ノートに書いた証明を LaTeX で書き写す.
圏 $\mathscr{C}$ の骨格 $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ が圏になることの証明.
今日まとめたのは以下のような内容.
$\mathscr{C}$ の対象の全体を $O_0 = \mathrm{Ob}(\mathscr{C})$, 射の全体を $A_0 = \mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ とする.
2 つの対象 $X, Y \in \mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ が同型であるとき,
\begin{equation*}
X \simeq_\mathscr{C} Y \quad\textrm{ in }\,\, \mathscr{C}
\end{equation*}
と表わす. このとき, 関係 $\simeq_\mathscr{C}$ は $O_0 = \mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ 上の同値関係となる.
\begin{equation*}
\hat{O}_{0} = O_0\,\big/\,\simeq_\mathscr{C}
\end{equation*}
とおく.
2 つの射, $(f : X \to Y), (f' : X' \to Y') \in \mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ が同型であるとき, つまり 2 つの $\mathscr{C}$ の同型射 $h : X \to X'$, $k : Y \to Y'$ が存在して図式
\begin{equation*}
\xymatrix@=48pt {
X \ar[d]_{f} \ar[r]^{h} & X' \ar[d]^{f'} \\
Y \ar[r]_{k} & Y'
}
\end{equation*}
が可換となるとき,
\begin{equation*}
f \simeq_{\mathrm{Ar}(\mathscr{C})} f' \quad\mathrm{ in }\,\, \mathrm{Ar}(\mathscr{C})
\end{equation*}
と表わす. このとき, 関係 $\simeq_{\mathrm{Ar}(\mathscr{C})}$ は $A_0 = \mathrm{Ar}(\mathscr{C})$ 上の同値関係となる.
\begin{equation*}
\hat{A}_{0} = A_0\,\big/\,\simeq_{\mathrm{Ar}(\mathscr{C})}
\end{equation*}
とおく.
商空間 $\hat{O}_{0}$ の各同値類 $o \in \hat{O}_{0}$ から代表元 $X_o$ を 1 個ずつ選んで族
\begin{equation*}
O = \{\, X_o \mid o \in \hat{O}_{0} \,\}
\end{equation*}
を作る.
商空間 $\hat{A}_{0}$ から同値類 $\alpha \in \hat{A}_{0}$ をとる. このとき, $\alpha$ の代表元となる射 $f_{\alpha}$ を次のように選ぶことができる.
\begin{equation*}
f_{\alpha} = \begin{cases}
\mathrm{id}_{X} : X \to X & (\text{ある } X \in O \text{ が存在して } \mathrm{id}_{X} \in \alpha \text{ となるとき}) \\
f : X \to Y & (\text{上記以外; ある } X, Y \in O \text{ が存在して, ある } (f : X \to Y) \in \alpha \text{ がとれる })
\end{cases}
\end{equation*}
これにより $\hat{A}_{0}$ の各同値類から 1 つずつ代表元を選んだ集まり
\begin{equation*}
A = \{\, f_{\alpha} \mid \alpha \in \hat{A}_{0} \,\}
\end{equation*}
が構成される.
この $f_{\alpha}$ を定める箇所に相当ひっかかったこともあり, 記述が複雑になっている. 何度も同じ議論をしているし, 直接必要の無いことまで長々と議論して証明していたりしている. 全体的に文章が非常に長くてわかりづらい.
とりあえず, 切るところはどんどん切って整理することはできた.
続きは明日.
2017年07月18日
2017年07月17日
数学のノート
10 時起床.
頓服無しで起きたかったが, 鬱が苦しく頓服を飲んで起き上がった.
数学をやる.
Mac を修理に出している間ずっと, 紙のノートに証明を書いてきた.
それがやっと終わって証明が完成した, と思う. 多分.
ずっと梅雨の時期の体調不良が続いている割には, ここ数日で一気に進んでいたことがわかった.
昼食はキャベツときのこのペペロンチーノ.
午後はノートに書き終えた証明を LaTeX で書いていく.
ノートの内容を確認しながら頭から順に書いていったら, くどい記述や意味が重複する記述が何度も出てくる.
たとえば「式 (5) は図式 (3) が可換図式であることを示す」という記述があったとする. そのしばらく先に図式 (3) の可換性を使う箇所が出てくる. そこでの記述が「式 (5) によって可換であることが示された図式 (3) は」という風にわざわざその意味を強調する文章になっていたり.
ある箇所で導いた結果を別の箇所で使う際に, 再び前と同じやり方で導いていたり.
ある小さな命題を示すのに二通り以上のやり方 (集合の元を使って求める式を導く方法, 図式の可換性を使う方法, 両者を混ぜ合わせた方法, とか) で示していたり.
これは仕方が無い.
証明を考えている中で, 自分が以前導いた結果や, 式や図式を引用する意味がわからなくなり, 納得するために再びその結果を導いてみたり, 過剰にくどい文章で引用を行ったりしないと安心できなかった.
頭がうまく回らなくて論理的に考えることが難しかったりするときには, 特に延々と以前と同じ思考を繰り返したり別のやり方に取り組んだりしてしまうのだ.
それで何度も何度も行ったり来たりしたから, くどくて長くていくつもの重複を含む内容になる.
そういう全体を見返すと何か偏執的というか, 病んだ感じというか. 同じような記述が何処までも何の躊躇いも無く繰り返し書かれたノートは正直なところ, ちょっと気持ちが悪かった.
これは, ある回復の表われでもあるのだろう.
頓服無しで起きたかったが, 鬱が苦しく頓服を飲んで起き上がった.
数学をやる.
Mac を修理に出している間ずっと, 紙のノートに証明を書いてきた.
それがやっと終わって証明が完成した, と思う. 多分.
ずっと梅雨の時期の体調不良が続いている割には, ここ数日で一気に進んでいたことがわかった.
昼食はキャベツときのこのペペロンチーノ.
午後はノートに書き終えた証明を LaTeX で書いていく.
ノートの内容を確認しながら頭から順に書いていったら, くどい記述や意味が重複する記述が何度も出てくる.
たとえば「式 (5) は図式 (3) が可換図式であることを示す」という記述があったとする. そのしばらく先に図式 (3) の可換性を使う箇所が出てくる. そこでの記述が「式 (5) によって可換であることが示された図式 (3) は」という風にわざわざその意味を強調する文章になっていたり.
ある箇所で導いた結果を別の箇所で使う際に, 再び前と同じやり方で導いていたり.
ある小さな命題を示すのに二通り以上のやり方 (集合の元を使って求める式を導く方法, 図式の可換性を使う方法, 両者を混ぜ合わせた方法, とか) で示していたり.
これは仕方が無い.
証明を考えている中で, 自分が以前導いた結果や, 式や図式を引用する意味がわからなくなり, 納得するために再びその結果を導いてみたり, 過剰にくどい文章で引用を行ったりしないと安心できなかった.
頭がうまく回らなくて論理的に考えることが難しかったりするときには, 特に延々と以前と同じ思考を繰り返したり別のやり方に取り組んだりしてしまうのだ.
それで何度も何度も行ったり来たりしたから, くどくて長くていくつもの重複を含む内容になる.
そういう全体を見返すと何か偏執的というか, 病んだ感じというか. 同じような記述が何処までも何の躊躇いも無く繰り返し書かれたノートは正直なところ, ちょっと気持ちが悪かった.
これは, ある回復の表われでもあるのだろう.
2017年06月29日
200 ÷ 11
午後寝込んでいたとき, 気分を落ち着けるためにラジオを流していた.
ニュースで「200 万円を 11 人で分けた」とか言っていたので 2000000 ÷ 11 を計算した. 頭の中に靄がかかっているので大変だ.
\begin{equation*}
200 \div 11 = 18 \cdots 2
\end{equation*}
なので求める解は循環小数
\begin{equation*}
2000000 \div 11 = 181818.1818...
\end{equation*}
になる.
この数は計算機でどう計算されるか考えていたら面白かった.
寝込んでいるときでもこういうことが何とかでもできる程度だとかなり気分が紛れる.
ニュースで「200 万円を 11 人で分けた」とか言っていたので 2000000 ÷ 11 を計算した. 頭の中に靄がかかっているので大変だ.
\begin{equation*}
200 \div 11 = 18 \cdots 2
\end{equation*}
なので求める解は循環小数
\begin{equation*}
2000000 \div 11 = 181818.1818...
\end{equation*}
になる.
この数は計算機でどう計算されるか考えていたら面白かった.
寝込んでいるときでもこういうことが何とかでもできる程度だとかなり気分が紛れる.
2017年06月17日
数学: 圏の骨格 (skeleton) ── 定義に戻ってみる
$\mathscr{C}$ を任意の圏とする.
$\mathscr{C}$ の射の集まり $\mathrm{Ar}({\mathscr{C}})$ に対して次のように定める.
(i) $\mathscr{C}$ の射を対象とする;
(ii) $f : X \to Y$, $g : X' \to Y'$ を $\mathscr{C}$ の 2 つの射とする. $f$ から $g$ への射を, $\mathscr{C}$ の射 $h : X \to X'$, $k : Y \to Y'$ の対 $(h, k)$ で図式
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
X \ar[d]_{f} \ar[r]^{h} & X' \ar[d]^{g} \\
Y \ar[r]_{k} & Y'
}
\end{xy}
\end{equation*}
を可換図式にするものと定義する.
このとき $\mathrm{Ar}({\mathscr{C}})$ は圏となる. これを圏 $\mathscr{C}$ の射圏 (arrow category) と呼ぶ.
$\mathscr{C}$ の対象 $\mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ において, 対象が同型であることは $\mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ における同値関係となる. $\mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ をこの同値関係で割った商空間を $\hat{O}$ とおく.
同様に, $\mathrm{Ar}({\mathscr{C}})$ の対象 $\mathrm{Ob}(\mathrm{Ar}({\mathscr{C}}))$ (つまり $\mathscr{C}$ の射の集まり) において, 対象が同型であることは $\mathrm{Ob}(\mathrm{Ar}({\mathscr{C}}))$ における同値関係となる. $\mathrm{Ob}(\mathrm{Ar}({\mathscr{C}}))$ をこの同値関係で割った商空間を $\hat{A}$ とおく.
$\hat{O}$ と $\hat{A}$ に対して次の操作を行う.
・ $\hat{O}$ の各同値類から $\mathscr{C}$ の対象を 1 個ずつ選ぶ. 結果の集まりを $O$ とおく;
・ $\hat{A}$ の各同値類から $\mathrm{Ar}({\mathscr{C}})$ の対象を 1 個ずつ選ぶ. 結果の集まりを $A$ とおく.
この $O$ と $A$ を適切に定め, 以下の 4 つの関数を適切に定義することより, $O$ を対象, $A$ を射とする圏を構成することができる.
このために,
(1) $d^0, d^1 : A \to O$. ── $A$ に属する任意の射に対して, それぞれ射のソースとターゲットになる $O$ の対象を与える;
(2) $u : O \to A$. ── $O$ に属する任意の対象に対して, その上の恒等射 (identity) を与える;
(3) $m : P \to A$. ここで
\begin{equation*}
P = \left\{\, (f, g) \mid f, g \in A. \, d^0(f) = d^1(g) \,\right\}
\end{equation*}
である ── $A$ の 2 つの射 $f$ と $g$ に対して $f$ のソース $d^0(f) \in O$ と $g$ のターゲット $d^1(g) \in O$ が等しいとき, $f$ と $g$ の射の合成を与える.
このように構成された圏を
\begin{equation*}
\mathrm{sk}(\mathscr{C}) = (A, O, d^0, d^1, u, m)
\end{equation*}
と表わし, 圏 $\mathscr{C}$ の骨格 (skeleton) と呼ぶ.
今やっているのは, $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ の構成と, それが圏であることの証明. ひとまずできたと思うので証明を一から書いている.
$A$ の定義と関数 $m : P \to A$ の定義にかなり苦労した.
こういった苦労は自分としてはいつものことで, 非常に基礎的なところで大きく躓くのである.
$\mathscr{C}$ の射の集まり $\mathrm{Ar}({\mathscr{C}})$ に対して次のように定める.
(i) $\mathscr{C}$ の射を対象とする;
(ii) $f : X \to Y$, $g : X' \to Y'$ を $\mathscr{C}$ の 2 つの射とする. $f$ から $g$ への射を, $\mathscr{C}$ の射 $h : X \to X'$, $k : Y \to Y'$ の対 $(h, k)$ で図式
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
X \ar[d]_{f} \ar[r]^{h} & X' \ar[d]^{g} \\
Y \ar[r]_{k} & Y'
}
\end{xy}
\end{equation*}
を可換図式にするものと定義する.
このとき $\mathrm{Ar}({\mathscr{C}})$ は圏となる. これを圏 $\mathscr{C}$ の射圏 (arrow category) と呼ぶ.
$\mathscr{C}$ の対象 $\mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ において, 対象が同型であることは $\mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ における同値関係となる. $\mathrm{Ob}(\mathscr{C})$ をこの同値関係で割った商空間を $\hat{O}$ とおく.
同様に, $\mathrm{Ar}({\mathscr{C}})$ の対象 $\mathrm{Ob}(\mathrm{Ar}({\mathscr{C}}))$ (つまり $\mathscr{C}$ の射の集まり) において, 対象が同型であることは $\mathrm{Ob}(\mathrm{Ar}({\mathscr{C}}))$ における同値関係となる. $\mathrm{Ob}(\mathrm{Ar}({\mathscr{C}}))$ をこの同値関係で割った商空間を $\hat{A}$ とおく.
$\hat{O}$ と $\hat{A}$ に対して次の操作を行う.
・ $\hat{O}$ の各同値類から $\mathscr{C}$ の対象を 1 個ずつ選ぶ. 結果の集まりを $O$ とおく;
・ $\hat{A}$ の各同値類から $\mathrm{Ar}({\mathscr{C}})$ の対象を 1 個ずつ選ぶ. 結果の集まりを $A$ とおく.
この $O$ と $A$ を適切に定め, 以下の 4 つの関数を適切に定義することより, $O$ を対象, $A$ を射とする圏を構成することができる.
このために,
(1) $d^0, d^1 : A \to O$. ── $A$ に属する任意の射に対して, それぞれ射のソースとターゲットになる $O$ の対象を与える;
(2) $u : O \to A$. ── $O$ に属する任意の対象に対して, その上の恒等射 (identity) を与える;
(3) $m : P \to A$. ここで
\begin{equation*}
P = \left\{\, (f, g) \mid f, g \in A. \, d^0(f) = d^1(g) \,\right\}
\end{equation*}
である ── $A$ の 2 つの射 $f$ と $g$ に対して $f$ のソース $d^0(f) \in O$ と $g$ のターゲット $d^1(g) \in O$ が等しいとき, $f$ と $g$ の射の合成を与える.
このように構成された圏を
\begin{equation*}
\mathrm{sk}(\mathscr{C}) = (A, O, d^0, d^1, u, m)
\end{equation*}
と表わし, 圏 $\mathscr{C}$ の骨格 (skeleton) と呼ぶ.
今やっているのは, $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ の構成と, それが圏であることの証明. ひとまずできたと思うので証明を一から書いている.
$A$ の定義と関数 $m : P \to A$ の定義にかなり苦労した.
こういった苦労は自分としてはいつものことで, 非常に基礎的なところで大きく躓くのである.
2017年06月14日
数学 ── 体調の波とどう付き合えばいいか
7 時半起床.
今朝は疲労感が無い. これだけでも起きるのが楽だ.
数学をやるが, 頭が働かない. 緻密に考えようとすると頭の中がぼんやりとしてしまう. どうしてだろう.
一向に進まないので, 気分転換のつもりでプールに行った.
朝一番なので空いている.
帰宅してまた数学をやる. 不思議なことに今度は集中することができた.
体調不良であまりまとまった時間がとれず, パッチワークのように証明の部分部分を考えていたためだと思うが, 定義の循環があった.
$c$ という関数を使って $d$ という関数を定義した後, その $d$ を使って $c$ を定義している. $c$ の定義にはどうしても関数 $d$ の定義が必要なのに, その $d$ を未定義の $c$ を使って定義してしまっている.
これはよくない.
直した. 関数 $d$ は関数 $c$ を使わなくても定義できる. だから最初に関数 $d$ を, 関数 $c$ を使わずに定義する.
次に関数 $d$ を使って関数 $c$ を定義する.
それから関数 $d$ が $c$ を用いて表わされることを示す. この結果を証明の後半で使う.
これで矛盾は無くなったと思う.
2017 年 6 月 15 日 付記
この部分はさらに整理できる.
今日考えていたら関数 $c$ と関数 $d$ は互いに独立して別個に定義できることに気付いた.
関数 $c$ の定義に関数 $d$ は必須ではない.
別々に定義したほうが証明もすっきりする. その上で $d$ が $c$ を用いて表現できることを示してこの事実を証明に使えば良い.
2017 年 6 月 24 日 付記
さらに簡潔にできる.
今回の証明に限っては, $c$ と $d$ を独立に定義する必要はない.
関数 $c$ を定義し, 関数 $d$ を $c$ を用いて直接定義することで済む.
この他にもまったく証明の中で使わない命題を証明している部分もあった. 何度も証明をやり直しているので以前使っていた命題が残っていたのだろう.
体調は昨日あたりから上向いているようなので, また下降する前に証明を書き上げてしまいたい.
一から見直しながら書き直すことにした.
鬱になる前から自分の思考はこういう鈍さだらけだ.
本当にまとまった時間をかけて考えないと一貫した推論ができない.
だからなおさら鬱で体調の波があったりすると, 余計に証明全体がごちゃごちゃしてしまう.
体調の波の中でもうまく議論を進めていくやり方を身につけたいが, 元が元だからなあ...
昼食は納豆とご飯.
午後からチラシ配りに出かける. 今日は暑くないのでしんどくない.
日が暮れるまで配って帰宅.
夕食は帰る途中のスーパーで買った木綿豆腐と豚挽き肉で麻婆豆腐を作った.
今朝は疲労感が無い. これだけでも起きるのが楽だ.
数学をやるが, 頭が働かない. 緻密に考えようとすると頭の中がぼんやりとしてしまう. どうしてだろう.
一向に進まないので, 気分転換のつもりでプールに行った.
朝一番なので空いている.
帰宅してまた数学をやる. 不思議なことに今度は集中することができた.
体調不良であまりまとまった時間がとれず, パッチワークのように証明の部分部分を考えていたためだと思うが, 定義の循環があった.
$c$ という関数を使って $d$ という関数を定義した後, その $d$ を使って $c$ を定義している. $c$ の定義にはどうしても関数 $d$ の定義が必要なのに, その $d$ を未定義の $c$ を使って定義してしまっている.
これはよくない.
直した. 関数 $d$ は関数 $c$ を使わなくても定義できる. だから最初に関数 $d$ を, 関数 $c$ を使わずに定義する.
次に関数 $d$ を使って関数 $c$ を定義する.
それから関数 $d$ が $c$ を用いて表わされることを示す. この結果を証明の後半で使う.
これで矛盾は無くなったと思う.
2017 年 6 月 15 日 付記
この部分はさらに整理できる.
今日考えていたら関数 $c$ と関数 $d$ は互いに独立して別個に定義できることに気付いた.
関数 $c$ の定義に関数 $d$ は必須ではない.
別々に定義したほうが証明もすっきりする. その上で $d$ が $c$ を用いて表現できることを示してこの事実を証明に使えば良い.
2017 年 6 月 24 日 付記
さらに簡潔にできる.
今回の証明に限っては, $c$ と $d$ を独立に定義する必要はない.
関数 $c$ を定義し, 関数 $d$ を $c$ を用いて直接定義することで済む.
この他にもまったく証明の中で使わない命題を証明している部分もあった. 何度も証明をやり直しているので以前使っていた命題が残っていたのだろう.
体調は昨日あたりから上向いているようなので, また下降する前に証明を書き上げてしまいたい.
一から見直しながら書き直すことにした.
鬱になる前から自分の思考はこういう鈍さだらけだ.
本当にまとまった時間をかけて考えないと一貫した推論ができない.
だからなおさら鬱で体調の波があったりすると, 余計に証明全体がごちゃごちゃしてしまう.
体調の波の中でもうまく議論を進めていくやり方を身につけたいが, 元が元だからなあ...
昼食は納豆とご飯.
午後からチラシ配りに出かける. 今日は暑くないのでしんどくない.
日が暮れるまで配って帰宅.
夕食は帰る途中のスーパーで買った木綿豆腐と豚挽き肉で麻婆豆腐を作った.
2017年06月09日
数学: 20 までの九九
午後の診察の待ち時間にちょっと計算をやった.
昨日か一昨日, 寝込んでいるときにラジオのある番組で, インドでは子供たちに 20 までの九九を教えていると聞いた. 丸暗記するのかどうかは知らないが, 丸暗記しなくても 20 までの掛け算を楽に計算できる方法は無いかと少し考えてみた.
結論から言うと, とりあえず以下の程度くらいのやり方は考えついた. これは少し数学に興味がある人ならすぐに思い付くだろう.
20 までの九九の計算が少しだけ便利になるので書き留めておく.
何を今さらと言う人は多そうだが自分のメモとして...
(1) $1,..., 20$ までの各数の $2$ 乗を覚えておく.
\begin{align*}
1^2 &= 1 \\
2^2 &= 4 \\
3^2 &= 9 \\
4^2 &= 16 \\
5^2 &= 25 \\
6^2 &= 36 \\
7^2 &= 49 \\
8^2 &= 64 \\
9^2 &= 81 \\
10^2 &= 100 \\
11^2 &= 121 \\
12^2 &= 144 \\
13^2 &= 169 \\
14^2 &= 196 \\
15^2 &= 225 \\
16^2 &= 256 \\
17^2 &= 289 \\
18^2 &= 324 \\
19^2 &= 361 \\
20^2 &= 400
\end{align*}
(2) 20 以下の 2 つの異なる数の計算: その 1
2 つの数 $m$ と $n$ の差が偶数のとき, 因数分解の公式
\begin{equation*}
(a + b)(a - b) = a^2 - b^2
\end{equation*}
を使う. たとえば
\begin{align*}
19 \cdot 13 &= (16 + 3)(16 - 3) = 256 - 9 = 247 \\
16 \cdot 12 &= (14 + 2)(14 - 2) = 196 - 4 = 192 \\
17 \cdot 15 &= (16 + 1)(16 - 1) = 255 - 6 = 255
\end{align*}
(3) 20 以下の 2 つの異なる数の計算: その 2
2 つの数 $m$ と $n$ の差が奇数のとき $\Rightarrow$ その 1 を使う. たとえば
\begin{align*}
18 \cdot 13 &= (15 + 3)[(15 - 3) + 1] = (15 + 3)(15 - 3) + 18 \\
&= (225 - 9) + 18 = 216 + 18 = 234 \\
16 \cdot 11 &= (13 + 3)[(13 - 3) + 1] = (13 + 3)(13 - 3) + 16 \\
&= (169 - 9) + 16 = 160 + 16 = 176 \\
13 \cdot 12 &= (12 + 1)[(12 - 1) + 1] = (12 + 1)(12 - 1) + 13 \\
&= (144 - 1) + 13 = 143 + 13 = 156
\end{align*}
この 2 番目と 3 番目はそれぞれ
\begin{align*}
16 \cdot 11 &= 16 \cdot 10 + 16 = 176 \\
13 \cdot 12 &= 12^2 + 12 = 144 + 12 = 156
\end{align*}
のように計算したほうが楽のような気もする. しかしとりあえずこういう風な感じでできるというのを書き下してみた.
もうちょっとうまい方法があるかも知れない.
面白いのでまた気が空いた時間ができたら考えてみる. 20 以下にこだわる必要も無いしね.
2017 年 6 月 11 日付記:
(4) 20 以下の 2 つの異なる数の計算: その 3
2 つの数 $m$ と $n$ の差が奇数のときの別のやり方.
$m \gt n$ とする. $m$ と $n$ の差が奇数だからある正の整数 $k$ が存在して
\begin{equation*}
m - n = 2k + 1
\end{equation*}
と表わすことができる. ここで
\begin{equation*}
h = m - k - 1 = n + k
\end{equation*}
とおくと
\begin{align*}
m \cdot n &= (m - k - 1 + k + 1)(n + k - k) = ((h + 1) + k)(h - k) \\
&= h(h + 1) - k(k + 1)
\end{align*}
が成り立つ. こちらの計算方法を使うほうが自分にとっては (3) より計算しやすい.
\begin{align*}
18 \cdot 13 &= (16 + 2)(15 - 2) = 15 \cdot 16 - 2 \cdot 3 \\
&= 240 - 6 = 234 \\
16 \cdot 11 &= (14 + 2)(13 - 2) = 13 \cdot 14 - 2 \cdot 3 \\
&= 182 - 6 = 176 \\
13 \cdot 12 &= (13 + 0)(12 - 0) = 12 \cdot 13 - 0 \cdot 1 \\
&= 156 - 0 = 156
\end{align*}
昨日か一昨日, 寝込んでいるときにラジオのある番組で, インドでは子供たちに 20 までの九九を教えていると聞いた. 丸暗記するのかどうかは知らないが, 丸暗記しなくても 20 までの掛け算を楽に計算できる方法は無いかと少し考えてみた.
結論から言うと, とりあえず以下の程度くらいのやり方は考えついた. これは少し数学に興味がある人ならすぐに思い付くだろう.
20 までの九九の計算が少しだけ便利になるので書き留めておく.
何を今さらと言う人は多そうだが自分のメモとして...
(1) $1,..., 20$ までの各数の $2$ 乗を覚えておく.
\begin{align*}
1^2 &= 1 \\
2^2 &= 4 \\
3^2 &= 9 \\
4^2 &= 16 \\
5^2 &= 25 \\
6^2 &= 36 \\
7^2 &= 49 \\
8^2 &= 64 \\
9^2 &= 81 \\
10^2 &= 100 \\
11^2 &= 121 \\
12^2 &= 144 \\
13^2 &= 169 \\
14^2 &= 196 \\
15^2 &= 225 \\
16^2 &= 256 \\
17^2 &= 289 \\
18^2 &= 324 \\
19^2 &= 361 \\
20^2 &= 400
\end{align*}
(2) 20 以下の 2 つの異なる数の計算: その 1
2 つの数 $m$ と $n$ の差が偶数のとき, 因数分解の公式
\begin{equation*}
(a + b)(a - b) = a^2 - b^2
\end{equation*}
を使う. たとえば
\begin{align*}
19 \cdot 13 &= (16 + 3)(16 - 3) = 256 - 9 = 247 \\
16 \cdot 12 &= (14 + 2)(14 - 2) = 196 - 4 = 192 \\
17 \cdot 15 &= (16 + 1)(16 - 1) = 255 - 6 = 255
\end{align*}
(3) 20 以下の 2 つの異なる数の計算: その 2
2 つの数 $m$ と $n$ の差が奇数のとき $\Rightarrow$ その 1 を使う. たとえば
\begin{align*}
18 \cdot 13 &= (15 + 3)[(15 - 3) + 1] = (15 + 3)(15 - 3) + 18 \\
&= (225 - 9) + 18 = 216 + 18 = 234 \\
16 \cdot 11 &= (13 + 3)[(13 - 3) + 1] = (13 + 3)(13 - 3) + 16 \\
&= (169 - 9) + 16 = 160 + 16 = 176 \\
13 \cdot 12 &= (12 + 1)[(12 - 1) + 1] = (12 + 1)(12 - 1) + 13 \\
&= (144 - 1) + 13 = 143 + 13 = 156
\end{align*}
この 2 番目と 3 番目はそれぞれ
\begin{align*}
16 \cdot 11 &= 16 \cdot 10 + 16 = 176 \\
13 \cdot 12 &= 12^2 + 12 = 144 + 12 = 156
\end{align*}
のように計算したほうが楽のような気もする. しかしとりあえずこういう風な感じでできるというのを書き下してみた.
もうちょっとうまい方法があるかも知れない.
面白いのでまた気が空いた時間ができたら考えてみる. 20 以下にこだわる必要も無いしね.
2017 年 6 月 11 日付記:
(4) 20 以下の 2 つの異なる数の計算: その 3
2 つの数 $m$ と $n$ の差が奇数のときの別のやり方.
$m \gt n$ とする. $m$ と $n$ の差が奇数だからある正の整数 $k$ が存在して
\begin{equation*}
m - n = 2k + 1
\end{equation*}
と表わすことができる. ここで
\begin{equation*}
h = m - k - 1 = n + k
\end{equation*}
とおくと
\begin{align*}
m \cdot n &= (m - k - 1 + k + 1)(n + k - k) = ((h + 1) + k)(h - k) \\
&= h(h + 1) - k(k + 1)
\end{align*}
が成り立つ. こちらの計算方法を使うほうが自分にとっては (3) より計算しやすい.
\begin{align*}
18 \cdot 13 &= (16 + 2)(15 - 2) = 15 \cdot 16 - 2 \cdot 3 \\
&= 240 - 6 = 234 \\
16 \cdot 11 &= (14 + 2)(13 - 2) = 13 \cdot 14 - 2 \cdot 3 \\
&= 182 - 6 = 176 \\
13 \cdot 12 &= (13 + 0)(12 - 0) = 12 \cdot 13 - 0 \cdot 1 \\
&= 156 - 0 = 156
\end{align*}
2017年05月31日
数学: 圏の骨格の定義
今日までで圏の骨格 (skeleton) を圏として構成する問題で, 対象の集まりと射の集まりを定義するところまで辿り着いた.
対象と射の定義は何度もやり直している. 今回の定義も明日以降に慎重に見直してみないといけない.
後は圏の要件となる 4 つの関数を定義して 4 種類の図式の可換性を示せばよい (†).
†: 圏の要件となる 4 つの関数とそれらが満たす 4 種類の図式
$\mathscr{C}$ を任意の圏とする.
圏の骨格の射の集まりを $A$, 対象の集まりを $O$ とおく.
4 つの関数 $d^0$, $d^1$, $u$, $m$ は以下のように定義される.
(1) $d^0, d^1 : A \to O$
$A$ に属する任意の射 $f : X \to Y$ に対してそのソースとターゲットを与える:
\begin{equation*}
d^0(f) = X, \quad d^1(f) = Y
\end{equation*}
(2) $u : O \to A$
$O$ に属する任意の対象 $X$ に対してその上の恒等射を与える:
\begin{equation*}
u(X) = (\mathrm{id}_{X} : X \to X)
\end{equation*}
(3) $m : P \to A$
集まり $P$ を
\begin{equation*}
P = \left\{\, (f, g) \mid f, g \in A,\, d^0(f) = d^1(g) \,\right\}
\end{equation*}
と定義する. $(f, g) \in P$ ならば $f$ のソースと $g$ のターゲットは等しく射の合成が可能である. その $f$ と $g$ の合成を与える.
\begin{equation*}
m(f, g) = f \circ g
\end{equation*}
圏 $\mathscr{C}$ の骨格 (skeleton) $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ を 6 つ組
\begin{equation*}
\mathrm{sk}(\mathscr{C}) = (A, O, d^0, d^1, u, m)
\end{equation*}
として定義する.
$\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ が以下の4 種類の図式を可換にするならば $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ は圏である (図式による圏の定義).
(1) 恒等射のソースとターゲットが等しいことを示す図式:
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
A \ar[rd]_{d^0} & O \ar[l]_{u} \ar[d]^{\mathrm{id}_{O}} \ar[r]^{u} & A \ar[ld]^{d^1} \\
~ & O &
}
\end{xy}
\end{equation*}
(2) 射 $f$ と $g$ の合成 $m(f, g) = f \circ g$ のソースは $g$ のソースに等しく, ターゲットは $f$ のターゲットに等しいことを示す 2 つの図式 (以下の図式において $p_1, p_2$ は座標関数 ── $p_1(f, g) = f$, $\,p_2(f, g) = g$):
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
P \ar[d]_{m} \ar[r]^{p_2} & A \ar[d]^{d^0} & P \ar[d]_{m} \ar[r]^{p_1} & A \ar[d]^{d^1} \\
A \ar[r]_{d^0} & O & A \ar[r]_{d^1} & O
}
\end{xy}
\end{equation*}
(3) 任意の射に対して右から恒等射を合成した結果および左から恒等射を合成した結果はどちらも元の射に等しいことを示す図式:
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
A \ar[r]^{(\mathrm{id}_{A}, u \circ d^0)} \ar[rd]_{\mathrm{id}_{A}} & P \ar[d]^{m} & A \ar[l]_{(u \circ d^1, \mathrm{id}_{A})} \ar[ld]^{\mathrm{id}_{A}} \\
~ & A &
}
\end{xy}
\end{equation*}
(4) 射の合成が結合律を満たすことを示す図式 (ここで集まり $Q$ を
\begin{equation*}
Q = \left\{\, (f, g, h) \mid f, g, h \in A,\, d^0(f) = d^1(g),\, d^0(g) = d^1(h) \,\right\}
\end{equation*}
として定義する):
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
Q \ar[d]_{m \times \mathrm{id}_{A}} \ar[r]^{\mathrm{id}_{A} \times m} & P \ar[d]^{m} \\
P \ar[r]_{m} & A
}
\end{xy}
\end{equation*}
対象と射の定義は何度もやり直している. 今回の定義も明日以降に慎重に見直してみないといけない.
後は圏の要件となる 4 つの関数を定義して 4 種類の図式の可換性を示せばよい (†).
†: 圏の要件となる 4 つの関数とそれらが満たす 4 種類の図式
$\mathscr{C}$ を任意の圏とする.
圏の骨格の射の集まりを $A$, 対象の集まりを $O$ とおく.
4 つの関数 $d^0$, $d^1$, $u$, $m$ は以下のように定義される.
(1) $d^0, d^1 : A \to O$
$A$ に属する任意の射 $f : X \to Y$ に対してそのソースとターゲットを与える:
\begin{equation*}
d^0(f) = X, \quad d^1(f) = Y
\end{equation*}
(2) $u : O \to A$
$O$ に属する任意の対象 $X$ に対してその上の恒等射を与える:
\begin{equation*}
u(X) = (\mathrm{id}_{X} : X \to X)
\end{equation*}
(3) $m : P \to A$
集まり $P$ を
\begin{equation*}
P = \left\{\, (f, g) \mid f, g \in A,\, d^0(f) = d^1(g) \,\right\}
\end{equation*}
と定義する. $(f, g) \in P$ ならば $f$ のソースと $g$ のターゲットは等しく射の合成が可能である. その $f$ と $g$ の合成を与える.
\begin{equation*}
m(f, g) = f \circ g
\end{equation*}
圏 $\mathscr{C}$ の骨格 (skeleton) $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ を 6 つ組
\begin{equation*}
\mathrm{sk}(\mathscr{C}) = (A, O, d^0, d^1, u, m)
\end{equation*}
として定義する.
$\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ が以下の4 種類の図式を可換にするならば $\mathrm{sk}(\mathscr{C})$ は圏である (図式による圏の定義).
(1) 恒等射のソースとターゲットが等しいことを示す図式:
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
A \ar[rd]_{d^0} & O \ar[l]_{u} \ar[d]^{\mathrm{id}_{O}} \ar[r]^{u} & A \ar[ld]^{d^1} \\
~ & O &
}
\end{xy}
\end{equation*}
(2) 射 $f$ と $g$ の合成 $m(f, g) = f \circ g$ のソースは $g$ のソースに等しく, ターゲットは $f$ のターゲットに等しいことを示す 2 つの図式 (以下の図式において $p_1, p_2$ は座標関数 ── $p_1(f, g) = f$, $\,p_2(f, g) = g$):
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
P \ar[d]_{m} \ar[r]^{p_2} & A \ar[d]^{d^0} & P \ar[d]_{m} \ar[r]^{p_1} & A \ar[d]^{d^1} \\
A \ar[r]_{d^0} & O & A \ar[r]_{d^1} & O
}
\end{xy}
\end{equation*}
(3) 任意の射に対して右から恒等射を合成した結果および左から恒等射を合成した結果はどちらも元の射に等しいことを示す図式:
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
A \ar[r]^{(\mathrm{id}_{A}, u \circ d^0)} \ar[rd]_{\mathrm{id}_{A}} & P \ar[d]^{m} & A \ar[l]_{(u \circ d^1, \mathrm{id}_{A})} \ar[ld]^{\mathrm{id}_{A}} \\
~ & A &
}
\end{xy}
\end{equation*}
(4) 射の合成が結合律を満たすことを示す図式 (ここで集まり $Q$ を
\begin{equation*}
Q = \left\{\, (f, g, h) \mid f, g, h \in A,\, d^0(f) = d^1(g),\, d^0(g) = d^1(h) \,\right\}
\end{equation*}
として定義する):
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
Q \ar[d]_{m \times \mathrm{id}_{A}} \ar[r]^{\mathrm{id}_{A} \times m} & P \ar[d]^{m} \\
P \ar[r]_{m} & A
}
\end{xy}
\end{equation*}
2017年04月30日
数学: 図式を描くための TeX マクロ ── diagxy
数学の勉強で LaTeX を使っている. 圏論の本を読んでいるので図式を描くことが頻繁にある.
自分はこのために XY-pic というグラフィックスパッケージを使っている. これ自体で図式は描けるのだが複雑なので, 図式を描くことに特化した xymatrix という XY-pic のマクロパッケージがある.
xymatrix パッケージは習得も早く使いやすいので現在でも使っている.
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
X \ar[r]^{h} \ar[d]_{f} & X' \ar[d]^{g} \\
Y \ar[r]_{k} & Y'
}
\end{xy}
\end{equation*}
のような図式を描くには大雑把には
のように記述すればよい.
しかしちょっと前から xymatrix の代わりに diagxy というパッケージを使い始めた. diagxy パッケージも XY-pic のマクロパッケージだが, 図式の形, 矢印の形状や記号の配置などの自由度が高い. そのために凝った図式を描く場合に利点がある.
実際に使い始めてみるとなかなか複雑で, 正直うんざりしてきていたのだが今日わかったことがある.
実は diagxy というのは射にあたる矢印を描く
という命令だけ使いこなせば良い.
ここで $(x,y)$ は矢印の始点で, 終点は $(x+dx,y+dy)$ で与えられる.
$|p|$ は射のどの位置に記号 ($f$ とか $g$ とか) を配置するかを指定する ($a$: 射の上; $b$: 射の下; $l$: 射の左; $r$: 射の右; $m$: 射の真ん中).
$/\{sh\}/$ は射の形状を指定する. たとえば $\to$ のような形状は $/>/$ で指定できる.
$[N`N;L]$ は射のソースとターゲット, それから射の名前を指定する.
だから
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
X \ar[r]^{f} & Y
}
\end{xy}
\end{equation*}
というような射は
のように記述すれば描ける.
他の命令はすべて
こう考えると楽だ. 全体の見通しがよくなる.
時間は非常にかかったがやっと一歩進む. いつものことだがとにかく時間がかかるのだ.
自分はこのために XY-pic というグラフィックスパッケージを使っている. これ自体で図式は描けるのだが複雑なので, 図式を描くことに特化した xymatrix という XY-pic のマクロパッケージがある.
xymatrix パッケージは習得も早く使いやすいので現在でも使っている.
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
X \ar[r]^{h} \ar[d]_{f} & X' \ar[d]^{g} \\
Y \ar[r]_{k} & Y'
}
\end{xy}
\end{equation*}
のような図式を描くには大雑把には
\xymatrix {
X \ar[r]^{h} \ar[d]_{f} & X' \ar[d]^{g} \\
Y \ar[r]_{k} & Y'
}
のように記述すればよい.
しかしちょっと前から xymatrix の代わりに diagxy というパッケージを使い始めた. diagxy パッケージも XY-pic のマクロパッケージだが, 図式の形, 矢印の形状や記号の配置などの自由度が高い. そのために凝った図式を描く場合に利点がある.
実際に使い始めてみるとなかなか複雑で, 正直うんざりしてきていたのだが今日わかったことがある.
実は diagxy というのは射にあたる矢印を描く
\morphism(x,y)|p|/{sh}/<dx,dy>[N`N;L]
という命令だけ使いこなせば良い.
ここで $(x,y)$ は矢印の始点で, 終点は $(x+dx,y+dy)$ で与えられる.
$|p|$ は射のどの位置に記号 ($f$ とか $g$ とか) を配置するかを指定する ($a$: 射の上; $b$: 射の下; $l$: 射の左; $r$: 射の右; $m$: 射の真ん中).
$/\{sh\}/$ は射の形状を指定する. たとえば $\to$ のような形状は $/>/$ で指定できる.
$[N`N;L]$ は射のソースとターゲット, それから射の名前を指定する.
だから
\begin{equation*}
\begin{xy}
\xymatrix@=48pt {
X \ar[r]^{f} & Y
}
\end{xy}
\end{equation*}
というような射は
\morphism(0,0)|a|/>/<700,0>[X`Y;f]
のように記述すれば描ける.
他の命令はすべて
\morphism
命令を組み合わせて名前を付けて作られている.こう考えると楽だ. 全体の見通しがよくなる.
時間は非常にかかったがやっと一歩進む. いつものことだがとにかく時間がかかるのだ.
2017年04月26日
数学: 順序の例
昨日勉強した前順序に関連して.
定義. $X$ を集合とし, $\le$ を $X$ 上の 2 項関係とする. $a, b, c$ を $X$ の任意の元とする.
I. $\le$ が以下を満たすとき 前順序 (preorder) と呼ぶ:
(i) $a \le a$ (反射率);
(ii) $a \le b$ かつ $b \le c$ ならば $a \le c$ (推移律).
II. $\le$ が以下を満たすとき 半順序 (partial order) と呼ぶ.
(i) $a \le a$ (反射率);
(ii) $a \le b$ かつ $b \le c$ ならば $a \le c$ (推移律);
(iii) $a \le b$ かつ $b \le a$ ならば $a = b$ (反対称律).
III. $\le$ が以下を満たすとき 全順序 (total order) と呼ぶ:
(i) $a \le a$ (反射率);
(ii) $a \le b$ かつ $b \le c$ ならば $a \le c$ (推移律);
(iii) $a \le b$ かつ $b \le a$ ならば $a = b$ (反対称律);
(iv) $a \le b$ または $b \le a$ (完全律).
※: Wikipedia より引用.
$P$ を整数全体の集合 $\mathbb{Z}$ の有限部分集合を元とする集合とする. つまり
\begin{equation*}
P = \left\{\, x \mid x \subset \mathbb{Z},\, x \,\text{は有限集合} \,\right\}
\end{equation*}
$P$ にいろいろな順序を入れてどのような順序集合になるかを見てみた.
(1) $x, y \in P$ に対して $x \subset y$ ならば $x \le_1 y$ と表わす. $\le_1$ は前順序であり半順序であるが, 完全律を満たさないので全順序ではない.
(2) $x, y \in P$ に対して単射 $x \hookrightarrow y$ が存在するならば $x \le_2 y$ と表わす. $\le_2$ は前順序であり完全律を満たすが反対称律を満たさないので半順序ではなく, よって全順序でもない.
(3) 有限集合 $x \in P$ の要素の数を $\mathrm{card}(x)$ で表わすことにする. $x, y \in P$ に対して $\mathrm{card}(x) \le \mathrm{card}(y)$ のとき $x \le_3 y$ と表わす. $\le_3$ は前順序であり完全律を満たすが反対称律を満たさないので半順序ではなく, よって全順序でもない.
(4) $\mathrm{card}(x)$ の値は非負整数となる. ここで $x$ に対して
\begin{equation*}
m(x) = \begin{cases}
\tan\left(\dfrac{\mathrm{card}(x)\cdot\pi}{4}\right) & (\mathrm{card}(x) \neq 4n+2 \,(n=0,1,2,...)), \\
\text{不定} & (\mathrm{card}(x) = 4n+2 \,(n=0,1,2,...))
\end{cases}
\end{equation*}
と定義する. $x, y \in P$ に対して $m(x)$, $m(y)$ が共に不定でなく, かつ $m(x) \le m(y)$ のとき $x \le_4 y$ と表わす. $x \in P$ に対して $m(x)$ が不定のとき $x \le_4 x$ と表わす. $\le_4$ は前順序だが反対称律と完全律を満たさないので半順序でも全順序でもない.
(5) 素数を小さな方から順に並べて数列 $\left\{\, p_i \,\right\} \,(i=1,2,...)$ を作る. $p_1=2,\, p_2=3,\, p_3=5,\, p_4=7,...$ である. $x \in P$ に対して, $x$ の元を小さい方から順に並べた結果を
\begin{equation*}
x = \left\{\, a_1, a_2, a_3,..., a_n \,\right\} \quad (n = \mathrm{card}(x))
\end{equation*}
とし, これを用いて
\begin{equation*}
m(x) = {p_1}^{a_1}{p_2}^{a_2}\cdots{p_n}^{a_n}
\end{equation*}
と定義する. $x, y \in P$ に対して, $m(x) \le m(y)$ のとき, $x \le_5 y$ と表わす. $\le_5$ は全順序である.
定義. $X$ を集合とし, $\le$ を $X$ 上の 2 項関係とする. $a, b, c$ を $X$ の任意の元とする.
I. $\le$ が以下を満たすとき 前順序 (preorder) と呼ぶ:
(i) $a \le a$ (反射率);
(ii) $a \le b$ かつ $b \le c$ ならば $a \le c$ (推移律).
II. $\le$ が以下を満たすとき 半順序 (partial order) と呼ぶ.
(i) $a \le a$ (反射率);
(ii) $a \le b$ かつ $b \le c$ ならば $a \le c$ (推移律);
(iii) $a \le b$ かつ $b \le a$ ならば $a = b$ (反対称律).
III. $\le$ が以下を満たすとき 全順序 (total order) と呼ぶ:
(i) $a \le a$ (反射率);
(ii) $a \le b$ かつ $b \le c$ ならば $a \le c$ (推移律);
(iii) $a \le b$ かつ $b \le a$ ならば $a = b$ (反対称律);
(iv) $a \le b$ または $b \le a$ (完全律).
※: Wikipedia より引用.
$P$ を整数全体の集合 $\mathbb{Z}$ の有限部分集合を元とする集合とする. つまり
\begin{equation*}
P = \left\{\, x \mid x \subset \mathbb{Z},\, x \,\text{は有限集合} \,\right\}
\end{equation*}
$P$ にいろいろな順序を入れてどのような順序集合になるかを見てみた.
(1) $x, y \in P$ に対して $x \subset y$ ならば $x \le_1 y$ と表わす. $\le_1$ は前順序であり半順序であるが, 完全律を満たさないので全順序ではない.
(2) $x, y \in P$ に対して単射 $x \hookrightarrow y$ が存在するならば $x \le_2 y$ と表わす. $\le_2$ は前順序であり完全律を満たすが反対称律を満たさないので半順序ではなく, よって全順序でもない.
(3) 有限集合 $x \in P$ の要素の数を $\mathrm{card}(x)$ で表わすことにする. $x, y \in P$ に対して $\mathrm{card}(x) \le \mathrm{card}(y)$ のとき $x \le_3 y$ と表わす. $\le_3$ は前順序であり完全律を満たすが反対称律を満たさないので半順序ではなく, よって全順序でもない.
(4) $\mathrm{card}(x)$ の値は非負整数となる. ここで $x$ に対して
\begin{equation*}
m(x) = \begin{cases}
\tan\left(\dfrac{\mathrm{card}(x)\cdot\pi}{4}\right) & (\mathrm{card}(x) \neq 4n+2 \,(n=0,1,2,...)), \\
\text{不定} & (\mathrm{card}(x) = 4n+2 \,(n=0,1,2,...))
\end{cases}
\end{equation*}
と定義する. $x, y \in P$ に対して $m(x)$, $m(y)$ が共に不定でなく, かつ $m(x) \le m(y)$ のとき $x \le_4 y$ と表わす. $x \in P$ に対して $m(x)$ が不定のとき $x \le_4 x$ と表わす. $\le_4$ は前順序だが反対称律と完全律を満たさないので半順序でも全順序でもない.
(5) 素数を小さな方から順に並べて数列 $\left\{\, p_i \,\right\} \,(i=1,2,...)$ を作る. $p_1=2,\, p_2=3,\, p_3=5,\, p_4=7,...$ である. $x \in P$ に対して, $x$ の元を小さい方から順に並べた結果を
\begin{equation*}
x = \left\{\, a_1, a_2, a_3,..., a_n \,\right\} \quad (n = \mathrm{card}(x))
\end{equation*}
とし, これを用いて
\begin{equation*}
m(x) = {p_1}^{a_1}{p_2}^{a_2}\cdots{p_n}^{a_n}
\end{equation*}
と定義する. $x, y \in P$ に対して, $m(x) \le m(y)$ のとき, $x \le_5 y$ と表わす. $\le_5$ は全順序である.
2017年04月21日
HP-42S: 数値の表示形式 ── ALL (全表示モード) の続き
昨日, HP-42S の数値表示のうち, ALL (全表示モード) と呼ばれる表示形式についてまとめた.
絶対値が 1 兆未満まで表示できる. 1 兆という数が扱えるのは物凄い気がするが実際に書き下してみると意外に小さい.
面白いのは, 扱う数値の大きさによって表示される数の間隔が異なってくるということである.
考えてみれば 12 桁という空間を使って表示を行えば, 小数点の位置によって表示される数の間隔が変化するのは当然である.
けれど頭の中で数直線 $\mathbb{R}$ 上に表示可能な数値をプロットしてみると, 場所によってプロットされる数値の密度が変わってくることになって不思議なイメージだ.
絶対値が 1 兆未満まで表示できる. 1 兆という数が扱えるのは物凄い気がするが実際に書き下してみると意外に小さい.
面白いのは, 扱う数値の大きさによって表示される数の間隔が異なってくるということである.
考えてみれば 12 桁という空間を使って表示を行えば, 小数点の位置によって表示される数の間隔が変化するのは当然である.
けれど頭の中で数直線 $\mathbb{R}$ 上に表示可能な数値をプロットしてみると, 場所によってプロットされる数値の密度が変わってくることになって不思議なイメージだ.
数値の大きさ (絶対値) | 数値間隔 |
---|---|
$0 \le x \lt 10:$ | $10^{-11}=0.00000000001$ |
$10 \le x \lt 100:$ | $10^{-10}=0.0000000001$ |
$100 \le x \lt 1,000:$ | $10^{-9}=0.000000001$ |
$1,000 \le x \lt 10,000:$ | $10^{-8}=0.00000001$ |
$10,000 \le x \lt 100,000:$ | $10^{-7}=0.0000001$ |
$100,000 \le x \lt 1,000,000:$ | $10^{-6}=0.000001$ |
$1,000,000 \le x \lt 10,000,000:$ | $10^{-5}=0.00001$ |
$10,000,000 \le x \lt 100,000,000:$ | $10^{-4}=0.0001$ |
$100,000,000 \le x \lt 1,000,000,000:$ | $10^{-3}=0.001$ |
$1,000,000,000 \le x \lt 10,000,000,000:$ | $10^{-2}=0.01$ |
$10,000,000,000 \le x \lt 100,000,000,000:$ | $10^{-1}=0.1$ |
$100,000,000,000 \le x \lt 1,000,000,000,000:$ | $10^{0}=1$ |