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深い森の物語10



《いただきま〜……こ、これは》

ミーコは、鍋の中を凝視ししていた。


鍋の中に所狭しと椎茸が煮込まれていたからである。


《私がしいたけ嫌いなのを知っているのに、どういうことなの?》


ミーコは目に怒りを讃えて静かに言った。

ミーサンはニッコリと微笑むと、椎茸を一つつまむとミーコの口元に

運んだ。

ミーコはしばらくミーサンと、つままれたしいたけを交互に見ていたが、

諦めたように首を振った。


そして目を固く閉じながら、しいたけのかけらを口に入れた。

その瞬間目は見開かれ恍惚の表情に変わった。



《うまい…》

ミーコは唸るように呟いた。

ミーコは、うまいうまいと言いながら、箸を休める事なく平らげて

いった。

ミーサンは微笑みを浮かべながら、そんな様子を見守っていた。

ミーコが嫌いな物を克服出来たことに喜びを感じていた。


あの時しいたけは別れ際、私たちを狩ってほしいと願い出たのだ。

《ミーサンなら、私達はいいのです…》


《ありがとう、しいたけ。あなたたちの生きるエネルギー、しっかりと受け

取ったよ。》

ミーサンとミーコは湯気の出ている鍋を囲みながら、互いに微笑

みあった。


おわりです









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