問題11 k をパラメータとする 2 次方程式の解 [高3★★☆☆☆]
k をパラメータとする 2 次方程式
x2 - kx + 1 = 0
を考えます。ただし k の範囲を k > 2 とします。
(1) 方程式の解 α(k), β(k) を求めてください。
ただし、α(k) < β(k) とします。
(2) 小さいほうの解について y = α(k) のグラフを描いてください。
(3) k の増加に伴って α(k), β(k) は x 軸上をどのように動きますか?
解答11(片方の解は狭い区間にあります)
(1) 解の公式を用いて計算します。α(k) < β(k) ですから、
α(k) と β(k) は似ているようで、全く異なる振る舞いをすることがこのあとの設問で分かります。
(2)まず α(k) を微分してみます。
α'(k) の正負判定がポイントになります。
k > 2 であることに注意してください。
第 2 項の分母は k より必ず小さくなります。
k を k より小さな値で割るので、 第 2 項は 1 より大きな値です。
それを 1 から引くわけですから、 α'(k) は必ず負です。
混乱してしまったら k に適当な数字を入れて確認してください。
つまり α(k) は k > 2 で単調減少関数です。
次に k → +∞ の極限を調べます。
慣れていれば直感的に 0 と分かるのですが、さすがに解答でそう書くわけにもいきませんから、より確実に証明するために「分子を有理化」します。分数でもない式をわざわざ分数にしてみることで、この種の極限はすぐにわかります。
となるので、分母は +∞ となって α(k) → 0 となります。
以上から次のようなグラフを描けます:
(3) β(k) が単調増加関数であることは式の形ですぐにわかります。
k → +∞ の極限では β(k) ≒ k となり、k の値に比例して x 軸上をプラス側にどんどん動いていきます。対して α(k) は先ほどのグラフで見た通り、0 < x < 1 という非常に狭い区間のみに存在し、原点に向かって収束していきます。
実際に、いくつかの k をとって 2 次関数を描いてみると ......
α(k) はほとんど動かず、 β(k) だけが一方的に x 軸を移動していく様子がわかりますね。
理系英単語H 方程式その2
discriminant(判別式)
real root 実数解(実根)
multiple root 重解(重根)
imaginary root 虚数解(虚根)
indeterminate 不定(解は無数にある)
inconsistent 不能(解なし)
real root 実数解(実根)
multiple root 重解(重根)
imaginary root 虚数解(虚根)
indeterminate 不定(解は無数にある)
inconsistent 不能(解なし)
discriminant は解の判別式のことです。
だから D という記号を使っているのです。