2020年04月28日
大腸CTアカデミア
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
第59回消化器がん検診学会総会
2020年9月30日(水)、10月1日(木)
会場 九州大学医学部 百年講堂
パネルディスカッション2
「これから求められる大腸CT検査 −放射線医、消化器科医、技師の役割からみた現状と課題-」
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PubMedから、今日のつぶやき − 715 −
Schonberger M, et al. Pearls and Pitfalls of Interpretation in CT Colonography. Can Assoc Radiol J. 2020 Jan 24:846537119892881. doi: 10.1177/0846537119892881. [Epub ahead of print]
それでは、論文
「大腸CT検査におけるコツとピットフォール」
のご紹介です。
【読影のコツとピットフォール】
大腸CT検査の読影を適切に行うには、2次元画像に加えて3次元画像を合わせて活用することである。
3次元の内視鏡類似像によるフライスルーによる読影は直感的に病変の拾い上げはが可能であり比較的容易である。
けれども熟練した読影医であれば、2次元画像によって病変を拾い上げ、同時に便などとの鑑別を同時にすることも可能である。
茎(ストーク)を有するポリープ(Ip ポリープ)は、茎により可動性があるため、残渣との鑑別のため、2次元画像と3次元画像の両方を比較読影する必要がある。
プライマリ2D読影でも、プライマリ3D読影でも、残渣と病変の鑑別をきちんとするためには相互補完的な読影をおこなわなければならない。
(感想)
大腸CT検査のでは2次元画像、3次元画像ともに必要ですが、このレビュー論文でもあるように3次元画像は内視鏡類似像だけを指しています。
他にも各種の3次元画像がありますが、病変の拾い上げ・同定・時間の効率性の観点から、内視鏡類似像以外の画像を用いる有用性は証明されておらず、欧米の臨床では使用されていません。
読影に用いる画像によって
・拾い上げの精度が上がる(感度が上がる)
・病変の同定の精度が上がる(特異度が上がる)
・時間の短縮を図ることができる
のいずれかが担保されなければ、用いる意義はありません。
標準的な読影方法とするには、上記要因を満たさなければならず、満たすことができれば世界の読影医が認めるでしょう。
そもそも3次元画像はこの論文の解説にもあるように、直感的な病変の拾い上げを容易にする意義があります。
2D読影はこの拾い上げの点で、3D内視鏡類似像による読影に劣るため、内視鏡類似像により2D読影の欠点を補完するわけです。
逆に3D内視鏡類似像は同定精度(真の病変か残渣かの鑑別)が低いため、2Dを併用する必要があるわけです。
つまり、2D像と3Dの内視鏡類似像だけを組み合わせることが精度的にも時間効率的にもベストというわけです。
ここで、日本独自の展開像はどうなるのでしょうか?
展開像は直感的に拾い上げる有意性や精度が担保されていません。
展開像による拾い上げはゆがみが大きく(ひだ付近や断端など)直感的な拾い上げが難しいのです。
前向きの科学的評価がなされていないことも決定的です。
展開像を内視鏡類似像と併用するとした場合、何のメリットが生じるでしょうか?
拾い上げ精度が上がる?
→内視鏡類似像のほうが上です。
同定精度が上がる?
→粘膜面だけの表示法ですから、2Dにかなうわけはありません。
読影時間が短縮する?
併用するということは、そもそも読影時間が延長してしいます。
展開像単独で読影を行うことは、精度の点から許されません。
標準的読影法では、いままで世界で検証され科学的な検証が済んだものを用いる必要があり、そうでなければ社会的損失を引き起こしてしまいます。
くれぐれもサンクコストバイアスの罠にはまらないよう注意が必要です。
原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32063002
ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。
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大腸CT検査の読影を適切に行うには、2次元画像に加えて3次元画像を合わせて活用することである。
3次元の内視鏡類似像によるフライスルーによる読影は直感的に病変の拾い上げはが可能であり比較的容易である。
けれども熟練した読影医であれば、2次元画像によって病変を拾い上げ、同時に便などとの鑑別を同時にすることも可能である。
茎(ストーク)を有するポリープ(Ip ポリープ)は、茎により可動性があるため、残渣との鑑別のため、2次元画像と3次元画像の両方を比較読影する必要がある。
プライマリ2D読影でも、プライマリ3D読影でも、残渣と病変の鑑別をきちんとするためには相互補完的な読影をおこなわなければならない。
(感想)
大腸CT検査のでは2次元画像、3次元画像ともに必要ですが、このレビュー論文でもあるように3次元画像は内視鏡類似像だけを指しています。
他にも各種の3次元画像がありますが、病変の拾い上げ・同定・時間の効率性の観点から、内視鏡類似像以外の画像を用いる有用性は証明されておらず、欧米の臨床では使用されていません。
読影に用いる画像によって
・拾い上げの精度が上がる(感度が上がる)
・病変の同定の精度が上がる(特異度が上がる)
・時間の短縮を図ることができる
のいずれかが担保されなければ、用いる意義はありません。
標準的な読影方法とするには、上記要因を満たさなければならず、満たすことができれば世界の読影医が認めるでしょう。
そもそも3次元画像はこの論文の解説にもあるように、直感的な病変の拾い上げを容易にする意義があります。
2D読影はこの拾い上げの点で、3D内視鏡類似像による読影に劣るため、内視鏡類似像により2D読影の欠点を補完するわけです。
逆に3D内視鏡類似像は同定精度(真の病変か残渣かの鑑別)が低いため、2Dを併用する必要があるわけです。
つまり、2D像と3Dの内視鏡類似像だけを組み合わせることが精度的にも時間効率的にもベストというわけです。
ここで、日本独自の展開像はどうなるのでしょうか?
展開像は直感的に拾い上げる有意性や精度が担保されていません。
展開像による拾い上げはゆがみが大きく(ひだ付近や断端など)直感的な拾い上げが難しいのです。
前向きの科学的評価がなされていないことも決定的です。
展開像を内視鏡類似像と併用するとした場合、何のメリットが生じるでしょうか?
拾い上げ精度が上がる?
→内視鏡類似像のほうが上です。
同定精度が上がる?
→粘膜面だけの表示法ですから、2Dにかなうわけはありません。
読影時間が短縮する?
併用するということは、そもそも読影時間が延長してしいます。
展開像単独で読影を行うことは、精度の点から許されません。
標準的読影法では、いままで世界で検証され科学的な検証が済んだものを用いる必要があり、そうでなければ社会的損失を引き起こしてしまいます。
くれぐれもサンクコストバイアスの罠にはまらないよう注意が必要です。
原文
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32063002
ご注意)必ずしも論文の内容をすべて網羅している情報ではございません。詳細にご興味の方は原文をご確認ください。つぶやきは正確な情報発信を心がけますが、その内容を保証するものではないことをどうぞご了承ください。
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