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夜空の蛍7




ミサはファンブー村とは反対の東の方向に走り出した。

マウス村は、四角い箱がたくさん積まれてある村だ。

昔ミサが小さい頃、一度だけお父さんに連れられて来たことがある。

字を入れるて、カチッと押すと、四角い箱の中に絵が出てくる仕組みになっている。

お父さんは《すごく便利な村なんだぞ》と教えてくれた。

神様は、この四角い箱の中にいるはずなのだ。


ミサは、走りに走った。心臓が激しく鼓動を打って、息ができない。

苦しい。でも休んでなんかいられない。

ミサはとうとうマウス村の入口にたどり着いた。


 


マウス村は、ぐるっと一周塀に囲まれ、塀の上には鉄条網まで取り付けてあった。

両門にはウィルスバスターと書かれた御札が貼ってあった。

その横には狐の石像が、ぴーんと空を向いた姿勢で座っていた。

ミサは門をくぐろうとすると、どこからともなく黒い影が現れた。

《どこに行かれるのです?》

黒い影はミサに聞いた。抑揚のない声だった。

《神様のところです。じかだんぱんに行くの》

ミサは顔のない黒い影に訴えた。

《神様にじかだんぱんですか。あなた、ファンプー村のミサさん?》

びっくりして黒い影を見たが、顔がないので影が何を考えているのか、なんにも分からない。

《そうです。》



つづく









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