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夜空の蛍10



ミサは神様の膝の上に顔を乗せた。

神様は目を細めて言った。

《ファンブ村はとてもゆっくりと時間が過ぎているのだ。

そうするとアキルノのミサは25年目で死んでしまうということになるな》

《しんでしまうって、お星様になることでしょう?ミサはなりたいよ!》

お星様になったら、お父さんもさぞかし誇りに思うだろうと想像すると、

ミサの胸が高鳴った。

《でも、シーちゃんがいないのが寂しくてたまらない。ミサ、アキルノに行くよ。》

神様はしばらくミサの目を見つめていたが、分かったと頷くと、愛おしそうにミサの

頭を撫でた。

《ミサ、怖くはないよ。心配するな。》

神様がミサの頭を撫でる度に、小さな灯りがフワリフワリと辺りに散らばった。

散らばった小さな光は、弱く光ったり強く光ったりして、ミサの周りいっぱいになった。

いっぱいになった光は、まるで蛍の群れのようだ。





黒い影はミサをそっと抱き上げた。

《何があっても、私がそばについてお守りします》

ミサは黒い影にしがみついた。影の身体のあたたかいぬくもりを感じたような気がした。

《ありがとう》

蛍のような光が一つづつ、消えていった。

影とともにミサも消えていった。




ファンブ村の世界



タンクトップは扇子で仰ぎながら、りゅうきんに聞いた。

《なあ、なあ、昨日の新星見た?》

りゅうきんは、椅子から身を乗り出した。

《見た見た!すごく光ってたね!ワタやん星の近くにあった。立派だったなぁ》

《私も見たぁ。とっても綺麗だったな。》

シーちゃんはそう言うと、はにかんだように微笑んだ。

《でも、なんだか昨日の星は、優しい感じがしたの》


その日まさみんせんせは、昨日の新星についてひとしきり褒め称えた。

教室のみんなも目を輝かせながら、まさみんせんせの話を聞いていた。

教室の誰かが言った。

《あれー?まさみんせんせが泣いてるよぉ?へんなのー》

へんなのーという合唱と笑い声が、朝日が差し込む教室に明るく響いていた。









おわりです








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