2017年10月30日
漫画『ぼくの素晴らしい人生』1巻の感想とあらすじ ディスレクシアの青年が自分の人生と向き合う物語
『ぼくの素晴らしい人生』1巻の感想。
ぼくの素晴らしい人生
著者:愛本 みずほ
掲載:BE・LOVE
1巻発売日:2017年6月13日
ときどき考える。この世界は舞台で、今ぼくは文字を読めない役を演じているだけなんだ――。
昔から文字の読み書きが苦手だった青年・朝倉忍(あさくら しのぶ)。学校に通っていたときは、黒板や教科書に書いてあることもさっぱり分からず、ひらがなどころか自分の名前さえ書けないでいた。
そのうち出来るようになる、子供のころはそう思っていた。しかし、いくつ年を重ねても一向に改善されることはなく、勉強についていけないことから高校へ通うことも叶わず、せっかく採用されたバイトもすぐクビになってしまう。それは自分の頭が悪いからだとずっと思っていた忍。
そんなとき、履歴を書くためにたまたま立ち寄ったカフェのマスターから、「ディスレクシア」という読字障害ではないかと教えられることに。自分と同じ障害を抱えていながら前向きに生きてるマスターとの出会いが、そして自分を育ててくれたおばあちゃんが倒れたことをきっかけに、忍は自分も変わりたいと思い立ち・・・・。
生まれつき文字の読み書きが苦手なことで苦労していきた青年が、とあるカフェの障害を抱えるオーナーとの出会いから自分も同じ障害者であったことを知り、それをきっかけに自分の人生を良き方向へ変えようと努力する物語
ディスレクシアという学習障害をテーマにした漫画。帯での謳い文句は「誤字障害の青年の人生の物語」。女性向け漫画雑誌「BE・LOVE」2017年2号から連載開始。
作者は『だいすき!! ゆずの子育て日記』と続編『『ひまわり!! それからのだいすき』で知られる女性漫画家・愛本みずほ(あいもと みずほ)先生。
ここ近年、漫画のジャンルやテーマの多様化が凄まじい。
紙媒体だけではなく漫画アプリも普及して、いつでも・どこでも・誰でも気軽に読むことは可能ですし、大人も普通に漫画読んでる時代ですから、読者層が拡大したことでニーズの多様化はさらに加速。
私なんかは毎日のように漫画読んでますけど、最近は斬新で珍しいテーマの作品も非常に多いので、マンネリを感じることなく漫画ライフを満喫できております。その分、財布が軽くなっていくスピードも加速してますけど・・・。
テーマが多いと作品を通して初めて知ることも必然的に多くなりました。ただ種類が増えてるだけではなく質も向上してるため、一層作品やテーマへの興味が深まりますね。
本日の一冊は、認知度があまり高くない障害をテーマに扱った『ぼくの素晴らしい人生』という漫画を紹介させていただきます。
まずは内容をざっくり説明。「ディスレクシア」という誤字障害を知ることなく育ったことから、生まれつき字の読み書きが苦手な自分は頭が悪いのだと思っていた主人公の青年。同じ障害を持つとあるカフェのオーナーと出会ったことでこれまでの認識が一変し、彼との巡り合いを活路に人生を良くするためがんばるお話。
>「障害者」と「人生」をテーマにした少女漫画です。作者の愛本みずほ先生は前作『だいすき!!』でも、知的障害を持つ女性の物語を描いた方でしたね。本作で扱っているのは、ディスレクシア(誤字障害)という字の読み書きに支障がある障害。
少し前にハリウッドスターのトム・クルーズがこの障害持ちであることを公表しているので、名前だけなら聞いたことあるという人はいるかもしれませんね。とは言っても、日本国内での知名度は未だ低いことに変わりなく、私もこの作品を読むまでは詳しく知りませんでした。
「ディスレクシア」――学習障害の一種で発達障害のひとつ。文字・数字の読む・書くという行為に著しい困難を持ち、「難読症」「識字障害」「読み書き障害」とも呼ばれます。症状の一例は、文字が歪む・ぼやける・二重に見える、重なる、反転するなど。
知的能力は標準域にあり、日常会話も困難がないことから、幼少期は周囲どころか本人すら気づかず、それなりに識字能力が必要になってくる小中学校以降になって発覚するケースが多い。症状の程度も個人差が大きいため、大人になるまで気づかないことも少なくはありません。それによって、頭が悪い、怠けてると誤解を受けることも。
この作品の主人公はそんなディスレクシアである青年・朝倉忍(あさくら しのぶ)。幼い頃から文字の読み書きに苦労するも、それ以外はいたって普通だったことで誰からの指摘も受けず、自分がディスレクシアであることを知らないまま成人になっています。高校進学も断念しているので最終学歴は中卒。
文字は歪んで見え、書いてあることを理解するだけでも一苦労。書くという行為も同様に難しく、バイト先ではパソコン画面をスマホで撮影して確認するなど自分なりに工夫する知恵を見せるも、それを遊んでいると勘違いされて辞める羽目になる始末。
会話は全く問題なく、見た目もいたって普通であるため、とても障害を抱えているようには見えません。それ故、周囲の人たちには余計理解され辛く、本人も自分は頭が悪いと考えていることもあって、何をやるにも長続きさせることが出来ずに悩んでいました。
そんなちょっと卑屈になっていた忍がたまたま立ち寄ったカフェで、彼の人生を一変させることになるイケメンマスター・遥(はるか)と出会います。
実は遥もディスレクシアであり、履歴書に苦労してる忍の様子から、「もしかしてきみ、ディスレクシア?」と聞かれたことで、忍はそういう障害があることを知ると共に、自分が障害者だったことに気づくことになりました。
その後、他界した母に代わって育ててくれたおばあちゃんが倒れるなどして、「ぼくは変わりたい」と強く思うようになった忍。再びカフェを訪ねて遥のもとで働くことになり、彼が所属している劇団にも関わっていくようになります。
ということで、ディスレクシア(誤字障害)を持つ青年が自分の殻を破り、人生を素晴らしくするため頑張る姿を描いた漫画『ぼくの素晴らしい人生』1巻の紹介でした。
非常に興味深い漫画ですね。1巻は何も知らなかった主人公が「ディスレクシア」という障害を知り、そのうえでどう生きていくかを考える・教わるといった感じの内容。
全体的に大きな波はなく、ストーリーも淡々と展開されていきますが、とてもメッセージ性の高い作品だと思います。ディスレクシアの解りやすい説明や、障害のことを始めて知った時の忍やおばあちゃんの反応、周囲に気づいてもらえないことへの苦悩など、そのあたりもしっかり描かれていました。
変わろうと頑張る姿勢を見せる忍応援しながらも、彼から勇気と生きる力を貰えますね。あと印象深いのは、「人間持って生まれたカードで勝負するしかないんだよ」という遥のセリフ。これは誰にでも当てはまることですから、私の心にも深く突き刺さりました。
今ある物の中で生き、今ある物を武器として生きることを知った忍が、これから自分や社会、ディスレクシアとどう向き合い、どのように歩んでいくことになるのか、とても楽しみです。ディスレクシアという障害のことや、障害者が抱える苦悩をを知る良い機会にもなると思います。
それから、この1巻には「ひまわり!!」の番外編も収録されています。
ぼくの素晴らしい人生
著者:愛本 みずほ
掲載:BE・LOVE
1巻発売日:2017年6月13日
あらすじ・概要
ときどき考える。この世界は舞台で、今ぼくは文字を読めない役を演じているだけなんだ――。
昔から文字の読み書きが苦手だった青年・朝倉忍(あさくら しのぶ)。学校に通っていたときは、黒板や教科書に書いてあることもさっぱり分からず、ひらがなどころか自分の名前さえ書けないでいた。
そのうち出来るようになる、子供のころはそう思っていた。しかし、いくつ年を重ねても一向に改善されることはなく、勉強についていけないことから高校へ通うことも叶わず、せっかく採用されたバイトもすぐクビになってしまう。それは自分の頭が悪いからだとずっと思っていた忍。
そんなとき、履歴を書くためにたまたま立ち寄ったカフェのマスターから、「ディスレクシア」という読字障害ではないかと教えられることに。自分と同じ障害を抱えていながら前向きに生きてるマスターとの出会いが、そして自分を育ててくれたおばあちゃんが倒れたことをきっかけに、忍は自分も変わりたいと思い立ち・・・・。
生まれつき文字の読み書きが苦手なことで苦労していきた青年が、とあるカフェの障害を抱えるオーナーとの出会いから自分も同じ障害者であったことを知り、それをきっかけに自分の人生を良き方向へ変えようと努力する物語
ディスレクシアという学習障害をテーマにした漫画。帯での謳い文句は「誤字障害の青年の人生の物語」。女性向け漫画雑誌「BE・LOVE」2017年2号から連載開始。
作者は『だいすき!! ゆずの子育て日記』と続編『『ひまわり!! それからのだいすき』で知られる女性漫画家・愛本みずほ(あいもと みずほ)先生。
紹介・感想
ここ近年、漫画のジャンルやテーマの多様化が凄まじい。
紙媒体だけではなく漫画アプリも普及して、いつでも・どこでも・誰でも気軽に読むことは可能ですし、大人も普通に漫画読んでる時代ですから、読者層が拡大したことでニーズの多様化はさらに加速。
私なんかは毎日のように漫画読んでますけど、最近は斬新で珍しいテーマの作品も非常に多いので、マンネリを感じることなく漫画ライフを満喫できております。その分、財布が軽くなっていくスピードも加速してますけど・・・。
テーマが多いと作品を通して初めて知ることも必然的に多くなりました。ただ種類が増えてるだけではなく質も向上してるため、一層作品やテーマへの興味が深まりますね。
本日の一冊は、認知度があまり高くない障害をテーマに扱った『ぼくの素晴らしい人生』という漫画を紹介させていただきます。
まずは内容をざっくり説明。「ディスレクシア」という誤字障害を知ることなく育ったことから、生まれつき字の読み書きが苦手な自分は頭が悪いのだと思っていた主人公の青年。同じ障害を持つとあるカフェのオーナーと出会ったことでこれまでの認識が一変し、彼との巡り合いを活路に人生を良くするためがんばるお話。
>「障害者」と「人生」をテーマにした少女漫画です。作者の愛本みずほ先生は前作『だいすき!!』でも、知的障害を持つ女性の物語を描いた方でしたね。本作で扱っているのは、ディスレクシア(誤字障害)という字の読み書きに支障がある障害。
少し前にハリウッドスターのトム・クルーズがこの障害持ちであることを公表しているので、名前だけなら聞いたことあるという人はいるかもしれませんね。とは言っても、日本国内での知名度は未だ低いことに変わりなく、私もこの作品を読むまでは詳しく知りませんでした。
「ディスレクシア」――学習障害の一種で発達障害のひとつ。文字・数字の読む・書くという行為に著しい困難を持ち、「難読症」「識字障害」「読み書き障害」とも呼ばれます。症状の一例は、文字が歪む・ぼやける・二重に見える、重なる、反転するなど。
知的能力は標準域にあり、日常会話も困難がないことから、幼少期は周囲どころか本人すら気づかず、それなりに識字能力が必要になってくる小中学校以降になって発覚するケースが多い。症状の程度も個人差が大きいため、大人になるまで気づかないことも少なくはありません。それによって、頭が悪い、怠けてると誤解を受けることも。
この作品の主人公はそんなディスレクシアである青年・朝倉忍(あさくら しのぶ)。幼い頃から文字の読み書きに苦労するも、それ以外はいたって普通だったことで誰からの指摘も受けず、自分がディスレクシアであることを知らないまま成人になっています。高校進学も断念しているので最終学歴は中卒。
文字は歪んで見え、書いてあることを理解するだけでも一苦労。書くという行為も同様に難しく、バイト先ではパソコン画面をスマホで撮影して確認するなど自分なりに工夫する知恵を見せるも、それを遊んでいると勘違いされて辞める羽目になる始末。
会話は全く問題なく、見た目もいたって普通であるため、とても障害を抱えているようには見えません。それ故、周囲の人たちには余計理解され辛く、本人も自分は頭が悪いと考えていることもあって、何をやるにも長続きさせることが出来ずに悩んでいました。
そんなちょっと卑屈になっていた忍がたまたま立ち寄ったカフェで、彼の人生を一変させることになるイケメンマスター・遥(はるか)と出会います。
実は遥もディスレクシアであり、履歴書に苦労してる忍の様子から、「もしかしてきみ、ディスレクシア?」と聞かれたことで、忍はそういう障害があることを知ると共に、自分が障害者だったことに気づくことになりました。
その後、他界した母に代わって育ててくれたおばあちゃんが倒れるなどして、「ぼくは変わりたい」と強く思うようになった忍。再びカフェを訪ねて遥のもとで働くことになり、彼が所属している劇団にも関わっていくようになります。
ということで、ディスレクシア(誤字障害)を持つ青年が自分の殻を破り、人生を素晴らしくするため頑張る姿を描いた漫画『ぼくの素晴らしい人生』1巻の紹介でした。
非常に興味深い漫画ですね。1巻は何も知らなかった主人公が「ディスレクシア」という障害を知り、そのうえでどう生きていくかを考える・教わるといった感じの内容。
全体的に大きな波はなく、ストーリーも淡々と展開されていきますが、とてもメッセージ性の高い作品だと思います。ディスレクシアの解りやすい説明や、障害のことを始めて知った時の忍やおばあちゃんの反応、周囲に気づいてもらえないことへの苦悩など、そのあたりもしっかり描かれていました。
変わろうと頑張る姿勢を見せる忍応援しながらも、彼から勇気と生きる力を貰えますね。あと印象深いのは、「人間持って生まれたカードで勝負するしかないんだよ」という遥のセリフ。これは誰にでも当てはまることですから、私の心にも深く突き刺さりました。
今ある物の中で生き、今ある物を武器として生きることを知った忍が、これから自分や社会、ディスレクシアとどう向き合い、どのように歩んでいくことになるのか、とても楽しみです。ディスレクシアという障害のことや、障害者が抱える苦悩をを知る良い機会にもなると思います。
それから、この1巻には「ひまわり!!」の番外編も収録されています。
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