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夜空の蛍9



《そうかそうか、それは失礼こっきりさん♪》

ミサは黒い影に、もう帰ろうと頼んだ。

神様は慌てて言った。

《チビさん、今日は何の御用だの?何かあったのだろう?》

ミサは半信半疑のまま引き返すと、こっくりと頷いた。

《はい、昨日友達のシーちゃんがお星様になりました。とっても名誉なことだけど、

寂しいんです。前のシーちゃんに戻ってきてほしいの》


神様はミサをしばらく眺めて、何かを考えている様子だった。

そしてミサの肩に手を置いて、ゆっくりと言った。

《君はアキルノの子のようだな。何かの手違いでファンブー村に来たのだろうな。

それでシーちゃんを元に戻したいんだな?》

《そうです。戻してください。》

《そうさのう、お星様になることはファンブー村ではとても名誉なことだの。

しかしアキルノでは死んでしまうということなのだよ。》

《しんでしまう?》





神様は長いひげをツルリとなでて、ミサに微笑んだ。

《そう、ミサは初めて聞いた言葉だの。でも怖いことじゃあないんだよ。

シーちゃんを村に返すことは出来る。その代わりミサはアキルノに行くのだよ》

《アキルノ?》

ミサは黒い影と神様を交互に見た。

《アキルノってところに行くの?お父さんは?ファンブー村のみんなは?》

《立ち話は腰にこたえるでな》

神様はどっこいしょっと、白い箱の上に腰をかけた。

《心配するでない。アキルノにはみんなちゃーんとおる。ただちょっと違うだけなのだよ。

それはもう決まっていて、わしにも変えられないデスティニーじゃ》




つづく







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