2012年08月14日
夜空の蛍2
肩にかけていたショルダーバッグをトサっと地面に置くと、その上に腰を下ろした。
周りにはミサの膝ほどの草がしげっている。
空を見上げた。
辺りは薄暗くなってきているが、まだ星は見えない。
《良かった。間に合った》
ミサは体育座りの格好で、そのままじっとしていた。
そして、もう一度濃紺色の星空を見上げた。
神様、今日私は25歳になったよ。
お星様になる日だね。
神様の言った通り、私、怖くないよ。
みんなのところに、行けるんだね。
風が草むらをそよそよと揺らした。
その時、ポワン ポワンと小さな灯りが揺らめいた。
蛍だった。
ミサは蛍に触ろうと手を伸ばした時、小さな蛍の灯りは
右にも左にも増えて、ミサの周りいっぱいになった。
小さな灯りがたくさん集まって、まるで宇宙のようだ。
神様、蛍がすごく綺麗だよ
お父さん、ありがとう。
さようなら。
つづく
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