今会期は特集「春らんまんの日本画まつり」と題して、水面に散る桜を描いた名作、川合玉堂《行く春》をはじめ、菱田春草《賢首菩薩》《王昭君》(寄託作品、善寳寺蔵、3月23日から5月15日までの期間限定展示)など重文が一挙公開されています。年に一度きりのチャンスです。
4階は重要文化財の川合玉堂《行く春》(1916年)や、今村紫紅《春さき》(1916年)など、春を彩る作品が展示
3階は3月23日から5月15日までの期間限定で、菱田春草《王昭君》(1902年、重要文化財、寄託作品、善寳寺蔵)が、寄託後初めて公開!加えて春草の重要文化財、《賢首菩薩》(1907年)も展示されるなど、今会期に展示される春草作品は、なんと全部で約10点!ミニ春草展の装いです。
企画展「安田靫彦展」(3月23日−5月15日)に関連して、靫彦がコメントを寄せた作品や画家を選び、4階1室と3階10室に展示されていました。このコメントが面白い!
菱田春草《王昭君》1902(明治35)年
絹本彩色 中国・前漢の元帝の時代、匈奴の王へ嫁すことになった後宮一の美女、王昭君。絵師に賄賂を贈らなかったために肖像画を醜く描かれたこの高潔な美女を、さまざまな感情を秘めた後宮の女性たちが見送る場面を描いています。線描を用いない、いわゆる「朦朧体」の試みがもたらした実りの一つで、巧みな暈しがなめらかな質感と夢想的な雰囲気を与えています。
山形県鶴岡市の善寳寺が所蔵するこの作品は、寄託先である鶴岡市の致道博物館が工事のため、2014年秋以降、期間限定で当館に寄託されています
菱田春草 《賢首菩薩》
1907(明治40)年 絹本彩色 軸
賢首菩薩は華厳宗(けごんしゅう)第三祖のこと。唐の則天武后(そくてんぶこう、在位690-705年)の問いに対し、庭にあった黄金の獅子を例に華厳の教えを述べたと伝えられています。この作品では、点描で彩色した上に、細かく模様を描き入れているのが特徴的です。線を用いずに色彩の濃淡で空気や光線を表現する描き方を一歩進め、色調の微妙な変化で遠近感や立体感を表現しています。
重要文化財の川合玉堂《行く春》(1916年)や、今村紫紅《春さき》(1916年)など、春を彩る作品が展示
晩春の桜花が散りゆく渓谷。川に繋留されている3隻の水車舟。玉堂は前年の秋と同年の早春にスケッチ旅行で秩父の長瀞(ながとろ)を訪れ、川下りを楽しんでいます。その時の風景を出発点として、小雪のように舞う桜をあしらったのがこの《行く春》です。
川合玉堂 《行く春》1916(大正5)年 紙本彩色 屏風 6曲1双
作者は繰り返し同じリズムでまわる水車に特に興味をおぼえ、その動きを伝えようと、勢いよく水が流れるさまを表現するのに最も苦心したといいます。自然の 雄大さと季節の移ろいが見せる繊細さ、そうした自然の多様な表情とそこに生きる人々の生活とを結びつけながら、詩情豊かな世界を描き出しています。
奥村土牛 鴨
横山大観 或る日の太平洋
今村紫紅 「印度旅行スケッチ帳」より 鎮江(ちんこう)金山寺
菱田春草 鎌倉時代闘牛の図
菱田春草 林和靖
菱田春草 王昭君
菱田春草 松に月

菱田春草 賢首菩薩
菱田春草 秋木立
菱田春草 水辺初夏(鷺)
菱田春草 四季山水
菱田春草 雀に鴉
菱田春草 梅に雀

今村紫紅 時宗

| 速水御舟 丘の並木
鏑木清方 弥生の節句 端午の節句
最後に皇居の初夏を