですよね。

実は、本人の意識しない深層にキズを持っていることに徐々に気づいてゆく優子。そして、それを優しく見守る周囲の人々。

考えてみるとなかなかにヘビーな設定とシナリオを、軽やかな会話文でテンポよく読ませるので読後感はほっこりして爽やかです。

たぶんこの作品は、再読するとまた違った味わいが出てくるような気がします。




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