1 次の項にかかる係数の意味を考えます
皆さんお馴染みの 2 次関数y = a x2 + b x + c
という式を目にしたとき、「 2 次の項にかかる係数 a については放物線グラフを細長くし、定数項 c については全体を上下に移動させる」というイメージをもっていると思います。では「 1 次の項にかかる係数 b の意味は?」と問われたらどうでしょう? 実はこの b は、 2 次関数に対してもっとも複雑な挙動を与える係数です。簡単のために、a = 1, b = 2 p, c = 0 として
y = x2 + 2 p x
という関数について、 p を変化させることにします。いきなりグラフを描く前に、できるところまで推測してみましょう。 1 次の項にかかっているのですから、x < 0 の範囲では値を減少させ、 0 < x の範囲では値を増加させる効果があるはずです。というより、それが全てなのですが、放物線を頭の中だけで操作しようとしても限界があります。そこで練習問題などでお馴染みの「頂点の軌跡」を考えてみることにします。上の式を変形して
y = (x + p)2 − p2
となるので、頂点の座標は
(X, Y) = (−p, −p2)
であることがわかります。 p を消去すると
Y = − X2
という頂点の軌跡が求まりますが ...... 実は軌跡の方程式は p が消えてしまっているので、あくまで「頂点はこの曲線の上にありますよ」ということしかわからないのです。「 p の変化に対して頂点がどの方向に動くか」ということを知りたければ、やはり頂点の座標
(X, Y) = (−p, −p2)
をじっと眺める必要があります。とりあえず p > 0 として p = 1, 2, 3, ...... と変化させれば、
(X, Y) = (−1, −1), (−2, −4), (−3, −9), ......
となるので、先ほど求めた頂点の軌跡(放物線)に沿って、x, y ともに負の方向へ移動していきます。
Excel でグラフを描いてみます
以上のことを確かめるために、p = 0, 1, 2 と変化させたグラフを Excel で描いてみます。点線が頂点の軌跡です。 p の増加とともに、この点線上を左下へ移動していることがわかります。