3 次関数の 1 次の項と 2 次の項の係数の関係
今回は x の 1 次と 2 次の項が含まれるy = x3 + x2 + c x
という 3 次関数について調べてみます。この場合、 1 次の項の係数と 2 次の項の係数の関係 によって様子が変わります。y を微分すると
y' = 3 x2 + 2 x + c [1]
となるので、y' = 0 となる点は
3 x2 + 2 x + c = 0 [2]
という 2 次方程式で求められるのですが、この方程式が実数解をもつかもたないかで、グラフの様子が変わってしまいます。判別式は
D = 1 − 3 c
ですから、とりあえず c ≦ 1 / 3 であれば実数解をもつので、まずその場合を考えてみます。 [2] から c = − 3 x2 − 2 x を [1] に入れると簡単に極値の軌跡が求められます:
Y = −2 X3 − X2
c = 0, −2, −4 と変化させたグラフを描いてみると ......
軌跡に沿って、極大値は左上に極小値は右下に移動しています。このように、 c ≦ 1 / 3 のときは c が小さくなるほど極大値の山を高くし、極小値の谷を深くしていく効果があることがわかります。
次は [2] が虚数解をもつ場合 (c ≧ 1 / 3) を考えます。つまり極値をもたない場合です。 c = 1, 2, 3 でグラフを描いてみると ......
c の増加と共にカーブがなくなってゆく様子がわかります。
こうした違いは x3 に対して x の項がどちら側に寄与するかに起因しています。簡単のために c が負であるときを考えると、増加しよう(あるいは減少しよう)という x3 の傾向に対して、1 次の項が反対符号に作用させる効果となり、山や谷を形成します。ただ x2 の項は常に正方向に効くので、|極大値| > |極小値| という関係になっています。また c > 0 であれば x3 と同じ正方向に寄与します。 c ≧ 1 / 3 のときは極値をつくりません。ただ、 c < 1 / 3 であるときは x が負の領域で x2 の寄与が勝って小さな極大値をつくります。また同じく負の領域で目に見えないぐらいの極小値も存在します。非常に細かい話になりますが、|x| ≪ 1 では x3 が c x に勝って負の値をとるからです。下図に c = 0.1 のグラフの拡大図を載せておくので、参考にしてください。
このように、3 次関数における極値の様子はパラメータ同士の微妙な兼ね合いによって変わってしまうのです。