こんなのがあったとは… ブッダが誰なのか伝わる。読みやすい!!! リスペクト! RT @nihongorapnews: [NEWS] 拝啓、ブッダブランド http://t.co/msbPAK30 - HIP HOP JOURNAL
— デエィェル (@DLakaBOBOJAMES) April 11, 2012
というツイートを頂いた【拝啓、ブッダブランド】を再掲したいと思います。
外人だ。
ブッダブランドのファーストインプレッションは、そうとしか言い表せない。
最初に聞いたのは『魔物道』。「暴風豪雨のごとく力強く」「クソミソ」のように日本人が普段使わない比喩と、日本人とは思えない英語。それが交われば、今まで聞いたことのない音楽となるのは必然なのかもしれない。彼らの顔が見たくなり、『天運我にあり』を購入したのだが、よりわからなくなった。
坊主頭に濃い顔。全てが‘黒い’(その頃は意味などわからなかったが、とにかく黒いと思った)。
そんなブッダブランドとはどんな人たちなのか。日本語ラップに火がついた97年。当然、その真ん中にいた彼等が、どんな狂った発言をしているのか。現状をどう表現するのか。小さい時に暴走族を見た時と同じような、表現するのが難しい感情に鼓動を強くしたが、『FRONT』誌で発せられていたのは普通の、いや、熱い男の言葉だった。
「ハードコア支持派の奴等には、俺等がこれからやっていくことは理解できないかもしれない。いまの姿勢でオリコンに曲を入れたり、有線とかでガンガンかかるものを作っていく。そういった意味で、音的に歌詞的に、幅広い層に受け入れられるものを作っていく。もちろん、俺等的には何の変わりもないことはいっておく。」
あんな黒くて、親が‘こんなの聴くのやめなさい’と言いそうな曲(レコードの人間発電所でのイントロメッセージやKRUSH GROOVE)を作っている彼らが、つっぱることもなくビシネス、将来を考えている。
「他のある一部の奴等はそういうのを嫌って、ハードコア一本で行こうとしていると思うんだけど、はっきりいって先が見えているから。やっぱり一般の奴等をはめていかないと、音楽ビジネスとして大きくなっていかない。(ライブしたりテープだしたりして)5万円〜10万円っていうレベルで止まっている音楽じゃないでしょ。」
世の中には様々な職業がある。末端は食えてないにしても、上は食えている。それは、どの業界でもそうではないだろうか。
ブッダブランドは、それをストレートに発信していた。『人間発電所』がシーンを席巻したのに、自分たちは掃除のバイトをしている。それでは夢がない。あそこまで売れたなら、バブリーでいなければ、下が出てこないという。
「時代に貢献しなければいけない人間っていると思うんです。たとえば、エジソンとか福沢諭吉とか。」
ブッダもその役割、指名を感じていた。ゆえに、当時、本当に狂っているような行動をみせるNIPPSと上手くいかなくなってしまったのかもしれない。意味不明なインタビューでの言動はブッダブランドに深みを増すとも言えるし、「彼がブッダブランド」と評しても過言ではない存在感を持っていたが、遅刻にはじまる破天荒な行動はビジネスには不向きだった。(それでもNIPPSへの敬意を皆が持っているのがNIPPSの凄さとメンバーは笑いながら語る)
しかし、満を持してドロップした『KRUSH GROOVE3』はシングル56位に終わり、世間に受け入れられたとは言い難い。その頃のことをDEV-LARGEは『Blast』誌でこう振り返る。
「ビジネス部分もキチっとやって、音楽的には妥協しない。97年にトヨタのCM(『KRUSHGROOW3のB面 天運我にあり』)やった時、周りや会社からもっと行くでしょみたいな嫌なプレッシャーがあって、本来やりたくないことをやらされるような風潮があったんですよ。でも、俺たちは薄いことはやりたくないし、違うものをやってまでブレイクしたくなかった。」
CQはたとえ話で補足する。
「一回違うことやって売れてもそれはどうなのって。だって、続けなければ結局その一回で終わっちゃう。アイドルじゃないから、自分の好きなことを信じてやるしかない。」
スタイルを変えて売っても、続かなければ意味がない。
もちろん、その間もブッダブランドは腐ることなく、シーン内で精力的に動いていた。
当時、「日本のクラブは日本語ラップの曲やライブしか盛り上がらない。」と憤りを感じていたMASTER-KEYは『DADDY’S HOUSE』を開催。新譜からダンスクラシックまで取り入れた、まさにクラブなイベントは根付き、今では逆に「日本語ラップやライブは盛り上がらない」状況だ(これは別にMASTER-KEYが悪い訳ではない。逆に今は日本語ラップを積極的に流している)。
MASTER-KEYが日本のDJ文化に与えた影響は大きい。
また、DEV-LARGEはインタビューでも語っていたように、‘ラップで食えるヤツを増やす’活動をしていた。レーベルEL DORADOを立ち上げ、水戸からLUNCH TIME SPEAXを見出し、世に送り出した。そして、LUNCH TIME SPEAXが成功を収めると、より契約金の高いソニーレコードに快く引き渡した(LUNCH TIME SPEAXはソニーでパッとしなかったが)。口だけではなく、行動にて示していた。
99年。日本語ラップバブルが訪れた。
『GratefulDays』のヒットにより、次々とラッパーがフューチャーされるようになる。ZEEBRAの成功に始まり、ラッパ我リヤなどのハードコア派から、スケボーキングまでもがランキングに登場するようになる。そんななか、遂にブッダブランドも世間に認知される。2000年にドロップした『病める無限のブッダの世界』がなんとオリコンで15位を獲得。
「不純だって言われようと、誰だってヒットを狙って作っているはず」
とDEV-LARGEが言えば、CQはより辛辣に
「ヒット狙わないヤツは恰好つけているだけ。お前ヒット狙って曲作って本当にヒットするかって言いたいね」と指摘する。
では、日本語ラップの未来はどうあるべきか。インタビュアーの世界という言葉をDEV‐LARGEは遮る。
「日本語はさ、第二国際語でもないじゃない。だから、言葉の壁は大きいよ。日本のトラックメーカーは光の速さで世界に通用する。ただ、ラッパーはフロゥ聴いて、上手い下手という評価はされても、理解はされない。そんなことより、まずは日本でしょ。」
まずは日本。
現在、ブッダブランドは活動していないが、DEV-LARGEはブッダブランドの匂いがぷんぷんする『THE ALBUM』をドロップし、日本語ラップ不況の中でも43位を獲得。サンプリング黄金期を取り戻すようなメインストリームとなるヒットとはならなかったが、この時代にも形を残した次には、ラップではなくプロデューサー側にまわり、その後はDJや選曲家として多くの黒い作品をリリース。自分たちの音楽でしっかりとビジネスは行なえている。自らのアーティチュードで日本の状況を変えるために。
DEV-LARGEは、水戸のVINYL MACHINEにて、名もない若手ラッパーに握手をしながらこう伝えた。
「どんどん音源を送って欲しい」。
シーンの底上げを本気で考えている証拠ではないだろうか。そんなブッダブランドに影響を受けた人間は少なくない。そのブッダブランドが言っているのだ。
「ヒットしなければ意味がない」
「ヒット=ポピュラー=ワック」という図式。まずは我々もその考えを改めようではないか。そうしなければ、いつまでたっても食えない音楽のままだ。
反面、DEV-LARGEは『THE ALBUM』の隠れトラックで警告も送っている。
「何でもありなのか今は? 自主規制もクソもない今 厳しく吟味し聞きなおす時だ 連中のは別モン ダジャレやお笑いラップは排除 韻ふむためにダジャレまで入れて楽しいか? 金のために無理して書くと惨めだぜ(途中略)」
売れなければ意味はない。しかし、媚びてまで日本語ラップという世界で売る意味はあるのか。
さらに言えば、日本語ラップはどうあるべきか。
これはアーティストに対してだけではない。我々も仏陀(ブッダブランド)の言葉を重く受け止め、考えなければいけない。
■DEV-LARGEとK DUB SHINEが揉めた“理由” 「昔から得意じゃん、はぐらかし」( https://fanblogs.jp/hiphopjournal/archive/4/0 )
■【レポート】スチャダラパー、印象深いアーティストに電気グルーヴ石野卓球、チャットモンチー、そしてBUDDHA BRAND・DL(DEV-LARGE)との思い出( https://fanblogs.jp/hiphopjournal/archive/146/0 )
タグ:DL BUDDHABRAND
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