2015年10月17日
「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」展
Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」展に行って来ました。
風景画といえば19世紀のフランスのコローやモネ、イギリスのターナーの人気が高いですが、本展は16世紀後半から18世紀にかけてのフランドル、オランダ、イタリアの風景画が展示されています。
ウィーン美術史美術館のサビーネ・ハーグ総館長は「風景画の発展に重要な画家の作品を集めた」といいます。
このウィーン美術史美術館は、600年ものあいだウィーンに君臨し続けたオーストリア・ハプスブルク家の至宝である数十万点にも及ぶ膨大なコレクションがもとになっていて、ドイツ、オランダ、フランドルなどの北方絵画の傑作にイタリア・ルネサンスを中心とした至宝の作品が一堂に会しているのだそうです。ハプスブルク家のコレクション形成に関わったヴィルヘルム大公のブリュッセルにある絵画のカタログのような部屋が描かれた《レオポルド・ヴィルヘルム大公のギャラリー》の中に描かれている絵なども展示されています。
展示は、第1章「風景画の誕生」と第2章「風景画の展開」と大きく2つの構成です。第1章は、第1節「聖書および神話を主題とした作品中に現れる風景」、第2節「1年12カ月の月暦画中に現れる風景」、第3節「牧歌を主題とした作品中に現れる風景」という流れです。簡単に書きますと、聖書と神話の中の風景→12カ月カレンダーの中の風景→牧歌の中の風景の絵、の流れで展示されています。
西洋では15世紀以前は神話や宗教が主題の中心で、15世紀以降は人物や物語絵の背景に小さく風景が描かれ始めた。16世紀のアントワープで活躍したホーホストラーテンの画家「聖母子と聖カタリナと聖バルバラ」は、幼子イエスを抱えた聖母マリアの背景にわずかな景色がみえる。あるいは、16世紀半ばにヒエロニムス・ボスの模倣者によって描かれた「楽園図」は、噴水や奇岩、アダムとイブが主役で、背後のブルーでうっすらとした風景はまだ添え物のようだ。
風景画が独立して制作されるようになったのは17世紀のオランダから。プロテスタントでは宗教画が好まれなかったことや、新興のブルジョア階級が現実世界に美を求めたことから一気に脚光を浴びました。描かれた現実は、生活が豊かになった人たちが家を飾る絵画としてもてはやされました。
一方で、イタリアでは開花が遅かった。ルネサンスの人間中心の人文主義思想は、風景が前面に出ることをさまたげました。18世紀前半に人気を集めたカナレットの出現で、ようやく確固たる地位が築かれることとなりました。
「ヴェネツィアのスキアヴォーニ河岸」などの展示作品は、ゴンドラが水上を行き交い、遠くにはサンマルコ広場の鐘楼が見えます。
今回目立つのは、第2節の12カ月を表した月暦画です。一枚の絵画が連続することで時間が表現されていますが、宗教上の祈祷・祝日による日時の意識が、日常生活に向けられた人々の意識と、月々の農耕・農事に結びつけられて行ったのだそうです。風景画の先駆者と見なされるピーテル・ブリューゲル(父)の流れをくむファン・ファルケンボルフ一族のやや引いて俯瞰したような視線の月暦画と、イタリアのジョヴァンニ・ベリー二の流れをくむレアンドロ・バッサーノのその場に居るような遠くの一点に消失するような遠近法で描かれた月暦画を、対比的に見ることができます。
人間の行動もさることながら風景を観てもその季節の特徴が出ており、非常に面白い作品群でした。
個人的には第2章第2節「都市景観としての風景画」が一番好きです。
宗教画や理想郷の風景画にみられる幻想性が消えていき、目の前にたしかにあったのであろう、現実がそこに描かれています。
ルーカス・ファン・ファルケンボルフ《夏の風景(7月または8月)》1585年
アダム・ペイナーケル《ティヴォリ付近の風景》1648年
幼児ヨハネと天使のいる聖家族 ヤン・ブリューゲル(子) 天使がかわいい!夕焼けの空と森幻想的で美しい光景です。
風景画といえば19世紀のフランスのコローやモネ、イギリスのターナーの人気が高いですが、本展は16世紀後半から18世紀にかけてのフランドル、オランダ、イタリアの風景画が展示されています。
ウィーン美術史美術館のサビーネ・ハーグ総館長は「風景画の発展に重要な画家の作品を集めた」といいます。
このウィーン美術史美術館は、600年ものあいだウィーンに君臨し続けたオーストリア・ハプスブルク家の至宝である数十万点にも及ぶ膨大なコレクションがもとになっていて、ドイツ、オランダ、フランドルなどの北方絵画の傑作にイタリア・ルネサンスを中心とした至宝の作品が一堂に会しているのだそうです。ハプスブルク家のコレクション形成に関わったヴィルヘルム大公のブリュッセルにある絵画のカタログのような部屋が描かれた《レオポルド・ヴィルヘルム大公のギャラリー》の中に描かれている絵なども展示されています。
展示は、第1章「風景画の誕生」と第2章「風景画の展開」と大きく2つの構成です。第1章は、第1節「聖書および神話を主題とした作品中に現れる風景」、第2節「1年12カ月の月暦画中に現れる風景」、第3節「牧歌を主題とした作品中に現れる風景」という流れです。簡単に書きますと、聖書と神話の中の風景→12カ月カレンダーの中の風景→牧歌の中の風景の絵、の流れで展示されています。
西洋では15世紀以前は神話や宗教が主題の中心で、15世紀以降は人物や物語絵の背景に小さく風景が描かれ始めた。16世紀のアントワープで活躍したホーホストラーテンの画家「聖母子と聖カタリナと聖バルバラ」は、幼子イエスを抱えた聖母マリアの背景にわずかな景色がみえる。あるいは、16世紀半ばにヒエロニムス・ボスの模倣者によって描かれた「楽園図」は、噴水や奇岩、アダムとイブが主役で、背後のブルーでうっすらとした風景はまだ添え物のようだ。
風景画が独立して制作されるようになったのは17世紀のオランダから。プロテスタントでは宗教画が好まれなかったことや、新興のブルジョア階級が現実世界に美を求めたことから一気に脚光を浴びました。描かれた現実は、生活が豊かになった人たちが家を飾る絵画としてもてはやされました。
一方で、イタリアでは開花が遅かった。ルネサンスの人間中心の人文主義思想は、風景が前面に出ることをさまたげました。18世紀前半に人気を集めたカナレットの出現で、ようやく確固たる地位が築かれることとなりました。
「ヴェネツィアのスキアヴォーニ河岸」などの展示作品は、ゴンドラが水上を行き交い、遠くにはサンマルコ広場の鐘楼が見えます。
今回目立つのは、第2節の12カ月を表した月暦画です。一枚の絵画が連続することで時間が表現されていますが、宗教上の祈祷・祝日による日時の意識が、日常生活に向けられた人々の意識と、月々の農耕・農事に結びつけられて行ったのだそうです。風景画の先駆者と見なされるピーテル・ブリューゲル(父)の流れをくむファン・ファルケンボルフ一族のやや引いて俯瞰したような視線の月暦画と、イタリアのジョヴァンニ・ベリー二の流れをくむレアンドロ・バッサーノのその場に居るような遠くの一点に消失するような遠近法で描かれた月暦画を、対比的に見ることができます。
人間の行動もさることながら風景を観てもその季節の特徴が出ており、非常に面白い作品群でした。
個人的には第2章第2節「都市景観としての風景画」が一番好きです。
宗教画や理想郷の風景画にみられる幻想性が消えていき、目の前にたしかにあったのであろう、現実がそこに描かれています。
ルーカス・ファン・ファルケンボルフ《夏の風景(7月または8月)》1585年
アダム・ペイナーケル《ティヴォリ付近の風景》1648年
幼児ヨハネと天使のいる聖家族 ヤン・ブリューゲル(子) 天使がかわいい!夕焼けの空と森幻想的で美しい光景です。
アールト・ファン・デル・ネールの《月明かりの下の船のある川の風景》1665‐70年頃 ヴァンヴィティリ ローマのサンピエトロ広場 1703-24年 |
ヴェネツィアのサンマルコ広場 18世紀後半 | イアサント・ド・ラ・ペーニュの《パリのメジスリー河岸からのポン・ヌフの眺め》1743年 夕焼けの空が美しい。 |
今回はイタリア、パリなど行った場所も多く、絵の中に自分がいてヨーロッパに行ったような気分になれた1日でした。 「ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生」展 開催期間:2015年9月9日(水)〜12月7日(月) *10/5(月)のみ休館 開館時間:10:00−19:00(入館は18:30まで) 毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで) 会場:Bunkamura ザ・ミュージアム http://www.bunkamura.co.jp/museum/ 【このカテゴリーの最新記事】
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