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2024年08月27日

1176番:ピエールとジャン(2)

ピエールとジャン(2)
PIERRE ET JEAN


−−−−−−−−−−【2】−−−−−−−−−−−−

Mᵐᵉ Roland, assoupie à l'arrière du
bateau, à côté de Mᵐᵉ Rosémilly invitée
à cette partie de pêche, se réveilla, et
tournant la tête vers son mari:


−−−−−−−−−−⦅訳⦆−−−−−−−−−−−−

ロラン夫人は艫でこの釣り遊びに誘われたロゼ
ミリー夫人と並んでうたた寝をしていたのですが、
目を覚まして、夫のほうに振り向きました.



−−−−−−−−−〘語句〙−−−−−−−−−−−−

assoupi, e:(形) まどろんでいる、鎮まっている.
  volcan assoupi / 休火山
à l'arrière de:〜のうしろに
bateau:(m) 船、舟、ボート
à côté de:〜のとなりに
Mᵐᵉ Rosémilly:ロゼミリー夫人
invitée:誘われた、誘いを受けた
à cette partie de pêche:この釣り遊びに
se réveilla:(直単過/3単) < se réveiller (pr)
se réveiller:(pr) 目が覚める、起きる
tournant la tête vers son mari:(分詞節)
    夫のほうに振り向いて

1175番:「湖畔」(47)(シュトルム作)

 
湖畔(47)
IMMENSEE(47)


−−−−−−−−−【47】−−−−−−−−−−−−−−−

 Die Abreise rückte heran; vorher aber kam
noch mancher Reim in dem Pergamentband. Das
allein war für Eliusabeth ein Geheimnis, obgleich
sie die Veranlassung zu dem ganzen Buche und
zu den meisten Liedern war, welche nach und
nach fast die Hälfte der weißen Blätter gefüllt
hatten.


−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−

 出発の日が近づきました.しかしその前に、多くの詩
が羊皮紙のノートに書き込まれた* ただそれだけはエリ
ーザベトには秘密だった.もっとも彼女こそがこの本す
べての誘因であり、歌の大部分のもとになっていたのだ
が.その歌は次々にその白い紙の大半のページを埋め尽
くしていた.

  
−−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−

die Abreise:(弱、ただし複数はまれ)出発、旅立ち、
    出立
rückte:(過去) < rücken (自/他) 動く、動かす、ずらす 
heran:(分離前綴り) こちらへ
heran/rücken:辞書不掲載だが、意味は「近づく」で
   あることが推測できる.
vorher:前に、以前に、あらかじめ、
manch:(定冠詞類) かなりの数の;
   本文mancher は男1格
der Reim:[(e)s/e] 韻、韻をもつ短い詩
der Pergamentband:((e)s/¨e) 羊皮紙装丁本
das Geheimnis:(_ses/_se) 秘密、隠しごと
obgleich:(接) 〜にもかかわらず、〜だけれども、
   〜なのに、たとえ〜でも、〜であるにせよ;
   Obgleich er arm ist, ist er doch glücklich.
彼は貧しいけれど、幸福だ.
die Veranlassung:(_/_en) ❶[複なし] 誘因、動機、
   きっかけ
Buche:(単数3格) 本 < das Buch [_(e)s /Bücher]
meisten:(弱複3) < meist 大部分
Liedern:(複数3格) < das Lied [_(e)s/_er]
歌、歌曲、リート
die Hälfte:[_/_n] 半分
Blätter:(複数) < das Blatt [_(e)s/Blätter]
葉、紙
gefüllt:(過去分詞) < füllen (他) を満たす




1174番:ロンドリ姉妹(42)

 
ロンドリ姉妹(42)


−−−−−−−【42】−−−−−−−−−−−−−−−

Le réveil eut lieu comme nous filions le
long du Rhône. Et bientôt le cri continu
des cigales entrant par la portière, ce cri
qui semble la voix de la terre chaude, le
chant de la Provence, nous jeta dans la
figure, dans la poitrine, dans l'âme la gaie
sensation du Midi, saveur du sol brûlé, de
la patrie pierreuse et claire de l'olivier tra-
pu au feuillge vert de gris.


−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

ぼくたちはローヌ川沿いに走っているときに目が覚
めた.まもなく絶え間のないセミの鳴き声が車窓から
入ってきた.まるで熱した大地の声のようだ.プロヴ
ァンスの歌だ.それがぼくたちの体に、胸に、魂に飛
んできて、南仏の陽気な感じを受けた.焦げた土の風
味だった.石だらけで、明かるいずんぐりした青緑色
の生い茂る葉を有するオリーブの木のふるさとの香り
だ.


−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−−

réveil:(m) 目覚め;
  À mon réveil, elle n'était plus là. /
私が目を覚ましたとき、彼女はもういなかった.
eut:(3単単純過去) < avoir
lieu:(m) 場所、ところ
avoir lieu:行なわれる、催される、生じる、起こる
filions:(半過去1複) < filer (自) 矢のように走る、
  矢のように飛ぶ、急いで行く
comme:(接) (ちょうど)〜のときに
long du Rhône:ローヌ川」に沿って
bientôt:(副) まもなく、すぐに、やがて
cri:(m) 叫び、鳴き声、泣き声、声
continu(e):(形) 連続した、切れ目のない、
   とぎれのない、絶え間のない、
cigale:[スィガル](f) セミ(蝉)
le cris des cigales / セミの鳴き声
  le chant des cigales / セミの鳴き声  
entrant:(p.pré) < entrer (自) 入る
portière:(f) ❶[辞書掲載分](乗り物の)ドア、扉、
  昇降口、❷[文脈から類推して] 車窓
chaud(e):(形) 熱い、暑い、暖かい
chant:[シャン](m) 鳴き声、さえずり
Provence:(f) プロヴァンス、南仏、
   南仏の州の旧名称
jeta:(3単単純過去) < jeter (他) 投げる
sensation:(f) 感覚、感じ、
le Midi:南仏
saveur:[サヴール](f) 味、風味
sol:(m) 地面、地表
brûlé(e):(形) 焼けた、焦げた、燃えた;
   du pain brûlé / 焦げたパン
patrie:(f) 祖国、生誕地、生地
pierreux(se):(形) 石ころだらけの、砂利で覆われた、
   石質の、
claire:(形) 明かるい
olivier:[オリヴィエ](m) オリーブの木
trapu(e):(形) 太くて市の低い、ずんぐりした、
feuillge:(m)⦅集合的⦆葉の茂り、葉叢(はむら) 
vert-de-gris:(m) 緑青



1173番:イヴェット(2)(モーパッサン短篇集より)


『イヴェット』(2)
Yvette



−−−−−−【2】−−−−−−−−−−−−−−−−

− Si tu veux, nous irons à pied. Le
temps est trop beau pour prendre un
fiacre.
Et son ami répondit:
 − Je ne demande pas mieux.
Jean reprit:
 −Il est à peine onze heures, nous
arriverons beaucoup avant minuit, allons
donc doucement.


−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

 「よかったら歩いて行かないか? こんな天気の
いい日に辻馬車に乗るなんてもったいないよ.」
その友人が答えた.
 「まだ昼の11時になったばかりだ.夜中まで時
間はたっぷりあるさ.ゆっくり行こうじゃないか.」


−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−

fiacre:(m) 辻馬車、辻馬車の御者
à peine:かろうじて、やっと、…したばかり
minuit:(m) 真夜中、夜の12時

1172番:ナナ(30)(エミール・ゾラ)


Émile Zola
−Nana−

ナナ(30)



−−−−−−−−−【30】−−−−−−−−−−−−−−−−

≪ Fais donc plaisir à Bordenave, appelle
son théâtre comme il te le demande,
puisque ça l'amuse... Et vous, mon cher,
ne nous faites pas poser. Si votre Nana
ne chante ni ne joue, vous aurez un
four, voilà tout. C'est ce que je crains,
d'ailleurs.
 

..−−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−

 「さあ、ボルドナーヴさんを喜ばせてあげな
さいよ. 彼が君にそう呼べっていうのだから、
お望み通りに呼んであげなさいな.それがうれ
しいんだから. それと、あなた、ボルドナー
ヴさん、決めつけないでくれ給え.もしあなた
のナナが歌も芝居もしないのなら、失敗を打つ
ことになるだろうよ.それだけのことさ.もっ
とも、そんなことぼくも願い下げだけどね.」
 
   
..−−−−−−−−−⦅語句⦆−−−−−−−−−−−−−−−

puisque:(接) 〜なんだから.
ne nous faites pas poser:(命令/2複) 辞書不掲載
  字ずらで訳せば;私たちにポーズを取らせるな.
たぶん「はい、わかりました」というポーズ
ばかり取らせるな.暗に反対意見があるぞ、
と言っているのだと思います.
four:[フール](m) ❶かまど;
  ❷(芝居などの)失敗 [劇場の客入りが悪い時は
  場内の照明を消したらしい.それがかまどの中
  のように暗かったことから、興行失敗をfour と
  いうようになったとのこと]
d'ailleurs:もっとも〜ではあるが
 


1171番:ペルル嬢(9)

 
ペルル嬢(9)
モーパッサン作品集より
Mademoiselle Perle
Maupassant


−−−−−−−−−【9】−−−−−−−−−−−−−−−−−−

Mˡˡᵉ Perle, qui a les clefs des armoires de cuisine
(car les armoires au linge sont administrées par la
maîtresse elle- même), Mˡˡᵉ Perle prévient que le
sucre touche à sa fin, que les conserves sont épui-
sées, qu' il ne reste plus grand- chose au fond du
sac à café.


.
..−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−−−−

ペルル嬢は、台所の戸棚の鍵を預かっているので(と
いうのは下着類の箪笥は奥方自らが管理していたので)
ペルル嬢が砂糖がもうなくなりかけているだとか、缶詰
はもう消費してしまったとか、コーヒー袋はもう底で
もうたいして残っていないだとかを予告するのです.



..−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−−−

cuisine:(f) 台所、キッチン
armoire:(f) (壁に固定された)小棚
linge:[ラーンジュ](m) 下着類
sucre:(m) 砂糖
touche:(直現3単) < toucher (自) 近づく 
à sa fin:終わりに
toucher à sa fin:終わりに近づく、なくなりかけている
conserve:(f) 缶詰、瓶詰食品
épuisées:(p.passé) 使い尽くした、売り切れた、刈れた
* épuisement:(m) 使い尽くすこと、品切れ
    < épuiser (他) 使い尽くす、枯渇させる、
prévient:< prévenir (他) 前もって知らせる、予告する
sac à café:コーヒーの袋、一杯入っていると相当重たい
    ので女性ひとりでは運べないかも知れない..



−−−−−−−−−−≪感想≫−−−−−−−−−−−−−−−−

Mˡˡᵉ Perle を「ペルルお嬢さん」と訳しかけたが、シャ
ンタル家の中の話ですから、ご令嬢ではなさそうです.
今の段階では、友人かお手伝いさんかといったところで
しょう.訳本では、ペルルさんとなっていました.日本
語の呼びかけはお手伝いさんには「〜お嬢さん」とは呼
べないので、Mˡˡᵉ は普通に「〜さん」でいいのかも知れ
ません.タイトルで「ペルル嬢」としておりますが、こ
れはこのままにしておきます.


1170番:ボヴァリー夫人(40)


Gustave Flabert
Madam Bovary

ボヴァリー夫人(40)


−−−−−−−−【40】−−−−−−−−−−−−−−

Il l'envoyait se coucher sans feu, lui ap-
prenait à boire de grands coups de rhum
et à insulter les processions. Mais, natu-
rellement paisible, le petit répondait mal à
ses efforts. Sa mère le traînait toujours
après elle; elle lui découpait des cartons,
lui racontait des histoires, s'entretenait avec
lui dans des monologues sans fin, pleins
de gaietés mélancoliques et chatteries babil-
lardes.


.−−−−−−−−−(訳)−−−−−−−−−−−−−−

父は息子を暖房のない部屋に寝に行かせたり、ラ
ム酒のがぶ飲みを教えたり、さらには教会行事の
行列を侮辱することを教えたりしていました.し
かし当然、このおとなしい息子は父の努力には報
いることはできなかった.母はどこへ行くにも、
いつも息子を自分の後ろに歩かせていた;息子に
ボール紙を切り抜いてやった.息子にいくつもお
話を聞かせてやった.際限なく彼女の長広舌だっ
たが息子と話し合いもした.話はペーソスを含ん
だ陽気さと、媚を売るような仕草を交えた饒舌さ
で溢れていた.

 

−−−−−−−−−《語句》−−−−−−−−−−−−−−−

envoyait:(直半過/3単) < envoyer (他)
envoyer:(他) (...へ)[人を]行かせる
envoyer qn + 不定詞:…を…しに行かせる
se coucher:(pr) 寝る
sans feu:❶火がない、❷暖房がない、❸灯りがない
   本文はおそらく❷の意味
apprenait:(直半過/3単) < apprendre
apprendre:(他) 教える、覚えさせる;
apprendre qn à + 不定詞:〜することを教える.
Il m'a appris à jouer au poker. /
彼は私にポーカーのやり方を教えてくれた.
rhum:[ロム](m) ラム酒
boire de grands coups de rhum:ラム酒をがぶ飲みする
lui apprenait à boire de grands coups de rhum:
   息子にラム酒のがぶ飲みを教えていた.
insulter:[アンスュルテ](他) 侮辱する、ののしる.
Il m'a insulta publiquement. /
彼は私を人前で侮辱した.
procession:(f) 行列 (とくに宗教行事の行列)
à insulter les processions:教会の参列を侮辱する
naturellement:(副) ❶当然、もちろん;
   ❷自然に、
paisible:[ペズィーブル](形) 穏やかな、静かな、
温和な、平和な;
sourire paisible / 穏やかな微笑
répondait:(直半過/3単) < répondre (自)
répondre:(自) (à に) 答える;返事をする;
   報いる、応える、応じる  
effort:(m) 努力、苦心
répondait mal à ses efforts:父親のこうした努力
   に応えなかった.
mère:(f) 母、母親、お母さん;
ママと言う場合は maman を用いる.
traînait:(直半過/3単) < traîner 引く、引っぱる
  (人を)連れまわる、
après elle:自分のうしろに
découpait:(直半過/3単) < découper (他)
découper:(他) ❶細かく切る、切り分ける;
❷〜を切り抜く、切り取る;
   découper un article dans un journal /
新聞記事を切り抜く   
carton:(m) ❶厚紙、ボール紙、❷段ボール箱 
racontait:(直半過/3単) < raconter
raconter:(他) 語る、話す;
   La grand-mère raconte des histoires à ses
petits-enfants. / おばあさんが孫たちに
   お話を聞かせる. 
s'entretenait:(直半過/3単) < s'entretener
s'entretener:(de について)話し合う
monologue:(m) ❶モノローグ、独白、一人芝居;
   ❷独り言、(会話を独り占めにした)長広舌
gaieté:[ゲテ](f) 陽気さ、快活さ、楽しさ、上機嫌
mélancolique:(形) 憂鬱な、哀愁を帯びた、
憂鬱そうな、
chatterie:(f) ❶甘いもの、菓子;❷[pl で]媚、
   猫のような態度、振舞い
babillard, e:(形) おしゃべりな、話好きな


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