沙希ちゃんと小春ちゃんがトランプで遊んでいますよ。
「次は沙希ちゃんが引く番だよー」
小春ちゃんは 4 枚のカードを手に持って差し出します。
問題29 ババ抜きで遊んでいます [高1★★★☆☆]
小春ちゃんと沙希ちゃんが 2 人でトランプのババ抜きで遊んでいます。小春ちゃんの手には 4 枚のカードが残っていて、そのうち 1 枚はジョーカーです。沙希ちゃんの手に残ったカードは 3 枚です。どちらかが相手のカードを引く手順を「 1 回」と数えることにします。さて次は沙希ちゃんが小春ちゃんのカードを引く番です。(1) あと 3 回で沙希ちゃんが勝つ確率を求めてください。
(2) あと 5 回で沙希ちゃんが勝つ確率を求めてください。
[ヒント] けっこう難しい問題です。丁寧に状況を追跡しましょう。
理系英語(?)の番外編
ババ抜きのことを英語で old maid と言います。 maid といってもメイドさんのことではありません。 old maid とは未婚で若くない女性のことを指します。要するにオールドミスのことですが、オールドミスは和製英語です。それにしても、何だかとっても失礼なゲーム名ですよね ...... 。≫ [Amazon書籍] 純粋関数型データ構造
解答29(すべてのケースを考えます)
小春ちゃん(K)と沙希ちゃん(S)の手持ちのカードを次のように表すことにします。K (ジョーカー以外のカードの枚数, ジョーカーの枚数)
S (ジョーカー以外のカードの枚数, ジョーカーの枚数)
S (ジョーカー以外のカードの枚数, ジョーカーの枚数)
もちろんジョーカーは 1 枚ですから、0 か 1 の値しかとりません。
初期状態においては問題文から
K (3, 1), S (3, 0)
と書くことができますね。 1 回ごとにカードが 1 枚ずつ、計 2 枚減っていくことに注意してください。
(1) 沙希ちゃんが最速で勝つ確率を問われています。つまり沙希ちゃんが 1 度もジョーカーを引かない手順です。順を追って見ていきましょう。回数を@、A、Bと表示しておきます。
K (3, 1), S (3, 0)
という状態から、沙希ちゃんが小春ちゃんのジョーカー以外のカードを引いて
@ K (2, 1), S (2, 0)
という状態に移ります。その確率は 3/4 ですね。次に小春ちゃんがカードを引きますが、これはどちらを引いても小春ちゃんの手持ちのカードとペアにして場に捨てます。
A K (1, 1), S (1, 0)
次に沙希ちゃんは 2 枚のうちからジョーカーでないほうを引いて、
B K (0, 1), S (0, 0)
という状況にしなくてはならないので、その確率は 1/2 ですね。なので沙希ちゃんが最速の 3 回で勝つ確率は
3/4 × 1/2 = 3/8
となります。
(2) 5 回というのは、沙希ちゃんが 1 度はジョーカーを引いてしまう手順です。もちろん、沙希ちゃんが勝つためには、もう1度小春ちゃんにジョーカーを引かせなくてはなりません。状況はかなり複雑になりますが、まず計算しやすいところから始めてみましょう。それは途中まで (1) と同じ状況が続いて、 3 回目でジョーカーを引いてしまうケース < A > です。つまり ......
@ K (2, 1), S (2, 0) < A >
A K (1, 1), S (1, 0) < A >
A K (1, 1), S (1, 0) < A >
ここまでは先程と同じ状況ですから実現確率は 3/4 です。
しかし 3 回目が違っていて、沙希ちゃんがジョーカーを引いてしまい、
B K (1, 0), S (1, 1) < A >
となってしまいます。その確率は 1/2 です。ここで小春ちゃんがジョーカーを引かないと沙希ちゃんは負けてしまって 5 回目なんてありません。ともかく小春ちゃんにジョーカーを引いてもらって
C K (1, 1), S (1, 0) < A >
という状況に戻します。この確率も 1/2 。そして最後に沙希ちゃんがジョーカーでないほうのカードを引いて
D K (0, 1), S (0, 0) < A >
となる確率が 1/2 ですね。 3 回目でジョーカーを引いて沙希ちゃんが勝つ確率は
PA = 3/4 × 1/2 × 1/2 × 1/2 = 1/4 × 3/8
となります。後で計算しやすいように、最後の掛け算はせずにこのままの形で置いておきます。次は 最初にジョーカーを引いてしまうケース < B >を調べます。
K (3, 1), S (3, 0)
という状態から、
@ K (3, 0), S (3, 1) < B >
という状態に移行する確率は 1/4 ですね。この後さらに場合分けが必要となってきます。まず引いてしまったジョーカーを 2 回目で小春ちゃんに引かせるケース< B - 1 >です。
A K (3, 1), S (3, 0) < B - 1 >
この状況が実現する確率は 1/4 ですね。しかも最初の状態に戻っていますから、このあと 3 回で勝つ確率は (1) で計算したように 3/8 です。よって B - 1 のケースで勝つ確率は
PB1 = 1/4 × 1/4 × 3/8
となります。次は小春ちゃんが 2 回目ではジョーカーを引かなかったケース < B - 2 > です。
A K (2, 0), S (2, 1) < B - 2 >
という状態に移行する確率は 3/4 です。このあと沙希ちゃんはどちらのカードを選んでも
B K (1, 0), S (1, 1) < B - 2 >
となります。当然 4 回目では小春ちゃんにジョーカーを引かせないと負けてしまいます。
C K (1, 1), S (0, 1) < B - 2 >
となる確率は 1/2 です。さらに 5 回目でジョーカーでないカードを引く確率が 1/2 ですから、ケース < B - 2 > における確率は
PB2 = 1/4 × 3/4 × 1/2 × 1/2 = 1/8 × 3/8
となります。 PA, PB1, PB2 を全て加えると答えが得られます:
PA + PB1 + PB2 = 1/4 × 3/8 + 1/16 × 3/8 + 1/8 × 3/8 = 21/128