今回も大学数学が題材ですけど、高校 3 年生の知識で解けるように調整してあります。もちろん大学生の皆さんも挑戦してみてください。
問題22 Arcsinx を級数展開して円周率を求めます [高3★★★☆☆]
関数 f(x) のマクローリン級数展開は次式で与えられます:逆三角関数 y = Arcsinx は |x| < 1 の範囲で定義され、x = siny を満たします。また積分によって
と表されます。
(1) f(u) = (1 − u)−1/2 を第 4 項まで級数展開してください。
(2) Arcsinx を第 4 項まで級数展開してください。
(3) (2) で得られた結果を用いて円周率の近似値を求めてください。
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解答22(項別積分によって Arcsinx の級数展開公式を得ます)
(1) f(u) の 3 階微分まで求めておきます。f(u) を 4 項まで展開すると、
(2) (1) で得られた展開式で u = x2 とおくと
この式を項別積分して Arcsinx の級数展開が得られます:
(3) x = 1/2 とおけば、Arcsin(1/2) =π /6 より
この式を用いて円周率を計算すると π = 3.141155 という値が得られます。逆三角関数を用いた円周率の計算方法は他にもいくつかあるので、興味のある方は調べてみてください。より技巧的な手法として Arctanx を利用した「マチンの公式」と呼ばれる近似式がありますが、こちらも近いうちに問題で取り扱うことになると思います。