アフィリエイト広告を利用しています

2016年05月31日

マクローリン級数を用いて平方根の値を計算します

 今回は √2 を機械的に計算する方法を調べます。

問題09 マクローリン級数を用いて平方根の値を計算します [高3★★☆☆☆]

  関数 f(x) を次のような形で展開する式をマクローリン級数とよびます:

マクローリン級数

(1) a を任意の実数として、 (1 + x)a を第 5 項まで展開した近似式 B(x) を求めてください。
(2) (1) の結果を用いて √2 の近似値を計算してください。

 今回はヒントなし。マクローリン級数は大学で扱う内容ですが、式の形を問題に明示しておいたので、高校3年生を対象としました。 (2) の数値計算が面倒だと思ったら電卓や Excel を使ってください。ちなみに B(x) の B は Binomial Expansion( 2 項展開)の頭文字です。
 
≫ [Amazon書籍] 物理とテンソル(物理数学 One Point)

解答09(4 階導関数を計算します)

(1) まずは f(x) = (1 + x)a の 4 階までの導関数を求めておきます。f(n) は f の n 階微分を表す記号です。

   f'(x) = a(1 + x)a−1
   f''(x) = a(a − 1)(1 + x)a−2
   f(3)(x) = a(a − 1)(a − 2)(1 + x)a−3
   f(4)(x) = a(a − 1)(a − 2)(a − 3)(1 + x)a−4

 x = 0 を入れて、

   f'(0) = a
   f''(0) = a(a − 1)
   f(3)(0) = a(a − 1)(a − 2)
   f(4)(0) = a(a − 1)(a − 2)(a − 3)

 したがって、 (1 + x)a の 5 項までの近似式

 マクローリン級数による近似

が得られます。

(2) √2 は (1 + 1)1/2 のように表せますから、B(x) に x = 1, a = 1/2 を代入して一生懸命計算すると、

√2 ≒ 1 + 1/2 −1/8 + 1/16 −5/128 = 1.398

という近似値が得られます。実際の値は

√2 = 1.414 ......

ですから、ちょっと精度が良くないかもしれません。項数を多くとればそれだけ良い近似値が得られますけど、そうすると計算がどんどん煩雑になってしまうので、問題として出題できるのはこのあたりが限界ですかね。
 ちなみに平方根は項を足したり引いたりを繰り返す交代級数となっていますね。「ちょっと多めに足し過ぎたから、次はちょっと引いておこう」ということを繰り返して真値に近づいていくわけです。もちろん、√3 (x = 2)や √5 (x = 3)も B(x) を使って計算できますので、気になる人は試してみてください。Excel の機能を使えば、もっと多くの項をとっても簡単に計算ができますよ。

理系英単語F 級数展開


 Taylor expantion テイラー展開
 Maclaurin series マクローリン級数
 remainder 剰余項
 domain of convergence 収束域
 radius of convergence 収束半径
 termwise differentiation 項別微分
 termwise integration 項別積分

 Maclaurin の頭についた Mac- とはスコットランドの高地ゲール語で「〜の息子」という意味です。なので Maclaurin さんはスコットランド系であることが分かります。まあ別に名前から推測しなくても、彼がスコットランドのエディンバラ出身で、グラスゴー大学で学んだことは記録に残っていますけどね。

九石絵里子の日記帳をよろしくです

 少しペースは落ちていますが(ちょっと息切れしました)、だいたい週に 1 回ぐらいのペースで記事が入っているので、たまに立ち寄ってみてください。

 ⇒ 九石絵里子の日記帳

 最初の頃は「毎日書いて文章力を鍛え上げるぞ」と気合を入れて始めたブログなんですけどね。どう考えたって毎日書くなんて無理です。あ、そうだ。もしこのブログを読んでいる人の中にも「私も趣味で小説書いています」という方がおられましたら(いるかなー?)、ぜひコメントください。
   
この記事へのコメント
コメントを書く

お名前:

メールアドレス:


ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/5096330
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
検索
Excel VBA 数学教室
数学問題集(解答付き)
下剋上算数
ベクトル解析
サッカーマティクス
Excelで学ぶ統計解析
和算的思考力
学び直し
整数論の理論と演習
大人が手こずる算数
東大生の知恵袋
フーリエ変換
インド式秒算術
Excelで学ぶ微分積分
Excel 数学シミュレーション
オイラーの贈物


ファン
最新記事
カテゴリーアーカイブ