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2022年01月03日

Emacs: Emacs HEAD のインストール

OpenBSD / Mac Pro に Emacs HEAD (現時点では Emacs29) のインストールを行った.

基本的な作業の流れは以下の通り:

$ ./autogen.sh
$ ./configure
$ make
# make install

いくつか引っ掛かった点をまとめておく.

● 環境変数 AUTOCONF_VERSION, AUTOMAKE_VERSION の設定

何もせずに

./autogen.sh

を実行すると

Checking for autoconf (need at least version 2.65) ... broken?

のようなメッセージが出力されてエラーになる.
これを回避するために autogen.sh を実行する前に環境変数 AUTOCONF_VERSION, AUTOMAKE_VERSION を設定しておく.

$ export AUTOCONF_VERSION="2.71"
$ export AUTOMAKE_VERSION="1.16"

これで autogen.sh が正常に実行されるようになる.

● makeinfo のバージョンが古い問題

./configure

を実行すると

configure: error: You do not seem to have makeinfo >= 4.13,
and your source tree does not seem to have pre-built manuals
in the 'info' directory.
Please install a suitable version of makeinfo.

のようなメッセージが出力されてエラーになる.
つまり, システムにインストールされている makeinfo (バージョン 4.8) が古く, バージョンは 4.13 以上でなければならないと言っている.

makeinfo は Texinfo ドキュメントを HTML など様々なフォーマットのドキュメントに変換するプログラムである.
Texinfo プログラムに含まれる.

OpenBSD パッケージから texinfo をインストールしてみたのだが, なぜか makeinfo がインストールされない.
仕方が無いので Texinfo のサイト から最新版 6.8 のソースコードをダウンロードしてきてコンパイル, インストールを行った.

$ cd texinfo-6.8
$ make
# make install
# make TEXMF=/usr/local/share/texmf-dist install-tex

これで新しいバージョンの makeinfo が /usr/local/bin にインストールされる.

$ /usr/local/bin/makeinfo --version
texi2any (GNU texinfo) 6.8
. . . .

configure スクリプトも正常に実行される.

make, make install もひとまず成功して Emacs29 の実行モジュールができる.

ただしまだ Emacs の設定が残っている.

● EIEIO の明示的ロード

etc/NEWS に

** Support for old EIEIO functions is not autoloaded any more.
You need an explicit (require 'eieio-compat) to use 'defmethod'
and 'defgeneric' (which have been made obsolete in Emacs-25 with
'cl-defmethod' and 'cl-defgeneric').
Similarly you might need to (require 'eieio-compat) before loading
files that were compiled with an old EIEIO (Emacs<25).

という記述がある.
Emacs Lisp で defmethod, defgeneric を使用するために init.el 内で明示的に

(require 'eieio-compat)

と指定する必要がある.

● 古いブラウザー変数の無効化

Emacs 起動時に

Symbol's value as variable is void: browse-url-mosaic-program
Symbol's value as variable is void: browse-url-galeon-program
Symbol's value as variable is void: browse-url-netscape-program

というエラーが出る.
これらのエラーは init.el 内に

(defvar browse-url-galeon-program nil)
(defvar browse-url-mosaic-program nil)
(defvar browse-url-netscape-program nil)

と記述しておくことで回避できる.

● Wanderlust のコンパイル

Emacs29 では ELPA からインストールした Wanderlust は動作しない. 起動時にエラーになる.

そこで開発バージョンの最新の Wanderlust をインストールする.

(1) ダウンロード

$ git clone https://github.com/wanderlust/apel.git
$ git clone https://github.com/wanderlust/flim.git
$ git clone https://github.com/wanderlust/semi.git
$ git clone https://github.com/wanderlust/wanderlust.git


(2) コンパイルとインストール
APEL, FLIM, SEMI, Wanderlust の順にインストールする.
以下, LISPDIR, VERSION_SPECIFIC_LISPDIR, PIXMAPDIR は個人の環境に応じて適切に設定を行う.

$ cd apel
$ make install LISPDIR=~/.emacs.d/lisp VERSION_SPECIFIC_LISPDIR=~/.emacs.d/lisp
$ cd ../flim
$ make install LISPDIR=~/.emacs.d/lisp
$ cd ../semi
$ make install LISPDIR=~/.emacs.d/lisp


(3) Wanderlust のコンパイル
WL-CFG ファイル内に以下の記述を追加してから行う.

(setq load-path (append
(list "~/.emacs.d/lisp/apel"
"~/.emacs.d/lisp/emu"
"~/.emacs.d/lisp/flim"
"~/.emacs.d/lisp/semi")))

Wanderlust をコンパイル・インストールする.

$ cd wanderlust
$ make install LISPDIR=~/.emacs.d/lisp PIXMAPDIR=~/.emacs.d/etc/wl/icons


これで Emacs HEAD (Emacs29) が Wanderlust を含めて動作するようになる.
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