2012年07月08日
深い森の物語2
お元気デスか?
へっぽこ物語でも 楽しみです なんておっしゃってくれる方がいると
涙が出るくらい 嬉しいデス ありがとうございますm(_ _)m
ミーサンは痛めた手をかばいながら、薄黄色の車に乗り込んだ。
シートに身をまかせると、ホッと一息をついた。
まさかタヌキに噛まれるとは…
振り払うようにエンジンをかけ、点滅しているサインに気が付いた。
ガソリンがない!
ここは街から北西の、手付かずの自然がまだ
多く残っている森の中だ。
ミーサンは冷たくなった手で口もとを覆って、
これからの事を必死に考えていた。
焦る気持ちでいるミーサンに、追い打ちをかけるように
ひぐらしがけたたましい程に鳴き、
すでに南の高い空に1番星が瞬いていた。
《今晩はここで寝るしかないのかな、こんな事になるなんて》
うつろに星を見ながら、ミーサンはシートをゆっくりと倒した。
その時、後部座席、真後ろに何かがいる気配を感じ、
ミーサンは横になりながら硬直した。
…森へ…行きましょう…お嬢さん…
静かな車内の中に
囁くような、歌っているような、奇妙な調子の高い声が聞こえた。
つづく
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