2015年08月31日
金剛界 降三世会について
降三世会について
つづいて降三世会の下絵を描きます。
降三世三昧耶会の説明のときに先送りにしてしまいましたが、降三世会とはなんでしょう?
降三世会は大日如来の智慧によっても教化できない衆生を忿怒相尊により降伏教化することをあらわす会。
全体としては微細会の諸尊から金剛座を除いた構成に似るが、
(1)東方月輪西方に位置する金剛薩埵が教令輪身の降三世明王の姿に表されている
(2)四方如来は衲衣を通肩し螺髪ではなく髷を結い宝冠を頂いている
(3)四方如来と十六大菩薩のうち金剛薩埵(降三世明王)を除く十五大菩薩は忿怒拳(金剛拳を胸前で交差させる印)を結ぶ
(4)外周四隅に明王妃が尊像で描かれる
などの点で異なる。
ここで降三世明王の降三世とはサンスクリット語で、トライローキャ・ヴィジャヤ(Trailokyavijaya)といい、「三界の支配者シヴァを倒した勝利者」の意味で、降三世明王はヒンドゥーの神シヴァ(大自在天)やウマ―后(烏摩妃、パールヴァティー神)を調伏する姿で描かれる。
ヒンドゥー教との関わり
金剛界九会曼荼羅において右列三会は他の六会と比べ趣を異にする。
向下門第七、八、九会に相当する理趣会、降三世会、降三世三昧耶会は衆生の代表である金剛薩埵に注視し、より衆生に近い位置から金剛界曼荼羅を理解できるようにされているものと思われる。
ここで降三世会では金剛界曼荼羅に当然のように登場するヒンドゥー教の神々と仏教との関わりを示すとともに、中尊毘盧遮那如来の慈悲の智慧をもってしても仏道へと教化できないものは忿怒の調伏で教化することも必要なことがあることを示している。
説話によると、ヒンドゥー教の神々はもともとは暴虐非道の荒ぶる神々であり仏教に従おうとしなかったが、金剛薩埵が降三世明王の姿で現れヒンドゥー教の神々を忿怒の力で調伏した。
さらに最後まで抵抗した三界の支配者を名乗るシヴァ神(大自在天)とその妃を踏みつけ調伏するに至った。
ここでその姿を降三世会に描くことでヒンドゥー教を仏教の下に従えようとする仏教界側の意図が見受けられる。
ヒンドゥー教の神々を仏教世界に取り入れて曼荼羅を形成したことで多様な尊格が重なり合った豊かな世界観を表現することができるようなった。
それは仏教の持つ柔軟さと懐の深さを表すとともに、一方で、変質しやすく、ややもすると中心命題が希薄化してしまう危うさをも表しているようにも思われる。
ともあれ、曼荼羅に描かれるヒンドゥー教の神々はその説話とともに曼荼羅世界を豊かに彩ることになる。
では、また〜ヾ(。・ω・。)ノ
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