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深い森の物語8

リボン    リボン    リボン




こんなにひどい音なのに、しいたけ達は聞こえていないようだった。

しかし、皆怯えていた。今から食べられようとしていることに。

あるしいたけの目は、全てをあきらめたように、うつろだった。


その時、ミーサンの頭に友の笑顔が浮かんだ。

知らずのうちに、涙が流れた。


《あきらめて、たまるか…!》


頭にあったカチューシャを外し、両端のとんがった部分を両耳に押し

込んだ。

カチューシャのおかげで、少しノイズが小さくなったようだ。

ミーサンは、来た道の東方向に全速力で走り出した。





こうもりは、邪魔者がいなくなり、しいたけとの距離をぐんと縮めて

きた。

しいたけ達の悲痛な叫び声が上がった。

ミーサンは右手の三本の指でカチューシャを掴むと、手首の内側に

構えた。

《まだだ》


持つ手にじっとりと汗が滲む。

こうもりとしいたけの距離は、1mになった。


《今だ!》


手首の内側から、東側にいるこうもりに向け、カチューシャを放った。

カチューシャは、ピカピカ光りながら弧を描いて、吸い込まれるように

こうもりに命中した。




つづく










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