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2023年06月15日

私だけの特捜最前線→86「リミット1.5秒!〜かつてのライバル、桜井と元刑事の差は何だったのか」

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※このコラムはネタバレがあります。

今回紹介する「リミット1.5秒!」は、桜井刑事(藤岡弘、)主演の正統派刑事ドラマとも言えるようなハードボイルドな作品となっており、最後の最後まで手に汗握る展開のドラマです。

桜井を拉致する元刑事

路上で拉致された女性(音無真喜子)からと思われる電話を受けた桜井刑事は、指定された場所へと向かったまま消息を絶ちます。特命課の刑事たちが懸命に探していた頃、桜井と女性はある場所に監禁されていました。

桜井を監禁したのは、8年前まで同僚だった元刑事(川地民夫)。当時、彼は拉致監禁事件に巻き込まれ、極限状態に置かれたなかで侵入してきた警官を犯人と間違えて撃ってしまいます。

元刑事は警察の査問委員会で停職の懲戒処分となりました。その決定に対し、「直後に事件現場へ来た桜井が自分に不利な証言をしたためだ」と誤解したまま、元刑事は辞職して姿を消していたのです。

桜井の監禁はその復讐で、元刑事は「これは裁判なんだよ、桜井」と薄笑みを浮かべます。仲間である右足を引きずる男が、一緒に監禁されている女性を激しく痛めつけます。桜井にはそれが耐えられません。

別室に連れ込まれた女性の悲鳴が、桜井をどんどんと追い込んでいきます。桜井は、あの時の元刑事と同じように精神的なダメージを受け、極限状態に達しようとしていたのです。

桜井をワナにはめる元刑事

特命課の捜査によって元刑事の所在が明らかになります。一筋縄ではいかないと考えた神代課長(二谷英明)は、あの時の事件の調書を持参して元刑事のもとを訪ねました。

神代は「拳銃を持つ者は冷静で客観的な判断が求められる。君ほどの腕前だったなら、1秒あれば判断できたはずだ」と語ります。しかし元刑事の復讐心を覆すことはできません。

元刑事は、監禁中の桜井に対して「俺にわびろ」と命じます。しかし桜井もまた、「冷静で無い者は拳銃を持つべきではない」と言い切ります。そこで元刑事は、最後のワナを仕掛けるのです。

尾行中の吉野刑事(誠直也)の右足を狙撃し、病床の吉野の元に「監禁場所に一人で来い」という脅迫状を送り付けた元刑事。あの時と全く同じ状況をセッティングし、桜井を試そうとしたのでした。

仲間の男と同じように、右足を引きずりながら単身乗り込んできた吉野。女性に促され、拳銃を構える桜井刑事・・・だが彼は、元刑事とは違い1秒を待つことができ、ワナにはまらなかったのでした。

桜井と元刑事との差とは

このドラマは、拉致監禁という極限状態の姿を演じた藤岡弘、さんの熱演と、冷酷な復讐鬼ぶりを見せてくれた元刑事役の川地民夫さんの名演技に尽きると思います。

ともにエリート刑事として切磋琢磨したライバル。二人の差は、どんな極限状態であっても冷静な判断ができたか、できなかったか、だけでした。そのことを元刑事のラストのセリフが物語っています。

クライマックスで、踏み込んできた男(吉野)を冷静に見極め、引き金を引かなかった桜井。元刑事は「1秒の負けだ。だが、この1秒の差は大きい」と、ようやく自分の非を認めたのでした。

元刑事は犯罪を犯すようなダーティーな人物ではなく、あくまでも自分の正当性を証明したかった、それを桜井に認めさせたかっただけでした。実の妹を使って、痛めつけられる女性の演技をさせてまでも・・・

その女性役は、当時の人気女優だった音無真紀子さんが演じています。ドラマ終盤で真相が明らかにされるまでの痛めつけられぶりも、迫真の演技だったと言えるでしょうね。

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マイケルオズ@フリーランスライター
「特捜最前線」がマイブームになっているオヤジです。リアルタイムの頃は津上刑事より若かったのに、今はおやっさんよりも年長者になりました(苦笑)
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