そのほかは全く別だ。
Yahoo!より、
「アマゾンは楽天市場に勝ち続ける」元本部長が断言した理由
1/17(金) 8:00配信 幻冬舎ゴールドオンライン
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200117-00025055-gonline-bus_all&p=1
記事より、
「アマゾン」と「楽天市場」の決定的な違い
過去4回の連載では、マーケットプレイスの表と裏の現状、アマゾンを利用した企業再生、配送問題、アマゾンプライムのメリットなどを深堀りし解説してきた。ぜひ、詳しいことは拙書『 amazonの絶対思考 』(扶桑社)を読んでいただければありがたい。
本記事では、アマゾンのサービスがいかにユニークで強力か、わかりやすく理解を深めるためにアマゾン進出以前から日本国内でEコマースの一大プラットフォームとして普及してきた『楽天市場』と比較してみよう。昨今では、アマゾン、楽天市場の流通総額はほぼ同じと推測される。では、日本市場で先行していた楽天市場が何故、アマゾンの急成長を許し並ばれるまでになってしまったのか。顧客、および販売をする販売事業者の目線に立って、分析をしてみようと思う。
アマゾンと楽天市場の最も大きな相違点は、アマゾンが自社で直販も行っているのに対し、楽天市場で商品を販売しているのは、ほとんど全て出店している販売事業者であることだ。
アマゾンは直販商品を販売するためにフルフィルメントセンター(Eコマースにおける在庫、梱包、発送などを行う拠点、倉庫)をはじめとする独自の物流網を構築している。しかし、楽天市場では、基本的に配送は販売事業者任せとなっていたため、配送サービスの充実化にはかなりの遅れをとっており、配送品質は不安定である。
アマゾンにも販売事業者が出店するマーケットプレイスがあり、アマゾン全体の58%※1が、販売事業者に対し、在庫配送代行サービスであるFBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)を提供し、配送の品質をアマゾンの高い「基準」に保つ施策が採られている。
アマゾンは流通総額の42%を占めるアマゾン直販商品に加え、マーケットプレイスの多くの商品がアマゾンの高い配送品質(正確性とスピード)で顧客のもとに届いていることになり、顧客は楽天市場との配送の質の差を感じている。
アマゾンはそもそもジェフ・ゾベスのフライングホイールの理念に基づいて、もともとは直販、物流を軸としてEコマースのサービス全体を綿密に構築し、のちにそのプラットフォームを第三者にもマーケットプレイスとして開放した。
しかし、楽天市場の成り立ちは、最初から多店舗の出店(2019年2月現在、約4万6686店※4)によるEコマースショッピングモールのプラットフォームであった。
顧客にとってわずらわしいばかりでなく、大切な商品情報を見逃したり、仕様のバリエーションや色違いなどの選択で間違いなども起こりやすい。モール型のEコマースサービスで、カタログページ(ディテールページ)が煩雑なのは、近年、出店事業者数が大きく伸びた『ヤフーショッピング』も同様だ。
アマゾンと楽天市場の両方に出店している販売事業者も少なくない。販売事業者からすればともに「出店」しているという感覚かもしれないが、アマゾンは全体が一つのストアであり、販売事業者それぞれにストアを持たせるという概念がない。買い物したショップからダイレクトメールが届くこともなく、顧客にとってはよりシンプルにショッピングができる仕組みになっているのである。
前述したように日本ではアマゾンと楽天市場の両方に出店している販売事業者が多く、国内で流通している商品数はあまり大きな違いはないだろう。ただし、アマゾンのマーケットプレイスには個人も出店可能で、たとえば古書など中古品までラインアップしているのが、楽天市場との大きな違いになっている。
さらに、アメリカや中国など、海外の販売事業者を日本のアマゾンに勧誘するチームがあって、今まで日本では買えなかった商品でさえ、アマゾンでは統一されたシングルディテールページで日本語の商品説明を読み、日本国内で普通に流通している商品と同じ利便性で買うことができる。これもまた、アマゾンと楽天市場を差別化しているポイントのひとつといえるだろう。
アマゾンプライムは、楽天市場をはじめとする他のEコマースサービスとアマゾンを差別化する強みになっているといっていいだろう。楽天市場でも購入履歴に基づいて上がる会員ランクに応じて誕生日のポイントプレゼントなどの特典が用意されているが、アマゾンプライムは「ポイント特典」とはまったく関係なく、送料無料や連携するコンテンツサービスなどのデジタル特典が最大の魅力になっているからである。
ちなみに、デジタルコンテンツの一部である電子書籍の分野では、アマゾンが独自に「キンドル」を展開しているのに対して、楽天はカナダのスタートアップ企業だった「Kobo(コボ)」を買収して電子書籍事業にも乗り出している。が、電子書籍ストア利用率のシェアはキンドルストアが24.2%で1位であるのに対して楽天Kobo電子書籍ストアは12.4%で第3位※6。急伸した「LINEマンガ」にも抜かれ、あまりうまくいっているとは言いがたい。
今度は、販売事業者の視点に立ったときに、アマゾンの販売における基本的な仕組みや商品詳細ページ、「セラーセントラル」(出品管理システム)などのシステムが世界共通であることは、ことに販売事業者にとってアマゾンのメリットになっている。
つまり、たとえば日本のアマゾンで成功した販売事業者が、アメリカやヨーロッパなど他国に進出するのが容易なのである。プラットフォームは世界共通だし、マーケットプレイスの販売事業者にはアマゾン独自の商品カタログ自動翻訳システムが提供されている。
それぞれの国ではフルフィルメントセンターに商品を預かって出荷配送を代行するFBAサービスが日本と同様に用意されており、日本からの輸出業者をアマゾンから紹介することも可能。国内で販売するのとほとんど変わらぬ手数で海外進出ができてしまう。詳細な数は公表されていないが、日本のアマゾンで成功体験を積み海外進出を果たしている販売事業者は、すでに数万店のレベルに達している。
◆販売事業者へのサービス
販売事業者へのサポートについての考え方や取り組みも、アマゾンと楽天市場で異なっている。2014年、私がマーケットプレイスの責任者であった時期、つまりほんの数年前でさえ、販売事業者の中には「楽天市場のほうが手厚いサポートをしてくれて売りやすい」や「アマゾンでは直販の商品もあって競合しているようでやりづらい」といった不満の声をもらうことが少なくなかった。
楽天市場では、ネット初心者の販売事業者が出店を検討するところから、新規出店コンサルタントが相談に乗り、ページ作成は店舗オープンアドバイザーがサポート、オープン後もそのショップを担当するECコンサルタントからのアドバイスなどを受けられる。さらに「楽天大学」と名付けたネットショップ運営ノウハウの教室を有料で開催している。
また、月間や年間のベストショップを表彰する「ショップ・オブ・ザ・マンス」「ショップ・オブ・ザ・イヤー」といった表彰制度が販売事業者のモチベーションになっている面もある。
アマゾンでも販売事業者へのサポートは提供している。オンライン講座「アマゾン出品大学」の提供や、専任スタッフによるサポート窓口は設けているが、販売事業者ごとに担当者を付けるようなことは一部大手出品者を除いては行っていない。
そもそも、販売事業者に対する考え方が違うのである。つまり、アマゾンにとって販売事業者はビジネスを展開する上でのパートナーという位置づけである。それに対して、楽天市場では出店者にほぼ100%依存するビジネスモデルであり、出店する販売事業者そのものが楽天の顧客なのである。
アマゾンは顧客である消費者を中心に考え、直販と同様に最適なサービスを提供するために、数十万の全ての販売事業者に対して公平性を保ちながらツールなどの改善を重ね、合理的なシステムを構築することを重視している。
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