新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2022年08月28日
私だけの特捜最前線→42「チリアーノを歌う悪女!〜橘と桜井のキャラが際立ったストーリー」
※このコラムにはネタバレがあります
「チリアーノを歌う悪女!」では、橘刑事(本郷功次郎)と桜井刑事(藤岡弘、)のダブルキャストに加え、麻薬密売人の男と、その情婦の女が中心となってドラマを展開していきます。
「両雄並び立った」ドラマ
桜井刑事が特命課に復帰して間もない頃だったため、橘刑事とはお互いに良くも悪くも対照的。ただ、以前紹介した「6000万の美談を狩れ!」のように対立させることなく、それぞれのキャラを際立たせています。
桜井は、密売人の男を徹底的にマークします。取調室でも激しく詰問しますが、元麻薬取締官でもある男は腹が座っており、口を割ろうとはしません。男と男のハードボイルドな対決ぶりを見せつけてくれます。
一方の橘は、情婦の女に張り付き、女の子供(男の実子ではない)と温かく接しながら、女が何か知っているのではないかと探ります。その根底には「女の人生と子供の将来を守りたい」との思いがあったのです。
対決を通して桜井に「男惚れ」した男は、自ら取引先に出向いて麻薬ルート摘発に協力します。橘も、女の家にあった手掛かりの品と子供の証言から取引先を割り出すことができました。
麻薬ルートを壊滅させるという共通の目的に対し、桜井と橘は全く違うアプローチの仕方だったわけですが、二人のキャラを明確にしたうえで、見事に「両雄並び立った」ドラマを作り上げています。
キャスティングの妙+特別出演も
このドラマに厚みを持たせてくれたのが、男役の藤巻潤さんと女役の緑魔子さんです。藤巻さん、桜井(藤岡さん)ともに男気あふれる役柄で、二人のシーンには張り詰めた緊張感が漂い、視聴者を圧倒しました。
緑さんは、男に尽くす女の生き様を、時には気だるい雰囲気で、時には激しい情念をぶつけながら演じています。そんな緑さんの相手役は、若い刑事やおやっさんではなく、やはり橘(本郷さん)でなければ務まりません。
ラストでは、瀕死の状態にもかかわらず、女の子供を人質にした男を桜井が射殺しました。橘は「桜井に撃たれたかったのだろう」と男の胸中を察します。適切な表現ではありませんが、桜井は「介錯」をしたのです。
最愛の男を失った女は、途方に暮れた表情で橘たちの前から去っていきます。こういう救いようのない結末のドラマこそ、塙五郎脚本の真骨頂でもあり、特捜最前線らしいストーリーだと言えるでしょう。
ドラマでは、番組のエンディング曲「私だけの十字架」を歌うチリアーノ氏が特別出演し、ギターの弾き語りを見せてくれます。哀愁漂うメロディーが、ドラマの物哀しさを一層際立たせているのが印象的です。
余談ですが、リアルタイムで見ていた時、歌手のチリアーノってどんな人物なのか、ずっと謎のままでした。今ならば、スマホでググればあっという間に調べられる・・・便利な時代になったものですね(笑)
★この回を収録したDVD(リンク先は無効となっていますので、クリックしないでください)
特捜最前線 BEST SELECTION VOL.25 [DVD] 新品価格 |
★最新回までのコラムをまとめています
noteマガジン「私だけの特捜最前線」
★宣伝です。私の会社員人生晩年を振り返り、教訓を導いた著書が発刊されました。よかったら読んでみてください(リンク先のブログ内にあるアフリエイト広告からお求めください)
初の著書「『定年』は自分で決めよう!」が発刊されました!
私だけの特捜最前線→41「死んだ男の赤トンボ!〜流れ弾に当たった被害者を徹底的に深掘りしたドラマ」
※このコラムにはネタバレがあります
特捜最前線は、「事件が発生し、犯人を逮捕する」という本筋から外れたところで、ストーリーを作っていくというドラマを時々見せてくれます。今回紹介する「死んだ男の赤トンボ!」もその一つです。
特命課の刑事たちが麻薬取引の現行犯を逮捕する際、犯人が撃った流れ弾に当たって浮浪者風の男性が命を落としました。ドラマは、事件そのものではなく、男性が何者なのかに焦点を当てていく展開になります。
男性は一代で財を成した大企業の社長でした。外出した車から突然降り、そのまま行方不明になったと思ったら、浮浪者風の姿で死亡していたのです。なぜ、男性はその場にいたのか?謎は深まります。
辣腕経営者だった男性は、労働組合員など多くの人たちと敵対していました。側近である幹部に対しても、容赦なくカミナリを落とすようなワンマンぶりで、「殺されても仕方ない」と陰口を叩かれるほどです。
しかし、紅林刑事(横光克彦)らが身辺を調べてみると、辣腕経営者の外面とは違う、家族思いの父親像が浮かんできました。そこには、貧困が原因で幼い時に生き別れになった妹への情愛が根底にあったのです。
40年ぶりに再会した妹は、男性の会社が立ち退きを迫る児童養護施設の職員という皮肉な立場にいました。男性が施設を強制的に取り壊そうとすると、妹や子供たちは「赤とんぼ」を歌って抗議の意を表したのです。
「赤とんぼ」は、幼い妹をあやす時に男性が歌っていた子守歌でした。その郷愁の思いは男性の胸の奥底に残り、ある時、突然フラッシュバックして、男性を射殺現場となった公園へといざなっていったのです。
紅林刑事がメインとなったドラマですが、主役は男性役を演じた西村晃さんです。様々な顔をもつ男性像を見事に演じ分け、回想シーンでの登場ばかりという中で、圧倒的な存在感を見せつけてくれました。
「流れ弾に当たって死んだ男」というだけの被害者を、徹底的に深掘りしていくドラマは、特捜最前線ならではと言えるでしょう。脚本、演出、そして名優あってこそ、名作として残る作品になったのだと思います。
★この回を収録したDVD(リンク先は無効となっていますので、クリックしないでください)
特捜最前線 BEST SELECTION VOL.22 [DVD] 新品価格 |
★最新回までのコラムをまとめています
noteマガジン「私だけの特捜最前線」
★宣伝です。私の会社員人生晩年を振り返り、教訓を導いた著書が発刊されました。よかったら読んでみてください(リンク先のブログ内にあるアフリエイト広告からお求めください)
初の著書「『定年』は自分で決めよう!」が発刊されました!
2022年08月27日
私だけの特捜最前線→40「新宿ナイト・イン・ フィーバー〜一般市民を凶悪犯に追い込んだ拳銃の魔力」
※このコラムはネタバレがあります
第80話「新宿ナイト・イン・フィーバー」は、BGMにピンクレディーのヒット曲が効果的に使われているドラマです。音楽の軽快さとは裏腹に、特捜最前線らしい重苦しさがある作品なのです。
暴力団抗争で使われた拳銃が、偶然にも一般市民であるサラリーマン(赤塚真人)の手に渡ってしまいます。普通なら男が警察に届け出ておしまい、となるわけですが、ドラマは悲劇的な方向へと進んでしまうのです。
男は別荘の分譲セールスを仕事とするサラリーマンですが、職場では成績が悪く上司に怒られ、セールスをしても顧客からいいように使われるばかり。鬱積は溜まる一方ですが、解消することもできないという人物像。
拳銃を手にした男は、最初は恐れおののいていましたが、次第に拳銃の威力にとりつかれていきます。そして、自分を傷つけたり、苦しめたりした人々に復讐をしてやろうと思い立ってしまったのです。
上司や顧客たちは拳銃で脅され、男に対し「何でもするから」と命乞いします。拳銃の存在により、今まで経験したことのない優越感を得た男ですが、結局恨みつらみの思いが強く、相手を射殺してしまいました。
自暴自棄になった男は、最後に自分を裏切った(と思い込んだ)恋人を殺そうと考えます。しかし、吉野刑事(誠直也)らに追いつめられ、自分の命運も尽きたと思った男は、ビルの屋上へと逃げていくのです。
屋上から飛び降りようとした男に、恋人は「死なないで」と叫びます。その声で、本来の自分の姿を取り戻したのですが、誤って足を踏み外して転落死していまいます。その時放った1発が最後の銃弾でした。
「後味の悪い」ドラマ・・・
特捜最前線という刑事ドラマの凄さは、男が転落死したところで間髪入れずにエンディングに入っていくところにあります。刑事たちだけでなく、誰にも何も語らせることなく終わる、まさに「後味の悪い」ドラマです。
その代わり、劇中でこの事件の恐ろしさを刑事たちに語らせています。船村刑事(大滝秀治)は、一般市民が拳銃を手にしたことに「恐ろしいのはやくざより、平凡な人間かもしれない」と事件を暗示していました。
また、連続殺人がサラリーマンの仕業だと知った吉野刑事は「平凡だからやったのさ」と言い、警察官になって拳銃を手にした時、気持ちが高ぶってしまった自分の経験と重ね合わせています。
ここまで極端な事件は、現実には起こらないだろう、あくまでもフィクションの世界だから・・・と思いつつ、でも、自分にとって理不尽と思えるような社会に不満を持っている人は、決して少なくないでしょう。
ドラマの中のサラリーマンは、そういう鬱積した人をデフォルメして描いており、赤塚真人さんの名演技もあって、非常に印象深い作品に仕上がっていると感じました。
★この回を収録したDVD(リンク先は無効となっていますので、クリックしないでください)
特捜最前線 BEST SELECTION VOL.5 [DVD] 新品価格 |
★最新回までのコラムをまとめています
noteマガジン「私だけの特捜最前線」
★宣伝です。私の会社員人生晩年を振り返り、教訓を導いた著書が発刊されました。よかったら読んでみてください(リンク先のブログ内にあるアフリエイト広告からお求めください)
初の著書「『定年』は自分で決めよう!」が発刊されました!
私だけの特捜最前線→39「サラ金ジャック・射殺犯桜井刑事!〜日活ロマンポルノの日向明子さんを起用した理由とは」
※このコラムはネタバレがあります。
「サラ金ジャック・射殺犯桜井刑事!」は、以前にもコラムで書きました。この作品は何度見ても衝撃的であり、同時に特捜最前線の中でも名作の一つにあげてもいい作品だと、個人的には思っています。
私だけの特捜最前線→17「サラ金ジャック・射殺犯桜井刑事!〜真相究明を拒む桜井の真意は?」
以前のコラムは、桜井刑事(藤岡弘、)の心の内面を中心に書きましたが、今回は準主役である女性店員役を演じた日向明子さんについて触れてみます。女性店員はドラマのキーマンとなる人物です。
桜井刑事が真実を語らなかった理由は、女性店員が犯人に凌辱を受けていたからでした。真相究明の過程で、その事実が公になってしまうことを桜井は恐れ、彼女を守るために自ら泥をかぶったのです。
昭和のドラマで、夜の遅い時間帯に放送されていたため、凌辱のシーンは非常にリアリティーな演出でした。日活ロマンポルノ女優だった日向明子さんを起用した理由もそこにあると思います。
ただ、日向さんの役は、単にポルノのようなシーンを演じるだけではありません。「なぜ、桜井刑事が犯人を射殺したのか」という謎解きの部分に、深くかかわっている役どころだったのです。
女性店員は、自分を凌辱した犯人をナイフで殺そうとします。気がついた犯人が、とっさに女性店員に猟銃を向けたところを、桜井刑事が撃ち抜いたのです。ドラマのラストで、このシーンが再現されました。
日向さんは下着一枚のトップレス姿でしたが、殺意ある憎しみの表情からは、エロスよりも鬼気迫るものを感じさせられました。後にテレビドラマや映画で活躍するだけの演技力を兼ね備えていたのです。
日向明子さんは、残念ながら2011年に病没されました。特捜最前線というドラマの映像を通して、日向さんの名演技と美しい裸身を見ることができたのは、よかったと思っています。
※このコラムは、ブログ版のみの掲載です
★この回を収録したDVD(リンク先は無効となっていますので、クリックしないでください)
特捜最前線 BEST SELECTION VOL.2【DVD】 新品価格 |
★最新回までのコラムをまとめています
noteマガジン「私だけの特捜最前線」
★宣伝です。私の会社員人生晩年を振り返り、教訓を導いた著書が発刊されました。よかったら読んでみてください(リンク先のブログ内にあるアフリエイト広告からお求めください)
初の著書「『定年』は自分で決めよう!」が発刊されました!
私だけの特捜最前線→38「地図を描く女!〜中国残留孤児をテーマにした秀逸なストーリーと名演技」
※このコラムはネタバレがあります
中国残留孤児といっても、若い世代の方はご存知ないかもしれません。ドラマについて語る前に、ストーリーの根幹となる中国残留孤児について簡単に説明しておきましょう。
太平洋戦争末期から終戦直後にかけて、中国大陸から命からがら日本へ帰って来た人たちがいました。その中に、やむを得ない事情があって、中国人に預けられた子供がいたのです。それが中国残留孤児でした。
1972年の田中角栄内閣時、日中国交正常化がなされ、中国残留孤児の存在がクローズアップされてきました。両国政府の計らいで、孤児たちは両親や家族を探すため、日本に一時帰国することが実現したのです。
ドラマのストーリー
ドラマでは、中国残留孤児の一人で通訳も務めていた女性(左時枝)と紅林刑事(横光克彦)が偶然出会ったことから、生き別れになっている父親を一緒に探すという話。ただし、紅林はボランティアではありません。
その父親(加藤嘉)には殺人の容疑がかかっていました。父親は残留孤児の来日を聞き、いてもたってもいられず、女性には分からないよう、密かに滞在先を訪れていたのです。それを特命課がキャッチしました。
父と娘が対面し、名乗り合えば、父親を容疑者として逮捕できます。そんな形で数十年ぶりの親子再会をかなえてもいいものかと、紅林は悩みますが、女性が二度と日本には来ないと知り、彼女に真実を打ち明けるのです。
清掃員として働く父親の元に女性を連れて行きました。女性は「この人はお父さんではありません」と言い切りますが、父に教えてもらった唱歌を口ずさむと、父親は泣きながら娘の本当の名前を呼んだのです。
名演技あってこそのドラマ
当時の社会問題を扱ったドラマであり、ストーリーは地味ですが、何といっても残留孤児役の左時枝さん、父親役の加藤嘉さんの名演技が素晴らしく、ラストシーンは涙なしには見ることができません。
本当に残留孤児だったのではないかと思わせる左さんのたどたどしい日本語のしゃべり方、犯罪の過去を背負って人知れず生きている老人を演じる加藤さん。まさに「適材適所」の配役だったと言えるでしょう。
忘れてはならないのが紅林刑事。ドラマの中でも「私も生き別れの母親を探している」とのセリフがありましたが、この回より後に紅林と母親にまつわるドラマがあるのを知っていれば、言葉がより重みを増してきます。
紅林が親身になって父親捜しに協力したのは、女性に自分の姿を投影していたからでしょう。だからこそ、その過程で葛藤もし、ラストでは涙まで流します。これらも横光克彦さんの名演技が支えていました。
〇〇〇
最後に蛇足ですが、私の父親も実父(私の祖父)が戦争で中国に渡ったまま帰国しませんでした。残留孤児とは逆の立場でしたが、幼い時に父親と生き別れたという辛い体験は共通していたのです。
中国残留孤児訪日の際、父親も「何かお手伝いをしたい」と、少しかかわっていたように記憶しています。そんな懐かしい思い出もあって、この回は特別な思いで視聴させていただきました。
★この回を収録したDVD(リンク先は無効となっていますので、クリックしないでください)
特捜最前線 BEST SELECTION VOL.15 [DVD] 新品価格 |
★最新回までのコラムをまとめています
noteマガジン「私だけの特捜最前線」
★宣伝です。私の会社員人生晩年を振り返り、教訓を導いた著書が発刊されました。よかったら読んでみてください(リンク先のブログ内にあるアフリエイト広告からお求めください)
初の著書「『定年』は自分で決めよう!」が発刊されました!
私だけの特捜最前線→37「自供・檻の中の野獣!〜名優同士の取調室での死闘」
※このコラムはネタバレがあります
今回紹介するドラマ「自供・檻の中の野獣!」は、ストーリーや脚本もさることながら、何と言っても容疑者役の小池朝雄さんと、船村刑事役の大滝秀治さんの迫真の演技が最大の見どころといえるでしょう。
ドラマの多くが取調室という密室での「容疑者VS刑事」という場面で、ともすれば変化に乏しくなってしまいがち。それを補って余りある小池さんの鬼気迫るかのような容疑者ぶりは、強烈なインパクトがあります。
少年誘拐の容疑で取り調べを受ける男(小池さん)に、少年の居場所を自白させようと船村刑事らが厳しく詰問します。しかし男はのらりくらりと、時には激高しながら、刑事らの追及をかわしていくのです。
船村は、いつものような激情的とも言える対応ではなく、どちらかというと男の一挙手一投足を黙って見ている場面が目立ちます。つまり、「動」の容疑者に対し、「静」の姿勢で臨んでいるように見受けられました。
船村は男の父親を訪ね、彼の少年時代の事件について聞き出し、その思い出話を突破口に男を追い込んでいきます。心の内面を突かれた男は、慟哭しながら、ついに全面自供していったのでした。
このドラマの結末は、特捜らしい「救いようのない結果」で終わってしまいます。非常に後味の悪い形でエンディングを迎えますが、それも小池さん、大滝さんという名優の演技あってこそ、でしょうか(苦笑)
ちなみに小池朝雄さんは、Gメン75でも「覗き魔は猫背の男」というドラマで、強烈なインパクトのある役を演じていました。少年時代に見ただけでしたが、今でもはっきりと覚えています。
★この回を収録したDVD(リンク先は無効となっていますので、クリックしないでください)
特捜最前線 BEST SELECTION VOL.15 [DVD] 新品価格 |
★最新回までのコラムをまとめています
noteマガジン「私だけの特捜最前線」
★宣伝です。私の会社員人生晩年を振り返り、教訓を導いた著書が発刊されました。よかったら読んでみてください(リンク先のブログ内にあるアフリエイト広告からお求めください)
初の著書「『定年』は自分で決めよう!」が発刊されました!
私だけの特捜最前線→36「包帯をした銀行ギャング!〜橘刑事の地道な捜査が真相を突き止めた」
※このコラムはネタバレがあります
特徴的な癖のある同一犯人と思われる銀行強盗が連続発生し、1年前に同様の癖の犯人による銀行強盗との関連が疑われました。しかし、1年前の事件は容疑者の男が自殺したことで解決済みとされていたのです。
橘刑事(本郷功次郎)は、連続強盗事件と1年前の事件を洗い直すため、独自に捜査を始めます。その過程で、容疑者の男の姉に出会ったのです。姉は、弟(容疑者)の無実を信じていました。
捜査の過程で1年前の強盗容疑者として別の男が再浮上。犯人と同じ癖があり、連続強盗の時のアリバイもあいまいでした。しかし、橘刑事は連続強盗と1年前の事件が「似て非なるもの」と直感したのです。
橘は、連続強盗は被害額が少なく、しかも後日、被害額と同額が投げ込まれる事件があったことをキャッチします。犯人の狙いは金ではなく、1年前の事件の真犯人を警察に知らしめることに真意があると推察します。
弟の墓参りをする姉の元に橘が訪れ、地道な捜査で積み重ねてきた証拠を一つずつ突きつけます。ただし、その口調は追いつめるような感じではなく、やさしく諭すように語り掛けたのです。
橘には、弟の無実を証明し、真犯人を逮捕してもらいたいという姉の執念じみた思いがよく分かっていました。だからこそ、容疑者に相対する前に、人間として寄り添う気持ちがあったのだろうと思います。
橘刑事の人柄や様々な「顔」が見れた作品であるとともに、姉がなぜ真犯人を突き止められたかという理由など、いくつもの謎解きが挿入されており、長坂秀佳脚本の醍醐味を楽しめるドラマになっていました。
★この回を収録したDVD(リンク先は無効となっていますので、クリックしないでください)
特捜最前線 BEST SELECTION VOL.39 [DVD] 新品価格 |
★最新回までのコラムをまとめています
noteマガジン「私だけの特捜最前線」
★宣伝です。私の会社員人生晩年を振り返り、教訓を導いた著書が発刊されました。よかったら読んでみてください(リンク先のブログ内にあるアフリエイト広告からお求めください)
初の著書「『定年』は自分で決めよう!」が発刊されました!
2022年08月26日
私だけの特捜最前線→35「判事, ラブホテル密会事件!〜桜井刑事と2人の兄との対立と絆」
※このコラムはネタバレがあります
桜井刑事(藤岡弘、)には兄が二人います。長男(福田豊土)は裁判所の判事、二男(岸田森)は弁護士、三男の桜井も若くして警部に昇進しており、典型的なエリート一家といえます。
判事の長男が、被告人女性とホテルで密会していたというスキャンダルが発覚。事件の裏に、長男が厳しい判決を出し続けてきた暴力団の存在があると睨んだ桜井は、長男の記者会見場に単身乗り込みます。
長男に真相を言うよう厳しい口調で迫る桜井。そこに待ち受けていたのは、長男の弁護を自ら引き受けた二男の弁護士でした。二男は「その必要はない」と立ちはだかり、桜井と激しく対立するのです。
このあとのストーリーは省略しますが、何と言ってもドラマ最大の見どころは、桜井3兄弟の絆でしょう。対立する二男と桜井ですが、二人に共通するのは「長男を助けたい」という思いであることに違いありません。
配役も絶妙で、依頼人のためには手段を選ばず、からめ手からでも攻めてくる冷徹な弁護士(二男)を岸田森さんが見事に演じています。真っ向勝負を挑み、熱い男である桜井刑事との対比が実に素晴らしいです。
長男の判事は、温厚でありながら一本筋の通った人物として描かれ、二男や桜井を温かい目で見守る懐の深さを福田豊土さんの名演技が支えています。まさに3人の名優あってこそのドラマだと言えます。
特捜最前線最終盤には、桜井刑事と父親の弁護士との対決という話が作られますが、岸田さんが亡くなっていたため、二男は登場しません。岸田さんがドラマに絡んでいたらと思うと残念でなりません。
★この回を収録したDVD(リンク先は無効となっていますので、クリックしないでください)
特捜最前線 BEST SELECTION VOL.24 [DVD] 新品価格 |
★最新回までのコラムをまとめています
noteマガジン「私だけの特捜最前線」
★宣伝です。私の会社員人生晩年を振り返り、教訓を導いた著書が発刊されました。よかったら読んでみてください(リンク先のブログ内にあるアフリエイト広告からお求めください)
初の著書「『定年』は自分で決めよう!」が発刊されました!
私だけの特捜最前線→34「銃弾・神代課長撃たれる!〜渡辺裕之さんが若手刑事役として大活躍」
※このコラムにはネタバレがあります
特捜最前線は、レギュラー刑事役の俳優が不在となった時にピンチヒッターでセミレギュラーが登場することがあります。先日お亡くなりになった渡辺裕之さんも、大滝秀治氏の不在時に出演していました。
渡辺さん扮する的場刑事初登場のドラマが「銃弾・神代課長撃たれる!」です。所轄署の的場は張り込みの最中、神代課長(二谷英明)が狙撃されるのを偶然目撃したところから始まります。
神代は、日米政府高官がからむ疑獄事件の証拠書類を入手する目的で現場を訪れていました。特命課は、書類を持っている人物を保護するために、臨時要員として加わった的場と共に捜査に乗り出します。
やがて、人物から書類を渡す場所を指定され、そこに友人が来るから書類を受け取るよう指示。しかし、暗殺者によって人物は殺され、場所も知られてしまいました。このままでは友人の命も書類も危うくなります。
指定場所には的場が待機し、そこに友人が現れます。と同時に、爆弾を仕込んだバイクで暗殺者が乗りつけるのです。的場はとっさにバイクを奪い、人気のないところまで走り、バイクが爆発する寸前で乗り捨てました。
渡辺さんのバイクシーンは、このドラマのクライマックスとなり、アクションスターらしい体を張った演技は見ごたえ十分。また、脚本は長坂秀佳氏が手掛け、スリリングで手に汗握るドラマに仕上がっています。
若さあふれる的場刑事こと渡辺裕之さんは、短期間の出演でしたが、特捜最前線に新風を吹き込んでくれました。改めまして、渡辺さんのご冥福をお祈りいたしたいと思います。
★この回を収録したDVD(リンク先は無効となっていますので、クリックしないでください)
特捜最前線 BEST SELECTION VOL.20 [DVD] 新品価格 |
★最新回までのコラムをまとめています
noteマガジン「私だけの特捜最前線」
★宣伝です。私の会社員人生晩年を振り返り、教訓を導いた著書が発刊されました。よかったら読んでみてください(リンク先のブログ内にあるアフリエイト広告からお求めください)
初の著書「『定年』は自分で決めよう!」が発刊されました!
私だけの特捜最前線→33「プラットホーム転落死事件!〜善意から犯罪に至った青年に対する紅林の苦悩」
※このコラムはネタバレがあります
ある重大犯罪の捜査中、容疑者のアリバイを裏付けるため、一人の青年に聞き込みをする紅林刑事(横光克彦)。青年の証言が嘘だったと分かりましたが、なぜ嘘をつかなければならなかったのかと疑問に思ったのです。
その日、駅のホームで悪質な痴漢にからまれた女性を助けようとした男が、誤って痴漢を転落させ、痴漢は列車にはねられて死亡するという事件が起きていました。紅林は青年がその男ではないかと疑うのです。
運送会社で働く青年は、誰に聞いても真面目で誠実、一生懸命働くので社長の信頼も厚いという人物。青年について調べる紅林は、関係者から厳しい言葉を投げかけられ、自分の捜査に対して自問自答を繰り返します。
刑事の立場とすれば、未解決の過失致死事件の容疑者を突き止めようとするのは当然です。一方で心のどこかに「情状の余地が十分ある事件なので、見逃してもいいのでは」という引っ掛かりがありました。
容疑が濃くなってきた青年を逮捕すべきかどうかの葛藤に苦しみ、無精ひげを生やし、焦燥とした顔つきで、特命課の仲間たちからも心配される紅林。そこに助け舟を出したのが神代課長(二谷英明)だったのです。
神代は、同じような犯罪の容疑をかけた男を逮捕できなかったことで、男が自殺に追い込まれてしまったという過去を告白。「青年も同じように悩んでいるはずだ」と、紅林を励ましました。
紅林が出した結論は青年に自首させること。青年と相対した紅林は、自分の思いを真正面からぶつけます。犯した罪に苦しんでいた青年は、自らの心を解き放つかのように事件の容疑者であることを認めたのでした。
特捜最前線の中でも、刑事の苦悩をここまで描いたドラマは珍しく、紅林役の横光さんの迫真の演技もあって印象深い作品に仕上がっています。人間ドラマの真骨頂とも言える名作の一つです。
★この回を収録したDVD(リンク先は無効となっていますので、クリックしないでください)
特捜最前線 BEST SELECTION VOL.26 [DVD] 新品価格 |
★最新回までのコラムをまとめています
noteマガジン「私だけの特捜最前線」
★宣伝です。私の会社員人生晩年を振り返り、教訓を導いた著書が発刊されました。よかったら読んでみてください(リンク先のブログ内にあるアフリエイト広告からお求めください)
初の著書「『定年』は自分で決めよう!」が発刊されました!