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2013年08月11日

フーリエ変換は様々な分野で応用されています(理工系の数学入門コース 6 フーリエ解析)

理工系の数学入門コース 6 フーリエ解析 [岩波書店/大石進一]


フーリエ解析 (理工系の数学入門コース 6)

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 フーリエ級数展開(Fourier series expansion) とは、任意の関数を三角関数の和で表すことです。この説明を初めて聞いて「すごい! 本当にそんなことができるの!?」と感動した人は数学センスのある人です。馬鹿な私は「何のこっちゃ?」と口をぽかんと開けていただけでしたけど。まあともかく、理工学部に入学したら必ず学ぶ内容ですので、入門書選びには慎重になりたいところ。私はこの理工系の数学入門コースのフーリエ解析をお勧めします。本書の構成は以下の通り。

 1. フーリエ級数
 2. フーリエ級数の基本性質
 3. フーリエ変換
 4. 一般化フーリエ級数
 5. 偏微分方程式
 6. ラプラス変換

 このシリーズは理工系の学生さんには有名ですから、「何を今さら」と思われるかもしれませんが、別にシリーズ全てをお勧めしているわけではありません。中には「 ...... 」と無言になってしまうような本もありますから。ただ、このフーリエ解析の内容はかなり秀逸で、当ブログの記事を書く参考にもしています。

大学 4 年間、この 1 冊で事足ります

 入門書といっても、必要な項目はほとんど全て網羅されています。本書はフーリエ級数に始まって、フーリエ変換、偏微分方程式、ラプラス変換と進んでいきます。線型システム解析やヘビサイド関数、ディラックのデルタ関数など、興味深いトピックもたくさん散りばめられています。本書を全て読み通せば充分な知識を得ることができます。同じ分野の書籍を何冊も購入するのはお金の無駄ですから、 1 冊で済むならそれに越したことはないのです。

計算力が鍛えられます

 フーリエ級数やフーリエ変換は、概念的にそう難しいものではなく、シンプルなロジックの積み重ねです。整数論のように「うーん」と頭を捻りながら学ぶ類の分野ではありません。しかし、とにかくたくさんの積分計算を要求されます。理工学部に進まれた皆さんは高校時代に受験勉強でバリバリとたくさん計算されたと思いますが、そこで培った基礎体力は、このフーリエ解析で生かされますし、ここでさらに根性(?)が鍛え上げられること間違いなしです。

応用範囲の広い数学です

 フーリエ解析は物理学や工学の幅広い範囲で応用されている数学ですので、どこかでまとめて時間をとってしっかり学んでおきたいところです。また、現代では数値計算を用いて応用されるケースがほとんどです。本書でも数値計算によって描かれた図が豊富に紹介されています。とはいえ、かなり昔(1989 年)に出版された本ですので、「 ...... ええと ...... もうちょっと綺麗なグラフに差し替えた方がいいような」と思ったりもします。おそらく現在の皆さんの環境では遥かに美しいグラフで再現できますので、余力のある人は Excel や VBA、或いは C++ などで本書の内容を確認してください。昔はフーリエ級数1つを計算させるにもいちいち面倒なプログラムが必要でしたが、現代の Excel を使えば多少難しい計算でも 2, 30 分ほどで済むはずです。

ラプラス変換の美しさを堪能してください

 フーリエ変換は実に見事な理論ですが、その修正版ともいえる「ラプラス変換」は芸術品ともいえる完成度です。この変換を施すことによって、線型常微分方程式の解を四則演算で求めることができるようになります。本書では最終章に載せられています。残念ながら少しページ数が物足りないのですが、この章を読み終えた時、「苦労した甲斐があったなあ」と感慨に浸ること間違いなしです。
   
posted by Blog Cat at 13:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 数学書籍
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