2012年07月11日
深い森の物語6
しいたけは、ミーサンが肩から下げている魔法瓶に目を向けた。
《それです。その中の液体は電解質溶液と糖分と塩分では
ないですか?》
しいたけが急に難しいことを言い出したので、ミーサンは一瞬考えて
から言った。
《ポカリスエットのこと?》
しいたけは大きく頷いてみせた。
《そうとも言いうみたいですね。それは私たちを生き返らせる唯一つの
液体なんです》
ポカリでしいたけたちを助けられるなら、そんなに簡単な事はない。
ミーサンは根元のしなびた椎茸たち全てに行き渡るよう、
順々にポカリをかけていった。
流石ポカリ。椎茸の体にも染み込みが早い。
みるみる干からびた椎茸たちは、最初に会ったしいたけのように、
みずみずしく艶やかになっていった。
しいたけたちはめいめい目を開け、起き上がり始めた。
《ありがとう、ミーサン》
《ありがとう!》
しっとりとした傘を揺らしながら、しいたけたちは口々に感謝した。
つづく
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