問題09 マクローリン級数を用いて平方根の値を計算します [高3★★☆☆☆]
関数 f(x) を次のような形で展開する式をマクローリン級数とよびます:(1) a を任意の実数として、 (1 + x)a を第 5 項まで展開した近似式 B(x) を求めてください。
(2) (1) の結果を用いて √2 の近似値を計算してください。
今回はヒントなし。マクローリン級数は大学で扱う内容ですが、式の形を問題に明示しておいたので、高校3年生を対象としました。 (2) の数値計算が面倒だと思ったら電卓や Excel を使ってください。ちなみに B(x) の B は Binomial Expansion( 2 項展開)の頭文字です。
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解答09(4 階導関数を計算します)
(1) まずは f(x) = (1 + x)a の 4 階までの導関数を求めておきます。f(n) は f の n 階微分を表す記号です。f'(x) = a(1 + x)a−1
f''(x) = a(a − 1)(1 + x)a−2
f(3)(x) = a(a − 1)(a − 2)(1 + x)a−3
f(4)(x) = a(a − 1)(a − 2)(a − 3)(1 + x)a−4
x = 0 を入れて、
f'(0) = a
f''(0) = a(a − 1)
f(3)(0) = a(a − 1)(a − 2)
f(4)(0) = a(a − 1)(a − 2)(a − 3)
したがって、 (1 + x)a の 5 項までの近似式
が得られます。
(2) √2 は (1 + 1)1/2 のように表せますから、B(x) に x = 1, a = 1/2 を代入して一生懸命計算すると、
√2 ≒ 1 + 1/2 −1/8 + 1/16 −5/128 = 1.398
という近似値が得られます。実際の値は
√2 = 1.414 ......
ですから、ちょっと精度が良くないかもしれません。項数を多くとればそれだけ良い近似値が得られますけど、そうすると計算がどんどん煩雑になってしまうので、問題として出題できるのはこのあたりが限界ですかね。
ちなみに平方根は項を足したり引いたりを繰り返す交代級数となっていますね。「ちょっと多めに足し過ぎたから、次はちょっと引いておこう」ということを繰り返して真値に近づいていくわけです。もちろん、√3 (x = 2)や √5 (x = 3)も B(x) を使って計算できますので、気になる人は試してみてください。Excel の機能を使えば、もっと多くの項をとっても簡単に計算ができますよ。
理系英単語F 級数展開
Taylor expantion テイラー展開
Maclaurin series マクローリン級数
remainder 剰余項
domain of convergence 収束域
radius of convergence 収束半径
termwise differentiation 項別微分
termwise integration 項別積分
Maclaurin series マクローリン級数
remainder 剰余項
domain of convergence 収束域
radius of convergence 収束半径
termwise differentiation 項別微分
termwise integration 項別積分
Maclaurin の頭についた Mac- とはスコットランドの高地ゲール語で「〜の息子」という意味です。なので Maclaurin さんはスコットランド系であることが分かります。まあ別に名前から推測しなくても、彼がスコットランドのエディンバラ出身で、グラスゴー大学で学んだことは記録に残っていますけどね。
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