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2018年12月25日
ヒートショック!
2018年12月24日
「朝食抜くと太る」機序をラット実験で解明−体内時計の乱れが原因か」
「朝食抜くと太る」機序をラット実験で解明−体内時計の乱れが原因か」
名古屋大など 提供元:HealthDay News 公開日:2018/11/28
朝食を抜くと『肝臓の脂質代謝』や『体温に関わる体内時計』に乱れが生じ、エネルギーの消費が減って『体重増加』につながることを、名古屋大学大学院生命農学研究科准教授の小田裕昭氏らの研究グループが突き止めた。
朝食を取ることはメタボリック症候群や肥満の予防につながるだけでなく、体内時計の正常化にも重要であるという。
研究の詳細は「PLOS ONE」10月31日オンライン版に掲載された。
厚生労働省の調査によれば、2015年には20歳代の4人に1人が朝食を食べてないという実態が報告されている。
朝食を抜くと肥満やメタボリック症候群、2型糖尿病などになりやすいことが知られているが、これまでの研究は観察研究が多く、その機序は明らかになっていなかった。
小田氏らの研究グループはこれまで、体内時計の調節には光よりも食事のタイミングが重要な役割を果たすという『時間栄養学』に着目した実験を重ねてきた。
今回は、朝食の重要性に注目し、ラットを活動期に高脂肪食を与える群(対照群)と目を覚ましてから4時間後に高脂肪食を与え、ヒトが朝食を抜いた場合に相当する状態にした群(朝食を抜く群)に分けて2週間観察した。
同氏によれば、こうした条件はヒトが朝8時に朝食を食べた場合と12時に最初の食事を食べた場合に相当するという。
その結果、摂取する食事の量に両群間で差はみられなかったが、
朝食を抜いた状態の群では、対照群に比べて体脂肪量や体重が大幅に増加していた。
詳細に解析したところ、朝食を抜いた状態のラットでは肝臓の時計遺伝子や脂質の代謝に関与する遺伝子の発現リズムが乱れていることが分かった。
さらに、朝食を抜いた状態のマウスでは体温は食べ始めるまで上昇せず、食べている間にも体温は低下してしまうことも明らかになった。
以上の結果から、小田氏らは「朝食を抜くと肝臓時計や体温時計に異常が生じ、エネルギー消費量が減少して体重増加につながると考えられる」と結論づけている。
また、この結果は、朝食を取ることを勧める際の科学的エビデンスになるとしている。
[2018年11月12日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay.
原著論文はこちら
Shimizu H, et al. PLOS ONE. 2018; 13: e0206669.
名古屋大など 提供元:HealthDay News 公開日:2018/11/28
朝食を抜くと『肝臓の脂質代謝』や『体温に関わる体内時計』に乱れが生じ、エネルギーの消費が減って『体重増加』につながることを、名古屋大学大学院生命農学研究科准教授の小田裕昭氏らの研究グループが突き止めた。
朝食を取ることはメタボリック症候群や肥満の予防につながるだけでなく、体内時計の正常化にも重要であるという。
研究の詳細は「PLOS ONE」10月31日オンライン版に掲載された。
厚生労働省の調査によれば、2015年には20歳代の4人に1人が朝食を食べてないという実態が報告されている。
朝食を抜くと肥満やメタボリック症候群、2型糖尿病などになりやすいことが知られているが、これまでの研究は観察研究が多く、その機序は明らかになっていなかった。
小田氏らの研究グループはこれまで、体内時計の調節には光よりも食事のタイミングが重要な役割を果たすという『時間栄養学』に着目した実験を重ねてきた。
今回は、朝食の重要性に注目し、ラットを活動期に高脂肪食を与える群(対照群)と目を覚ましてから4時間後に高脂肪食を与え、ヒトが朝食を抜いた場合に相当する状態にした群(朝食を抜く群)に分けて2週間観察した。
同氏によれば、こうした条件はヒトが朝8時に朝食を食べた場合と12時に最初の食事を食べた場合に相当するという。
その結果、摂取する食事の量に両群間で差はみられなかったが、
朝食を抜いた状態の群では、対照群に比べて体脂肪量や体重が大幅に増加していた。
詳細に解析したところ、朝食を抜いた状態のラットでは肝臓の時計遺伝子や脂質の代謝に関与する遺伝子の発現リズムが乱れていることが分かった。
さらに、朝食を抜いた状態のマウスでは体温は食べ始めるまで上昇せず、食べている間にも体温は低下してしまうことも明らかになった。
以上の結果から、小田氏らは「朝食を抜くと肝臓時計や体温時計に異常が生じ、エネルギー消費量が減少して体重増加につながると考えられる」と結論づけている。
また、この結果は、朝食を取ることを勧める際の科学的エビデンスになるとしている。
[2018年11月12日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay.
原著論文はこちら
Shimizu H, et al. PLOS ONE. 2018; 13: e0206669.
2018年12月23日
「朝食を摂ると余計に太るんじゃない?」という患者さん
「朝食を摂ると余計に太るんじゃない?」という患者さん
公開日:2017/11/21 企画・制作 ケアネット
Dr. 坂根がレクチャーする糖尿病外来でのNGワードシリーズ。「こんな言葉、患者さんにかけちゃいけません」
「こんなフォローで指導しましょう」
という事例を交え、コンパクトにお伝えします。
■外来NGワード
「そんなことはありません…」
(頭から否定の指導)
「食事は3食、規則的にすることが大切です」
(理想論を展開する指導)
「朝食を必ず摂るようにしなさい!」
(朝食欠食の理由を確認しない指導)
■解説
肥満を伴う糖尿病の患者さんから「今は朝食を摂っていないが、朝食を摂ったら余計に太るんじゃない?」と質問されることがあります。
朝食を抜いている人に対して、朝食を摂るようにしてもらうためには、どのように指導したらいいのでしょうか。
『朝食を摂らない』習慣があると、
『肥満していたり、体重が増加しやすい』
ことは横断研究やコホート研究ですでに示されています1)。
そして、習慣的に朝食を摂らない人には、
何らかの理由があります。
夕食の時間が遅い、
または夕食の量が多い、
朝食を摂る時間がない、
朝は空腹でない、
朝食を作ってくれる人がいない、などなど考えられます。
『時間栄養学』の観点では、
同じカロリーの食事であっても遅い時間帯に食事をすると脂肪や血糖に悪影響を及ぼすことがわかっています2)。
まずは、朝食を摂らない理由(夜の食事が遅い、ドカ食いなど)を確認します。
次に、そんな人でもできるダイエット法があることを説明します。
そして、夜の食事を早めに、あるいは少な目にし、おいしく朝食が摂られる対策を患者さんと一緒に立てることができるようになるといいですね。
■患者さんとの会話でロールプレイ
患者 今よりも朝食でカロリーを摂ったら、
余計に太るんじゃないですか?
医師 そう思われている人も多いですね。
患者 そうじゃないんですか?
医師 中には朝食を摂るようにしたら、
痩せてきた人もいますよ!
患者 えっ、その違いは何ですか?
医師 まずは、朝食を摂らない理由を教えてもらっても
いいですか?
患者 仕事で夜の食事が遅いので、
朝はあまりお腹が空いていないんですよね。
それに朝は、ゆっくりと食べる時間もなくて…。
医師 確かに、それだと朝は食べる気が起きませんよね
(共感)。
患者 そうなんです。
医師 最近、「時間栄養学」という考え方があって、
同じカロリーのものでも、食べる時間帯によって
脂肪や血糖に与える影響が違うそうです
(「時間栄養学」という専門用語をわざと用いて、
食べるタイミングが大切であることを説明)。
患者 やっぱり、夜遅い食事がよくないんですね。
何とかしないと…
痩せた人はどんな風にされたんですか?
医師 その人は仕事でどうしても夕食が遅くなるので、
空腹で家に帰るとドカ食いされていました。
患者 あっ、それ私です!
医師 ところが、夕方におにぎりを食べて、
家に帰ってからは少な目の夕食にされたんだそうです。
奥様に頼んで軽めの夕食を用意してもらっていたら、
朝にはきちんとお腹が空いて食べられるようになった
そうです(第三者の話として伝える)。
患者 なるほど。それぐらいなら、できそうです。
うちに帰って嫁と相談してみます。
■医師へのお勧めの言葉
「中には朝食を摂るようにしたら、痩せてきた人もいますよ!」
参考文献
1)Horikawa C, et al. Prev Med.2011;53:260-267.
2)Garaulet M, et al. Physiol Behav.2014;134:44-50.
公開日:2017/11/21 企画・制作 ケアネット
Dr. 坂根がレクチャーする糖尿病外来でのNGワードシリーズ。「こんな言葉、患者さんにかけちゃいけません」
「こんなフォローで指導しましょう」
という事例を交え、コンパクトにお伝えします。
■外来NGワード
「そんなことはありません…」
(頭から否定の指導)
「食事は3食、規則的にすることが大切です」
(理想論を展開する指導)
「朝食を必ず摂るようにしなさい!」
(朝食欠食の理由を確認しない指導)
■解説
肥満を伴う糖尿病の患者さんから「今は朝食を摂っていないが、朝食を摂ったら余計に太るんじゃない?」と質問されることがあります。
朝食を抜いている人に対して、朝食を摂るようにしてもらうためには、どのように指導したらいいのでしょうか。
『朝食を摂らない』習慣があると、
『肥満していたり、体重が増加しやすい』
ことは横断研究やコホート研究ですでに示されています1)。
そして、習慣的に朝食を摂らない人には、
何らかの理由があります。
夕食の時間が遅い、
または夕食の量が多い、
朝食を摂る時間がない、
朝は空腹でない、
朝食を作ってくれる人がいない、などなど考えられます。
同じカロリーの食事であっても遅い時間帯に食事をすると脂肪や血糖に悪影響を及ぼすことがわかっています2)。
まずは、朝食を摂らない理由(夜の食事が遅い、ドカ食いなど)を確認します。
次に、そんな人でもできるダイエット法があることを説明します。
そして、夜の食事を早めに、あるいは少な目にし、おいしく朝食が摂られる対策を患者さんと一緒に立てることができるようになるといいですね。
■患者さんとの会話でロールプレイ
患者 今よりも朝食でカロリーを摂ったら、
余計に太るんじゃないですか?
医師 そう思われている人も多いですね。
患者 そうじゃないんですか?
医師 中には朝食を摂るようにしたら、
痩せてきた人もいますよ!
患者 えっ、その違いは何ですか?
医師 まずは、朝食を摂らない理由を教えてもらっても
いいですか?
患者 仕事で夜の食事が遅いので、
朝はあまりお腹が空いていないんですよね。
それに朝は、ゆっくりと食べる時間もなくて…。
医師 確かに、それだと朝は食べる気が起きませんよね
(共感)。
患者 そうなんです。
医師 最近、「時間栄養学」という考え方があって、
同じカロリーのものでも、食べる時間帯によって
脂肪や血糖に与える影響が違うそうです
(「時間栄養学」という専門用語をわざと用いて、
食べるタイミングが大切であることを説明)。
患者 やっぱり、夜遅い食事がよくないんですね。
何とかしないと…
痩せた人はどんな風にされたんですか?
医師 その人は仕事でどうしても夕食が遅くなるので、
空腹で家に帰るとドカ食いされていました。
患者 あっ、それ私です!
医師 ところが、夕方におにぎりを食べて、
家に帰ってからは少な目の夕食にされたんだそうです。
奥様に頼んで軽めの夕食を用意してもらっていたら、
朝にはきちんとお腹が空いて食べられるようになった
そうです(第三者の話として伝える)。
患者 なるほど。それぐらいなら、できそうです。
うちに帰って嫁と相談してみます。
■医師へのお勧めの言葉
「中には朝食を摂るようにしたら、痩せてきた人もいますよ!」
参考文献
1)Horikawa C, et al. Prev Med.2011;53:260-267.
2)Garaulet M, et al. Physiol Behav.2014;134:44-50.
2018年12月22日
「かぜには抗菌薬が効く」と認識する患者が約半数、どう対応すべきか
「かぜには抗菌薬が効く」と認識する患者が約半数、どう対応すべきか
提供元:ケアネット 公開日:2018/11/14
一般市民対象の抗菌薬に関する意識調査の結果、
約半数が「かぜやインフルエンザなどのウイルス性疾患に対して抗菌薬が効く」と誤った認識をしていることが明らかになった。
AMR臨床リファレンスセンターは10月30日、
「抗菌薬意識調査2018」の結果を公表し、
「薬剤耐性(AMR)対策の現状と取り組み 2018」と題した
メディアセミナーを開催した。
セミナーでは大曲 貴夫氏
(国立国際医療研究センター病院 副院長/国際感染症センター長/AMR臨床リファレンスセンター長)、
具 芳明氏(AMR臨床リファレンスセンター 情報‐教育支援室長)らが登壇し、
意識調査結果や抗菌薬使用の現状などについて講演した。
抗菌薬で熱が下がる? 痛みを抑える?
「抗菌薬意識調査2018」は、
2018年8〜9月に、
10〜60代の男女721人を対象に実施された
インターネット調査1)。
「抗菌薬・抗生物質という言葉を聞いたことがあるか」
という質問に対し、
94.2%(679人)が「ある(66.7%)」
あるいは「あるが詳しくはわからない(27.5%)」と回答した。
「抗菌薬・抗生物質はどのような薬だと思うか」
と複数回答で聞いた結果、
「細菌が増えるのを抑える」と正しく回答した人はうち
71.9%(488人)。
一方で「熱を下げる(40.9%)」、
「痛みを抑える(39.9%)」など、
直接の作用ではないものを選択する人も多く、
抗菌薬に対する誤った認識が浮き彫りとなった。
「抗菌薬・抗生物質はどのような病気に有用か知っているか」という質問に対しては、
「かぜ」と答えた人が49.9%(339人)で最も多く、
2番目に多かった回答は「インフルエンザ(49.2%)」であった。
正しい回答である「膀胱炎」や「肺炎」と答えた人はそれぞれ26.7%、25.8%に留まっている。
「かぜで受診したときにどんな薬を処方してほしいか」という質問にも、
30.1%の人が「抗菌薬・抗生物質」と回答しており、
“ウイルス性疾患に抗菌薬が効く”と認識している人が一定数いる現状が明らかになった。
抗ウイルス薬を約3割の人が抗菌薬と誤解
さらに、抗菌薬5種類を含む全12種類の薬品名を挙げ、
「あなたが思う抗菌薬・抗生物質はどれか」と複数回答で尋ねた質問では、
多かった回答上位5種類のうち3種類が抗菌薬以外の薬剤であった。
最も多かったのは抗ウイルス薬のタミフルで、29.3%(199人)が抗菌薬だと誤解していた。
他に、鎮痛解熱薬のルル(18.1%)やバファリン(14.4%)も抗菌薬だと回答した人が多かった。
本調査結果を解説した具氏は、
「医療従事者が思っている以上に、
一般市民の抗菌薬についての知識は十分とは言えず、
適応や他の薬剤との区別について誤解が目立つ結果なのではないか。
このギャップを意識しながら、十分なコミュニケーションを図っていく必要がある」と話した。
“不必要なことを説明して、納得してもらう”ために
医師側も、一部でこうした患者の要望に応え、
抗菌薬処方を行っている実態が明らかになったデータがある。
全国の診療所医師を対象に2018年2月に行われた調査2)で、
「感冒と診断した患者や家族が抗菌薬処方を希望したときの対応」について聞いたところ(n=252)、
「説明しても納得しなければ処方する」と答えた医師が50.4%と最も多かった。
「説明して処方しない」は32.9%に留まり、
「希望通り処方する」が12.7%であった。
大曲氏は、「薬剤耐性(AMR)対策アクションプランを取りまとめる過程で検討したデータからも、
感冒をはじめとした急性気道感染症や下痢症など、
本来抗生物質をまず使うべきでないところで多く使われている現状が明らかになっている」と話し、
必要でないケースでは医師側が自信を持って、
ときには繰り返し患者に説明していくことの重要性を強調した。
2018年度の診療報酬改定で新設された、
「小児抗菌薬適正使用支援加算」3)は、
不必要な抗菌薬を処方するのではなく、
患者への十分な説明を重視したものとなっている。
そのためのツールの1つとして、
2017年発行の「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版」や、
センターが運用している「薬剤耐性(AMR)対策eラーニングシステム」4)などの活用を呼び掛けている。
※薬剤耐性(AMR)ー安直に抗菌薬を使っていると、抗菌薬が効かない耐性菌が出現しやすい。
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、VRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)、MDRP(多剤耐性緑膿菌)、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)など、耐性菌の出現スピードが加速化している。
■参考
1)国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター プレスリリース
2)日本化学療法学会・日本感染症学会合同外来抗菌薬適正使用調査委員会「全国の診療所医師を対象とした抗菌薬適正使用に関するアンケート調査」2018.
3)厚生労働省「第3回厚生科学審議会感染症部会薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 資料5」
4)国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター情報サイト「かしこく治して、明日につなぐ」
提供元:ケアネット 公開日:2018/11/14
一般市民対象の抗菌薬に関する意識調査の結果、
約半数が「かぜやインフルエンザなどのウイルス性疾患に対して抗菌薬が効く」と誤った認識をしていることが明らかになった。
AMR臨床リファレンスセンターは10月30日、
「抗菌薬意識調査2018」の結果を公表し、
「薬剤耐性(AMR)対策の現状と取り組み 2018」と題した
メディアセミナーを開催した。
セミナーでは大曲 貴夫氏
(国立国際医療研究センター病院 副院長/国際感染症センター長/AMR臨床リファレンスセンター長)、
具 芳明氏(AMR臨床リファレンスセンター 情報‐教育支援室長)らが登壇し、
意識調査結果や抗菌薬使用の現状などについて講演した。
抗菌薬で熱が下がる? 痛みを抑える?
「抗菌薬意識調査2018」は、
2018年8〜9月に、
10〜60代の男女721人を対象に実施された
インターネット調査1)。
「抗菌薬・抗生物質という言葉を聞いたことがあるか」
という質問に対し、
94.2%(679人)が「ある(66.7%)」
あるいは「あるが詳しくはわからない(27.5%)」と回答した。
「抗菌薬・抗生物質はどのような薬だと思うか」
と複数回答で聞いた結果、
「細菌が増えるのを抑える」と正しく回答した人はうち
71.9%(488人)。
一方で「熱を下げる(40.9%)」、
「痛みを抑える(39.9%)」など、
直接の作用ではないものを選択する人も多く、
抗菌薬に対する誤った認識が浮き彫りとなった。
「抗菌薬・抗生物質はどのような病気に有用か知っているか」という質問に対しては、
「かぜ」と答えた人が49.9%(339人)で最も多く、
2番目に多かった回答は「インフルエンザ(49.2%)」であった。
正しい回答である「膀胱炎」や「肺炎」と答えた人はそれぞれ26.7%、25.8%に留まっている。
「かぜで受診したときにどんな薬を処方してほしいか」という質問にも、
30.1%の人が「抗菌薬・抗生物質」と回答しており、
“ウイルス性疾患に抗菌薬が効く”と認識している人が一定数いる現状が明らかになった。
抗ウイルス薬を約3割の人が抗菌薬と誤解
さらに、抗菌薬5種類を含む全12種類の薬品名を挙げ、
「あなたが思う抗菌薬・抗生物質はどれか」と複数回答で尋ねた質問では、
多かった回答上位5種類のうち3種類が抗菌薬以外の薬剤であった。
最も多かったのは抗ウイルス薬のタミフルで、29.3%(199人)が抗菌薬だと誤解していた。
他に、鎮痛解熱薬のルル(18.1%)やバファリン(14.4%)も抗菌薬だと回答した人が多かった。
本調査結果を解説した具氏は、
「医療従事者が思っている以上に、
一般市民の抗菌薬についての知識は十分とは言えず、
適応や他の薬剤との区別について誤解が目立つ結果なのではないか。
このギャップを意識しながら、十分なコミュニケーションを図っていく必要がある」と話した。
“不必要なことを説明して、納得してもらう”ために
医師側も、一部でこうした患者の要望に応え、
抗菌薬処方を行っている実態が明らかになったデータがある。
全国の診療所医師を対象に2018年2月に行われた調査2)で、
「感冒と診断した患者や家族が抗菌薬処方を希望したときの対応」について聞いたところ(n=252)、
「説明しても納得しなければ処方する」と答えた医師が50.4%と最も多かった。
「説明して処方しない」は32.9%に留まり、
「希望通り処方する」が12.7%であった。
大曲氏は、「薬剤耐性(AMR)対策アクションプランを取りまとめる過程で検討したデータからも、
感冒をはじめとした急性気道感染症や下痢症など、
本来抗生物質をまず使うべきでないところで多く使われている現状が明らかになっている」と話し、
必要でないケースでは医師側が自信を持って、
ときには繰り返し患者に説明していくことの重要性を強調した。
2018年度の診療報酬改定で新設された、
「小児抗菌薬適正使用支援加算」3)は、
不必要な抗菌薬を処方するのではなく、
患者への十分な説明を重視したものとなっている。
そのためのツールの1つとして、
2017年発行の「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版」や、
センターが運用している「薬剤耐性(AMR)対策eラーニングシステム」4)などの活用を呼び掛けている。
※薬剤耐性(AMR)ー安直に抗菌薬を使っていると、抗菌薬が効かない耐性菌が出現しやすい。
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、VRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)、MDRP(多剤耐性緑膿菌)、VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)など、耐性菌の出現スピードが加速化している。
■参考
1)国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター プレスリリース
2)日本化学療法学会・日本感染症学会合同外来抗菌薬適正使用調査委員会「全国の診療所医師を対象とした抗菌薬適正使用に関するアンケート調査」2018.
3)厚生労働省「第3回厚生科学審議会感染症部会薬剤耐性(AMR)に関する小委員会 資料5」
4)国立国際医療研究センター病院 AMR臨床リファレンスセンター情報サイト「かしこく治して、明日につなぐ」
2018年12月21日
「遺体お預かり」広がる
「遺体お預かり」広がる
...葬儀しない「直葬」増え、火葬場不足で〔読売新聞〕
2018年11月03日 06:00
高齢化に伴って年間130万人以上が亡くなる
「多死社会」を迎える中、
火葬前の遺体を預かる「遺体安置ビジネス」が都市部を中心に広がっている。
葬儀をせず火葬のみを行う「 直葬(ちょくそう)」の増加や火葬場不足が背景にある。福岡県内では、直葬を行う業者が増え始めている。
福岡市博多区にある「福岡直葬センター」は、
遺体を保管する冷蔵設備がある直葬の専用施設だ。
冠婚葬祭業の「ラック」(福岡市)が運営。
猪膝(いのひざ)武弘マネジャー(62)は「ご遺体をここで安置し、火葬場へ搬送します」と説明する。
直葬は、通夜や告別式をせず、
火葬のみで済ませる葬儀形態。
墓地埋葬法では、火葬は死後24時間を経過しなければ行えず、
従来は自宅や葬儀場などに安置するケースが多かった。
福岡直葬センターはひつぎを収納することができる冷蔵設備を12体分そろえている。
祭壇が置かれた個室もあり、遺族は時間を気にすることなく対面できる。
遺体の保管料は24時間で1万2000円(税別、延長は同1万円)。
火葬場への搬送を含めた費用は約18万円(税、火葬代別)だ。
2011年10月にオープン。
経済的な理由や、離婚で家族と別離しているなどの事情で、
希望する人が多いという。
12年度は169件だったが、昨年度は452件と利用者は年々増加している。
葬儀情報サイトを運営する「鎌倉新書」(東京)
の昨年のアンケートでは、直葬を行った人の割合は全体の5%。
猪膝マネジャーは「最近は、ご本人が『葬儀で家族にお金をかけさせたくない』と生前に相談に来られるケースも増えている」と話す。
東京都や横浜市、大阪市など、関東や関西の人口密集地では、老朽化などによる統廃合で火葬場が不足する事態も遺体安置ビジネスのニーズを高めている。
厚生労働省の集計では、16年度の全国の火葬場数は4181か所で、1996年度の8481か所から半減。
横浜市では市営の火葬場は4か所のみで、平均4日程度待つという。
葬儀場で告別式などを行わない場合、
火葬を待つ間は自宅に遺体を安置することになる。
ひつぎをエレベーターなどに運び込めないマンション世帯が増えているほか、
弔問客への応対を負担に感じる喪主も多い。
JR新横浜駅近くで、遺体を一時的に預かる「遺体ホテル」を運営する葬祭場「ラステル新横浜」の担当者は「高齢化で需要は今後さらに伸びる」と見込む。
国立歴史民俗博物館の山田慎也准教授(民俗学)は、
「少子高齢化や単身世帯の増加で家族構造が変わり、
戦後から続いてきた告別式を中心とした葬儀のかたちが変わってきている」
と指摘している。(2018年11月2日 読売新聞)
...葬儀しない「直葬」増え、火葬場不足で〔読売新聞〕
2018年11月03日 06:00
高齢化に伴って年間130万人以上が亡くなる
「多死社会」を迎える中、
火葬前の遺体を預かる「遺体安置ビジネス」が都市部を中心に広がっている。
葬儀をせず火葬のみを行う「 直葬(ちょくそう)」の増加や火葬場不足が背景にある。福岡県内では、直葬を行う業者が増え始めている。
福岡市博多区にある「福岡直葬センター」は、
遺体を保管する冷蔵設備がある直葬の専用施設だ。
冠婚葬祭業の「ラック」(福岡市)が運営。
猪膝(いのひざ)武弘マネジャー(62)は「ご遺体をここで安置し、火葬場へ搬送します」と説明する。
直葬は、通夜や告別式をせず、
火葬のみで済ませる葬儀形態。
墓地埋葬法では、火葬は死後24時間を経過しなければ行えず、
従来は自宅や葬儀場などに安置するケースが多かった。
福岡直葬センターはひつぎを収納することができる冷蔵設備を12体分そろえている。
祭壇が置かれた個室もあり、遺族は時間を気にすることなく対面できる。
遺体の保管料は24時間で1万2000円(税別、延長は同1万円)。
火葬場への搬送を含めた費用は約18万円(税、火葬代別)だ。
2011年10月にオープン。
経済的な理由や、離婚で家族と別離しているなどの事情で、
希望する人が多いという。
12年度は169件だったが、昨年度は452件と利用者は年々増加している。
葬儀情報サイトを運営する「鎌倉新書」(東京)
の昨年のアンケートでは、直葬を行った人の割合は全体の5%。
猪膝マネジャーは「最近は、ご本人が『葬儀で家族にお金をかけさせたくない』と生前に相談に来られるケースも増えている」と話す。
東京都や横浜市、大阪市など、関東や関西の人口密集地では、老朽化などによる統廃合で火葬場が不足する事態も遺体安置ビジネスのニーズを高めている。
厚生労働省の集計では、16年度の全国の火葬場数は4181か所で、1996年度の8481か所から半減。
横浜市では市営の火葬場は4か所のみで、平均4日程度待つという。
葬儀場で告別式などを行わない場合、
火葬を待つ間は自宅に遺体を安置することになる。
ひつぎをエレベーターなどに運び込めないマンション世帯が増えているほか、
弔問客への応対を負担に感じる喪主も多い。
JR新横浜駅近くで、遺体を一時的に預かる「遺体ホテル」を運営する葬祭場「ラステル新横浜」の担当者は「高齢化で需要は今後さらに伸びる」と見込む。
国立歴史民俗博物館の山田慎也准教授(民俗学)は、
「少子高齢化や単身世帯の増加で家族構造が変わり、
戦後から続いてきた告別式を中心とした葬儀のかたちが変わってきている」
と指摘している。(2018年11月2日 読売新聞)
2018年12月20日
知らずに食べている超悪玉脂肪酸、動脈硬化学会が警鐘
知らずに食べている超悪玉脂肪酸、動脈硬化学会が警鐘
提供元:ケアネット 公開日:2018/11/12
農林水産省がトランス脂肪酸(TFA)に関する情報を掲載してから早10年。
残念なことに、トランス脂肪酸に対する日本の姿勢には進展が見られない。
2018年10月31日、動脈硬化学会が主催するプレスセミナー
「トランス脂肪酸について」が開催され、
丸山 千寿子氏(日本女子大学家政学部食物学科教授)、
石田 達郎氏(神戸大学大学院医学研究科特命教授)が
TFA摂取によるリスクに警鐘を鳴らした。
トランス脂肪酸はどうやって体内に取り込まれるのか
TFAと飽和脂肪酸を同量摂取して比較した場合、
TFAは飽和脂肪酸と比べ動脈硬化の発症を10倍も増やし、
糖尿病の原因となるインスリン抵抗性の悪化などを引き起こす。
そのため、TFAは超悪玉脂肪酸とも呼ばれている。
にもかかわらず、
なぜ、TFAがいまだに食品に使用されているのだろうか。
石田、丸山の両氏は「現時点では日本人において、直接その有害性を証明した根拠が少ないため」とコメント。
さらに、勘違いされやすいが、
TFAは食品などに直接注入される添加物ではない。
シス型で天然の液体植物油であるオレイン酸やリノール酸が
工場などの食品加工の過程において、
トランス型で固形油のエライジン酸やリノエライジン酸に変換・生成されるのである。
ただし石田氏は、
「家庭での一般の調理過程ではほとんど生じない」
と家庭内調理の安全性を伝えた。
TFAの新たな測定法と臨床研究の今後の展望
これまで日本でのTFA摂取量の検討は、
摂取量に関するアンケート調査を実施し、
それに基づいて推測することが多かった。
石田氏らは、TFAの血中濃度について、
ガスクロマトグラフィー質量分析計を用いて
直接測定することに成功。
その結果、TFA摂取量がLDL-C値やTG値と正相関、
HDL-C値と逆相関することを明らかにした。
これは海外の疫学研究と結果が類似しており、
石田氏は、「この研究において、
TFA血中濃度とBMIや年齢の関係を見ると、
高齢者(75歳以上)ではメタボ有無による差はないものの、
若年層(60歳未満)のメタボ群では有意にTFA血中濃度が高値を示した。
また、冠動脈疾患を有する患者でも同様の傾向を示した。
ただし、この研究は入院患者、病院食摂取後、早朝空腹時で測定しているため、
これでもTFAのリスクは過小評価されている可能性がある」
と述べ、
「今回われわれが行った約1,000例を対象とした試験の結果は、
海外で証明されたTFAの有害性と酷似している。
つまり、海外で証明された知見は日本人においても当てはまると考えることが妥当」
とし、「日本の大規模臨床試験がなくても、
TFAがリスクだと認識するべきだ」とコメントした。
異なる見解を示す消費者庁と農林水産省、2023年までにトランスフリーなるか
摂取過多が認められた国々では、TFAの摂取削減や表示義務が課されている。
実際、アメリカでは加工食品に含まれる脂質の含有量のみならず、
その内容を重視し、total fatに加えてtrans fatが記載されている。
残念ながら日本ではこのような表示義務がないため、食品を製造する各企業の努力に頼らざるを得ない。
そんな中、WHOは『Make the world trans fat free by 2023』という目標を掲げ、TFAによる冠動脈疾患の削減に取り組む具体策を講じている。
丸山氏は、「一般の人だけでなく、各企業がTFAについての理解があるかどうかも問題」と、啓蒙活動の重要性を語った。
また、日本でのTFA削減が足踏みしている理由として、
丸山氏は各省庁の対応を指摘。
「消費者庁は“脂質の含有量だけではなく内容にも留意すること”を丁寧に提示している。
一方の農林水産省は、ホームページに“食品中のTFAを減らす努力をしています”と記載していながらも、
“TFAだけを必要以上に心配せず、脂質全体の摂取量に十分配慮”と記している」と、
TFA摂取による健康被害に根拠がないとも読み取れる説明文に、同氏は悲憤した。
アメリカでは表示が義務化されたことでTFAの摂取が78%も減少したそうである。
日本では、いくら“TFAをとらないで!”と言っても、
何にどれくらい含まれているのかがわからないため、
避けることができない。
これを踏まえ両氏は、
「日本人は表示されればそれを避ける傾向があるので、
表示義務化が実現すればTFAの摂取量は減少するかもしれない。
われわれは各省庁にお願いを続けていく」と、
摂取規制実現へ向き合っていく姿勢を示した。
■参考
日本動脈硬化学会:栄養成分表示に関する声明
農林水産省:トランス脂肪酸に関する情報
消費者庁:トランス脂肪酸に関する情報
■関連記事
不眠症になりやすい食事の傾向
トランス脂肪酸の禁止で冠動脈疾患死2.6%回避/BMJ
(ケアネット 土井 舞子)
提供元:ケアネット 公開日:2018/11/12
農林水産省がトランス脂肪酸(TFA)に関する情報を掲載してから早10年。
残念なことに、トランス脂肪酸に対する日本の姿勢には進展が見られない。
2018年10月31日、動脈硬化学会が主催するプレスセミナー
「トランス脂肪酸について」が開催され、
丸山 千寿子氏(日本女子大学家政学部食物学科教授)、
石田 達郎氏(神戸大学大学院医学研究科特命教授)が
TFA摂取によるリスクに警鐘を鳴らした。
トランス脂肪酸はどうやって体内に取り込まれるのか
TFAと飽和脂肪酸を同量摂取して比較した場合、
TFAは飽和脂肪酸と比べ動脈硬化の発症を10倍も増やし、
糖尿病の原因となるインスリン抵抗性の悪化などを引き起こす。
そのため、TFAは超悪玉脂肪酸とも呼ばれている。
にもかかわらず、
なぜ、TFAがいまだに食品に使用されているのだろうか。
石田、丸山の両氏は「現時点では日本人において、直接その有害性を証明した根拠が少ないため」とコメント。
さらに、勘違いされやすいが、
TFAは食品などに直接注入される添加物ではない。
シス型で天然の液体植物油であるオレイン酸やリノール酸が
工場などの食品加工の過程において、
トランス型で固形油のエライジン酸やリノエライジン酸に変換・生成されるのである。
ただし石田氏は、
「家庭での一般の調理過程ではほとんど生じない」
と家庭内調理の安全性を伝えた。
TFAの新たな測定法と臨床研究の今後の展望
これまで日本でのTFA摂取量の検討は、
摂取量に関するアンケート調査を実施し、
それに基づいて推測することが多かった。
石田氏らは、TFAの血中濃度について、
ガスクロマトグラフィー質量分析計を用いて
直接測定することに成功。
その結果、TFA摂取量がLDL-C値やTG値と正相関、
HDL-C値と逆相関することを明らかにした。
これは海外の疫学研究と結果が類似しており、
石田氏は、「この研究において、
TFA血中濃度とBMIや年齢の関係を見ると、
高齢者(75歳以上)ではメタボ有無による差はないものの、
若年層(60歳未満)のメタボ群では有意にTFA血中濃度が高値を示した。
また、冠動脈疾患を有する患者でも同様の傾向を示した。
ただし、この研究は入院患者、病院食摂取後、早朝空腹時で測定しているため、
これでもTFAのリスクは過小評価されている可能性がある」
と述べ、
「今回われわれが行った約1,000例を対象とした試験の結果は、
海外で証明されたTFAの有害性と酷似している。
つまり、海外で証明された知見は日本人においても当てはまると考えることが妥当」
とし、「日本の大規模臨床試験がなくても、
TFAがリスクだと認識するべきだ」とコメントした。
異なる見解を示す消費者庁と農林水産省、2023年までにトランスフリーなるか
摂取過多が認められた国々では、TFAの摂取削減や表示義務が課されている。
実際、アメリカでは加工食品に含まれる脂質の含有量のみならず、
その内容を重視し、total fatに加えてtrans fatが記載されている。
残念ながら日本ではこのような表示義務がないため、食品を製造する各企業の努力に頼らざるを得ない。
そんな中、WHOは『Make the world trans fat free by 2023』という目標を掲げ、TFAによる冠動脈疾患の削減に取り組む具体策を講じている。
丸山氏は、「一般の人だけでなく、各企業がTFAについての理解があるかどうかも問題」と、啓蒙活動の重要性を語った。
また、日本でのTFA削減が足踏みしている理由として、
丸山氏は各省庁の対応を指摘。
「消費者庁は“脂質の含有量だけではなく内容にも留意すること”を丁寧に提示している。
一方の農林水産省は、ホームページに“食品中のTFAを減らす努力をしています”と記載していながらも、
“TFAだけを必要以上に心配せず、脂質全体の摂取量に十分配慮”と記している」と、
TFA摂取による健康被害に根拠がないとも読み取れる説明文に、同氏は悲憤した。
アメリカでは表示が義務化されたことでTFAの摂取が78%も減少したそうである。
日本では、いくら“TFAをとらないで!”と言っても、
何にどれくらい含まれているのかがわからないため、
避けることができない。
これを踏まえ両氏は、
「日本人は表示されればそれを避ける傾向があるので、
表示義務化が実現すればTFAの摂取量は減少するかもしれない。
われわれは各省庁にお願いを続けていく」と、
摂取規制実現へ向き合っていく姿勢を示した。
■参考
日本動脈硬化学会:栄養成分表示に関する声明
農林水産省:トランス脂肪酸に関する情報
消費者庁:トランス脂肪酸に関する情報
■関連記事
不眠症になりやすい食事の傾向
トランス脂肪酸の禁止で冠動脈疾患死2.6%回避/BMJ
(ケアネット 土井 舞子)
2018年12月19日
「血圧の薬は一生飲み続ける」と思い込む患者さん
「血圧の薬は一生飲み続ける」と思い込む患者さん
CareNetから転記
血圧が高いのに医療機関を受診せず、
薬を飲むのを嫌う患者さんがいます。
その理由の1つとして「血圧の薬を飲み始めると、
一生飲み続けなければいけない」
と思い込んでいることが挙げられます。
しかし、血圧コントロールが良好な患者さんでは、
降圧薬を中止しても血圧が正常範囲に保たれる割合が
40%程度存在したとの報告があります1)。
こういった患者さんには、もともと軽症の高血圧(I度高血圧)だった、
減塩・減量などで生活習慣を改善できた、
1種類の降圧薬で良好な血圧コントロールができた若年者などのパターンがあると考えられます。
また、血圧には季節変動があることが知られており、
夏季に血圧が低下する患者さんでは、
一時的に降圧薬の減量あるいは休薬を考慮してもよいです。
一方、冬季には血圧が上昇して増量や追加が必要になることも少なくありません。
患者さん一人ひとりの血圧変動に合わせた服薬調整が大切です。
血圧を良好に保つことが将来的な動脈硬化を防ぎ、
脳血管疾患、心血管疾患、認知症などの予防につながることを強調して説明してみてはいかがでしょうか。
■患者さんとの会話でロールプレイ
医師 今まで、血圧の薬を飲んだことはありますか?
(服薬歴の確認)
患者 ありません。
血圧の薬を飲み始めると、
一生やめることができないんでしょう?
医師 そんなことはありませんよ。
薬を飲み始めても、食事や運動などに気を付けて、
血圧が落ち着いたら薬の量を減らすことや、
お休みすることもできます。
患者 えっ、そうなんですか?
医師 それに、血圧の薬を飲むことは血圧を下げるためだけ
でなく、動脈硬化を予防するためでもあるんです。
患者 動脈硬化を予防するということは…?
医師 動脈硬化の予防は、脳卒中や心筋梗塞、
そして認知症の予防にもつながりますよ。
患者 なるほど…。
医師 ただし、薬ですから、副作用が起こることもあります。
血圧の薬はたくさんありますから、
自分に合った薬を見つけることが大切です。
患者 そうなんですよね。
副作用が心配で、なかなか気が進まなくて…。
医師 それでは、血圧の薬について、
どういう種類があるか説明させてもらいますね。
患者 はい。よろしくお願いします。
■医師へのお勧めの言葉
「血圧の薬を飲み始めても、食事や運動などに気を付ければ、
薬の量を減らせたり、お休みできたりする人もいます」
「血圧を正常範囲に保つことは、動脈硬化の予防になります。
脳卒中や心筋梗塞、さらには認知症の予防にもつながりますよ」
参考文献
1)Nelson M, et al. Am J Hypertens. 2001;14:98-105.
講師紹介
坂根 直樹 ( さかね なおき ) 氏
京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長
CareNetから転記
血圧が高いのに医療機関を受診せず、
薬を飲むのを嫌う患者さんがいます。
その理由の1つとして「血圧の薬を飲み始めると、
一生飲み続けなければいけない」
と思い込んでいることが挙げられます。
しかし、血圧コントロールが良好な患者さんでは、
降圧薬を中止しても血圧が正常範囲に保たれる割合が
40%程度存在したとの報告があります1)。
こういった患者さんには、もともと軽症の高血圧(I度高血圧)だった、
減塩・減量などで生活習慣を改善できた、
1種類の降圧薬で良好な血圧コントロールができた若年者などのパターンがあると考えられます。
また、血圧には季節変動があることが知られており、
夏季に血圧が低下する患者さんでは、
一時的に降圧薬の減量あるいは休薬を考慮してもよいです。
一方、冬季には血圧が上昇して増量や追加が必要になることも少なくありません。
患者さん一人ひとりの血圧変動に合わせた服薬調整が大切です。
血圧を良好に保つことが将来的な動脈硬化を防ぎ、
脳血管疾患、心血管疾患、認知症などの予防につながることを強調して説明してみてはいかがでしょうか。
■患者さんとの会話でロールプレイ
医師 今まで、血圧の薬を飲んだことはありますか?
(服薬歴の確認)
患者 ありません。
血圧の薬を飲み始めると、
一生やめることができないんでしょう?
医師 そんなことはありませんよ。
薬を飲み始めても、食事や運動などに気を付けて、
血圧が落ち着いたら薬の量を減らすことや、
お休みすることもできます。
患者 えっ、そうなんですか?
医師 それに、血圧の薬を飲むことは血圧を下げるためだけ
でなく、動脈硬化を予防するためでもあるんです。
患者 動脈硬化を予防するということは…?
医師 動脈硬化の予防は、脳卒中や心筋梗塞、
そして認知症の予防にもつながりますよ。
患者 なるほど…。
医師 ただし、薬ですから、副作用が起こることもあります。
血圧の薬はたくさんありますから、
自分に合った薬を見つけることが大切です。
患者 そうなんですよね。
副作用が心配で、なかなか気が進まなくて…。
医師 それでは、血圧の薬について、
どういう種類があるか説明させてもらいますね。
患者 はい。よろしくお願いします。
■医師へのお勧めの言葉
「血圧の薬を飲み始めても、食事や運動などに気を付ければ、
薬の量を減らせたり、お休みできたりする人もいます」
「血圧を正常範囲に保つことは、動脈硬化の予防になります。
脳卒中や心筋梗塞、さらには認知症の予防にもつながりますよ」
参考文献
1)Nelson M, et al. Am J Hypertens. 2001;14:98-105.
講師紹介
坂根 直樹 ( さかね なおき ) 氏
京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長
2018年12月18日
睡眠中1歳児の呼吸点検、保育施設1割が「未実施」
睡眠中1歳児の呼吸点検、保育施設1割が「未実施」
...重大事故未報告も〔読売新聞〕2018年11月05日 16:20
重大事故防止策として国が指針で定めている睡眠中の呼吸などの点検について、
1歳児に実施していない保育施設が1割に上ることが、
総務省行政評価局が
全国の保育施設と自治体を抽出して行った調査で分かった。
同省は近く、内閣府と厚生労働省に、
保育事故対策の周知徹底や、
保育施設を監査する際に適切な指導を行うことを自治体に要請するよう勧告する。
調査は2017年4月〜18年11月、
抽出した44自治体、保育施設約150か所、厚労省などを対象に行った。
その結果、
1歳児の呼吸などの点検をしていない施設が約10%、
0歳児に実施していない施設が5%程度あった。
事故防止対策を取っていない施設に対し、
自治体が監査時に必要な指摘や助言をしていない
事例も見られた。
内閣府などによると、
保育施設の死亡事故は0〜1歳児に集中し、
場面別では睡眠中が最も多い。
国は、
死亡や意識不明、
全治30日以上の重大事故が起きた場合、
全ての保育施設に自治体を通して国への報告を
義務付けている。
しかし、今回の調査では、
一部の自治体と保育施設で、
国への報告が義務付けられている重大事故を報告していなかった。
事故の状況を記録していない施設もあった。
...重大事故未報告も〔読売新聞〕2018年11月05日 16:20
重大事故防止策として国が指針で定めている睡眠中の呼吸などの点検について、
1歳児に実施していない保育施設が1割に上ることが、
総務省行政評価局が
全国の保育施設と自治体を抽出して行った調査で分かった。
同省は近く、内閣府と厚生労働省に、
保育事故対策の周知徹底や、
保育施設を監査する際に適切な指導を行うことを自治体に要請するよう勧告する。
調査は2017年4月〜18年11月、
抽出した44自治体、保育施設約150か所、厚労省などを対象に行った。
その結果、
1歳児の呼吸などの点検をしていない施設が約10%、
0歳児に実施していない施設が5%程度あった。
事故防止対策を取っていない施設に対し、
自治体が監査時に必要な指摘や助言をしていない
事例も見られた。
内閣府などによると、
保育施設の死亡事故は0〜1歳児に集中し、
場面別では睡眠中が最も多い。
国は、
死亡や意識不明、
全治30日以上の重大事故が起きた場合、
全ての保育施設に自治体を通して国への報告を
義務付けている。
しかし、今回の調査では、
一部の自治体と保育施設で、
国への報告が義務付けられている重大事故を報告していなかった。
事故の状況を記録していない施設もあった。
2018年12月17日
タバコ撲滅運動!
タバコ撲滅運動!
35歳までの禁煙で、健康リスクをほぼ帳消しに。
50歳までの禁煙で、半減できる!
たばこ規制で肺がん死亡率が驚きの低さに
米・カリフォルニア州の調査
2018年11月07日 06:00
米・カリフォルニア州では、
肺がん死亡率が同州を除く全ての州の平均より28%低い
ことが、
米・University of California,San DiegoのJohn P. Pierce氏ら
の研究から明らかになった。
同州は全米で最も早く包括的なたばこ規制を導入しており、
規制により特に若年者での喫煙率が著しく低下し、
肺がん死亡率の低下に寄与したことも分かったという。
詳細はCancer Prev Res(2018年10月10日オンライン版)に発表された。
35歳以下の喫煙開始率が39%低下、禁煙率は24%上昇
カリフォルニア州は、喫煙が肺がんに関連するとのエビデンスにいち早く対応し、
1988年に米国で初めて州レベルでの包括的たばこ規制プログラムを可決した。
Pierce氏によると、この規制の導入初期から同州ではたばこ依存の若年者が減少。
35歳以下における喫煙開始率が、
他州の同年代の若年者に比べ39%低下した他、
喫煙者の喫煙本数は30%減少し、禁煙率も24%上昇したという。
同氏らは今回、
1974〜2014年のNational Health Interview Surveyのデータを用いて
同州とそれ以外の州における喫煙行動の変化について調べ、
1970〜2013年のSurveillance Epidemiology and End Results (SEER)プログラムから肺がん死亡率のデータを収集した。
解析対象は米国民を代表するサンプル『96万2,174人』。
このうち約10%はカリフォルニア州の住民だった。
その結果、同州では他の全ての州と比べて
18〜35歳の若年層における喫煙開始率や喫煙量の減少幅
および禁煙率の上昇幅が大きかった。
2012〜14年の調査時点でカリフォルニア州では
同年齢層における喫煙歴がある人の割合がわずか18.6%で、
喫煙者の1日当たりの喫煙本数は平均6.3本だった。
また、喫煙者のうち35歳までに禁煙した人の割合は45.7%に達していた。
さらに1986〜2013年に同州では年間肺がん死亡率が
急速に低下し、
2013年の10万人当たりの肺がん死亡者数は、
同州を除いた全ての州の87.5人に対して
62.6人と『28%低』かった。
35歳までの禁煙で健康への害はほぼ帳消しに
同大学教授で Moores Cancer Centerセンター長のScott M. Lippman氏は
「カリフォルニア州で見られた年間肺がん死亡率低下のペースは、カリフォルニア州以外の全ての地域と比べて33%速かった」と説明。
「この肺がん死亡率の低下は、カリフォルニア州の喫煙対策が若年層を喫煙から遠ざけられたことに起因する」と述べている。
喫煙は米国における肺がんの最大90%に関連するとされ、
喫煙者の肺がんリスクは
非喫煙者の『15〜30倍』と推定されている。
Pierce氏は「年齢を問わず禁煙によるQOL向上は期待できるが、
35歳以下で禁煙すれば喫煙による健康リスクはほぼ帳消しにできる。
50歳以下で禁煙しても、喫煙に関連した疾患リスクは『半減』する」とし、喫煙者に禁煙を呼びかけている。
35歳までの禁煙で、健康リスクをほぼ帳消しに。
50歳までの禁煙で、半減できる!
たばこ規制で肺がん死亡率が驚きの低さに
米・カリフォルニア州の調査
2018年11月07日 06:00
米・カリフォルニア州では、
肺がん死亡率が同州を除く全ての州の平均より28%低い
ことが、
米・University of California,San DiegoのJohn P. Pierce氏ら
の研究から明らかになった。
同州は全米で最も早く包括的なたばこ規制を導入しており、
規制により特に若年者での喫煙率が著しく低下し、
肺がん死亡率の低下に寄与したことも分かったという。
詳細はCancer Prev Res(2018年10月10日オンライン版)に発表された。
35歳以下の喫煙開始率が39%低下、禁煙率は24%上昇
カリフォルニア州は、喫煙が肺がんに関連するとのエビデンスにいち早く対応し、
1988年に米国で初めて州レベルでの包括的たばこ規制プログラムを可決した。
Pierce氏によると、この規制の導入初期から同州ではたばこ依存の若年者が減少。
35歳以下における喫煙開始率が、
他州の同年代の若年者に比べ39%低下した他、
喫煙者の喫煙本数は30%減少し、禁煙率も24%上昇したという。
同氏らは今回、
1974〜2014年のNational Health Interview Surveyのデータを用いて
同州とそれ以外の州における喫煙行動の変化について調べ、
1970〜2013年のSurveillance Epidemiology and End Results (SEER)プログラムから肺がん死亡率のデータを収集した。
解析対象は米国民を代表するサンプル『96万2,174人』。
このうち約10%はカリフォルニア州の住民だった。
その結果、同州では他の全ての州と比べて
18〜35歳の若年層における喫煙開始率や喫煙量の減少幅
および禁煙率の上昇幅が大きかった。
2012〜14年の調査時点でカリフォルニア州では
同年齢層における喫煙歴がある人の割合がわずか18.6%で、
喫煙者の1日当たりの喫煙本数は平均6.3本だった。
また、喫煙者のうち35歳までに禁煙した人の割合は45.7%に達していた。
さらに1986〜2013年に同州では年間肺がん死亡率が
急速に低下し、
2013年の10万人当たりの肺がん死亡者数は、
同州を除いた全ての州の87.5人に対して
62.6人と『28%低』かった。
35歳までの禁煙で健康への害はほぼ帳消しに
同大学教授で Moores Cancer Centerセンター長のScott M. Lippman氏は
「カリフォルニア州で見られた年間肺がん死亡率低下のペースは、カリフォルニア州以外の全ての地域と比べて33%速かった」と説明。
「この肺がん死亡率の低下は、カリフォルニア州の喫煙対策が若年層を喫煙から遠ざけられたことに起因する」と述べている。
喫煙は米国における肺がんの最大90%に関連するとされ、
喫煙者の肺がんリスクは
非喫煙者の『15〜30倍』と推定されている。
Pierce氏は「年齢を問わず禁煙によるQOL向上は期待できるが、
35歳以下で禁煙すれば喫煙による健康リスクはほぼ帳消しにできる。
50歳以下で禁煙しても、喫煙に関連した疾患リスクは『半減』する」とし、喫煙者に禁煙を呼びかけている。