この問題の背景には文化財に対して大きな誤解がある。
名古屋城の木造で復元は、復元であることに意味がある。
珍しくかなり過去の資料が残る名古屋城は、木造で昔の姿のままに復元することができることに価値がある。
歴史を重ねることで、復元は本物と見なされることになるだろう。
復元というのは、外観だけを再現するというレベルのつまらないものではない。
木造で当時の作り方そのままに再現するというのが復元というものだ。
もちろん、耐震性や防火などについては完全に対応することはほぼ不可能だろう。
名古屋城の復元というのはそういうものだ。
所謂公共施設という類のものではなく、あくまで史実に忠実な文化財の再建なのだ。
障害者があらゆる文化財を見学できなければならないという主張を大きく取り上げる意味が分からない。
また、名古屋城の復元は文化庁の所管だ。
史実に忠実でないものは基本的に許されない。
もちろん、そこにはエレベーターを設置するという考え方はないだろう。
なお、姫路城にももちろんエレベーターはついてない。これは国宝、世界遺産だ。
名古屋城はその世界を目指すものだ。
これは文化庁に確認すればすぐに答えが出る話だ。
何事も金と人、時間には限りがある。
現実的な範囲でできることはもちろんすべきだが、そのために文化財でない偽物を作り、将来に渡って大金を掛けた偽物の名古屋城という文化的に価値のないものをわざわざ造る理由はないだろう。
Yahoo!より、
名古屋城に「一緒に上がりたい」 障害者団体に聞く
5/22(火) 8:40配信 朝日新聞デジタル
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180522-00000016-asahi-soci
記事より、
・21日には市役所前で、県内の障害者団体でつくる「愛知障害フォーラム」(ADF)のメンバーらが抗議活動をした。ADF事務局長の辻直哉さん(46)
・例えば家族みんなで上がれば、途中で会話ができます。でも1人だけ別の手段で上がれば、それができない。ただ上がればいいのではなく、家族や友達と一緒に行動し、わくわくや楽しさを共有するプロセスが大切
・「市は『史実に忠実に』ということを優先しますが、『史実を参考に』ではダメなんでしょうか。史実を参考に外観を損なわず、障害者も高齢者も楽しめる城という考え方は、共存できるはずです」
考え方は共有できても、できることとできないことはある。
上記の発言からも分かるように、名古屋城は文化財として復元する価値がないというのがADFの立場のようだ。
名古屋城を外観とその展望という観点からしか見ていないことからくる批判には、文化財を復元するという市の立場からは言葉がないことだろう。
名古屋は文化不毛の地なのかもしれない。
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