2012年07月15日
深い森の物語9
こうもりが垂直に落下したのを見届けると、ミーサンは駆け寄った。
近くに転がっていた棒切れを拾い、こうもりをつついてみたが、ぴくりと
もしない。
《やった》
ミーサンはしいたけ達を振り返ると、ポカーンとしていたが
徐々に歓喜の表情に変わっていき、一斉に歓声を上げ始めた。
良かった。
これから夜は、暗闇で光るラメのカチューシャを付けよう!
そう思っていると、しいたけが、ミーサンの前におずおずと歩いてきた。
しいたけはもじもじしていたが、意を決したように言った。
《ミーサン、一つお願いがあるのです………》
ミーサンは小道を辿り、来た時の半分の時間で車の前に出た。
隣に見知らぬ車が停まっている。
《ミーサンさんですね?お怪我はありませんか?》
その声に驚いて振り返ると、JAFのロゴが入った服を着た男性が、心配
そうに立っていた。
ミーサンはその夜、親友のミーコを家に呼んだ。
今日は山菜鍋をご馳走すると伝えたら、喜び大急ぎでミーコはやってきた。
ミーサンはぐつぐつと煮込まっている、土鍋の蓋を開けた。
なんとも言えない美味しい匂いが部屋中に漂う。
ミーコは待ちきれないとばかりに箸を出した。
つづく
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