2012年07月09日
深い森の物語4
これまでのお話
ミーサンは街から離れた深い森に、一人キャンプで来ていたが、遭難してしまう。
その時一匹のしいたけと出会う。しいたけは仲間に会ってほしいと言ったが…
ミーサンは外にでて、後部座席のドアを開けると、
しいたけは軽く会釈し、ひょいと身軽に地面に跳び降り、
そのままぴょんぴょんと森の中に入っていった。
すっかり暗くなってしまった森の中を歩くのは、月明かりと、
照らされたピカピカと光る傘の後姿だけが頼りだった。
しいたけもそんなミーサンを気遣い、遠回りかも知れないが、
獣道のようになっている所を選んでくれているようだった。
満点の星がキラキラと瞬き、月の発光が眩しいほどだった。
どのくらい森の中を進んだだろうか。
目の前にフェンスで囲まれた大きな建物が見えてきた。
《変電所だ》
ミーサンはこの鬱蒼とした森の中で人工物があるのを見て、
少し不安が和らぐのを感じた。
しかし、しいたけは、その殺伐とした建物を恨ましげな顔をして
見上げいた。
つづく
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