新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2019年01月14日
肺がんだけではなく、肺気腫(歌丸さんが亡くなった原因疾患)も必発
2019年01月13日
『カリウムは血圧を下げる天然薬』
Kをたくさん摂って、おしっこで塩を排泄しよう!
『カリウムは血圧を下げる天然薬』
カリウムには余分な塩分を尿と一緒に体の外へ出す作用があります。
食事からの塩分摂取を控えるとともに、
積極的にカリウムをとることで血圧を下げることができます。
カリウムは野菜や芋類、果物に多く含まれています。
カリウムとナトリウムは体の中で一定のバランスを保ち、カリウムを取り入れるとナトリウムを体外に出すため、
結果的に降圧作用がある。
カリウムを多く含む食品は
ほうれん草、小松菜、じゃがいも、バナナなど
1) 七訂日本食品標準成分表
2) 栄蓑の基本がわかる図解辞典/成美 堂出版
3)BMJ.2013 Apr 3;346:f1378.
『カリウムは血圧を下げる天然薬』
カリウムには余分な塩分を尿と一緒に体の外へ出す作用があります。
食事からの塩分摂取を控えるとともに、
積極的にカリウムをとることで血圧を下げることができます。
カリウムは野菜や芋類、果物に多く含まれています。
カリウムとナトリウムは体の中で一定のバランスを保ち、カリウムを取り入れるとナトリウムを体外に出すため、
結果的に降圧作用がある。
カリウムを多く含む食品は
ほうれん草、小松菜、じゃがいも、バナナなど
1) 七訂日本食品標準成分表
2) 栄蓑の基本がわかる図解辞典/成美 堂出版
3)BMJ.2013 Apr 3;346:f1378.
2019年01月12日
大人の咳嗽に対してハチミツ+コーヒーが有用
私もハチミツを患者さんに薦めています。喉の痛みにのど飴、マスクをして寝ることを薦めています
【第60回】大人の咳嗽に対してハチミツ+コーヒーが有用
第31回で「ハチミツが小児の咳嗽に有効」という論文を紹介しました。
親も快適に眠れるでしょうから、難治性の小児の咳嗽に対して、ハチミツは一考の余地がありそうです。
しかし、大人に対してはコーヒーと合わせて飲むほうが良いそうです。なにっ!?
Raeessi MA, et al.
Honey plus coffee versus systemic steroid in the treatment of persistent post-infectious cough: a randomised controlled trial.
Prim Care Respir J. 2013;22:325-330.
これはイランの大学病院で実施されたランダム化比較試験です。
3週間以上続く感染後咳嗽の成人患者97人(平均年齢40歳)が被験者です。
お湯200mLにハチミツ20.8gとインスタントコーヒー2.9gを溶かして8時間ごとに1週間飲み続けるハチミツコーヒー群(29人)と、
ハチミツ+コーヒーの代わりにプレドニゾロン13.3mgを入れるステロイド群(30人)と、
同じく鎮咳薬グアイフェネシン25gを入れるコントロール群(26人)を設定し、ランダムに割り付けました。
ハチミツはイランの山奥で採れたものを用いました。
スーパーで買ったんじゃないんでしょうか、高級ハチミツなんですかね?
アウトカムは介入前と介入1週間後の咳の頻度をスコアで比較しました。
97人中12人が脱落しているのが気になりますが、残りの85人で解析が行われました(ITT解析ではない)。
その結果、ハチミツコーヒー群とステロイド群では有意に咳嗽の頻度が減りました。
スコアの変化は圧倒的にハチミツコーヒー群で高かったようです。ハチミツコーヒー群は、ほぼ咳嗽スコアがゼロになっています。
ハチミツだけでなく、コーヒーにもある程度気管支拡張作用がありますから、これも咳嗽の軽減に寄与したのかもしれません。なるほど、ハチミツコーヒーか。今度、難治性咳嗽の患者さんにも勧めてみようか。
倉原 優 ( くらはら ゆう ) 氏
近畿中央呼吸器センター
【第60回】大人の咳嗽に対してハチミツ+コーヒーが有用
第31回で「ハチミツが小児の咳嗽に有効」という論文を紹介しました。
親も快適に眠れるでしょうから、難治性の小児の咳嗽に対して、ハチミツは一考の余地がありそうです。
しかし、大人に対してはコーヒーと合わせて飲むほうが良いそうです。なにっ!?
Raeessi MA, et al.
Honey plus coffee versus systemic steroid in the treatment of persistent post-infectious cough: a randomised controlled trial.
Prim Care Respir J. 2013;22:325-330.
これはイランの大学病院で実施されたランダム化比較試験です。
3週間以上続く感染後咳嗽の成人患者97人(平均年齢40歳)が被験者です。
お湯200mLにハチミツ20.8gとインスタントコーヒー2.9gを溶かして8時間ごとに1週間飲み続けるハチミツコーヒー群(29人)と、
ハチミツ+コーヒーの代わりにプレドニゾロン13.3mgを入れるステロイド群(30人)と、
同じく鎮咳薬グアイフェネシン25gを入れるコントロール群(26人)を設定し、ランダムに割り付けました。
ハチミツはイランの山奥で採れたものを用いました。
スーパーで買ったんじゃないんでしょうか、高級ハチミツなんですかね?
アウトカムは介入前と介入1週間後の咳の頻度をスコアで比較しました。
97人中12人が脱落しているのが気になりますが、残りの85人で解析が行われました(ITT解析ではない)。
その結果、ハチミツコーヒー群とステロイド群では有意に咳嗽の頻度が減りました。
スコアの変化は圧倒的にハチミツコーヒー群で高かったようです。ハチミツコーヒー群は、ほぼ咳嗽スコアがゼロになっています。
ハチミツだけでなく、コーヒーにもある程度気管支拡張作用がありますから、これも咳嗽の軽減に寄与したのかもしれません。なるほど、ハチミツコーヒーか。今度、難治性咳嗽の患者さんにも勧めてみようか。
倉原 優 ( くらはら ゆう ) 氏
近畿中央呼吸器センター
2019年01月11日
追加して水を飲むことは再発性尿路感染症を予防するか?
追加して水を飲むことは再発性尿路感染症を予防するか?
Does Drinking Additional Water Prevent Recurrent Urinary Tract Infections?
December 1, 2018
それはベースラインの水分摂取量による。
閉経前の女性における再発性尿路感染症(urinary tract infection:UTI)は相当な病的状態を引き起こし、
抗菌薬治療を繰り返すことによる抗菌薬耐性についての懸念を高める。
水分摂取の追加が再発性UTIのリスクを低下させるかどうかを検証するために、
ブルガリアの研究者らは、
過去1年間に膀胱炎のエピソードが3回以上あり、
1日に飲む水分が1.5 L未満であると回答した女性140人を、
1日に追加で1.5 Lの水を摂取する群(水分摂取群)
または
水分摂取を追加しない群(対照群)
にランダムに割り付けた。
追跡1年の時点で、膀胱炎のエピソードの回数の平均は、
水分摂取群では1.7回であったのに対し、
対照群では3.2回であり、
抗菌薬治療の回数の平均は、
水分補給群では1.9回であったのに対し、
対照群では3.6回であった
(いずれの比較でもP<0.001)。
コメント:この研究は、より多く水を飲むことは、それまでの摂取量が推奨量よりも少ない場合には、再発性UTIのリスクを相当に低下させるという単純な考えを厳密に証明している。
再発性UTIが罹患女性にとって厄介な問題であることを考慮すると、これらの所見は、水分摂取量を増やすようにという強い推奨に変えることができる。
しかし、より多くの水分を飲むことが、すでに十分な量を飲んでいる女性にも利益を与えうるかどうかは、依然として不明である。
− Anna Wald, MD, MPH
Published in NEJM Journal Watch General Medicine December 1, 2018
Hooton TM et al. Effect of increased daily water intake in premenopausal women with recurrent urinary tract infections: A randomized clinical trial. JAMA Intern Med 2018 Oct 1; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2018.4204)
Grady D. Drinking more water for prevention of recurrent cystitis. JAMA Intern Med 2018 Oct 1; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2018.4195)
Does Drinking Additional Water Prevent Recurrent Urinary Tract Infections?
December 1, 2018
それはベースラインの水分摂取量による。
閉経前の女性における再発性尿路感染症(urinary tract infection:UTI)は相当な病的状態を引き起こし、
抗菌薬治療を繰り返すことによる抗菌薬耐性についての懸念を高める。
水分摂取の追加が再発性UTIのリスクを低下させるかどうかを検証するために、
ブルガリアの研究者らは、
過去1年間に膀胱炎のエピソードが3回以上あり、
1日に飲む水分が1.5 L未満であると回答した女性140人を、
1日に追加で1.5 Lの水を摂取する群(水分摂取群)
または
水分摂取を追加しない群(対照群)
にランダムに割り付けた。
追跡1年の時点で、膀胱炎のエピソードの回数の平均は、
水分摂取群では1.7回であったのに対し、
対照群では3.2回であり、
抗菌薬治療の回数の平均は、
水分補給群では1.9回であったのに対し、
対照群では3.6回であった
(いずれの比較でもP<0.001)。
コメント:この研究は、より多く水を飲むことは、それまでの摂取量が推奨量よりも少ない場合には、再発性UTIのリスクを相当に低下させるという単純な考えを厳密に証明している。
再発性UTIが罹患女性にとって厄介な問題であることを考慮すると、これらの所見は、水分摂取量を増やすようにという強い推奨に変えることができる。
しかし、より多くの水分を飲むことが、すでに十分な量を飲んでいる女性にも利益を与えうるかどうかは、依然として不明である。
− Anna Wald, MD, MPH
Published in NEJM Journal Watch General Medicine December 1, 2018
Hooton TM et al. Effect of increased daily water intake in premenopausal women with recurrent urinary tract infections: A randomized clinical trial. JAMA Intern Med 2018 Oct 1; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2018.4204)
Grady D. Drinking more water for prevention of recurrent cystitis. JAMA Intern Med 2018 Oct 1; [e-pub]. (https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2018.4195)
2019年01月10日
コメの成分に歯周病予防効果 創薬への応用にも期待
コメの成分に歯周病予防効果 創薬への応用にも期待
2018年12月06日 17:59
米どころ、新潟から、大発見!
米(コメ)から抽出した成分で歯周病による歯槽骨の吸収が抑制できる。
新潟大学大学院歯学系微生物感染症学分野(教授・寺尾豊氏)の田村光氏らが歯周病モデルマウスを用いたた研究結果をArch of Oral Biol(2018; 98: 132-139)に発表した。
米由来ペプチドが歯槽骨吸収を抑制
歯周病では、炎症範囲が歯肉に限定している歯肉炎から歯周囲の歯槽骨に広がる歯周炎に進展すると、歯槽骨の吸収が生じる。
歯槽骨の吸収は歯の喪失につながる可能性があるが、現在の治療技術では歯槽骨の吸収を回復させることは困難であるため、歯周病の予防は重要である。
一方、食物由来のペプチドには歯周病菌に対する抗菌作用があると報告されている。
また、米成分には炎症を緩和する作用があることが示唆されている。
しかし、食物由来ペプチドの歯周病における炎症や歯槽骨吸収に対する効果は示されていない。
今回、田村氏らは米由来のペプチドが歯周炎による歯槽骨吸収に及ぼす影響を検討し、新規抗炎症薬としての可能性を探ることを目的に研究を行った。
同氏らは、米から抽出した15種類のペプチド溶液を結紮によって作製した歯周病モデルマウスのマクロファージ由来細胞に対して作用させ、歯周炎への効果および骨吸収関連分子の発現を調べた。
さらに、米由来ペプチドの歯周病モデルマウスにおける歯槽骨吸収に対する効果も検討した。
その結果、15種類の米由来ペプチドのうちREP9とREP11が炎症および骨吸収関連分子の転写を著明に抑制した。
さらに、これらの米由来ペプチドは歯周病モデルマウスの歯槽骨の破骨細胞数を減少させ、歯槽骨吸収を抑制した(図)。
図. 歯周病マウスの歯槽骨の吸収に対する米ペプチドの効果
(プレスリリース資料)
以上から、同氏らは「米由来ペプチドは歯周病予防効果を有する可能性が示唆された」と述べている。
また、現在の歯科治療では歯周病菌抑制のため抗菌薬を使用することがあるが、抗菌薬の乱用は耐性菌発生の危険性がある。
今回、米由来ペプチドで歯周病予防の可能性が示されたことから、抗菌薬の使用抑制につながる新たな歯周病治療法と予防法の開発が期待される。
さらに同氏らは「新潟県に拠点を有する米関連企業との産学連携研究への発展も視野に入れている」と展望している。
(大江 円)
2018年12月06日 17:59
米どころ、新潟から、大発見!
米(コメ)から抽出した成分で歯周病による歯槽骨の吸収が抑制できる。
新潟大学大学院歯学系微生物感染症学分野(教授・寺尾豊氏)の田村光氏らが歯周病モデルマウスを用いたた研究結果をArch of Oral Biol(2018; 98: 132-139)に発表した。
米由来ペプチドが歯槽骨吸収を抑制
歯周病では、炎症範囲が歯肉に限定している歯肉炎から歯周囲の歯槽骨に広がる歯周炎に進展すると、歯槽骨の吸収が生じる。
歯槽骨の吸収は歯の喪失につながる可能性があるが、現在の治療技術では歯槽骨の吸収を回復させることは困難であるため、歯周病の予防は重要である。
一方、食物由来のペプチドには歯周病菌に対する抗菌作用があると報告されている。
また、米成分には炎症を緩和する作用があることが示唆されている。
しかし、食物由来ペプチドの歯周病における炎症や歯槽骨吸収に対する効果は示されていない。
今回、田村氏らは米由来のペプチドが歯周炎による歯槽骨吸収に及ぼす影響を検討し、新規抗炎症薬としての可能性を探ることを目的に研究を行った。
同氏らは、米から抽出した15種類のペプチド溶液を結紮によって作製した歯周病モデルマウスのマクロファージ由来細胞に対して作用させ、歯周炎への効果および骨吸収関連分子の発現を調べた。
さらに、米由来ペプチドの歯周病モデルマウスにおける歯槽骨吸収に対する効果も検討した。
その結果、15種類の米由来ペプチドのうちREP9とREP11が炎症および骨吸収関連分子の転写を著明に抑制した。
さらに、これらの米由来ペプチドは歯周病モデルマウスの歯槽骨の破骨細胞数を減少させ、歯槽骨吸収を抑制した(図)。
図. 歯周病マウスの歯槽骨の吸収に対する米ペプチドの効果
(プレスリリース資料)
以上から、同氏らは「米由来ペプチドは歯周病予防効果を有する可能性が示唆された」と述べている。
また、現在の歯科治療では歯周病菌抑制のため抗菌薬を使用することがあるが、抗菌薬の乱用は耐性菌発生の危険性がある。
今回、米由来ペプチドで歯周病予防の可能性が示されたことから、抗菌薬の使用抑制につながる新たな歯周病治療法と予防法の開発が期待される。
さらに同氏らは「新潟県に拠点を有する米関連企業との産学連携研究への発展も視野に入れている」と展望している。
(大江 円)
2019年01月07日
『心身症』の代表的疾患、過敏性腸症候群(イリタブル・ボーエル・シンドローム;IBS)
『心身症』の代表的疾患、過敏性腸症候群(イリタブル・ボーエル・シンドローム;IBS)
心と体がいかに密接に繋がっているか、
心身症も、こころを治療すれば、気持ちの持ち方を気楽な方に誘導してあげるだけで、治るという実証がこの論文です。
催眠療法が過敏性腸症候群(IBS)の症状軽減に有効
オランダ・多施設RCT 2018年12月27日 06:00
腹痛、腹部膨満、下痢・便秘などの症状でQOLを著しく低下させる『過敏性腸症候群(IBS)』。
世界各国の有病率は数%〜20%程度と高く、
IBSに対する薬物療法や食事療法が無効な患者も少なくない。
そのため、催眠療法の効果が検討されているが、その多くは限られた高度専門施設で行われているのが実状だ。
そこで、オランダ・University Medical Centre UtrechtのCarla E. Flik氏らは、一次または二次治療を受けている成人のIBS患者354例を対象に、
催眠療法の有効性を検証する多施設ランダム化比較試験(RCT)を実施した。
その結果、催眠療法は教育および対症療法に比べて症状軽減に有効であったと、Lancet Gastroenterol Hepatol(2019; 4: 20-31)で報告した。(関連記事「慢性痛治療における催眠活用の可能性を検討」)。
催眠療法士の助言や自己催眠訓練で改善図る
Flik氏らは、プライマリケア医または二次医療機関から心理療法目的で紹介された18〜65歳のIBS患者を対象に、オランダの11病院の参加によるRCT、Efficacy of individual and group hypnotherapy in irritable bowel syndrome(IMAGINE)を実施。
2011年5月〜16年4月に登録した354例を、
個別催眠療法群150例、グループ催眠療法群150例、教育的対症療法群54例(対照群)に
ランダムに割り付けた。
催眠療法は45分のセッションを週2回、6週間行った。
催眠療法士は患者自身の力で痛みや不快感の軽減のために消化器系をコントロールする手法について助言した。
また、毎日15〜20分間、自己催眠訓練を行うためのCDを配付した。
主要評価項目はIBS症状の十分な軽減とし、3および12カ月後の有効率(4週連続で患者が十分な軽減と評価した率)を調査した。
intention-to-treat(ITT)解析で催眠療法の2群を対照群と比較し、催眠療法群は個別療法に対するグループ療法の非劣性(非劣性マージン15%)をper protocol解析で評価した。
効果は個別療法とグループ療法で同等
ITT集団は、個別催眠療法群142例、グループ催眠療法群146例、対照群54例で、各群で15〜20%が脱落した。
3カ月後の有効率は、
個別療法群で40.8%(95%CI 31.7 〜50.5%)、
グループ療法群で33.2%(同24.3〜43.5%)と、
催眠療法の2群は対照群(16.7%、同7.6〜32.6%)よりも高かった。
これらの効果は12カ月後も持続していた。
催眠療法群では、対照群よりもIBSの症状軽減に効果が見られ、オッズ比は、3カ月後で2.9(95%CI 1.2〜7.4、P=0.0240)、12カ月後で2.8(同1.2〜6.7、P=0.0185)だった。
per protocol解析では、個別療法群とグループ療法群の有効率は、
3カ月後がそれぞれ49.9%(95%CI 39.2 〜60.6)と42.7%(同32.3〜53.8)、
12カ月後が55.5%(同43.4 〜67.1)と51.7%(同40.2〜63.0)で、
個別療法に対するグループ療法の非劣性が示された。
催眠療法群で予期せぬ重篤な有害事象が8件報告されたが、大部分はがんや炎症性腸疾患によるもので、治療関連ではないと判定された。
セッション数や適応患者は要検討
Flik氏らは、脱落率の高さや、催眠療法のセッション数が通常の半数と少なかったため過小評価につながった可能性がある点などを研究の限界としつつも、
「催眠療法はIBSの一次または二次治療の選択肢として考慮されるべきである。
さらにグループ療法を行うことで、同じコストでより多くの患者が治療を受けられるのではないか」と指摘。また、「催眠療法の最適なセッション数、患者の心理学的症状の程度が効果に及ぼす影響などについては引き続き検討する必要がある」と述べている。
米・University of North CarolinaのOlafur Palsson氏は「今回、IBSの三次治療における催眠療法の有効性を検討した他の多くの試験と比べて示された効果が小さかったのは、IBSの一次および二次治療では心理的要因の関与がより少ないためと考えられる。腸管をターゲットとした催眠療法がIBS患者の一次および二次治療で適しているか結論を得るためには、さらなる試験が求められる」とコメントしている。
(坂田真子)
心と体がいかに密接に繋がっているか、
心身症も、こころを治療すれば、気持ちの持ち方を気楽な方に誘導してあげるだけで、治るという実証がこの論文です。
催眠療法が過敏性腸症候群(IBS)の症状軽減に有効
オランダ・多施設RCT 2018年12月27日 06:00
腹痛、腹部膨満、下痢・便秘などの症状でQOLを著しく低下させる『過敏性腸症候群(IBS)』。
世界各国の有病率は数%〜20%程度と高く、
IBSに対する薬物療法や食事療法が無効な患者も少なくない。
そのため、催眠療法の効果が検討されているが、その多くは限られた高度専門施設で行われているのが実状だ。
そこで、オランダ・University Medical Centre UtrechtのCarla E. Flik氏らは、一次または二次治療を受けている成人のIBS患者354例を対象に、
催眠療法の有効性を検証する多施設ランダム化比較試験(RCT)を実施した。
その結果、催眠療法は教育および対症療法に比べて症状軽減に有効であったと、Lancet Gastroenterol Hepatol(2019; 4: 20-31)で報告した。(関連記事「慢性痛治療における催眠活用の可能性を検討」)。
催眠療法士の助言や自己催眠訓練で改善図る
Flik氏らは、プライマリケア医または二次医療機関から心理療法目的で紹介された18〜65歳のIBS患者を対象に、オランダの11病院の参加によるRCT、Efficacy of individual and group hypnotherapy in irritable bowel syndrome(IMAGINE)を実施。
2011年5月〜16年4月に登録した354例を、
個別催眠療法群150例、グループ催眠療法群150例、教育的対症療法群54例(対照群)に
ランダムに割り付けた。
催眠療法は45分のセッションを週2回、6週間行った。
催眠療法士は患者自身の力で痛みや不快感の軽減のために消化器系をコントロールする手法について助言した。
また、毎日15〜20分間、自己催眠訓練を行うためのCDを配付した。
主要評価項目はIBS症状の十分な軽減とし、3および12カ月後の有効率(4週連続で患者が十分な軽減と評価した率)を調査した。
intention-to-treat(ITT)解析で催眠療法の2群を対照群と比較し、催眠療法群は個別療法に対するグループ療法の非劣性(非劣性マージン15%)をper protocol解析で評価した。
効果は個別療法とグループ療法で同等
ITT集団は、個別催眠療法群142例、グループ催眠療法群146例、対照群54例で、各群で15〜20%が脱落した。
3カ月後の有効率は、
個別療法群で40.8%(95%CI 31.7 〜50.5%)、
グループ療法群で33.2%(同24.3〜43.5%)と、
催眠療法の2群は対照群(16.7%、同7.6〜32.6%)よりも高かった。
これらの効果は12カ月後も持続していた。
催眠療法群では、対照群よりもIBSの症状軽減に効果が見られ、オッズ比は、3カ月後で2.9(95%CI 1.2〜7.4、P=0.0240)、12カ月後で2.8(同1.2〜6.7、P=0.0185)だった。
per protocol解析では、個別療法群とグループ療法群の有効率は、
3カ月後がそれぞれ49.9%(95%CI 39.2 〜60.6)と42.7%(同32.3〜53.8)、
12カ月後が55.5%(同43.4 〜67.1)と51.7%(同40.2〜63.0)で、
個別療法に対するグループ療法の非劣性が示された。
催眠療法群で予期せぬ重篤な有害事象が8件報告されたが、大部分はがんや炎症性腸疾患によるもので、治療関連ではないと判定された。
セッション数や適応患者は要検討
Flik氏らは、脱落率の高さや、催眠療法のセッション数が通常の半数と少なかったため過小評価につながった可能性がある点などを研究の限界としつつも、
「催眠療法はIBSの一次または二次治療の選択肢として考慮されるべきである。
さらにグループ療法を行うことで、同じコストでより多くの患者が治療を受けられるのではないか」と指摘。また、「催眠療法の最適なセッション数、患者の心理学的症状の程度が効果に及ぼす影響などについては引き続き検討する必要がある」と述べている。
米・University of North CarolinaのOlafur Palsson氏は「今回、IBSの三次治療における催眠療法の有効性を検討した他の多くの試験と比べて示された効果が小さかったのは、IBSの一次および二次治療では心理的要因の関与がより少ないためと考えられる。腸管をターゲットとした催眠療法がIBS患者の一次および二次治療で適しているか結論を得るためには、さらなる試験が求められる」とコメントしている。
(坂田真子)
炎症があると組織が壊れるので、細胞回転を上げて、修復する回数が増える
炎症があると組織が壊れるので、細胞回転を上げて、修復する回数が増える。
増えると、出来損ないの細胞(がん細胞)ができてしまう確率が増える、
炎症が増える病気の代表として、また成人がなりやすい病気の代表として、糖尿病があります。
統計学的にも糖尿病の患者さんに、がんの発生率が高いこともわかっています。
ここでは、糖尿病の患者さんに多く発生するがんの種類と、
炎症などで消耗、消化管出血で進行する貧血、その貧血に対して一番感受性が高い、赤血球1個あたりの鉄の含有量、重たさ(ヘモグロビン、血色素、Hbを赤血球数で割ったもの);MCVに注意を払うことによって、がんの早期発見につながると言う、医学的な論文を載せます。
がんを念頭に置いた糖尿病診療
2018年12月04日 06:15
がんと糖尿病の関連が注目されている。
日本糖尿病学会と日本癌学会は「糖尿病と癌に関する委員会」を組織し、両者の関係について研究を進めている。
その成果などから、一般人口に比べ糖尿病患者ではがんリスクが高いことが明らかになった。
糖尿病の診療に当たる臨床医には糖尿病患者を「がん予備軍」と捉えて、診療の中でがんを早期発見し、がんのリスクを減らす生活指導や治療を心がけることが求められる。
国立がん研究センター中央病院総合内科科長・大橋健氏に、そのポイントを聞いた。
肝・膵・大腸がんのリスクが上昇
大橋氏は糖尿病の診療でがんを念頭に置くことの必要性について「糖尿病の合併症というと、網膜症、腎症、神経障害を思い浮かべがちだ。
しかし、血糖管理の進歩もあって、これら細小血管合併症はかなり予防できるようになっている。
『糖尿病患者が生涯に合併する疾患としてはがんの方がはるかに多い」と説明する。』
「糖尿病と癌に関する委員会」では国内8件のコホート研究をプール解析し、
一般人口と比べた糖尿病患者のがん罹患リスクを算出している(糖尿病 2016; 59: 174-177)。
平均追跡期間10年、解析対象は男性15万5,345人、女性18万792人という膨大なもので、「現時点で最も信頼できる日本人のデータ」(同氏)である。
それによると、糖尿病がある人ではない人に比べ、全がんで男女ともハザード比1.19とがん罹患リスクが有意に上昇することが分かった。部位別には肝がん(ハザード比1.97)、膵がん(同1.85)、大腸がん(同1.40)で有意なリスク上昇であった(図1)。
同氏は「これは欧米の研究で示された結果と同様で、人種を問わず存在する普遍的な現象と考えられる」と指摘する一方、糖尿病でがんが発生しやすくなる機序はがん種ごとに異なり、性差もあるようだと述べる。
例えば、大腸がんについては、男性ではインスリン抵抗性に伴う高インスリン血症が強く関連することが示されているが、女性では関連性は認められない。
肝がんについては、インスリン抵抗性を基盤とした非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の関与が示唆される他、
腸内細菌叢の変化により胆汁酸の代謝が変化することも影響している可能性がある。
Hbが低下したらがんを疑う
大橋氏は糖尿病患者の中で特にがんに注意すべき集団として、肥満者を挙げる。
肥満によっても各種がんリスクが上昇することが知られているからだ。
最近、世界のがんの5.6%は糖尿病と肥満が原因だとする研究も発表された(Lancet Diabetes En-do-crinol 2018; 6: 95-104)。
「患者に"肥満の解消は、糖尿病だけでなく将来のがんリスクの低減にもつながる"という認識を持って、生活習慣の改善に取り組んでもらうとよい」と同氏は述べる。
どのような食事・運動がよいかという問題もあるが、肥満の外科手術を行うとがんリスクが低下することが示されていることから(N Engl J Med 2007; 357: 753-751)、肥満者はとにかく「体重を減らす」ことが重要だという。
糖尿病の経過中にがんを疑うのはどのようなケースか。
同氏はまず一般的ながんのサインとして、意図しない体重減少と貧血に注意を向けるべきだと指摘する。
後者については、「貧血の診断域〔ヘモグロビン(Hb)12g/dL未満〕に入らない正常範囲でも、Hbが経時的に低下するようだと要注意だ」とする。
胃がんや大腸がんで慢性的な出血があると鉄欠乏性貧血を呈するためで、鉄欠乏性貧血の診断の手がかりとなる平均赤血球容積(MCV)の低下も見逃さないことが望ましい(図2)。
HbA1cの結果を確認する際は、併せてHbやMCVの値も確認することを習慣にするとよいという。
膵がん由来の二次性糖尿病に注意
がん種として特に注意すべきは膵がんだ。
「糖尿病の経過中に思い当たる原因がないのに血糖管理が悪化したら、まず膵がんを疑うべき」と大橋氏。
さらに、糖尿病初診時に既に膵がんを発症しているケース、すなわち膵がんが原因の二次性糖尿病も要注意だと強調する。
「膵がんの進行は速く、糖尿病の初診時が膵がんを早期発見する最初で最後のチャンスかもしれない」(同氏)。
ただし、膵がん由来の二次性糖尿病は、糖尿病全体の1%程度。
全ての患者に注意を向けるのは現実的でない。
そこで、同氏は韓国の研究グループが提唱しているスクリーニング法を紹介する(J Clin Gastro-enterol 2012; 46: e58-e61)。
これは、糖尿病の家族歴がないことに加え、
@65歳以上
A糖尿病発症前後に2kg以上の体重減少
B発症前BMI 25未満
−のうち1つ以上に該当することを要件とすれば、感度約80%、特異度約70%の精度で膵がんを発見できるというもの。
同氏はさらに自身の経験から、膵がんの家族歴がある場合、境界型の時期を経ないで短期間に本格的な糖尿病を発症したような場合も、膵がん由来二次性糖尿病の可能性が高まるとする。
化学療法による高血糖今までの血糖管理でよいか
臨床医にとっては、糖尿病治療薬ががんリスクに及ぼす影響は気になるところだ。過去にはインスリン、ピオグリタゾン(膀胱がん)、インクレチン関連薬(膵がん)でがんリスク上昇の可能性が報告され、SGLT2阻害薬については膀胱がんリスクを上昇させ、一部は消化管がんリスクを低下させる可能性が指摘されているが、
大橋氏は「いずれも臨床に反映すべき確たるエビデンスとはいえない。『現時点では、糖尿病治療薬の選択においてがんへの影響を考慮すべきでない」と述べる。』
ただし、メトホルミンのがん抑制効果については、がん専門医の間でも期待されており、乳がんなどで行われている複数のランダム化比較試験の結果を待ちたいとしている。
同じがん患者でも糖尿病を合併すると予後が悪いことが知られており、がんに罹患した糖尿病患者の血糖管理をどうするかは重要な問題だ。
外科手術時の血糖管理については豊富なエビデンスがあり、糖尿病の場合、管理目標140〜180mg/dLが現在のコンセンサスだ。
一方、化学療法時の血糖管理については明確な指針がない。
多くの化学療法のレジメンで抗がん薬による嘔気対策にステロイドが採用されているが、ステロイドには血糖を急激に上げる作用があり、患者は数日間300〜400mg/dLの高血糖に曝露される。
「化学療法中の血糖管理は、高血糖昏睡や高血糖症状を来さない程度で十分」というのが大方のがん治療医の認識だと同氏は述べる。
同氏はこのような考え方に理解を示しつつも、in vitroの研究に基づく仮説だが、高血糖下では抗がん薬の効果が減弱する可能性(hyper-glycemia-induced chemo-resistance)が提唱されていると指摘(Endocr Relat Cancer 2010; 17: 539-551)。
今後、化学療法時の血糖管理の在り方を見直す必要があるかもしれない。
眼科検診とともにがん検診を勧める
大橋氏はがん専門施設に勤務する糖尿病専門医。しかし、同氏のような存在は珍しく、地域のがん拠点病院でも、糖尿病の管理ができる内科医が不在のケースが少なくないという。
このようなケースで糖尿病患者ががんに罹患した場合、糖尿病を診ていたかかりつけ医が引き続き血糖管理を受け持つという選択肢もある。
その場合、がん治療医と緊密に連携しながら、がん治療の状況に応じて投薬を調整する必要がある。
患者が食事できない状況で高強度の血糖管理を行うと低血糖のリスクが高まる。
逆に、がん治療中だからと血糖管理を放棄するのも好ましくない。
がん治療が終了すると、糖尿病患者は再びかかりつけ医の下で糖尿病の診療を受ける。
この場面ではどのような配慮が必要か。
同氏は、糖尿病管理の一環として、がんの再発や別のがんの予防・早期発見のための患者指導を行うべきだと提言する。
「糖尿病のための生活習慣改善は、そのままがんの予防になることを患者に訴えてほしい。
また、網膜症の評価のため眼科への定期受診を勧めるのと同じ感覚で、がん検診も勧めてほしい」と呼びかけている。
(平田直樹)
増えると、出来損ないの細胞(がん細胞)ができてしまう確率が増える、
炎症が増える病気の代表として、また成人がなりやすい病気の代表として、糖尿病があります。
統計学的にも糖尿病の患者さんに、がんの発生率が高いこともわかっています。
ここでは、糖尿病の患者さんに多く発生するがんの種類と、
炎症などで消耗、消化管出血で進行する貧血、その貧血に対して一番感受性が高い、赤血球1個あたりの鉄の含有量、重たさ(ヘモグロビン、血色素、Hbを赤血球数で割ったもの);MCVに注意を払うことによって、がんの早期発見につながると言う、医学的な論文を載せます。
がんを念頭に置いた糖尿病診療
2018年12月04日 06:15
がんと糖尿病の関連が注目されている。
日本糖尿病学会と日本癌学会は「糖尿病と癌に関する委員会」を組織し、両者の関係について研究を進めている。
その成果などから、一般人口に比べ糖尿病患者ではがんリスクが高いことが明らかになった。
糖尿病の診療に当たる臨床医には糖尿病患者を「がん予備軍」と捉えて、診療の中でがんを早期発見し、がんのリスクを減らす生活指導や治療を心がけることが求められる。
国立がん研究センター中央病院総合内科科長・大橋健氏に、そのポイントを聞いた。
肝・膵・大腸がんのリスクが上昇
大橋氏は糖尿病の診療でがんを念頭に置くことの必要性について「糖尿病の合併症というと、網膜症、腎症、神経障害を思い浮かべがちだ。
しかし、血糖管理の進歩もあって、これら細小血管合併症はかなり予防できるようになっている。
『糖尿病患者が生涯に合併する疾患としてはがんの方がはるかに多い」と説明する。』
「糖尿病と癌に関する委員会」では国内8件のコホート研究をプール解析し、
一般人口と比べた糖尿病患者のがん罹患リスクを算出している(糖尿病 2016; 59: 174-177)。
平均追跡期間10年、解析対象は男性15万5,345人、女性18万792人という膨大なもので、「現時点で最も信頼できる日本人のデータ」(同氏)である。
それによると、糖尿病がある人ではない人に比べ、全がんで男女ともハザード比1.19とがん罹患リスクが有意に上昇することが分かった。部位別には肝がん(ハザード比1.97)、膵がん(同1.85)、大腸がん(同1.40)で有意なリスク上昇であった(図1)。
同氏は「これは欧米の研究で示された結果と同様で、人種を問わず存在する普遍的な現象と考えられる」と指摘する一方、糖尿病でがんが発生しやすくなる機序はがん種ごとに異なり、性差もあるようだと述べる。
例えば、大腸がんについては、男性ではインスリン抵抗性に伴う高インスリン血症が強く関連することが示されているが、女性では関連性は認められない。
肝がんについては、インスリン抵抗性を基盤とした非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の関与が示唆される他、
腸内細菌叢の変化により胆汁酸の代謝が変化することも影響している可能性がある。
Hbが低下したらがんを疑う
大橋氏は糖尿病患者の中で特にがんに注意すべき集団として、肥満者を挙げる。
肥満によっても各種がんリスクが上昇することが知られているからだ。
最近、世界のがんの5.6%は糖尿病と肥満が原因だとする研究も発表された(Lancet Diabetes En-do-crinol 2018; 6: 95-104)。
「患者に"肥満の解消は、糖尿病だけでなく将来のがんリスクの低減にもつながる"という認識を持って、生活習慣の改善に取り組んでもらうとよい」と同氏は述べる。
どのような食事・運動がよいかという問題もあるが、肥満の外科手術を行うとがんリスクが低下することが示されていることから(N Engl J Med 2007; 357: 753-751)、肥満者はとにかく「体重を減らす」ことが重要だという。
糖尿病の経過中にがんを疑うのはどのようなケースか。
同氏はまず一般的ながんのサインとして、意図しない体重減少と貧血に注意を向けるべきだと指摘する。
後者については、「貧血の診断域〔ヘモグロビン(Hb)12g/dL未満〕に入らない正常範囲でも、Hbが経時的に低下するようだと要注意だ」とする。
胃がんや大腸がんで慢性的な出血があると鉄欠乏性貧血を呈するためで、鉄欠乏性貧血の診断の手がかりとなる平均赤血球容積(MCV)の低下も見逃さないことが望ましい(図2)。
HbA1cの結果を確認する際は、併せてHbやMCVの値も確認することを習慣にするとよいという。
膵がん由来の二次性糖尿病に注意
がん種として特に注意すべきは膵がんだ。
「糖尿病の経過中に思い当たる原因がないのに血糖管理が悪化したら、まず膵がんを疑うべき」と大橋氏。
さらに、糖尿病初診時に既に膵がんを発症しているケース、すなわち膵がんが原因の二次性糖尿病も要注意だと強調する。
「膵がんの進行は速く、糖尿病の初診時が膵がんを早期発見する最初で最後のチャンスかもしれない」(同氏)。
ただし、膵がん由来の二次性糖尿病は、糖尿病全体の1%程度。
全ての患者に注意を向けるのは現実的でない。
そこで、同氏は韓国の研究グループが提唱しているスクリーニング法を紹介する(J Clin Gastro-enterol 2012; 46: e58-e61)。
これは、糖尿病の家族歴がないことに加え、
@65歳以上
A糖尿病発症前後に2kg以上の体重減少
B発症前BMI 25未満
−のうち1つ以上に該当することを要件とすれば、感度約80%、特異度約70%の精度で膵がんを発見できるというもの。
同氏はさらに自身の経験から、膵がんの家族歴がある場合、境界型の時期を経ないで短期間に本格的な糖尿病を発症したような場合も、膵がん由来二次性糖尿病の可能性が高まるとする。
化学療法による高血糖今までの血糖管理でよいか
臨床医にとっては、糖尿病治療薬ががんリスクに及ぼす影響は気になるところだ。過去にはインスリン、ピオグリタゾン(膀胱がん)、インクレチン関連薬(膵がん)でがんリスク上昇の可能性が報告され、SGLT2阻害薬については膀胱がんリスクを上昇させ、一部は消化管がんリスクを低下させる可能性が指摘されているが、
大橋氏は「いずれも臨床に反映すべき確たるエビデンスとはいえない。『現時点では、糖尿病治療薬の選択においてがんへの影響を考慮すべきでない」と述べる。』
ただし、メトホルミンのがん抑制効果については、がん専門医の間でも期待されており、乳がんなどで行われている複数のランダム化比較試験の結果を待ちたいとしている。
同じがん患者でも糖尿病を合併すると予後が悪いことが知られており、がんに罹患した糖尿病患者の血糖管理をどうするかは重要な問題だ。
外科手術時の血糖管理については豊富なエビデンスがあり、糖尿病の場合、管理目標140〜180mg/dLが現在のコンセンサスだ。
一方、化学療法時の血糖管理については明確な指針がない。
多くの化学療法のレジメンで抗がん薬による嘔気対策にステロイドが採用されているが、ステロイドには血糖を急激に上げる作用があり、患者は数日間300〜400mg/dLの高血糖に曝露される。
「化学療法中の血糖管理は、高血糖昏睡や高血糖症状を来さない程度で十分」というのが大方のがん治療医の認識だと同氏は述べる。
同氏はこのような考え方に理解を示しつつも、in vitroの研究に基づく仮説だが、高血糖下では抗がん薬の効果が減弱する可能性(hyper-glycemia-induced chemo-resistance)が提唱されていると指摘(Endocr Relat Cancer 2010; 17: 539-551)。
今後、化学療法時の血糖管理の在り方を見直す必要があるかもしれない。
眼科検診とともにがん検診を勧める
大橋氏はがん専門施設に勤務する糖尿病専門医。しかし、同氏のような存在は珍しく、地域のがん拠点病院でも、糖尿病の管理ができる内科医が不在のケースが少なくないという。
このようなケースで糖尿病患者ががんに罹患した場合、糖尿病を診ていたかかりつけ医が引き続き血糖管理を受け持つという選択肢もある。
その場合、がん治療医と緊密に連携しながら、がん治療の状況に応じて投薬を調整する必要がある。
患者が食事できない状況で高強度の血糖管理を行うと低血糖のリスクが高まる。
逆に、がん治療中だからと血糖管理を放棄するのも好ましくない。
がん治療が終了すると、糖尿病患者は再びかかりつけ医の下で糖尿病の診療を受ける。
この場面ではどのような配慮が必要か。
同氏は、糖尿病管理の一環として、がんの再発や別のがんの予防・早期発見のための患者指導を行うべきだと提言する。
「糖尿病のための生活習慣改善は、そのままがんの予防になることを患者に訴えてほしい。
また、網膜症の評価のため眼科への定期受診を勧めるのと同じ感覚で、がん検診も勧めてほしい」と呼びかけている。
(平田直樹)
2019年01月06日
『ω-3多価不飽和脂肪酸の血中濃度は健康な加齢と関連する』
『ω-3多価不飽和脂肪酸の血中濃度は健康な加齢と関連する』
Blood Levels of Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acids Are Associated with Healthy Aging
January 15, 2019
日本語版 The New England Journal of Medicine 予防医療 老年医学
高齢者における魚介類由来の長鎖ω-3多価不飽和脂肪酸の血漿中濃度は、さまざまな有害な状態のリスクを予測した。
長鎖ω-3多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid:PUFA)の摂取は、好ましい生理的影響を(たとえば内皮機能に)もたらすが、PUFAの血漿中濃度と健康な加齢との関連は明らかにされていない。この前向きコホート研究で研究者らは、PUFA(エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)の総血漿中濃度・各血漿中濃度およびαリノレン酸の血漿中濃度の経時的測定値と、健康な加齢との長期的な関連を明らかにした。
参加者は、ベースライン時に健康な加齢が認められた高齢者2,622人(平均年齢74歳)であった。
健康な加齢は、心血管疾患、がん、肺疾患、重症慢性腎臓病、認知的・身体的な機能障害がないことと定義された。
血漿PUFA濃度は研究期間(1992〜2015年)中に3回測定され、参加者はその濃度に基づき五分位群に分類された。
研究期間中、参加者の89%に健康でない加齢が認められた。
複数の変数で補正した解析で、健康でない加齢のリスクは、PUFAの最高五分位の参加者では最低五分位の参加者と比べて18%低かった。
有意な用量反応関係の傾向が観察された。
個別の評価では、エイコサペンタエン酸とドコサペンタエン酸の摂取量が高いほど、健康でない加齢のリスクが低かった(しかし、ドコサヘキサエン酸とαリノレン酸ではそうではなかった)。
コメント:PUFA、とくに魚介類由来のエイコサペンタエン酸と、内因性および魚介類由来のドコサペンタエン酸の血漿中濃度が高いほど、健康な加齢の確率が高かった。
この研究は、食事摂取歴ではなく実際の血漿中濃度が用いられたという点でほかに類をみない。
しかし、研究デザインを考慮すると、因果関係を確立することはできず、交絡が残存していた可能性があり、結果をより年齢が低い人々に一般化することはできないかもしれない。
とはいえ今回の結果は、魚の摂取量を増やすことに賛成しているガイドラインを支持している。
− Paul S. Mueller, MD, MPH, FACP
Published in NEJM Journal Watch General Medicine January 15, 2019
CITATION(S):
Lai HTM et al. Serial circulating omega 3 polyunsaturated fatty acids and healthy ageing among older adults in the Cardiovascular Health Study: Prospective cohort study. BMJ 2018 Oct 17; 363:k4067. (https://doi.org/10.1136/bmj.k4067)
Zhu Y et al. Omega 3 polyunsaturated fatty acids and healthy ageing: Fresh evidence provides clues to healthier, not just longer lives. BMJ 2018 Oct 17; 363:k4263. (https://doi.org/10.1136/bmj.k4263)
Copyright Massachusetts Medical Society.
Blood Levels of Omega-3 Polyunsaturated Fatty Acids Are Associated with Healthy Aging
January 15, 2019
日本語版 The New England Journal of Medicine 予防医療 老年医学
高齢者における魚介類由来の長鎖ω-3多価不飽和脂肪酸の血漿中濃度は、さまざまな有害な状態のリスクを予測した。
長鎖ω-3多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid:PUFA)の摂取は、好ましい生理的影響を(たとえば内皮機能に)もたらすが、PUFAの血漿中濃度と健康な加齢との関連は明らかにされていない。この前向きコホート研究で研究者らは、PUFA(エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)の総血漿中濃度・各血漿中濃度およびαリノレン酸の血漿中濃度の経時的測定値と、健康な加齢との長期的な関連を明らかにした。
参加者は、ベースライン時に健康な加齢が認められた高齢者2,622人(平均年齢74歳)であった。
健康な加齢は、心血管疾患、がん、肺疾患、重症慢性腎臓病、認知的・身体的な機能障害がないことと定義された。
血漿PUFA濃度は研究期間(1992〜2015年)中に3回測定され、参加者はその濃度に基づき五分位群に分類された。
研究期間中、参加者の89%に健康でない加齢が認められた。
複数の変数で補正した解析で、健康でない加齢のリスクは、PUFAの最高五分位の参加者では最低五分位の参加者と比べて18%低かった。
有意な用量反応関係の傾向が観察された。
個別の評価では、エイコサペンタエン酸とドコサペンタエン酸の摂取量が高いほど、健康でない加齢のリスクが低かった(しかし、ドコサヘキサエン酸とαリノレン酸ではそうではなかった)。
コメント:PUFA、とくに魚介類由来のエイコサペンタエン酸と、内因性および魚介類由来のドコサペンタエン酸の血漿中濃度が高いほど、健康な加齢の確率が高かった。
この研究は、食事摂取歴ではなく実際の血漿中濃度が用いられたという点でほかに類をみない。
しかし、研究デザインを考慮すると、因果関係を確立することはできず、交絡が残存していた可能性があり、結果をより年齢が低い人々に一般化することはできないかもしれない。
とはいえ今回の結果は、魚の摂取量を増やすことに賛成しているガイドラインを支持している。
− Paul S. Mueller, MD, MPH, FACP
Published in NEJM Journal Watch General Medicine January 15, 2019
CITATION(S):
Lai HTM et al. Serial circulating omega 3 polyunsaturated fatty acids and healthy ageing among older adults in the Cardiovascular Health Study: Prospective cohort study. BMJ 2018 Oct 17; 363:k4067. (https://doi.org/10.1136/bmj.k4067)
Zhu Y et al. Omega 3 polyunsaturated fatty acids and healthy ageing: Fresh evidence provides clues to healthier, not just longer lives. BMJ 2018 Oct 17; 363:k4263. (https://doi.org/10.1136/bmj.k4263)
Copyright Massachusetts Medical Society.
性的に活発な高齢者は幸福度高い
性的に活発な高齢者は幸福度高い
初研究 2018年12月26日 06:10
触れたり、抱きしめたり(ハグ)することで、幸せホルモン『オキシトシン』が分泌される。
ハグやキスが幸福感を高めてくれる。
その延長線上にセックスがあり、男性ではセックスが、女性ではキスや愛撫にウェートが置かれるのは、何も高齢者に限ったことではない。
さて、性的活動が活発だと高齢者の幸福感が高まることを示す初めての研究がSex Med(2018年12月12日オンライン版)に発表された。
以下、メディカル・トリビューンから
英・Anglia Ruskin UniversityのLee Smith氏らによると、
高齢の男女を対象に性的活動と生活の楽しさとの関連を検討したところ、
性的に活発な高齢者はそうでない高齢者に比べて幸福度が高かったという。
(関連記事「在宅認知症患者の半数が性的に活発」)
男性ではセックス、女性はキスや愛撫が高スコアと関連
Smith氏らは、コホート研究である英国縦断的加齢研究(English Longitudinal Study of Aging;ELSA)に参加者した高齢者6,879人(50〜89歳)のデータを解析。
男性3,045人(平均年齢64.4歳)および女性3,834人(同65.3歳)を対象に、
過去1年間の性的活動と高齢者のQOL評価のために開発されたCASP(Control, Autonomy, Self-Realization and Pleasure)-19を用いて評価した"人生の楽しみ(Enjoyment of Life;EOL)"スコアとの関連について検討した。
その結果、過去1年間に性的活動が活発であった男女はそうでない男女に比べ、EOLスコアがより高かった
(男性P<0.001、女性P=0.003)。
性的に活発な男性では、頻繁な(月2回以上)セックスおよび頻繁なキスや愛撫がより高いEOLと関連していた
(P<0.001)。
性的に活発な女性では、頻繁なキスや愛撫は高いEOLスコアと関連していたが
(P<0.001)、
頻繁なセックスとの有意な関連は見られなかった(P=0.101)。
また、頻繁な(月2回以上)自慰は男女ともEOLスコアの高さとは関連していなかった(P>0.70)。
性活動における問題や懸念は人生の楽しみを低下
性生活への満足度は男性では人生の楽しみと関連していたが
(P<0.001)、
女性では有意な関連はなかった(P=0.132)。
しかし、性的活動時にパートナーと親密になる感情は、男女ともに高いEOLスコアと強く関連していた
(男性P<0.001、女性P=0.001)。
一方、性生活に関する懸念や性機能に関する問題
(男性:勃起および勃起維持の困難さ、
男女:オルガズム達成の困難さなど)
は、男女ともにEOLスコアの低値と強く関連していた(P<0.001)。
今回の研究では、高齢男女における性的活動がEOLと関連することが示された。
Smith氏は「医療者は、高齢者の活発な性的活動が彼らのより高い幸福度に関連していることを認識すべきである。
老後に健康な性生活を楽しめるよう支援することが高齢者の健康増進に役立ち、
高齢者自身と保健サービス持続の双方に利益をもたらす可能性がある」と指摘。
「医療者が高齢者の生活をより豊かにするため、性的活動についてサポートすることは有益である」と述べている。
(宇佐美陽子)
初研究 2018年12月26日 06:10
触れたり、抱きしめたり(ハグ)することで、幸せホルモン『オキシトシン』が分泌される。
ハグやキスが幸福感を高めてくれる。
その延長線上にセックスがあり、男性ではセックスが、女性ではキスや愛撫にウェートが置かれるのは、何も高齢者に限ったことではない。
さて、性的活動が活発だと高齢者の幸福感が高まることを示す初めての研究がSex Med(2018年12月12日オンライン版)に発表された。
以下、メディカル・トリビューンから
英・Anglia Ruskin UniversityのLee Smith氏らによると、
高齢の男女を対象に性的活動と生活の楽しさとの関連を検討したところ、
性的に活発な高齢者はそうでない高齢者に比べて幸福度が高かったという。
(関連記事「在宅認知症患者の半数が性的に活発」)
男性ではセックス、女性はキスや愛撫が高スコアと関連
Smith氏らは、コホート研究である英国縦断的加齢研究(English Longitudinal Study of Aging;ELSA)に参加者した高齢者6,879人(50〜89歳)のデータを解析。
男性3,045人(平均年齢64.4歳)および女性3,834人(同65.3歳)を対象に、
過去1年間の性的活動と高齢者のQOL評価のために開発されたCASP(Control, Autonomy, Self-Realization and Pleasure)-19を用いて評価した"人生の楽しみ(Enjoyment of Life;EOL)"スコアとの関連について検討した。
その結果、過去1年間に性的活動が活発であった男女はそうでない男女に比べ、EOLスコアがより高かった
(男性P<0.001、女性P=0.003)。
性的に活発な男性では、頻繁な(月2回以上)セックスおよび頻繁なキスや愛撫がより高いEOLと関連していた
(P<0.001)。
性的に活発な女性では、頻繁なキスや愛撫は高いEOLスコアと関連していたが
(P<0.001)、
頻繁なセックスとの有意な関連は見られなかった(P=0.101)。
また、頻繁な(月2回以上)自慰は男女ともEOLスコアの高さとは関連していなかった(P>0.70)。
性活動における問題や懸念は人生の楽しみを低下
性生活への満足度は男性では人生の楽しみと関連していたが
(P<0.001)、
女性では有意な関連はなかった(P=0.132)。
しかし、性的活動時にパートナーと親密になる感情は、男女ともに高いEOLスコアと強く関連していた
(男性P<0.001、女性P=0.001)。
一方、性生活に関する懸念や性機能に関する問題
(男性:勃起および勃起維持の困難さ、
男女:オルガズム達成の困難さなど)
は、男女ともにEOLスコアの低値と強く関連していた(P<0.001)。
今回の研究では、高齢男女における性的活動がEOLと関連することが示された。
Smith氏は「医療者は、高齢者の活発な性的活動が彼らのより高い幸福度に関連していることを認識すべきである。
老後に健康な性生活を楽しめるよう支援することが高齢者の健康増進に役立ち、
高齢者自身と保健サービス持続の双方に利益をもたらす可能性がある」と指摘。
「医療者が高齢者の生活をより豊かにするため、性的活動についてサポートすることは有益である」と述べている。
(宇佐美陽子)
2019年01月05日
「便潜血陽性」は大腸がん以外の疾患の徴候? 多岐にわたる疾患による死亡リスクが約1.6倍
「便潜血陽性」は大腸がん以外の疾患の徴候?
多岐にわたる疾患による死亡リスクが約1.6倍
国際医学短信2018年7月30日 (月)配信 一般内科疾患消化器疾患癌検査に関わる問題
大腸がん検診では、便に血が混じっていないかを調べる便潜血検査が広く行われている。
今回、新たな研究で、便潜血反応が陽性であると大腸がん以外にも深刻な疾患が隠れている可能のあることが示された。
大腸がん検診を受けた13万人を超える男女を分析した結果、便潜血反応が陽性だった人では、循環器疾患や呼吸器疾患、アルツハイマー病など多岐にわたる疾患による死亡リスクが高いことが分かったという。
詳細は「Gut」7月16日オンライン版に掲載された。
今回の研究では、英スコットランドで2000年3月から2016年3月にかけて、便潜血検査による大腸がん検診を受けた50〜74歳の男女13万4,192人を対象に、2016年3月まで追跡して便潜血検査の結果(陽性または陰性)と死亡率との関連を調べた。
参加者のうち2,714人で便潜血検査の結果が陽性であった。
解析の結果、便潜血反応が陽性だった人では、陰性だった人と比べて大腸がんによる死亡リスクが7.79倍であったほか、
大腸がん以外の原因で死亡するリスクも1.58倍であることが分かった。
また、便潜血反応が陽性だった人では
循環器疾患や
呼吸器疾患、
大腸がん以外の消化器疾患のほか、
アルツハイマー病や精神神経疾患、
血液疾患、
内分泌系の疾患、
大腸がん以外のがんによる死亡リスクが上昇していることも明らかになった。
なお、
高齢者や
所得が低い人、
男性、
アスピリンなどの抗血小板薬を服用している人で
便潜血反応が陽性となる確率が高かったという。
研究を率いた英ダンディー大学ナインウェルズ病院外科教授のRobert Steele氏は、
今回の研究は観察研究であるため因果関係を証明するものではないが、
体内に起こる炎症が腸管出血の引き金になっているのではとの見方を示している。
同氏によれば、慢性的な全身性の炎症は多くのがんやアルツハイマー病を引き起こすというエビデンスがあるという。
米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センター内科臨床教授のMarc Siegel氏も、Steele氏の考えに同意し、
「過体重やインスリン抵抗性、運動不足、栄養不足などが体内の炎症に関与することも分かっている」と指摘している。
一方で、研究論文の付随論評を執筆した米スタンフォード大学医学部内科教授のUri Ladabaum氏は
「便潜血検査の実施は大腸がん検診に限定すべきだ」と強調する。
便潜血検査は初期の大腸がんや前がん病変を発見し、大腸がんによる死亡リスク低減を目的とするもので、
それ以外の疾患については便潜血検査以外の情報で十分評価できるという。
同氏は「大腸がん以外の疾患のリスクを評価するには、便潜血検査を用いるのではなく、プライマリケア医が日常診療で対処すべきだ」と話している。
HealthDay News 2018年7月16日
多岐にわたる疾患による死亡リスクが約1.6倍
国際医学短信2018年7月30日 (月)配信 一般内科疾患消化器疾患癌検査に関わる問題
大腸がん検診では、便に血が混じっていないかを調べる便潜血検査が広く行われている。
今回、新たな研究で、便潜血反応が陽性であると大腸がん以外にも深刻な疾患が隠れている可能のあることが示された。
大腸がん検診を受けた13万人を超える男女を分析した結果、便潜血反応が陽性だった人では、循環器疾患や呼吸器疾患、アルツハイマー病など多岐にわたる疾患による死亡リスクが高いことが分かったという。
詳細は「Gut」7月16日オンライン版に掲載された。
今回の研究では、英スコットランドで2000年3月から2016年3月にかけて、便潜血検査による大腸がん検診を受けた50〜74歳の男女13万4,192人を対象に、2016年3月まで追跡して便潜血検査の結果(陽性または陰性)と死亡率との関連を調べた。
参加者のうち2,714人で便潜血検査の結果が陽性であった。
解析の結果、便潜血反応が陽性だった人では、陰性だった人と比べて大腸がんによる死亡リスクが7.79倍であったほか、
大腸がん以外の原因で死亡するリスクも1.58倍であることが分かった。
また、便潜血反応が陽性だった人では
循環器疾患や
呼吸器疾患、
大腸がん以外の消化器疾患のほか、
アルツハイマー病や精神神経疾患、
血液疾患、
内分泌系の疾患、
大腸がん以外のがんによる死亡リスクが上昇していることも明らかになった。
なお、
高齢者や
所得が低い人、
男性、
アスピリンなどの抗血小板薬を服用している人で
便潜血反応が陽性となる確率が高かったという。
研究を率いた英ダンディー大学ナインウェルズ病院外科教授のRobert Steele氏は、
今回の研究は観察研究であるため因果関係を証明するものではないが、
体内に起こる炎症が腸管出血の引き金になっているのではとの見方を示している。
同氏によれば、慢性的な全身性の炎症は多くのがんやアルツハイマー病を引き起こすというエビデンスがあるという。
米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センター内科臨床教授のMarc Siegel氏も、Steele氏の考えに同意し、
「過体重やインスリン抵抗性、運動不足、栄養不足などが体内の炎症に関与することも分かっている」と指摘している。
一方で、研究論文の付随論評を執筆した米スタンフォード大学医学部内科教授のUri Ladabaum氏は
「便潜血検査の実施は大腸がん検診に限定すべきだ」と強調する。
便潜血検査は初期の大腸がんや前がん病変を発見し、大腸がんによる死亡リスク低減を目的とするもので、
それ以外の疾患については便潜血検査以外の情報で十分評価できるという。
同氏は「大腸がん以外の疾患のリスクを評価するには、便潜血検査を用いるのではなく、プライマリケア医が日常診療で対処すべきだ」と話している。
HealthDay News 2018年7月16日