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2020年06月30日

博士の愛した数式 小川洋子 新潮文庫

清々しく美しい物語。

なにせ第一回の本屋大賞の受賞作だから書名は知っていた。あらすじも知らないし映画も見ていないけれど、自分の好みの物語だという確信が読む前からなんとなくあった。

作中に有名なオイラーの公式が登場する。e(自然対数の底)、π(円周率)、i(虚数)、0、1という数学の基本的な数がひとつの等式に表されている実に美しい公式だ。個人的には、アインシュタインのエネルギーと質量の公式よりも美しいと思う。物語の中でのオイラーの公式の提出のされ方が非常に象徴的なので、なにか物語全体を支配するもののように考えてしまうが、それは邪推というものだろう。たぶん、博士も作者もこの公式をただ美しいものと思ったんだろう。

数学が好きだ。音楽が好きだ。そして、この世界のありようが好きだ。この物語はわたしのための物語だ。そして、あなたのための物語でもある。

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