ではこの方程式に x をかけてみると ......
問題12 置換積分で面積を求めて半円と比較します [高3★★☆☆☆]
関数 f(x) を次のように定義します:ただし定義域は − 1 ≦ x ≦ 1 とします。
(1) y = f(x) のグラフの概形を描いてください。
(2) y = f(x) と x 軸によって囲まれた面積 S を求めてください。
(3) 半径 1 の半円の面積を T として、(2) で求めた面積 S との比率 R = S / T を求めてください。
[ヒント] (2) はタイトルにあるように「置換積分」で計算します。
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解答12(無理関数の積分公式を使います)
(1) まずは f(x) を微分しますが、無理関数の積分に関する次の公式はたいへん有用なのでぜひ覚えておいてください。上式と積の微分公式 (fg)' = f'g + fg' を用いて f(x) を微分すると
となりますから、f'(x) = 0 とおいて
x = ±√2/2
で極値 f(±√2/2) = 1/2 をとることがわかります。f(x) は奇関数ですから、とりあえず 0 < x を描き、あとで原点対称に折り返して負の領域を描くことにします。√2/2 < 3/4 に注意して極値をとる x = √2/2 前後の f'(x) の符号を調べると、
f'(0) > 0, f'(3/4) < 0
ですから、 f(√2/2) は極大値であることがわかります。
もうひとつ注意しておきたいのが、x = 1 付近における f'(x) の様子です。
x → 1 : f'(x) → −∞
ですから、この付近で傾きは円と同じように限りなく垂直に近づきます。以上のことを考慮してグラフを描くと下図のようになります。
(2) 先程も述べたように、f(x) は奇関数ですから、0 から 1 まで積分した値 S/2 を求めて、最後に 2 倍します。この形の関数を積分するときには、
x = sinθ
と変数変換するのがコツです。
θ:0 → pi/2、 dx = cosθdθ
ですから、積分は
のようになります。この積分を実行するときは、
(cos3θ)' = 3cos2θ(−sinθ)
⇔ (−cos3θ/3)' = cos2θsinθ
の関係を使います。計算すると S/2 = 1/3 が得られます。よって答えは
S = 2/3
となります。
(3) 半径 1 の半円の面積 T はもちろん pi/2 ですから、
R = S/T = 4pi/3
となります。値を計算すると 0.423 です。
参考のために半円関数 y = g(x) を添えた下図を見てください:
f(x) は g(x) よりも押し潰された格好になっていますね。
|x| ≦ 1 ですから、x を掛けるということは、全域で半円関数の値を減ずることになり、結果として面積も半分以下になってしまいます。