2016年02月13日
国際私法 平成25年度第1問
設問1(1)
1 共同養子縁組の必要性は養子縁組の問題と性質決定されるから、31条による。
2 31条1項は養子縁組を養親の国籍に連結している。養子縁組で考慮すべきは子の利益だから子の本国法とすることも考えられるが、養親子関係は養親の本国で営まれることが多いこと及び養子縁組により養子に養親の国籍を付与する国が多いことから、養親の本国法主義が採用された。
本件では養親となるべきHの国籍は日本だから、日本の民法による。民法795条本文は、配偶者のある者が未成年者を養子とする場合に共同養子縁組を要求しており、同条但書は配偶者の嫡出子を養子とする場合には共同養子縁組を不要とする。
3(1)そこで、まずCがWの嫡出子か否かが問題となる。嫡出子とは、国際私法上、婚姻した夫婦から出生した子と解する。そうすると、Cはそれにあたらない。したがって、但書は適用されない。
(2)そうすると、次にCが未成年者か否かが先決問題となる。先決問題は本問題の準拠法によるのでも、本問題の準拠法が所属する国の国際私法が指定する準拠法によるのでもなく、法廷地である日本の国際私法により定まる準拠法による(H12.1.27)。日本の国際私法上、未成年者か否かは人の行為能力の問題と性質決定されるから、4条による。同条は、この問題について本国法主義をとる大陸法の伝統にしたがったものであり、譲許粗糖に比べて確認が容易であるという合理性がある。同条2項は取引安全に配慮している。
(3)本件では、Cは7才であり、日本法上未成年者である(民法4条)。
4 したがって、民法795条に基づき、共同養子縁組が必要である。
設問1(2)
1 養子縁組が日本の戸籍管掌者への届出によって方式上有効に成立するか否かは、養子縁組の方式の問題と性質決定されるから、34条による。同条1項は、方式が実質的成立要件と密接に関連するから、成立について適用すべき法によるとしていると解する。同条2項は、養親が異なる国籍を有している場合、片方の方式を履践することが困難なことにより養子縁組が成立しにくくなり、結果として子の利益に反することを防ぐため、行為地法に適合する方式を有効としているものと解する。
2 本件では、同条1項に基づき、「養子縁組の成立について適用すべき法」は、日本法及び甲国法である。同条2項に基づく「行為地法」は日本法である。
(1)Hとの縁組は日本法によるから、日本の戸籍管掌者への届出によって方式上有効に成立する(民法799条、739条1項)。
(2)Wとの縁組は1項に基づけば甲国法によるが、甲国民法Bによれば甲国の戸籍管掌者への届出が必要である。しかし、2項に基づき、行為地法である日本法に適合する方式として、日本の戸籍管掌者への届出は有効である。
3 したがって、日本の戸籍管掌者への届出により有効に成立する。
設問2(1)
1 Cが養子縁組により嫡出子となるか否かは養子縁組の効力の問題と性質決定される。31条1項は「養子縁組の要件は」ではなく「養子縁組は」と規定しているから、同条は養子縁組の効力についても定めていると解される。そのため、31条により、養父子間と養母子間のそれぞれで嫡出子となるかを判断する。
2(1)まず、Wの本国法である甲国民法Cによれば、CはHとWとの共同養子縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
(2)次に、Cの本国法である日本の民法809条によっても同様に、Cは縁組の日から嫡出子の身分を取得する。
3 したがって、Cは嫡出子である。
設問2(2)
1 親権は親子関係の問題と性質決定されるから32条による。
2 32条1項は、法令が父の本国法に連結していたのを両性平等の見地から改め、また、子の保護の趣旨から、父または母と同一である子の本国法に段階的に連結している。同条2項は、両親が離婚した際の戸籍記載の便宜から、子の常居所地法を第2段階としている。
3 本件は、CとHの国籍が同一だから、日本法による。民法818条3項は、父母の婚姻中は父母が共同して親権を行使することを定めている。そうすると、HとWが婚姻しているか否かが先決問題となるが、法廷地法である日本法上、HとWの婚姻は有効に成立している(問題文)。
4 したがって、Cの親権を行使するのはH及びWである。
設問2(3)
1 親子間の扶養義務の有無には通則法は適用されず(43条1項)、扶養準拠法による。同法2条は、原則として扶養権利者の常居所地法を準拠法とする。この趣旨は、それによってこそ扶養権利者の需要に応じることができること、私的扶養と同一の準拠法に依拠させることで制度間の調和が図れることである。2条1項但書と同2項では、扶養権利者保護のためさらに2段階の補正的連結を定めている。したがって、「扶養を受けることできないとき」(1項但書、2項)とは、法律上扶養義務が課せられていない場合や個別的に裁判により義務を果しえない場合をいい、事実上扶養を受けられない場合を含まない。
2 本件では扶養権利者であるCの常居所(居所よりも長期間生活している場所)は日本と解されるから、日本法による。民法877条1項によれば、直系血族は互いに扶養する義務があり、CとHは親子であるから(民法727条)日本法上直系血族である。
3 したがって、HはCの扶養義務者である。
1 共同養子縁組の必要性は養子縁組の問題と性質決定されるから、31条による。
2 31条1項は養子縁組を養親の国籍に連結している。養子縁組で考慮すべきは子の利益だから子の本国法とすることも考えられるが、養親子関係は養親の本国で営まれることが多いこと及び養子縁組により養子に養親の国籍を付与する国が多いことから、養親の本国法主義が採用された。
本件では養親となるべきHの国籍は日本だから、日本の民法による。民法795条本文は、配偶者のある者が未成年者を養子とする場合に共同養子縁組を要求しており、同条但書は配偶者の嫡出子を養子とする場合には共同養子縁組を不要とする。
3(1)そこで、まずCがWの嫡出子か否かが問題となる。嫡出子とは、国際私法上、婚姻した夫婦から出生した子と解する。そうすると、Cはそれにあたらない。したがって、但書は適用されない。
(2)そうすると、次にCが未成年者か否かが先決問題となる。先決問題は本問題の準拠法によるのでも、本問題の準拠法が所属する国の国際私法が指定する準拠法によるのでもなく、法廷地である日本の国際私法により定まる準拠法による(H12.1.27)。日本の国際私法上、未成年者か否かは人の行為能力の問題と性質決定されるから、4条による。同条は、この問題について本国法主義をとる大陸法の伝統にしたがったものであり、譲許粗糖に比べて確認が容易であるという合理性がある。同条2項は取引安全に配慮している。
(3)本件では、Cは7才であり、日本法上未成年者である(民法4条)。
4 したがって、民法795条に基づき、共同養子縁組が必要である。
設問1(2)
1 養子縁組が日本の戸籍管掌者への届出によって方式上有効に成立するか否かは、養子縁組の方式の問題と性質決定されるから、34条による。同条1項は、方式が実質的成立要件と密接に関連するから、成立について適用すべき法によるとしていると解する。同条2項は、養親が異なる国籍を有している場合、片方の方式を履践することが困難なことにより養子縁組が成立しにくくなり、結果として子の利益に反することを防ぐため、行為地法に適合する方式を有効としているものと解する。
2 本件では、同条1項に基づき、「養子縁組の成立について適用すべき法」は、日本法及び甲国法である。同条2項に基づく「行為地法」は日本法である。
(1)Hとの縁組は日本法によるから、日本の戸籍管掌者への届出によって方式上有効に成立する(民法799条、739条1項)。
(2)Wとの縁組は1項に基づけば甲国法によるが、甲国民法Bによれば甲国の戸籍管掌者への届出が必要である。しかし、2項に基づき、行為地法である日本法に適合する方式として、日本の戸籍管掌者への届出は有効である。
3 したがって、日本の戸籍管掌者への届出により有効に成立する。
設問2(1)
1 Cが養子縁組により嫡出子となるか否かは養子縁組の効力の問題と性質決定される。31条1項は「養子縁組の要件は」ではなく「養子縁組は」と規定しているから、同条は養子縁組の効力についても定めていると解される。そのため、31条により、養父子間と養母子間のそれぞれで嫡出子となるかを判断する。
2(1)まず、Wの本国法である甲国民法Cによれば、CはHとWとの共同養子縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
(2)次に、Cの本国法である日本の民法809条によっても同様に、Cは縁組の日から嫡出子の身分を取得する。
3 したがって、Cは嫡出子である。
設問2(2)
1 親権は親子関係の問題と性質決定されるから32条による。
2 32条1項は、法令が父の本国法に連結していたのを両性平等の見地から改め、また、子の保護の趣旨から、父または母と同一である子の本国法に段階的に連結している。同条2項は、両親が離婚した際の戸籍記載の便宜から、子の常居所地法を第2段階としている。
3 本件は、CとHの国籍が同一だから、日本法による。民法818条3項は、父母の婚姻中は父母が共同して親権を行使することを定めている。そうすると、HとWが婚姻しているか否かが先決問題となるが、法廷地法である日本法上、HとWの婚姻は有効に成立している(問題文)。
4 したがって、Cの親権を行使するのはH及びWである。
設問2(3)
1 親子間の扶養義務の有無には通則法は適用されず(43条1項)、扶養準拠法による。同法2条は、原則として扶養権利者の常居所地法を準拠法とする。この趣旨は、それによってこそ扶養権利者の需要に応じることができること、私的扶養と同一の準拠法に依拠させることで制度間の調和が図れることである。2条1項但書と同2項では、扶養権利者保護のためさらに2段階の補正的連結を定めている。したがって、「扶養を受けることできないとき」(1項但書、2項)とは、法律上扶養義務が課せられていない場合や個別的に裁判により義務を果しえない場合をいい、事実上扶養を受けられない場合を含まない。
2 本件では扶養権利者であるCの常居所(居所よりも長期間生活している場所)は日本と解されるから、日本法による。民法877条1項によれば、直系血族は互いに扶養する義務があり、CとHは親子であるから(民法727条)日本法上直系血族である。
3 したがって、HはCの扶養義務者である。
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