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2023年06月29日

私だけの特捜最前線→88「橘警部逃亡!〜橘警部のハードボイルドかつスリリングなドラマ」

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※このコラムはネタバレがあります。

今回紹介するのは「橘警部逃亡!」というドラマ。もちろん主演は橘警部(本郷功次郎)で、ハードボイルドなドラマは橘主演作のなかでも指折りの傑作と言っていいでしょう。

情報を漏らしていたスパイは?

覚せい剤組織壊滅を目指す特命課と新宿中央署は、何度となく摘発に失敗していました。橘は「合同捜査本部に出席する中央署の3人の幹部のなかにスパイがいる」とみて、スパイのあぶり出しに乗り出します。

スパイを知っていると思われる売人を、あえて中央署に連れて行った橘ですが、売人はスパイを恐れて自殺を図ってしまいます。とっさに橘は「自分が殺した」と芝居を打ったのです。

橘は3人の幹部の直属部下の刑事(山田吾一)を密かに呼び出し、スパイが誰かを探ろうとします。しかし、橘を殺人犯として追う中央署によって阻止され、橘は逃亡しました。

組織に単身乗り込んだ橘は、組織の組長から「桜井を撃て」と命じられます。これもスパイの入れ知恵だったようで、橘は不本意ながらも桜井刑事(藤岡弘、)を狙撃し、組織の信用を得ることに成功します。

そこに現れたスパイ・・・実は部下の刑事だったのです。橘は機転を利かせて特命課にスパイの正体を知らせ、組織だけでなく、その上にいた陰の大物まで一網打尽にしたのでした。

4回の発信音の意味は?

このドラマのハイライトは二つあります。その一つが「スパイが誰かを知らせる方法」でした。橘は、3人の幹部と常に行動を共にしていた部下の刑事がスパイであることを特命課の秘密電話で知らせます。

もちろん、直接言葉で教えるわけにはいきません。そこで橘は、4回発信音を鳴らして切り、それを2回繰り返します。神代課長(二谷英明)らメンバーは、4回の発信音の意味を考えます。

4丁目・・・4番地・・・と推理する中で、カンコ(関谷ますみ)の「4番目のなんとか」との発言でひらめいた叶刑事(夏夕介)は「4番目の男ということでは」と叫び、スパイの正体を見破ったのです。

正直なところ、ドラマに登場する3人の幹部は脇役俳優が演じており、部下の刑事に山田吾一さんをキャスティングしていれば、スパイが刑事(山田さん)であることは一目瞭然です。

それでもドラマ後半までスパイの正体を明かさず、橘が正体を知ったうえで、どのように特命課に伝えようとするのか。そうした興味を引き付ける長坂秀佳脚本は見事の一言に尽きます。

絶対的な信頼関係の橘と桜井

もう一つのハイライトは「橘が桜井を狙撃する」というショッキングな展開です。同じ釜の飯を食った同僚を撃つ橘の心境、そしてワナと知りながら標的になる桜井・・・まさに息をのむシーンです。

橘は狙撃の名手ですが、一発で仕留めなければならない極限状態でも、急所を外して撃ち抜くというのは驚くべき腕と言えます。それを可能にしたのも、微動だにしなかった桜井の度胸あってのことでした。

撃たれた桜井は収容された車のなかで「橘さんを信じていたよ」とつぶやきます。出会った当時の確執を乗り越え、捜査活動を通じて培ってきた驚くべき信頼関係といっても過言ではありません。

一方の橘は組織を一網打尽にした直後、真っ先に桜井が入院している病院に駆けつけます。ベッドで寝ている桜井の手を握り、おそらく心の中で「すまない」「ありがとう」とつぶやいていたに違いありません。

その表情を見ながら、桜井は微笑みを見せながらうなづきます。ここでも二人の信頼関係の厚さが伝わってきます。看病していたカンコが涙する気持ちと同じように、感動で胸が熱くなるシーンでしたね。


ちなみに「橘警部逃亡!」は、前回紹介したおやっさん主演のハワイロケシリーズ同様、放送5周年記念作品として放送されました。

※前回のコラムもぜひご覧ください
私だけの特捜最前線→87「望郷、望郷U〜二つの事件と船村父娘のドラマを同時進行させた話」

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2023年06月22日

私だけの特捜最前線→87「望郷、望郷U〜二つの事件と船村父娘のドラマを同時進行させた話」

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※このコラムはネタバレがあります。

今回は、特捜最前線の放送5周年記念作品として前後編で放送された「望郷 凶悪のブルーハワイ!」と「望郷U 帰らざるワイキキビーチ!」を紹介します。

「望郷」前後編は、30年前の事件と現在進行形の事件に加え、おやっさんこと船村刑事(大滝秀治)と娘の香子(木村理恵)のドラマという「二本立てのストーリー」になっています。

ハワイを舞台に事件が展開

30年前に殺された若い女性の白骨死体と少年少女が写った古い写真が発見されます。当時女性の夫だった男は無期懲役の服役犯で、妻殺しの容疑がかけられますが、脱獄を図ってハワイへと逃亡してしまうのです。

男はハワイ移民の日系人二世で、幼なじみだった同じ日系人二世の女性(楠田薫)に会うために逃亡したことが分かりました。女性は夫を戦争で亡くした後、孤児を引き取って育てる慈善活動をしていたのです。

男は警察官から拳銃を奪い、スタジアムに立てこもりましたが、現地警察の一斉発砲によって負傷して逮捕されます。しかし、入院していた病院から再び逃走し、今度は何者かに殺された姿で発見されたのです。

神代課長(二谷英明)はじめ、特命課全員がハワイに集結し、男を殺した犯人を追うとともに、30年前の事件の真相究明に乗り出します。そして、女性が30年前の殺人を犯した疑いがあることを突き止めました。

男を殺した犯人(西田健)は女性に育てられた孤児で、女性の犯行が表ざたにならないように男を殺したのでした。特命課によって追い詰められた犯人は、バスジャックをした挙句、人質を取って立てこもったのです。

その人質が船村の娘・香子でした。飛び出そうとする船村を橘刑事(本郷功次郎)が必死で止め、女性は人質を離して出てくるよう呼びかけます。しかし、隙を突いた現地警察によって犯人は射殺されてしまったのでした。

日本を捨てられなかった女性

ドラマで一方のテーマになっているのが「ハワイの日本人移民」の歴史です。ドラマの中で、男や女性らが口ずさむ「ホレホレ節」のもの悲しい歌詞とメロディーが効果的に演出されています。

「ホレホレ節」は、移民一世の人たちが砂糖耕地での厳しい労働環境を歌った労働歌です。そんな重労働に耐えてきたハワイ移民ですが、太平洋戦争に巻き込まれ、人生を大きく狂わせた人も少なくありません。

男と女性は婚約者でしたが、戦争によって男は送還され、女性はハワイに取り残されます。終戦後間もなく、女性が男を頼って来日した時、男は別の女と結婚していました。女性は嫉妬から殺人を犯してしまったのです。

女性は国外逃亡したとして公訴時効(当時15年)停止の対象となっていました。ハワイでの永住権があったため、ハワイ(アメリカ)で裁判を受けることもできましたが、女性は日本への帰国を選択しました。

船村は「日本を捨てきれなかったんだろうなあ」と、女性の心情を図ります。そして、時効制度に対する皮肉を込めながら、神代課長に「罪を悔い、やり直そうとした・・・30年間ですよ」と語るのです。

航空機内で日本の領空に入った時、船村は逮捕状を読み上げながら女性に手錠をかけます。カンコ(関谷ますみ)がそっとハンカチで手錠を覆い隠し、船村は複雑な表情を浮かべるのでした。

船村から娘婿へのメッセージ

もう一つのテーマが「船村父娘のドラマ」です。香子は妻子ある男性と結婚する意志を船村に告げます。大反対する船村に「一生に一度だけ父さんの言うことを聞かない子供になる」と言い放ち、家を出てしまいます。

妻子と別れ、ハワイで香子と新生活をしようとした男性でしたが、起業するための全財産を詐欺で失ってしまいます。子供を宿していた香子にも中絶を促しますが、香子は産む決意をするのです。

捜査でハワイ入りしていた船村ですが、香子にも男性にも接触しません。しかし、香子が捨てた(あるいは落とした)「お守り」を拾い、ハワイにいる間、ずっと持ち歩いていたのです。

人質から解放されたものの、意識を失っていた香子を救急車内で男性とともに見守る船村。船村を父親と知らない男性は「俺のために父親と別れたことが、どんなにこいつを苦しめたのか・・・」と懺悔します。

船村は「しっかり頑張って、この地に根を張るんだよ」と励まします。ハワイ移民の苦難の歴史を知ったからこそ、出てきた言葉であり、同時に義理の父親としての厳しくも温かい励ましでもありました。

その時、香子が無意識につぶやいた言葉を聞き、思わず「お守り」を握らせた船村を見て、男性は香子の父親だと悟ったに違いありません。「お父さんと言ってるんですよ」と告げたのでした。

見どころの多かった「望郷」前後編

さて今回は前後編ということで、さまざまな見どころがありました。ストーリーには直接関係ありませんが、ちょっと紹介しておきます。

ハワイに逃亡した男を追うため、神代課長は船村とカンコを派遣します。船村は目をシロクロさせ、「自分が行きます」と真っ先に手を挙げた吉野刑事(誠直也)は、「なぜカンコが?」と不満をぶちまけます。

即座に神代課長は「高杉君は英語ができる」と答え、船村の通訳の任にあたるためだと示唆します。しかし本当は、船村を娘に会わせるための「特命」を受けての派遣でもあったのです。

部下たちの前ではあくまでも業務命令に徹しつつ、船村への温情あふれる配慮を忘れない神代課長。プライベートに関する調査を任されることが多いカンコへの信頼もかなり高いのでしょう。

そのカンコですが、ハワイでは背中のほとんどが見えるセクシーな服を着ていました。唯一の女性レギュラーである関谷ますみさんのサービスカットといったところでしょうか(笑)



もう一つ、昭和の時代を思わせるシーンがありました。男がスタジアムに立てこもった際、射殺も持さない姿勢を見せた現地警察の指揮官に対し、船村が「撃たないでください」と必死に懇願した場面です。

指揮官は承諾したものの、部下たちに対して「先に撃つな。だが、相手は日本人だ。真珠湾を忘れるな(リメンバー・パールハーバー)」と叫んだのです。その指揮官も日系人だったのにもかかわらず・・・

塙五郎氏の脚本通りだったのか、天野利彦監督の演出だったのか、定かではありませんが、終戦から40年に満たないという昭和の時代だったからこそ、あえて指揮官のセリフに加えられたのではないかと思います。

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2023年06月15日

私だけの特捜最前線→86「リミット1.5秒!〜かつてのライバル、桜井と元刑事の差は何だったのか」

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※このコラムはネタバレがあります。

今回紹介する「リミット1.5秒!」は、桜井刑事(藤岡弘、)主演の正統派刑事ドラマとも言えるようなハードボイルドな作品となっており、最後の最後まで手に汗握る展開のドラマです。

桜井を拉致する元刑事

路上で拉致された女性(音無真喜子)からと思われる電話を受けた桜井刑事は、指定された場所へと向かったまま消息を絶ちます。特命課の刑事たちが懸命に探していた頃、桜井と女性はある場所に監禁されていました。

桜井を監禁したのは、8年前まで同僚だった元刑事(川地民夫)。当時、彼は拉致監禁事件に巻き込まれ、極限状態に置かれたなかで侵入してきた警官を犯人と間違えて撃ってしまいます。

元刑事は警察の査問委員会で停職の懲戒処分となりました。その決定に対し、「直後に事件現場へ来た桜井が自分に不利な証言をしたためだ」と誤解したまま、元刑事は辞職して姿を消していたのです。

桜井の監禁はその復讐で、元刑事は「これは裁判なんだよ、桜井」と薄笑みを浮かべます。仲間である右足を引きずる男が、一緒に監禁されている女性を激しく痛めつけます。桜井にはそれが耐えられません。

別室に連れ込まれた女性の悲鳴が、桜井をどんどんと追い込んでいきます。桜井は、あの時の元刑事と同じように精神的なダメージを受け、極限状態に達しようとしていたのです。

桜井をワナにはめる元刑事

特命課の捜査によって元刑事の所在が明らかになります。一筋縄ではいかないと考えた神代課長(二谷英明)は、あの時の事件の調書を持参して元刑事のもとを訪ねました。

神代は「拳銃を持つ者は冷静で客観的な判断が求められる。君ほどの腕前だったなら、1秒あれば判断できたはずだ」と語ります。しかし元刑事の復讐心を覆すことはできません。

元刑事は、監禁中の桜井に対して「俺にわびろ」と命じます。しかし桜井もまた、「冷静で無い者は拳銃を持つべきではない」と言い切ります。そこで元刑事は、最後のワナを仕掛けるのです。

尾行中の吉野刑事(誠直也)の右足を狙撃し、病床の吉野の元に「監禁場所に一人で来い」という脅迫状を送り付けた元刑事。あの時と全く同じ状況をセッティングし、桜井を試そうとしたのでした。

仲間の男と同じように、右足を引きずりながら単身乗り込んできた吉野。女性に促され、拳銃を構える桜井刑事・・・だが彼は、元刑事とは違い1秒を待つことができ、ワナにはまらなかったのでした。

桜井と元刑事との差とは

このドラマは、拉致監禁という極限状態の姿を演じた藤岡弘、さんの熱演と、冷酷な復讐鬼ぶりを見せてくれた元刑事役の川地民夫さんの名演技に尽きると思います。

ともにエリート刑事として切磋琢磨したライバル。二人の差は、どんな極限状態であっても冷静な判断ができたか、できなかったか、だけでした。そのことを元刑事のラストのセリフが物語っています。

クライマックスで、踏み込んできた男(吉野)を冷静に見極め、引き金を引かなかった桜井。元刑事は「1秒の負けだ。だが、この1秒の差は大きい」と、ようやく自分の非を認めたのでした。

元刑事は犯罪を犯すようなダーティーな人物ではなく、あくまでも自分の正当性を証明したかった、それを桜井に認めさせたかっただけでした。実の妹を使って、痛めつけられる女性の演技をさせてまでも・・・

その女性役は、当時の人気女優だった音無真紀子さんが演じています。ドラマ終盤で真相が明らかにされるまでの痛めつけられぶりも、迫真の演技だったと言えるでしょうね。

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2023年06月08日

特捜最前線 登場人物コラム「特命課・紅林警部補」

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今週は、ドラマ解説ではなく、ちょっとした小話を書きます。題して「登場人物コラム」。
登場するのは、特命課の紅林警部補です。

横光克彦さん演じる紅林警部補は、番組初期に桜井警部(藤岡弘、)がニューヨークへ赴任することに伴い、外事課との合同捜査を経て、後任として着任しました。

自己紹介の時、高杉刑事(西田敏行)に下の名前をいじられると、すかさず「親が付けてくれた大事な名前だ」と怒り、早くも生真面目さを見せてくれます。

比較的若くして警部補に昇進しているので、エリート刑事ということが言えるでしょう。同郷の公安幹部から「俺の下で働かないか」と誘われたこともありました。

若手刑事のなかでは地味なタイプであり、自身が主役となる回以外では存在感が薄いようです。ただ、時折鋭い推理を見せつけることもあります。

紅林のエピソードといえば、幼い時に生き別れになった母親を探すというドラマが挙げられるでしょう。別人が母親に成りすましていた第1作目を経て、完結編であるドラマ「面影列車」が作られます。

紅林が母親の消息をつかんだ時、母親は交通事故で亡くなっていました。深い悲しみのなかで思い出した「母親の口癖」が、ドラマのクライマックスにかかわっていたというストーリーは感動ものでした。
私だけの特捜最前線→60「面影列車!〜紅林刑事は母と再会できたのか?」

生真面目なタイプの紅林ですが、物事を斜に構えて見る傾向があり、時には皮肉を言ったり、茶化したりすることもあります。

典型的な体育会系である橘警部(本郷功次郎)や吉野刑事(誠直也)、体を張ることが多い叶刑事(夏夕介)とは一線を画すタイプなので、特命課という個性派集団の中では貴重なバイプレイヤーでしたね。

紅林を演じる横光克彦さんにとっても、特捜最前線は俳優としての代表作になったでしょう。横光さんは後に政治家に転じ、衆議院議員を計7期も務めました。

今回のコラムはここまでといたします

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2023年06月01日

私だけの特捜最前線→85「女未決囚408号の告白!〜母親と娘の愛憎に切り込む桜井刑事」

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※このコラムはネタバレがあります。

今回は「女未決囚408号の告白!」をご紹介します。主役は桜井刑事(藤岡弘、)で、公判直前の殺人事件に対し、謎として残された点を推理しながら事件の真相に迫っていくという話です。

幼女の謎の言葉の意味は?

夫を刃物で刺し殺した女性(中村晃子)を逮捕、送検した特命課。検察も起訴し、初公判が開かれようとした時、謎として残された2点が引っ掛かる桜井刑事は、独自に再調査を行います。

1点目は両手で握っていた刃物に指紋が8本しか残っていなかったこと。もう1点は事件直後に女性がどこかへ電話をかけるのを目の前で見ていた幼女の謎の言葉「メリーさんのひつじ」でした。

幼女は「電話がメリーさんのひつじを歌ったの」と言い、桜井が「それは男の声?女の声?」と聞くと、「電話の声」と返したのです。この謎の意味がどうしても分かりません。

女性は4人姉妹の長女で、木彫り職人の母親(佐々木すみ江)とは犬猿の仲でした。事件の1年前には、家族全員が集まる中で母親にナイフを突きつけ、火のついたタバコを投げ捨てるという悪態を見せていました。

桜井は拘置所にいる女性に連日面会し、真相を探ろうとします。しかし、女性は桜井に罵声を浴びせるだけ。激しい怒りを誘ってしまったことから、ついに桜井は面会中止へと追い込まれてしまいます。

女性と母親の真相に切り込む桜井

特命課の調べで、女性が母親にナイフを突きつけた出来事の前日、母親の夫が眠る墓所の近くで一家5人が焼死する火事が起きていたことがわかり、火事の直前に母親が墓参りに来ていたことも判明しました。

その姿を女性が目撃していたこと、母親が普段から煙管を吹かしていたこと、そして殺された夫が何らかのネタで母親を脅そうとしていたこと・・・こうした状況をもとに、桜井は一つの推理を導き出します。

それは「女性が夫を殺した理由は、母親を守るためだった」。表向きには憎しみ合っていた女性と母親ですが、実は心の底で深く結びついていました。その立証となったのが「メリーさんのひつじ」だったのです。

夫を殺した女性は、母親の元に電話をかけますがすぐに切ってしまいます。思い直してリダイヤルを押し、もう一度電話をかけようとしますが、やはり母親が出る前に切ってしまったのです。

ミレドレミミミと鳴ったリダイヤル音こそが、幼女が聞いた「メリーさんのひつじ」でした。さらに女性の関係者の中で、このリダイヤル音となる電話番号の持ち主は母親宅だけだったのです。

母親と娘の真の姿を映像で見せる

この作品は、謎解きの部分も面白かったのですが、何といっても母親と娘(女性)との関係性を分かりやすく描いた点にあります。脚本の長坂秀佳氏も、監督の天野利彦氏も見事としか言いようがありません。

ドラマ中盤過ぎに、母親と娘が同じしぐさをするシーンを対比するように演出しています。例えば、枕を軽くたたく癖とか、タオルを干すときのしわ伸ばしであるとか、お茶を飲む時に一礼する姿とか・・・

口ではお互いを罵っている母娘ですが、そうした場面を流すことで絆の深さを見せつけてくれました。終盤には、女性が幼いころ、母親のしぐさを真似する姿を見せる「感涙もの」のシーンもあったほどです。

面会を拒否する女性に対し、桜井は手紙で自分の推理について書き記しながら、「真相が分かっても量刑は変わらないかもしれません。でも、心が違います」と訴えかけます。

推理が正しいことの証明として、凶器の握り方を示してほしいと書き残した桜井。裁判に出廷する直前、桜井の前で女性はゴルフクラブの握り方をしてくれます。桜井の気持ちが通じたラストシーンでした。


母親役を演じた佐々木すみ江さんといえば、2008年の大河ドラマ「篤姫」に主人公の養育係「菊本」役として出演しています。

主人公が将軍家に嫁ぐことになった時、菊本は「自分のような身分の者が養育係と知れたら面子が立たない」と案じ、自害することで自分の存在を消してしまったのです。

遺言となった「女の道は一本道でございます」という言葉は、その後の篤姫こと天璋院の生涯を決定づけていきました。脇役でありながら、主役級に負けない強烈な印象に残ったことが記憶に残っています。


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マイケルオズ@フリーランスライター
「特捜最前線」がマイブームになっているオヤジです。リアルタイムの頃は津上刑事より若かったのに、今はおやっさんよりも年長者になりました(苦笑)
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