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夜空の蛍



アキルノの世界


ミサは新宿で親友たちと飲んでいたが、5時を過ぎるとそろそろと帰り支度を始めた。

それを見た親友たちは、不審そうにミサを見た。

《ちょっとミサ、帰るつもりなの?今夜の主役はあなたなのに》

ミサはハイヒールを履き終わると、友達に向き直った。

《ごめんね、これからどうしても行かなくちゃならないところがあるんだ》

そう言うと友の手を引き寄せて、手を握った。



《今までありがとう。楽しかったよ》

友はポカンと口を開けてミサを見ていたが、ミサはそんなことは気にしなかった。

《バイバイ》

ミサは友の手を強く握って離すと、店の出口へと歩いていった。

アキルノに帰るのだ。

星が瞬く前に。



ミサは電車のつり革につかまりながら、徐々に薄暗くなってくる空を見ていた。

アキルノ駅に着くと、自宅近くの小さな丘を目指した。

駅前の商店街を抜け、住宅街を進んでいくと、畑が多くなってくる。

今はとうもろこしや茄子が、元気いっぱいに育っている。

ミサはそんな畑の中の小道を辿り、小高い丘に出た。

さっき通ってきた街の明かりが、ポツポツと見える。










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