2018年12月23日
「朝食を摂ると余計に太るんじゃない?」という患者さん
「朝食を摂ると余計に太るんじゃない?」という患者さん
公開日:2017/11/21 企画・制作 ケアネット
Dr. 坂根がレクチャーする糖尿病外来でのNGワードシリーズ。「こんな言葉、患者さんにかけちゃいけません」
「こんなフォローで指導しましょう」
という事例を交え、コンパクトにお伝えします。
■外来NGワード
「そんなことはありません…」
(頭から否定の指導)
「食事は3食、規則的にすることが大切です」
(理想論を展開する指導)
「朝食を必ず摂るようにしなさい!」
(朝食欠食の理由を確認しない指導)
■解説
肥満を伴う糖尿病の患者さんから「今は朝食を摂っていないが、朝食を摂ったら余計に太るんじゃない?」と質問されることがあります。
朝食を抜いている人に対して、朝食を摂るようにしてもらうためには、どのように指導したらいいのでしょうか。
『朝食を摂らない』習慣があると、
『肥満していたり、体重が増加しやすい』
ことは横断研究やコホート研究ですでに示されています1)。
そして、習慣的に朝食を摂らない人には、
何らかの理由があります。
夕食の時間が遅い、
または夕食の量が多い、
朝食を摂る時間がない、
朝は空腹でない、
朝食を作ってくれる人がいない、などなど考えられます。
『時間栄養学』の観点では、
同じカロリーの食事であっても遅い時間帯に食事をすると脂肪や血糖に悪影響を及ぼすことがわかっています2)。
まずは、朝食を摂らない理由(夜の食事が遅い、ドカ食いなど)を確認します。
次に、そんな人でもできるダイエット法があることを説明します。
そして、夜の食事を早めに、あるいは少な目にし、おいしく朝食が摂られる対策を患者さんと一緒に立てることができるようになるといいですね。
■患者さんとの会話でロールプレイ
患者 今よりも朝食でカロリーを摂ったら、
余計に太るんじゃないですか?
医師 そう思われている人も多いですね。
患者 そうじゃないんですか?
医師 中には朝食を摂るようにしたら、
痩せてきた人もいますよ!
患者 えっ、その違いは何ですか?
医師 まずは、朝食を摂らない理由を教えてもらっても
いいですか?
患者 仕事で夜の食事が遅いので、
朝はあまりお腹が空いていないんですよね。
それに朝は、ゆっくりと食べる時間もなくて…。
医師 確かに、それだと朝は食べる気が起きませんよね
(共感)。
患者 そうなんです。
医師 最近、「時間栄養学」という考え方があって、
同じカロリーのものでも、食べる時間帯によって
脂肪や血糖に与える影響が違うそうです
(「時間栄養学」という専門用語をわざと用いて、
食べるタイミングが大切であることを説明)。
患者 やっぱり、夜遅い食事がよくないんですね。
何とかしないと…
痩せた人はどんな風にされたんですか?
医師 その人は仕事でどうしても夕食が遅くなるので、
空腹で家に帰るとドカ食いされていました。
患者 あっ、それ私です!
医師 ところが、夕方におにぎりを食べて、
家に帰ってからは少な目の夕食にされたんだそうです。
奥様に頼んで軽めの夕食を用意してもらっていたら、
朝にはきちんとお腹が空いて食べられるようになった
そうです(第三者の話として伝える)。
患者 なるほど。それぐらいなら、できそうです。
うちに帰って嫁と相談してみます。
■医師へのお勧めの言葉
「中には朝食を摂るようにしたら、痩せてきた人もいますよ!」
参考文献
1)Horikawa C, et al. Prev Med.2011;53:260-267.
2)Garaulet M, et al. Physiol Behav.2014;134:44-50.
公開日:2017/11/21 企画・制作 ケアネット
Dr. 坂根がレクチャーする糖尿病外来でのNGワードシリーズ。「こんな言葉、患者さんにかけちゃいけません」
「こんなフォローで指導しましょう」
という事例を交え、コンパクトにお伝えします。
■外来NGワード
「そんなことはありません…」
(頭から否定の指導)
「食事は3食、規則的にすることが大切です」
(理想論を展開する指導)
「朝食を必ず摂るようにしなさい!」
(朝食欠食の理由を確認しない指導)
■解説
肥満を伴う糖尿病の患者さんから「今は朝食を摂っていないが、朝食を摂ったら余計に太るんじゃない?」と質問されることがあります。
朝食を抜いている人に対して、朝食を摂るようにしてもらうためには、どのように指導したらいいのでしょうか。
『朝食を摂らない』習慣があると、
『肥満していたり、体重が増加しやすい』
ことは横断研究やコホート研究ですでに示されています1)。
そして、習慣的に朝食を摂らない人には、
何らかの理由があります。
夕食の時間が遅い、
または夕食の量が多い、
朝食を摂る時間がない、
朝は空腹でない、
朝食を作ってくれる人がいない、などなど考えられます。
同じカロリーの食事であっても遅い時間帯に食事をすると脂肪や血糖に悪影響を及ぼすことがわかっています2)。
まずは、朝食を摂らない理由(夜の食事が遅い、ドカ食いなど)を確認します。
次に、そんな人でもできるダイエット法があることを説明します。
そして、夜の食事を早めに、あるいは少な目にし、おいしく朝食が摂られる対策を患者さんと一緒に立てることができるようになるといいですね。
■患者さんとの会話でロールプレイ
患者 今よりも朝食でカロリーを摂ったら、
余計に太るんじゃないですか?
医師 そう思われている人も多いですね。
患者 そうじゃないんですか?
医師 中には朝食を摂るようにしたら、
痩せてきた人もいますよ!
患者 えっ、その違いは何ですか?
医師 まずは、朝食を摂らない理由を教えてもらっても
いいですか?
患者 仕事で夜の食事が遅いので、
朝はあまりお腹が空いていないんですよね。
それに朝は、ゆっくりと食べる時間もなくて…。
医師 確かに、それだと朝は食べる気が起きませんよね
(共感)。
患者 そうなんです。
医師 最近、「時間栄養学」という考え方があって、
同じカロリーのものでも、食べる時間帯によって
脂肪や血糖に与える影響が違うそうです
(「時間栄養学」という専門用語をわざと用いて、
食べるタイミングが大切であることを説明)。
患者 やっぱり、夜遅い食事がよくないんですね。
何とかしないと…
痩せた人はどんな風にされたんですか?
医師 その人は仕事でどうしても夕食が遅くなるので、
空腹で家に帰るとドカ食いされていました。
患者 あっ、それ私です!
医師 ところが、夕方におにぎりを食べて、
家に帰ってからは少な目の夕食にされたんだそうです。
奥様に頼んで軽めの夕食を用意してもらっていたら、
朝にはきちんとお腹が空いて食べられるようになった
そうです(第三者の話として伝える)。
患者 なるほど。それぐらいなら、できそうです。
うちに帰って嫁と相談してみます。
■医師へのお勧めの言葉
「中には朝食を摂るようにしたら、痩せてきた人もいますよ!」
参考文献
1)Horikawa C, et al. Prev Med.2011;53:260-267.
2)Garaulet M, et al. Physiol Behav.2014;134:44-50.
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