2017年08月07日
漫画『魔王の秘書』1巻の感想とあらすじ
『魔王の秘書』1巻の感想。
魔王の秘書
著者:鴨鍋かもつ
掲載:コミック アース・スター
1巻発売日:2017年4月12日
光が射せば闇もまた生まれる世界――。
「光を呼ぶ勇者」が産声をあげたその時、歴史を繰り返すかのように永き封印から「闇を招く魔王」がついに目覚め・・・・ようとしたが、二度寝によってさらに14年の月日が流れ、ついに魔王は復活(起床)を遂げた。
さっそく世界を征服するため動き始めた魔王。まずは戦いの前に人間を知ることが肝要であるとし、知能が高く、なるべく女で、できれば愛嬌もあって胸が大きい・・・・とにかく有能な人間を攫って研究することに。
ところが、魔王の配下が「ちょっ・・・と人には言えない手で」攫うことに成功した女性は、とんでもなくデキ過ぎる、なぜか世界制服に積極的な「秘書」だった。
容赦なく次々と有効な侵略計画を練っていく魔王の秘書のせいで、人間世界マッハでヤバイ。
魔王の命令によって人類世界から攫われ、「秘書」として魔王軍に仕えることになった人間の女性が、残忍な魔物たちでさえ震え上がるエグい世界征服計画を次々と練り上げ、合理的かつ無慈悲にテキパキ「魔王の秘書」として仕事に勤しむ話。
JRPG風ファンタジーギャグコメディ。公式サイトでのキャッチコピーは「【悲報】世界征服、捗る。」。Twitterで2万RT以上の話題作。この作品は当初同人誌として公開され、それがSNSで話題になったことをきっかけに、2016年4月からコミック アース・スターにて商業連載を開始。
作者は漫画家・鴨鍋かもつ(かもなべ かもつ)先生。
子供のころから今に至るまでファンタジーは私にとって何よりも好きなジャンル。小説、マンガ、アニメ、ゲームなど、様々な媒体で多くの作品にふれてきました。そんなファンタジー作品ですが、魔王・勇者がいる定番の世界設定は同じであっても、近年は何やら特にマンガや小説でちょっと風変わりな傾向の作品が増え出していますね。
大きな変化は『まおゆう』が人気出た辺りかな?あの頃からちょっと変わったファンタジー作品を目にする機会が増えたような。最近では、『魔王城でおやすみ』や『育てち魔おう!』といった、能力的には遥かに劣るはずの脆弱な人間に、魔王やその配下たちがハチャメチャに振り回されるファンタジーコメディも数を増やしてきました。
今回紹介させていただく漫画『魔王の秘書』もその一つに数えられるかと。魔王に攫われて来た秘書(人間)のエゲツ無さが凄すぎて、どっちが悪魔か分からなくなってしまう作品。
某人間の王国で秘書をしていた女性が魔王城へ連れ去られるも、今度はそこで魔王の秘書として仕え始め、あまりの優秀な働きぶりとエゲツなさに魔物たちをドン引きさせていく話。
「優秀な人間の秘書」と「残念魔王」の、ファンタジーを基調としてコメディ作品です。「世界から(私以外の)人間を根絶やしにしましょう」という強烈なインパクトを放つ表紙からして凄い。
RPG系のパロディも満載の内容でして、RPG世界の常識という名のお約束展開を、現実的な常識を用いて冷静かつ冷徹に改革していく作品。
光の勇者が誕生すれば闇の魔王が同時に封印から目覚める――その歴史を繰り返してきた世界。長らく平和が続いていた地に、だいたい300年ぶりにちょっと寝坊して魔王が封印から目覚め、世界制服へ動き出します。しかし、本作品の主人公はこのいきなり寝坊した闇の魔王でもなければ、世界を救う勇者ですらありません。
魔王が世界制服へ向けて打った第一手。人間を知り、人間の知能を得るため、人間を捉えてくるよう配下に命令。もちろん誰でも良いというわけではなく、その条件は・・・
「知能の高い学者など」「男はむさ苦しいからなるべく女」「容姿も重要」「愛嬌のあるタイプ」「年齢は若ければ若いほど良い」「できれば胸も大きめ」「常に三歩下がってついてくる慎ましさ」「奴隷生活を耐え抜ける生活力」「相手の言動に否定から入らない気遣い」という、思わず「婚活かよっ」とツッコミを入れそうになるめんどくさい条件。
で、配下の魔物がそれなりに条件とマッチして“そうな”人物としてさらってきたのが、某王国で国王秘書を勤めていたメガネがお似合いのクールビューティ。この人間の女性秘書が主人公です。
この秘書がとんでもなかった・・・。さらわれてきた他の女性たちとは違い、魔王や魔物を前にしても怯えや慌てる素振りは一切見せず、物分り良すぎるぐらい協力的かと思えば、奴隷ではなく秘書(部下)として雇用契約を要求(もちろんお給金付き)。
「どえらいのきたわぁ・・・」とドン引く魔王とは逆に、元職場の王様は「っしゃあーーー!!!ついにワシは自由じゃああああ!!!」と大喜び。女秘書のヤバさが伺えますね。
てっとり早く勇者の故郷を襲撃する「約三日での世界制服計画」や、農業地帯へ毒物・疫病を散布する魔王軍には低リスクの征服計画、罠と魔物のコンボで討伐対を壊滅させるなど、RPGのお約束を逆手にとった実現性の高い合理的なアイデアは実に面白い。それをテキパキと無慈悲にこなしていく秘書、出来る女、超有能、そして超怖い・・・。
人間側にとっては魔王以上にやっかいで恐ろしい存在が誕生してしまったようです。
また、いつもは勇者に倒されるばかりで、その内情が語られることはほとんどない魔王軍を、ひとつのカンパニーのように描いているところも面白い。
当初の魔王軍は過酷な労働体制を敷いていた超ブラック企業という様相。しかし、有能な秘書がこの魔王軍という職場に降臨したことで、苛酷だった労働環境は整えられ、従業員(魔物)たちには福利厚生をもたらし、強いれるのではなく自分にあった働き方を模索できるようにするなど、旧体制を刷新して組織改革を成していくことになりました。
それによって魔物たちから「秘書殿」「秘書さま」と呼ばれるまでに頼られる存在になった秘書に反し、やることなくてイジけたりスネてしまう魔王が可愛く、同時に面白くもあります。
あまりに優秀過ぎる秘書を抱えるのも考え物かも、なんて思ってしまったり。問題があるとみんなまずは秘書に意見を求めるため、魔王様の存在意義がどんどん薄れていますね。
しかし、そんな隅っこでイジけてる闇の魔王へ光を指すかのようにラストで現れたのは、宿敵・勇者。はたして、魔王は魔王としての威厳を取り戻せるのだろうか・・・。
こんなところで、世界制服を目論む魔王軍で人間の秘書が辣腕を振るいまくるコメディ漫画『魔王の秘書』の1巻紹介でした。
読み応えはあり過ぎるぐらい漫画にしては文字が若干多めではありますが、笑いのテンポとノリは素晴らしく、設定のアイデアも面白い。何より秘書が可愛いのはもちろんのこと、やることなすことエゲツないので見ている分には愉快。
2巻以降では魔王と勇者との戦いもあるのでしょうが、これはファンタジーであってもあくまでコメディ。それほど重苦しいシリアス展開にはならないと思います。
とても濃い内容の1巻で満足。これを今後も維持できるのかは不明ですが、それでもこれからの展開が非常に楽しみです。
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魔王の秘書
著者:鴨鍋かもつ
掲載:コミック アース・スター
1巻発売日:2017年4月12日
あらすじ・概要
光が射せば闇もまた生まれる世界――。
「光を呼ぶ勇者」が産声をあげたその時、歴史を繰り返すかのように永き封印から「闇を招く魔王」がついに目覚め・・・・ようとしたが、二度寝によってさらに14年の月日が流れ、ついに魔王は復活(起床)を遂げた。
さっそく世界を征服するため動き始めた魔王。まずは戦いの前に人間を知ることが肝要であるとし、知能が高く、なるべく女で、できれば愛嬌もあって胸が大きい・・・・とにかく有能な人間を攫って研究することに。
ところが、魔王の配下が「ちょっ・・・と人には言えない手で」攫うことに成功した女性は、とんでもなくデキ過ぎる、なぜか世界制服に積極的な「秘書」だった。
容赦なく次々と有効な侵略計画を練っていく魔王の秘書のせいで、人間世界マッハでヤバイ。
魔王の命令によって人類世界から攫われ、「秘書」として魔王軍に仕えることになった人間の女性が、残忍な魔物たちでさえ震え上がるエグい世界征服計画を次々と練り上げ、合理的かつ無慈悲にテキパキ「魔王の秘書」として仕事に勤しむ話。
JRPG風ファンタジーギャグコメディ。公式サイトでのキャッチコピーは「【悲報】世界征服、捗る。」。Twitterで2万RT以上の話題作。この作品は当初同人誌として公開され、それがSNSで話題になったことをきっかけに、2016年4月からコミック アース・スターにて商業連載を開始。
作者は漫画家・鴨鍋かもつ(かもなべ かもつ)先生。
感想
子供のころから今に至るまでファンタジーは私にとって何よりも好きなジャンル。小説、マンガ、アニメ、ゲームなど、様々な媒体で多くの作品にふれてきました。そんなファンタジー作品ですが、魔王・勇者がいる定番の世界設定は同じであっても、近年は何やら特にマンガや小説でちょっと風変わりな傾向の作品が増え出していますね。
大きな変化は『まおゆう』が人気出た辺りかな?あの頃からちょっと変わったファンタジー作品を目にする機会が増えたような。最近では、『魔王城でおやすみ』や『育てち魔おう!』といった、能力的には遥かに劣るはずの脆弱な人間に、魔王やその配下たちがハチャメチャに振り回されるファンタジーコメディも数を増やしてきました。
今回紹介させていただく漫画『魔王の秘書』もその一つに数えられるかと。魔王に攫われて来た秘書(人間)のエゲツ無さが凄すぎて、どっちが悪魔か分からなくなってしまう作品。
某人間の王国で秘書をしていた女性が魔王城へ連れ去られるも、今度はそこで魔王の秘書として仕え始め、あまりの優秀な働きぶりとエゲツなさに魔物たちをドン引きさせていく話。
「優秀な人間の秘書」と「残念魔王」の、ファンタジーを基調としてコメディ作品です。「世界から(私以外の)人間を根絶やしにしましょう」という強烈なインパクトを放つ表紙からして凄い。
RPG系のパロディも満載の内容でして、RPG世界の常識という名のお約束展開を、現実的な常識を用いて冷静かつ冷徹に改革していく作品。
光の勇者が誕生すれば闇の魔王が同時に封印から目覚める――その歴史を繰り返してきた世界。長らく平和が続いていた地に、だいたい300年ぶりにちょっと寝坊して魔王が封印から目覚め、世界制服へ動き出します。しかし、本作品の主人公はこのいきなり寝坊した闇の魔王でもなければ、世界を救う勇者ですらありません。
魔王が世界制服へ向けて打った第一手。人間を知り、人間の知能を得るため、人間を捉えてくるよう配下に命令。もちろん誰でも良いというわけではなく、その条件は・・・
「知能の高い学者など」「男はむさ苦しいからなるべく女」「容姿も重要」「愛嬌のあるタイプ」「年齢は若ければ若いほど良い」「できれば胸も大きめ」「常に三歩下がってついてくる慎ましさ」「奴隷生活を耐え抜ける生活力」「相手の言動に否定から入らない気遣い」という、思わず「婚活かよっ」とツッコミを入れそうになるめんどくさい条件。
で、配下の魔物がそれなりに条件とマッチして“そうな”人物としてさらってきたのが、某王国で国王秘書を勤めていたメガネがお似合いのクールビューティ。この人間の女性秘書が主人公です。
この秘書がとんでもなかった・・・。さらわれてきた他の女性たちとは違い、魔王や魔物を前にしても怯えや慌てる素振りは一切見せず、物分り良すぎるぐらい協力的かと思えば、奴隷ではなく秘書(部下)として雇用契約を要求(もちろんお給金付き)。
「どえらいのきたわぁ・・・」とドン引く魔王とは逆に、元職場の王様は「っしゃあーーー!!!ついにワシは自由じゃああああ!!!」と大喜び。女秘書のヤバさが伺えますね。
てっとり早く勇者の故郷を襲撃する「約三日での世界制服計画」や、農業地帯へ毒物・疫病を散布する魔王軍には低リスクの征服計画、罠と魔物のコンボで討伐対を壊滅させるなど、RPGのお約束を逆手にとった実現性の高い合理的なアイデアは実に面白い。それをテキパキと無慈悲にこなしていく秘書、出来る女、超有能、そして超怖い・・・。
人間側にとっては魔王以上にやっかいで恐ろしい存在が誕生してしまったようです。
また、いつもは勇者に倒されるばかりで、その内情が語られることはほとんどない魔王軍を、ひとつのカンパニーのように描いているところも面白い。
当初の魔王軍は過酷な労働体制を敷いていた超ブラック企業という様相。しかし、有能な秘書がこの魔王軍という職場に降臨したことで、苛酷だった労働環境は整えられ、従業員(魔物)たちには福利厚生をもたらし、強いれるのではなく自分にあった働き方を模索できるようにするなど、旧体制を刷新して組織改革を成していくことになりました。
それによって魔物たちから「秘書殿」「秘書さま」と呼ばれるまでに頼られる存在になった秘書に反し、やることなくてイジけたりスネてしまう魔王が可愛く、同時に面白くもあります。
あまりに優秀過ぎる秘書を抱えるのも考え物かも、なんて思ってしまったり。問題があるとみんなまずは秘書に意見を求めるため、魔王様の存在意義がどんどん薄れていますね。
しかし、そんな隅っこでイジけてる闇の魔王へ光を指すかのようにラストで現れたのは、宿敵・勇者。はたして、魔王は魔王としての威厳を取り戻せるのだろうか・・・。
こんなところで、世界制服を目論む魔王軍で人間の秘書が辣腕を振るいまくるコメディ漫画『魔王の秘書』の1巻紹介でした。
読み応えはあり過ぎるぐらい漫画にしては文字が若干多めではありますが、笑いのテンポとノリは素晴らしく、設定のアイデアも面白い。何より秘書が可愛いのはもちろんのこと、やることなすことエゲツないので見ている分には愉快。
2巻以降では魔王と勇者との戦いもあるのでしょうが、これはファンタジーであってもあくまでコメディ。それほど重苦しいシリアス展開にはならないと思います。
とても濃い内容の1巻で満足。これを今後も維持できるのかは不明ですが、それでもこれからの展開が非常に楽しみです。
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