2017年12月14日
大腸MR検査で6mm以上の病変が検出された場合に内視鏡を受診するとしたら、内視鏡移行率は14.0%になります
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「関西大腸CTセミナー 2018」を開催します!
昨年、大変ご好評をいただきました
日時: 2017年1月20日(土)
場所: 大阪
こんな症例の読影はどうする!?
という症例がありましたらご連絡ください。
当日、司会者がその場で読影・解説します!!
非常に中身の濃い企画をご用意しております。
是非、お越しくださいね。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
PubMedから、今日のつぶやき − 133 −
Graser A et al. Magnetic resonance colonography for the detection of colorectal neoplasia in asymptomatic adults. Gastroenterology 2013;144:743-50.
「検診目的の大腸MR検査(MR colonography)の精度検証」論文
の考察の続きです。
【考察】
仮想内視鏡で10ミリ以上の大腸腫瘍性病変が検出された場合、
大腸内視鏡検査に進むことについてはコンセンサスが得られています。
問題は10ミリ未満の病変です。
5ミリ以下の小病変は臨床的な意義が少ないので、
精査は不要といわれています。
議論があるのは、6-9ミリの大きさの病変です。
すぐに内視鏡検査での精査を推奨する場合や(日本に近いかな)
6-9ミリの病変が3つ以上ある場合にのみ内視鏡をすべきとしている場合もあります。
この議論で、検討すべき点は2つあります。
・6-9ミリの病変がアドバンスドアデノーマや癌に移行する可能性
・続いて内視鏡を行う場合の医療経済性
確かに大切ですね。
この論文の面白い点として、
各設定条件において下記の項目を検討していることが挙げられます。
・内視鏡移行率
・アドバンスドアデノーマの検出率
・1つのアドバンスドアデノーマを見つけるために必要な検診人数
内視鏡移行率が高ければ、当然、アドバンスドアデノーマもよく見つかります。
一方で臨床的に意義のあるアドバンスドアデノーマを見つけるために
より多くの内視鏡検診を行わなければなりません。
この解析結果が論文のTable 5に示されています。
便潜血検査陽性者のみ内視鏡に移行したとすると
内視鏡移行率は8.4%ですが、
アドバンスドアデノーマの検出率は17.6に過ぎず
アドバンスドアデノーマを見つけるために7.7人が内視鏡を受ける必要があります。
大腸MR検査で陽性(サイズに関わらず)者全員が内視鏡に移行したとすると
内視鏡移行率は23.1%にあがりますが、
アドバンスドアデノーマの検出率は83.3%と高率になり、
アドバンスドアデノーマを見つけるために4.4人が内視鏡を受ける必要があります。
大腸MR検査で6mm以上の病変が検出された患者を内視鏡に移行させると
内視鏡移行率は14.0%と少なくなりますが、
アドバンスドアデノーマの検出率は72.2%と少し率が下がります。
アドバンスドアデノーマを見つけるために3.1人が内視鏡を受ける必要があります。
大腸CT検査のC-RADSのC3つまり、
10mm以上の病変が検出された、あるいは6mm以上の病変が3個以上
検出された患者を内視鏡に移行させると
内視鏡移行率は5.2%とだいぶ少なくなりますが、
アドバンスドアデノーマの検出率は55.5%とこちらも低率になってしまいます。
アドバンスドアデノーマを見つけるために1.5人が内視鏡を受ける必要があります。
線引きはどこですべきまでは、この論文では言及していません。
この研究の対象者が少ないことからも、言い切ってしまうのは
おそらく乱暴になってしまいます。
でも、こうした検討の積み重ねは大切ですよね。
次の段落では、大腸CT検査に比べて大腸MR検査は
腸管外病変が正しく診断できるので、
受診者の不利益を減らすことが可能と述べています。
う〜ん、それは大腸CT検査と比較したらそうでしょうが、
そもそも腸管外病変の検診に有効性があるのかを
きちんと検証することが大前提でしょうね。
コストについても言及していますが、ドイツは米国より
MR検査が安価だという議論になってしまっており、
説得力がないような。
次回は、この論文のリミテーションを見ていきましょう。
皆さんも、是非、考えてみて下さい。
宿題にします〜〜
それでは、また。
ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。
原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23415805
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大腸CT検査のポイント集
毎日のつぶやきを経て増えていきますね。
<適応>
・閉塞性大腸がんに対して大腸CT検査は有用だが、手技に工夫が必要。
・完全閉塞症例には「PET/CT colonography」。
・内視鏡の検査待ちの日数を減らす役割もあり。
<検診>
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
大腸CT検査による検診受診率は735%増加した。
・検診目的の大腸CT検査が保険でカバーされることで
大腸内視鏡検査による検診受診率は38%増加した。
・腸管外病変診断による利益・不利益バランスには注意が必要。
<検査食は不要>
・低容量腸管前処置においても、ガストログラフィンを使えば食事制限は不要。
・腸管残渣の状態は食事制限の有無に左右されない。
・水溶性造影剤によるタギングの質は食事制限の有無に左右されない。
・食事制限の撤廃は患者の受容性向上に寄与する。
<腸管前処置>
・内視鏡後にガストログラフィン30mLを服用したら約4時間後に大腸CT検査をしよう。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。
<腸管拡張>
・右側臥位は最適な腸管拡張を得るためのベストポジションである。
・炭酸ガス自動送気装置は良好な腸管拡張を得るのに有用である。
・ブスコパンは腸管拡張の改善に寄与しない。
・自動送気装置の使用は穿孔頻度を下げる。
<読影>
・読影の飛ばしすぎは読影精度を下げるので要注意。
・トレーニングを積めば、都市部の病院でなくとも高い精度の検査が可能。
・検診目的の大腸CT検査は有症状者に対する大腸CT検査よりも、病変をみつけづらく読影には注意が必要。
<診断>
・C-RADSにおけるC1の5-10年の検査間隔は妥当
・大腸CT検査の中間期癌の頻度は非常に低い(0.1%、2/1429)
・便潜血陽性後から内視鏡を受けるまでの期間が10ヶ月以上になると大腸がん全般・進行がんのリスクが高まる。
<受診者の受容性>
・患者さんの苦痛度は炭酸ガス自動送気装置の使用やブスコパンの使用は影響しない。
<偶発症>
・閉塞性大腸がんでは穿孔のリスクが高くなるので注意しましょう。
・術前検査目的の大腸CT検査の穿孔率は0.028%。
・検診目的の大腸CT検査の穿孔率は0.003%。
・精検目的の大腸CT検査の穿孔率は0.014%。
・穿孔率は術前検査目的に比べて検診目的で有意に低い。
・穿孔症例の81%では外科治療が不要。
・自動送気装置の使用は穿孔のリスクを低減する。
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メルマガタイトル:大腸CT検査アカデミー
http://www.mag2.com/m/0001679515.html
日本の大腸CT検査の知識のボトムアップを狙っています。
最新の世界の知識を身につけることで、患者さんに還元するのはもちろんですが、きっと新しい研究の芽も生まれると信じています。
皆でパワーアップしていきたいですね!!
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応援いただけると嬉しいです。
☆☆大腸CT検査ってなあに? 〜大腸がんをへらせるの?〜☆☆
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