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2016年02月14日

国際私法 平成27年度第1問

設問1
 夫婦財産制は26条による。同条1項は婚姻の効力に関する25条を準用している。この趣旨は、法令が夫の国籍に連結していたのを両性平等の見地から改め、また、複数の当事者間に同一の法令を適用する必要から、段階的連結を定めたことである。もっとも、夫婦財産制の場合には、量的制限の定めはあるが私的自治が認められている(26条2項)。2項の趣旨は、国際私法の国際的統一の観点及び再密接関係地の認定が困難であることへの配慮である。量的制限があるのは、夫婦財産制は夫婦共同体との関連が強いためである。また、基準時については明文がないが、26条も25条も変更主義を採用している。すなわち、準拠法変更が生じた場合、その効力は将来に向かってのみ生じ、変更前までの夫婦財産関係についての規律については変更前の準拠法による。そのため、回答は以下の通りになる。
(1)A建物について
 26条1項に基づき、1995年時点の共通本国法である甲国法が適用される。
(2)B土地について
 26条1項の適用によれば、2010年時点の共通本国法である甲国法が適用されることになる。
 しかし、反致(41条)が適用されないか。反致の理論的根拠として、抵触規則も含めて指定するという総括指定説は、無限の循環が生じるため妥当でない。また、当該国が管轄を放棄しているという棄権説も主権理論を前提とするため妥当でない。実質的根拠として、内国適用拡大という見解は国際主義に矛盾するため妥当でなく、国際的判決調和という見解は反致で指定された国も反致を定めていれば調和しないから妥当でない。結局反致の理論的正当化は難しい。
 ともあれ、甲国法はXYの本国法だから、「当事者の本国法によるべき場合」(41条)に当たる。「その国の法」(41条)の「法」とは国際私法を指すところ、甲国国際私法@は第一段階として夫婦の同一常居所地法を指定している。常居所とは、居所よりも長い期間居住する場所をいうところ、XY夫婦はB土地を取得した2010年の時点で10年間日本で生活しているから、XY夫婦の常居所地法は日本法である。そうすると、「その国の法に従えば日本法によるべきとき」(41条)に当たる。
 したがって、41条の適用により、日本法が適用される。
(3)C土地について
 2012年時点の共通本国法である日本法が適用される。
設問2
1(1)夫婦財産契約の効力は夫婦財産制と性質決定できるから26条による。
(2)本件の夫婦財産契約は婚姻後来日前に締結されているから、XYの共通本国法は甲国法である。そのため、甲国法が準拠法となる。甲国民法Bは夫婦財産契約の締結を認めている。
(3)したがって、A建物の所有権はXの特有財産となりうる。
2(1)また、書面により締結していたという方式の有効性は34条による。
(2)同条は、方式が実質的要件と密接に関連することから、「当該法律行為の成立について適用すべき法」を準拠法としている。そのため、本件では甲国法が準拠法となる。甲国民法Bは方式として書面を要求するのみであり、本件の契約は書面でされている。
(3)したがって、方式は有効である。
3 以上より、本件の夫婦財産契約の通り、A建物の所有権はXの特融財産となりうる。
設問3(1)
1 本件の合意に26条2項が適用されるか検討する。まず、本件合意は「夫婦が、その署名した書面で日付を記載したもの」(26条2項)に当たる。そして、来日直後にはXとYの本国法は甲国法であったから、甲国法は「夫婦の一方が国籍を有する国の法」(同1号)に当たる。
2 したがって、この合意のとおり、甲国法が適用される。
設問3(2)
1 XY夫婦は1つの契約で異なる準拠法を選択しているが、このような分割指定が許されるか問題となる。思うに、国際的な強行法規の回避をいわゆる特別連結にゆだねるべきである以上、当事者自治の原則の帰結である分割指定を否定する理由はない。しかし、相互的な権利義務関係を切り離すような指定を認めるべきではない。そこで、契約の現実的な実現可能性を要件として、分割指定を認めるべきと解する。
2 本問でも26条2項該当性を検討するに、26条2項本文の要件は(1)と同様にあてはまる。そして、「日本に所在する土地」(契約の文言)は「不動産に関する夫婦財産制」(26条2項3号)に当たる。また、「日本法」(契約の文言)は「不動産所在地法」(26条2項3号)に当たる。そして、日本に所在する土地についてのみ他と切り離して日本法とすることで特に相互的な権利義務関係が切り離されることはないから、本件契約は実現可能である。
3 したがって、B土地の所有権については日本法が適用される。 以上

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