2023年09月18日
1-12 プロモーション・応用マーケティング
プロモーションとは
顧客や流通業者に対して情報伝達を行うことで、購入を促進すること【マーケティングコミュニケーション】:情報の送り手から、メッセージを、受け手に届けるプロセス
【プロモーションミックス】:大きく分けて 4 つの手段(広告、パブリシティ、人的販売、販売促進)
●これらを目的に合わせて適切に組み合わせていくことをプロモーションミックスと呼ぶ
●プル戦略:消費者の需要を喚起する戦略:消費者が自らお店に足を運んだり、自ら製品を購入するように導くこと:広告とパブリシティ
●プッシュ戦略:製品を売り込んでいく戦略:製品を売り込むことで製品を購入してもらうこと:人的販売と販売促進
〈IMC(統合マーケティングコミュニケーション)〉:多岐に渡るメディアにおける企業発信のメッセージを統一・統合して展開すること
・IMC のアプローチ:顧客関係性に重点を置いており、短期的な活動ではなく、長期的な顧客の生涯価値の重要性に着目
・複数のプロモーションミックス要素を組み合わせて継続的な働きかけを行う。
・マーケティング費用を投資として捉えており、投資効果の測定や評価を重視
広告
【広告の目的】:製品を知ってもらったり、関心を持ってもらい、購入を促進したりすること
・広告には製品の広告である製品広告だけではなく、企業の広告である企業広告がある
【広告の対象】
●消費者広告、産業広告(産業財や業務目的で購入する法人などに対する広告)、流通広告(メーカーが卸や小売などの流通業者に対して行う広告)に分類
【広告開発のプロセス】
●広告目標
・マーケティング戦略の一部として行う
・マーケティング上の目標と整合性が取れている必要がある
(認知度を高めるのか、競合からのブランドスイッチを狙うのかな)
●広告予算
・売上高比率法:売上高予算の一定の割合を広告予算とする方法
・支出可能予算法:どれぐらいまで広告に支出できるかによって広告予算を設定する方法
・競合企業対抗法:競合企業の広告予算を推定して、それに対応する予算を設定する方法
・タスク法:広告目標を達成するために必要な広告量を見積もり、それに必要な予算を設定する方法
●メッセージ開発:消費者の興味を喚起できるか、競合から差別化されているか、メッセージに信頼性があるかなどを考慮して、メッセージを決定
●広告媒体の選択:マスコミの 4 媒体、インターネット広告、SP (セールスプロモーション)広告に分類される
●マスコミ広告:新聞、テレビ、ラジオ、雑誌
・新聞広告
メリット:カバー範囲が広い、短いリードタイムで広告を出せる、信頼性が高いこと
デメリット:印刷の質が悪い、広告の寿命が短いこと
・テレビ広告
メリット:視聴者が多い、映像・音声などを使い消費者の感覚に訴えられること
デメリット:コストが高い、消費者の選択が難しいこと
・ラジオ広告
メリット:地域別や属性別などの消費者の選別が可能、コストが安いこと
デメリット:表現方法が音声のみである、消費者の注意をあまり集められない
・雑誌広告
メリット:地域別・属性別に消費者の選別が可能である、高品質な印刷が可能、じっくり見てくれる読者が多いこと
デメリット:広告が出るまでのリードタイムが長い、読者数が少ないこと
●インターネット広告:バナー広告、検索連動型広告など
・メリット:低コストで開始できることやターゲット層へアプローチしやすいこと、効果測定がしやすいこと
・デメリット:種類が多く技術進歩も早いため、ある程度の知識が必要であること、仕組みを理解して広告を適切に設定しないと、効果が得られないこと
●SP広告:ダイレクトメール、屋外広告、インターネット広告
・ダイレクトメール:企業が消費者に直接メッセージを届ける手段
メリット:対象の選択ができる、消費者に個別に対応できること
デメリット:比較的コストがかかる、くずかごに捨てられてしまうイメージがあること
・屋外広告:看板や、ネオンなど
メリット:コストが安く、反復的に露出できること
デメリット:対象の選別ができない、広告の表現力に限界があること
●広告の評価:接触効果、心理効果、売上効果
・接触効果:広告をどれぐらいの人が目にしたかという指標:測定する指標には、リーチ(見込み視聴者の目に触れた割合)やフリークエンシー(1 人あたりの広告の平均視聴回数)がある
・心理効果:消費者の心理面への影響を測定するのが心理効果
認知度:広告がどれぐらい認知されているか
理解度:製品がどれぐらい理解されているか
興味関心度:顧客がどれぐらい興味や関心を持ったか
・売上効果:広告の実施により、どれぐらい売上が増加したか
【インターネット広告の手法】
●検索連動型広告:検索結果画面の上や右の枠などに表示される広告です。PPC 広告やリスティング広告と言われる
広告がクリックされると広告主に費用が課金
●アフィリエイト・プログラム:紹介した商品等が売れると成果報酬や紹介料を支払う広告形態
自分の WEB サイトやブログに、広告主の商品の広告を掲載
●SEO(Search Engine Optimization):検索エンジン最適化
【製品ライフサイクル別の広告】
●導入期:知名度を向上させて需要を喚起することが目的
●成長期:競争に打ち勝ちシェアを高めていくことが目的
●成熟期:シェアを維持するために、広告もブランドを維持する事が目的
パブリシティ
【パブリシティの目的と手段】:ニュースとして取り上げられることを目的
・プレスリリース等の手段を使ってニュース素材をメディアに提供
【パブリシティのメリットとデメリット】
・メリット:コストが安い、消費者の信頼性が高い
・デメリット:コントロールができない、掲載されるか、思い通りのメッセージが報道されるか
【パブリックリレーションズ(PR)】
・株主、従業員、消費者、マスコミなど企業の様々な利害関係者とのコミュニケーションを通じて、利害関係者と良好な関係を築いていく活動
・主に製品等の情報を伝達する手段
人的販売
【人的販売の目的】:営業による販売活動
【人的販売のメリットとデメリット】
・メリット:顧客とのコミュニケーションを通じて、顧客ニーズに個別に対応できる。顧客に非常に影響力の強い販売活動を行うことができる。長期的な関係を築くことができる。
・デメリット:対応できる顧客数に制限がある。販売員の能力に依存する。
【販売員の分類】
・オーダーゲッター:新規顧客を獲得
・オーダーテイカー:既存顧客からの受注
販売促進
【販売促進の目的】:消費者や流通業者の購買意欲を高めるための短期的なプロモーション
・購入へのインセンティブを付与する
【販売促進の種類】
●消費者向け推進
・サンプル:試用版を無償で提供する:需要を拡大する
・プレミアム:景品など、製品とは別の物品や便益を消費者に付与する:購入意欲を高める
・ポイントカード:購入金額に応じてポイントが加算:
・会員カード:会員になると有利な価格で購入できるなどの特典:、顧客を囲い込む
・POP広告:商品の前にコメントが書かれたカード
・カタログ:製品の説明が記載されたもの
●流通業者向け販売促進
・リベート:一定の基準を満たすと、取引後に流通業者に現金などを支払う
・アローワンス:流通業者がメーカーの意図に従って広告や陳列などを行った場合に割引を行う
・販売店コンテスト:優秀な販売店を表彰したり優遇する制度
・リテールサポート:販売店に対して経営支援(情報提供など)
●社内向け販売促進:社内の販売員に対して、販売を動機づけるような社内向けの販売促進
・社内販売コンテスト
・販売マニュアル
関係性マーケティング
【関係性マーケティングの目的】(リレーションシップマーケティング)
●大量の広告費などの費用をかけて顧客を新規開拓するよりも、既存の顧客との関係を深めることで顧客を維持し、収益を確保しようという関係性マーケティングの考え
●20%の顧客で 80%の売上を稼いでいるという、80 対 20 の法則
【CRM(Customer Relationship Management)】
・顧客との関係を深めることで、顧客ロイヤルティを高め、収益を拡大しようとするマーケティング手法
●ライフタイムバリュー(LTV)(顧客生涯価値):1 人の顧客が長期間にわたってもたらしてくれる利益の合計
・ライフタイムバリューの高い顧客は、優良顧客
●RFM 分析:優良顧客を判別する方法
・3 つの指標で顧客を分析(Recency(最新購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買金額))
●FSP(FrequentShoppers Program):優良顧客に対して、優先的にプロモーションを行う手法
・優良顧客を囲い込むことが狙い(航空会社ではマイレージプログラムなど)
【ワントゥワンマーケティング】:顧客に個別に対応していくマーケティング
・近年では顧客のニーズが多様化していることと、IT の発展によって顧客への個別対応が実現できるようになってきたことが背景
●ワントゥワンマーケティングの目標:顧客シェアを高めることを目標 ⇔ マスマーケティング:市場シェアを高めることが目標
・顧客シェア:1 人の顧客が購入する金額の中で、自社が占める割合
●ワントゥワンマーケティングの手段:個別にニーズを把握し、最適なマーケティングプログラムを実行する必要がある
・データベースマーケティング:顧客データベースを活用して、見込み客の発見から購入、さらにリピーターへの育成を行うためのマーケティングプログラム
・マスカスタマイゼーション:大量生産のスケールメリットを生かしながら、顧客ごとにカスタマイズを図る手法
(フルオーダーでは無くイージーオーダーなど)
【ダイレクトマーケティング】:メーカーが消費者に直接行うマーケティング:メーカーから通信販売やテレマーケティング、インターネット販売などを通じて消費者に直接販売する手法
●テレマーケティング:コールセンターで電話対応を専門的に行い、注文を受けたり、営業活動を行ったりする。
・CTI(Computer Telephony Integration):コンピューターと電話・FAX・メールなどを統合する技術
・インバウンド:電話で注文を受ける方法
・アウトバウンド:企業から電話をかける方法
●インターネットマーケティング
・ネットショップ:自社で Web ページを作る方法と、バーチャルモールに出店する方法がある
・クリックアンドモルタル:実在の店舗と、インターネット上の店舗を組み合わせた方法
●ソーシャルメディアと CGM:ブログ、SNS(Social Networking Service)、動画共有サイト、クチコミサイト、電子掲示板など
・CGM(Consumer-Generated Media):消費者が、情報の作成者・発信者:消費者生成メディアを意味
・バイラル・マーケティング:クチコミを活かすマーケティング:企業が直接コントロールすることができないという特徴
〈トリプルメディア〉
●ペイドメディア(Paid media):「買うメディア」という意味で、マスコミ広告や WEB 広告など
●オウンドメディア(Owned media):「所有するメディア」という意味で、自社の WEB サイトや、販売員など
●アーンドメディア(Earned media):「評判を得るメディア」という意味で、ソーシャルメディアなど
サービスマーケティング
【サービスの特性】:無形性、不可分性、変動性、非貯蔵性
●無形性(非有形性):サービスは目で見たり触ったりできない
●不可分性(同時性):サービスは生産と消費が同時に行われ、サービスを提供する人がその場にいなければならない
●変動性:サービスの提供者やタイミングなどによってサービスの品質が変わってしまい、品質の均一化が難しい
●非貯蔵性(消滅性):サービスは貯蔵することができず、サービスが提供された後に消滅してしまう
【サービスの特性への対応】:品質を向上させる方法と、生産性を向上させる方法が考えらる
●サービス品質の向上:マニュアル化や教育訓練:
・コンタクト・パーソネル(CP):サービスを提供する人
・顧客満足を向上させるためには、コンタクト・パーソネルの満足度、つまり従業員満足度を向上させる必要がある
●サービス生産性の向上:サービスは、貯蔵できず、生産と消費が不可分であるため、生産性を上げるには工夫が必要
・需要の調整:予約制、ピーク時の需要を非ピーク時に振り替えたり非ピーク時の需要を活性化したりする
・供給能力の改善:パートやアルバイトなどの非正規社員を活用する
・サービスに時間や労力をかけないようにする方法:セルフサービスを導入
【サービスマーケティングと組織】:3 つの方向のマーケティングがある
●エクスターナル・マーケティング:企業と顧客の間のマーケティングで、物理的な製品のマーケティングと同じ:マーケティングの 4P を中心にした活動
●インターナル・マーケティング:企業とコンタクト・パーソネルの間のマーケティング:コンタクト・パーソネルへの教育などを適宜
●インタラクティブ・マーケティング:コンタクト・パーソネルと顧客の間のマーケティング:良好なサービスや対話により信頼性を築き、顧客ロイヤルティを高めていくことが求められる
〈サービスの品質評価・顧客満足〉
●SERVQUAL:サービス(Service)と品質(Quality)を組み合わせた造語
次の 5 つの面からサービス品質を評価する
@信頼性(Reliability):約束されたサービスを確実に提供すること
A 対応性(Responsiveness):顧客に迅速なサービスを提供すること
B 確実性(Assurance):従業員のしっかりした知識と対応の丁寧さ
C 有形性(Tangibles):施設、設備、従業員の外見
D 共感性(Empathy):顧客に対する気遣いや注意
●サービス・スケープ:店舗の外見、店やデザイン、明るさや色、音楽、香りなど、サービスを提供する物理的環境すべてもの
●サービス・エン力ウンター(真実の瞬間):顧客がサービスを提供される場面のこと
●サービス・プロフィット・チェーン:顧客と従業員の満足を収益性に結びつけようとするもの
・組織が従業員を大切にして従業員の満足を高めれば、従業員は顧客によりよいサービスを提供し、顧客満足や顧客ロイヤルティの向上につながるという考え方
タグ:企業経営理論
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