2018年06月15日
【全般】映画のマスターについて考える
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今回は、映画関連のマスターについてのお話しです。
映画関連ソフトのクオリティは、フィルム撮影にしても、デジタル撮影にしても、マスターに大きく依存します。
そのため、フィルムやマスターについて、ちょっと整理してみたいと思います。
管理人はこのブログを書くまでは、各種メディアのマスターを制作する工程の名称であるテレシネやフィルムスキャンの詳しい情報はあまり持っていませんでした。
大雑把にはわかっていましたが。
そこでちょっと調べて整理してみました。
この言葉がはっきりしていないと、クオリティのレビューが難しいためです。
【テレシネ】
フィルムのポジやネガから、ビデオ信号に変換する作業です。
細かいことはここでは記載しませんが、簡単に言いますと、テレシネの機械の中で、フィルムに光源を当てて、映写し、それをビデオカメラ(各種レンズ等)で撮影するわけです。
ちょっと乱暴な表現ですが、大雑把に言いますとそういうビデオにする工程です。
要するに、家庭でフィルムを映写したものを、ホームビデオで撮影しても、テレシネになります。
テレシネの利点は、フィルムを簡単にビデオに出来ることや時間軸が音声と合っていることです。
デメリットは、ピントがフィルムの状態では合わないシーンがあったり、フリッカーと呼ばれる光がコマごとに明滅したりする現象が起きやすいということです。
また、テレシネの光源も色々あり、その光源の色が付いてしまいます。
パラマウント社のDVDで使われていたテレシネ機材は、光源の関係で「青」が強く、基本的に群青色に近い青色に画面がかぶります。
ワーナー社のDVDでは、「緑」の場合と「赤」の場合の2種類がありました。
そして最大のデメリットは、ビデオ化するわけですので、ビデオの悪い部分が出ます。
解像度、輝度、色などが俗に言うSDビデオ(VHSビデオレベル)のレベル感になります。
HDビデオにも出来ますが、そのころには、フィルムスキャン方式へ移行していったようです。
そのようなわけで、テレシネはビデオやレーザーディスク、DVD時代の代表的なフィルムのビデオ化方法だったということになります。
まとめますと、DVDは「テレシネ」「ビデオ化したものを各種テープやデータへ変換」の工程を経たAD変換のマスターが多いということが言えると思います。
参考までに、こういう状況から、DVD映画ソフトのレビューをするときは、
・映像がビデオっぽい時は、マスターがテレシネによるビデオ(大抵はSDビデオ)だと判断します。
・輝度(暗すぎたり明るすぎたり)や色(色数や色かぶり)がおかしい場合は、テレシネ時やその後のメディア変換(各種テープへ移す)の弊害だと判断します。
色かぶりは、テレシネのビデオに多く、画面全体が赤や緑などが乗っています。
まとめますと、テレシネのマスターを多く使っているDVDのレビューで出てくるデメリットとしては、
・色かぶり・・・画面全体が赤、青、緑などに寄っていて、白と黒に色が付いている状態
原因:テレシネ光源やビデオのYC分離精度、メディア変換などの影響
・輝度・・・画面全体が暗かったり明るすぎたりしている状態
原因:ビデオのYC分離精度、テレシネ光源の強弱、メディア変換などの影響
・低解像度・・・DVD(ブルーレイ)なのに解像度が低かったり、画面がボケている
原因:SDビデオを使用している
・解像度むら・・・シーンによって解像感が違い、良い解像度やボケた解像度のシーンが同じ映画で複数存在する
原因:テレシネ時のフィルムの走行不安定性やねじれなど
・輪郭補正・・・輪郭が強調され実際よりかなり太くなっている
など。
【フィルムスキャン】
テレシネがDVD時代まで続いたあと、日本のIMAGICA社などを中心に、画像のデジタルスキャン技術が発達し、専用のフィルムスキャン機材が充実してきました。
ちょうど、ブルーレイが登場する前あたりです。
2000年代前半ですね。
フィルムを2K、4K、8Kと1コマ1コマスキャンしていくわけですが、専用の機材でスキャンすることが可能になり、手間ではなくなったわけです。
そして、フィルムを所有している制作会社などとしても、メディアやソフトの発売のためだけでなく、2000年代によくいわれた「アーカーヴ」目的でも使われ普及したと言われています。
要するに、フィルムは劣化するので、データで保存しておくという使われ方です。
2005年ごろになると、解像度だけではなく、階調性などを含め、デジタルくささの少ない高画質なスキャンが可能になってきました。
家庭用のデジタル一眼レフやHDビデオカムなどもかなり売れてきたころです。
技術が安定して、データの保存コスト(HDDやメモリの大容量化)も下がってきたわけです。
そうなると、テレシネのようなビデオ化は不要で、フィルムスキャンのほうがデジタル写真技術でもわかる通り、2kや4Kといった高解像度が簡単に実現し画質が良いわけです。
テレシネのようにビデオ変換なども不要ですし、光を当てるわけではないためデメリットの光源の色が乗ったりしません。
2-3プルダウンのようなフレームレートの変換作業も不要で、最初からフレームレートを決めて作成できます。
1コマ1コマデータがあるからです。
DIの環境は、2018年現在も2Kがメインですが、2016年ごろから4K時代になり、徐々に4K化されていると思います。
ここは技術力ではなく、スタジオの機材充実度(お金をかけるかどうか)の問題ですね。
このようにして、ブルーレイのマスターは、フィルムスキャンをしたり、DI工程で制作したりして、完全にデジタルデータ(DI)になっていったのだと思います。
ざっくり言いますと、ブルーレイは、「フィルムスキャン」「DI」の工程を経たデジタルのマスターが多いということが言えると思います。
信号変換がほとんど不要で、現在ではノンリニア編集も可能ですので、理論上クオリティは落ちないままマスターを作ることが可能になっています。
参考までに、こういう状況から、ブルーレイ映画ソフトのレビューをするときは、
・映像がブルーレイなのにDVDやビデオっぽい時は、DVD時代のテレシネビデオ(大抵は2KのHDテープ)をそのまま使っていると判断します。
解像度もないときは、テレシネのSDテープをアップコンバートしたり、ただDVDを焼き直したと判断します。
・暗部がちゃんと黒になっていなくて色が付いていたりした時や、ハイライトに色の輪郭が付いていたりする場合、フィルムスキャナーの精度が悪かったと判断します。
つまり、レビューでは色にじみとかで表現しています。
まとめますと、フィルムスキャンのマスターを多く使っているブルーレイのレビューで出てくるデメリットとしては、
・色にじみ・・・暗部や中間階調に、あるはずのない色(赤、緑)の色がクッキリと乗っている状態で、ほかの部分にはそういう色が乗っていない状態。
原因:スキャナー精度の問題が多いです。
・輝度・・・テレシネと同じで暗すぎたり、明るすぎたりします。
原因:SDRやHDRなどの規格やガンマなどの基準値がずれているため
・バンディング・・・暗い平坦部分を中心に、グレーの縞模様が円形に出来ます。
原因:解像度やビットレートなどをダウンコンバートするとできやすいです。
これ以外にもありますが、あとは大体は、オーサリングするときか、圧縮(エンコード)してメディアに収めようとする時にデジタルノイズが出来ます。
「解像度低下」「ブロックノイズ」「ジャギー」「ディザ」「モスキート」「ランダム」などがあります。
バンディングなどもエンコードが原因だったりしますが・・・。
またテープならではのノイズというか癖があります。
ハイライトの階調が飛んで、真っ白または色が付いた状態がよくあります。
解像度にもよりますが、テープはハイライト方向の飛びが目につきます。
暗部も同様で階調性が薄くなっていたり、黒つぶれしているケースが目につきます。
総じてハイライトと暗部はベタっとなっている傾向があります。
なお撮影時のノイズは一般のデジカメでもおなじみで、「フリッカー」「色ずれなどの各収差」「高感度ノイズ」「周辺減光」「ゴースト」などがあります。
これはレビューでは高感度ノイズくらいしか取り上げていません。
他にもノイズは色々ありますが、ここでは省略します。
このような用語を把握したところで、映画のソフト用マスターの制作工程を見ていくと、理解しやすいと思います。
(色々端折っていますので、ご容赦下さい。)
【DI工程のないフィルム撮影のマスター工程】
フィルム時代(ビデオ、LD、DVDなど)のマスターとしては、
・1世代目:
フィルム撮影時のフィルムネガ「オリジナル・ネガフィルム」
1本しかありません
・2世代目:
オリジナル・ネガフィルムの編集加工用コピー
編集用に複数あり
・3世代目:
オリジナルに特殊効果や色調整などの加工をした本当のマスターフィルム「インター・ポジフィルム」
完成品としては1本しかありませんが、編集分業などの関係で未編集のオリジナルフィルムのコピーが複数あります。
一般的には、このフィルムをマスターとして、テレシネ(ビデオ化、信号変換等)またはフィルムスキャンを行い、各種メディアのマスターを制作します。
そのため、この時点のフィルムの状態やテレシネ機材またはフィルムスキャン機材のレベルで、完成品メディアのクオリティに直結します。
本ブログで度々使うフィルムマスターとは、この3世代目を指すことが多いです。
・4世代目:
上映用プリント(コピー)作成のためのフィルム「インター・ネガフィルム」
国内用、海外用など複数のコピーあり
上記3世代目のフィルムでテレシネまたはフィルムスキャンが出来ない場合は、このフィルムを使います。
劇場よりもかなり映像が悪い(DVDやブルーレイ)の場合は、大抵はこのマスターを使用しています。
配給会社は、この「インター・ネガフィルム」をマスターとして、上映用プリントに字幕を焼き付けたり吹き替え音声を乗せたりしてコピーしていきます。
・5世代目:
上映用フィルム「プリント」
配給会社が制作しますので、上映館数以上に複数存在します。
字幕が焼き付けられているソフトがたまにありますが、このプリントをマスターとしたためですね。
大体このような感じです。
前後したり、抜けがあったりするかもしれません。
フィルムマスターを使ったメディア用のマスターについても整理したいと思います。
【DI工程のないフィルム撮影メディア・マスター工程】
基本的には、第3世代目のフィルムからテレシネまたはフィルムスキャンを行い、メディア用マスターを制作していきます。
・メディア・マスター1世代目:
「マスター・テープ」(現在ではマスターはテープだけでなく、メモリだったりします。)
DVD時代ではテレシネし、SDテープやHDテープ(2K)に記録します。
このテープが通常は、各メディアの大元のマスターになります。
1990年代後半までは、ビデオやレーザーディスクのマスターは、テレシネしてSDテープに落としたものになります。
DVDの初期作品は、このSDテープのアップコンバートが多くがっかりしたものです。
1990年代後半以降、DVDが登場してからは2KのHDテープにテレシネするようになりましたが、その当時の新作が対象だったと思います。
同じ2Kでも1990年代のものと、2010年頃のものでは、クオリティには雲泥の差があります。
DVDで画質の良いものは2006年にブルーレイが登場してからだったと思います。
これは、ブルーレイの登場によって、テレシネからフィルムスキャンに方法が変わっていたためかと思います。
ブルーレイも初期作品は、DVD時代にテレシネしたHDテープマスターをそのまま使っていたりして、DVDと比べ解像感が向上したくらいであとは同じようなクオリティのものが多かったです。
同じDVDのマスターをブルーレイに使っても、DVDよりも解像感が良いのは、DVDマスターがHDだったためです。
DVDはそれをダウンコンバートしていましたので。
そしてDVDと同じような悪い部分が残っているブルーレイは数多くありますが、それはこのDVDマスターをダウンコンバートなしで使用しているためだと思われます。
ブルーレイもDVDと同様に、新作からはちゃんとした新しいHDマスターがフィルムスキャンによって制作され(当然ですが)、ようやくクオリティが向上しました。
一方で、フィルムスキャンしたマスターを使用しているブルーレイの多くも、2016年頃まではHDテープを使用しています。
そのためHDテープの悪い部分がソフトに表れているものも多いです。
2016年に4K UltraHDブルーレイが発売されていますが、2018年現在もその多くが、ブルーレイの2Kマスターを使用したアップコンバートになります。
新メディアはいつの時代も、初期は前メディアのマスターを使い、アップコンバートしたものなのですね。
そして、2012年頃以降に4KのDI環境が現れはじめ、2016年頃に4K環境が整ってきたのだと思います。
デジタル・リマスターなどの作業は、ここの1世代目のマスター化作業を再度行うことを言うようです。
デジタルノイズ以外のノイズや画質は、この工程が原因であることがほとんどです。
大抵は、解像度、輝度、色、階調などがこの工程で決まります。
一番の要素は、フィルムスキャン技術ですね。
同じ2Kのデジタルデータでも、1990年代後半にテレシネしてビデオ化されたものと、2018年にデジタルフィルムスキャンしたものでは比べられないほど、クオリティに差があるのは、容易に想像できます。
・メディア・マスター2世代目:
「マスター・テープ」のコピー
配布/メディア制作用のコピーになります。
米国と日本で、同じタイトルのブルーレイとかでも、画質が違うのはこのあたりのコピー精度やコピー世代なども影響していると思われます。
・メディア・マスター3世代目:
「メディア用マスター・テープ」(現在ではマスターはテープだけでなく、メモリだったりします。)
各メディアに合わせて、ダウンコンバート(SD化やカットなど)したりしたマスターになります。
メディアはデジタルベータカムが多いようです。
・メディア・マスター4世代目:
「オーサリング用マスター・テープ」
各メディアに収録するため、特典を付けたり吹き替え音声を付けたりします。
このようなメディア収録コンテンツを入れた状態にするため、本編もエンコード(圧縮)を行います。
メディアリリースのメーカーに寄りますが、本国で制作したり、各国独自に制作したり様々なようです。
20世紀フォックスやユニバーサルなどは本国で日本語環境も制作することが多いようですね。
このエンコード(圧縮)によって、デジタルノイズが付くケースが多いです。
テープとしては、DLTテープに記録されたものが、マスターとなるケースが多いようです。
DLTテープからオーサリングなどをすることもあり、一概には言えないようですが・・・。
これを工場で、コピー、プレスしていくわけです。
【DI工程のあるフィルム撮影のマスター工程】
DI、つまりデジタル・インターミディエイトは、フィルムスキャン後のデジタルデータまたはデジタル撮影から納品までのデジタル作業工程全てをまとめた総称になります。
・1世代目:
フィルム撮影時のフィルムネガ「オリジナル・ネガフィルム」
1本しかありません
・2世代目:
オリジナル・ネガフィルムの編集加工用コピー
編集用に複数あり
ここでDI用のフィルムスキャンを行い、その後はデジタル編集工程(DI)に進みます。
DIが登場すると、わざわざテレシネのようなビデオ化する必要はなく、1コマ1コマを画像としてデータ化していくわけです。
テレシネよりは画質は確実に向上します。
デジタルノイズ以外のノイズや画質は、このフィルムスキャン工程が原因であることがほとんどです。
大抵は、解像度、輝度、色、階調などがこの工程で決まります。
家庭にマルチプリンターを何度か買い替えたことがある方ならわかると思いますが、スキャナーの精度が悪いと、暗部などがつぶれたり、影の黒いはずの部分に赤とかの色が乗るはずです。
フィルムマスターを使ったメディア用のマスターについても整理したいと思います。
【DI工程のあるフィルム撮影メディア・マスター工程】
基本的には、第2世代目のフィルムからフィルムスキャンを行い、データ化されたものからメディア用マスターを制作(DI)していきます。
DIが登場してからは、徐々にテレシネは行われなくなりました。
その後、メディア用のマスターを制作します。
・メディア・マスター1世代目:
「マスター・テープ」(現在ではマスターはテープだけでなく、メモリだったりします。)
DIによる編集(カラーグレーディング、特殊効果、CG、音入れなど)が2Kや4K環境で行われ、HDテープ(2K)や4Kメモリなどに記録します。
2018年現在では、DI環境は4Kも出てきています。
いずれ8K環境も現れると思います。
このHDテープやメモリが通常は、各メディアの大元のマスターになります。
・メディア・マスター2世代目:
「マスター・テープ」「マスター・メモリ」のコピー
配布/メディア制作用のコピーになります。
海外作品の場合でエンコードを日本側が行う場合、日本に届くのはこのマスターになります。
・メディア・マスター3世代目:
「メディア用マスター・テープ」「メディア用マスター・メモリ」
各メディアに合わせて、ダウンコンバート(2K化やカットなど)したり、アップコンバートしたマスターになります。
テープメディアはデジタルベータカムが多いようです。
メモリの場合は、そのままダウングレード、アップコンバートしてメモリ記録します。
記録メディア変換が不要なため、メモリ記録はクオリティには有利ですね。
・メディア・マスター4世代目:
「オーサリング用マスター・テープ」「オーサリング用マスター・メモリ」
各メディアに収録するため、特典を付けたり吹き替え音声を付けたりします。
このようなメディア収録コンテンツを入れた状態にするため、本編もエンコード(圧縮)を行います。
メディアリリースのメーカーに寄りますが、本国で制作したり、各国独自に制作したり様々なようです。
20世紀フォックスやユニバーサルなどは本国で日本語環境も制作することが多いようですね。
このエンコード(圧縮)によって、デジタルノイズが付くケースが多いです。
テープとしては、DLTテープに記録されたものが、マスターとなるケースが多いようです。
DLTテープからオーサリングなどをすることもあり、一概には言えないようですが・・・。
メモリの場合は、そのままメモリを使うケースが多いので、クオリティには有利ですね。
これを工場で、コピー、プレスしていくわけです。
海外作品の場合でエンコードを日本側が行わない場合、日本に届くのはこのマスターになります。
プレスをするだけですね。
【DI工程のあるデジタル撮影のマスター工程】
このデジタル撮影によるRAWデータを使った工程は、詳しい情報は他のサイトにたくさんありますので、省略したいと思います。
【DI工程のあるデジタル撮影メディア・マスター工程】
この工程は、上記の工程と似ていますので、ここでは省略します。
いかがでしたでしょうか?
詳しい方にとっては、色々な工程が抜けているというご指摘や、いやいや違うメディア記録もある、とかご意見がたくさんあると思います。
ここでは映画などのメディアのクオリティレビューをする上で、抑えておきたい工程をピックアップしたかっただけですので、抜けがあったり、間違えている部分もあるかと思いますが、ご容赦下さい。
パッケージメディアのクオリティは、大きくマスターとなるテレシネマスター、フィルムスキャンマスター、デジタル撮影マスター、DIマスターとプレス元のマスターメディアの出来に大きく依存します。
前者は制作側の問題で、後者はエンコードなどの販売会社の問題によるケースが多いです。
後者はDVDからブルーレイになって、ずいぶんテクニックが向上し、日本ならではの丁寧さでやっつけ仕事はあまり見かけなくなりました。
DVD時代はかなりひどいものが多かったのですが・・・。
そうなると、やはり制作側のクオリティに一番着目すべきかと思います。
フィルム撮影マスターの映画は、フィルムスキャンなどで4Kや8Kにも対応出来て、今後も旧作の高クオリティ化に期待が出来ます。
一方、デジタル撮影を2Kレベルで行ったり、DI環境が2Kのものは、映画マスターそのものが2Kでしかないので、今後はアップコンバートしか方法がありません。
ちょっと残念ですね。
2KのDIの映画をネイティブ4Kとかにするには、映画そのものの制作工程をやり直さないといけないわけですから、まあ、不可能ではありませんが、ないと思います。
そう考えますと、1990年代後半頃から2012年頃まではテレシネマスターが多く、DIはあっても2Kが主流でした。
4Kデジタルカメラのリリースは、2012年頃だったと思いますので。
その時期の映画は、今後は不利ですね。
ブルーレイ画質で止まってしまう可能性が高いわけです。
また2012年以降も、4K撮影はあってもDIは2Kという環境がほとんどですので、Ultra HD Blu-rayの規格が2015年に出来たあとに、ようやく4KのDI制作環境が整い始めたと思われます。
そう考えますと、SDのDVDが登場した1990年代後半から2016年ごろまでは、映画の多くは2KのDIがマスターということになります。
違っていたらすいません。
この時期の作品のクオリティについての将来性は、ちょっと残念ですね。
【セカイモン:eBayの日本語仲介サイト】
【JBL公式通販サイト】
【クリプトンのPCスピーカー】
【AVアンプ】
【サウンドバー】
【ハイレゾ ヘッドホン】
今回は、映画関連のマスターについてのお話しです。
映画関連ソフトのクオリティは、フィルム撮影にしても、デジタル撮影にしても、マスターに大きく依存します。
そのため、フィルムやマスターについて、ちょっと整理してみたいと思います。
用語の整理
管理人はこのブログを書くまでは、各種メディアのマスターを制作する工程の名称であるテレシネやフィルムスキャンの詳しい情報はあまり持っていませんでした。
大雑把にはわかっていましたが。
そこでちょっと調べて整理してみました。
この言葉がはっきりしていないと、クオリティのレビューが難しいためです。
【テレシネ】
フィルムのポジやネガから、ビデオ信号に変換する作業です。
細かいことはここでは記載しませんが、簡単に言いますと、テレシネの機械の中で、フィルムに光源を当てて、映写し、それをビデオカメラ(各種レンズ等)で撮影するわけです。
ちょっと乱暴な表現ですが、大雑把に言いますとそういうビデオにする工程です。
要するに、家庭でフィルムを映写したものを、ホームビデオで撮影しても、テレシネになります。
テレシネの利点は、フィルムを簡単にビデオに出来ることや時間軸が音声と合っていることです。
デメリットは、ピントがフィルムの状態では合わないシーンがあったり、フリッカーと呼ばれる光がコマごとに明滅したりする現象が起きやすいということです。
また、テレシネの光源も色々あり、その光源の色が付いてしまいます。
パラマウント社のDVDで使われていたテレシネ機材は、光源の関係で「青」が強く、基本的に群青色に近い青色に画面がかぶります。
ワーナー社のDVDでは、「緑」の場合と「赤」の場合の2種類がありました。
そして最大のデメリットは、ビデオ化するわけですので、ビデオの悪い部分が出ます。
解像度、輝度、色などが俗に言うSDビデオ(VHSビデオレベル)のレベル感になります。
HDビデオにも出来ますが、そのころには、フィルムスキャン方式へ移行していったようです。
そのようなわけで、テレシネはビデオやレーザーディスク、DVD時代の代表的なフィルムのビデオ化方法だったということになります。
まとめますと、DVDは「テレシネ」「ビデオ化したものを各種テープやデータへ変換」の工程を経たAD変換のマスターが多いということが言えると思います。
参考までに、こういう状況から、DVD映画ソフトのレビューをするときは、
・映像がビデオっぽい時は、マスターがテレシネによるビデオ(大抵はSDビデオ)だと判断します。
・輝度(暗すぎたり明るすぎたり)や色(色数や色かぶり)がおかしい場合は、テレシネ時やその後のメディア変換(各種テープへ移す)の弊害だと判断します。
色かぶりは、テレシネのビデオに多く、画面全体が赤や緑などが乗っています。
まとめますと、テレシネのマスターを多く使っているDVDのレビューで出てくるデメリットとしては、
・色かぶり・・・画面全体が赤、青、緑などに寄っていて、白と黒に色が付いている状態
原因:テレシネ光源やビデオのYC分離精度、メディア変換などの影響
・輝度・・・画面全体が暗かったり明るすぎたりしている状態
原因:ビデオのYC分離精度、テレシネ光源の強弱、メディア変換などの影響
・低解像度・・・DVD(ブルーレイ)なのに解像度が低かったり、画面がボケている
原因:SDビデオを使用している
・解像度むら・・・シーンによって解像感が違い、良い解像度やボケた解像度のシーンが同じ映画で複数存在する
原因:テレシネ時のフィルムの走行不安定性やねじれなど
・輪郭補正・・・輪郭が強調され実際よりかなり太くなっている
など。
【フィルムスキャン】
テレシネがDVD時代まで続いたあと、日本のIMAGICA社などを中心に、画像のデジタルスキャン技術が発達し、専用のフィルムスキャン機材が充実してきました。
ちょうど、ブルーレイが登場する前あたりです。
2000年代前半ですね。
フィルムを2K、4K、8Kと1コマ1コマスキャンしていくわけですが、専用の機材でスキャンすることが可能になり、手間ではなくなったわけです。
そして、フィルムを所有している制作会社などとしても、メディアやソフトの発売のためだけでなく、2000年代によくいわれた「アーカーヴ」目的でも使われ普及したと言われています。
要するに、フィルムは劣化するので、データで保存しておくという使われ方です。
2005年ごろになると、解像度だけではなく、階調性などを含め、デジタルくささの少ない高画質なスキャンが可能になってきました。
家庭用のデジタル一眼レフやHDビデオカムなどもかなり売れてきたころです。
技術が安定して、データの保存コスト(HDDやメモリの大容量化)も下がってきたわけです。
そうなると、テレシネのようなビデオ化は不要で、フィルムスキャンのほうがデジタル写真技術でもわかる通り、2kや4Kといった高解像度が簡単に実現し画質が良いわけです。
テレシネのようにビデオ変換なども不要ですし、光を当てるわけではないためデメリットの光源の色が乗ったりしません。
2-3プルダウンのようなフレームレートの変換作業も不要で、最初からフレームレートを決めて作成できます。
1コマ1コマデータがあるからです。
DIの環境は、2018年現在も2Kがメインですが、2016年ごろから4K時代になり、徐々に4K化されていると思います。
ここは技術力ではなく、スタジオの機材充実度(お金をかけるかどうか)の問題ですね。
このようにして、ブルーレイのマスターは、フィルムスキャンをしたり、DI工程で制作したりして、完全にデジタルデータ(DI)になっていったのだと思います。
ざっくり言いますと、ブルーレイは、「フィルムスキャン」「DI」の工程を経たデジタルのマスターが多いということが言えると思います。
信号変換がほとんど不要で、現在ではノンリニア編集も可能ですので、理論上クオリティは落ちないままマスターを作ることが可能になっています。
参考までに、こういう状況から、ブルーレイ映画ソフトのレビューをするときは、
・映像がブルーレイなのにDVDやビデオっぽい時は、DVD時代のテレシネビデオ(大抵は2KのHDテープ)をそのまま使っていると判断します。
解像度もないときは、テレシネのSDテープをアップコンバートしたり、ただDVDを焼き直したと判断します。
・暗部がちゃんと黒になっていなくて色が付いていたりした時や、ハイライトに色の輪郭が付いていたりする場合、フィルムスキャナーの精度が悪かったと判断します。
つまり、レビューでは色にじみとかで表現しています。
まとめますと、フィルムスキャンのマスターを多く使っているブルーレイのレビューで出てくるデメリットとしては、
・色にじみ・・・暗部や中間階調に、あるはずのない色(赤、緑)の色がクッキリと乗っている状態で、ほかの部分にはそういう色が乗っていない状態。
原因:スキャナー精度の問題が多いです。
・輝度・・・テレシネと同じで暗すぎたり、明るすぎたりします。
原因:SDRやHDRなどの規格やガンマなどの基準値がずれているため
・バンディング・・・暗い平坦部分を中心に、グレーの縞模様が円形に出来ます。
原因:解像度やビットレートなどをダウンコンバートするとできやすいです。
これ以外にもありますが、あとは大体は、オーサリングするときか、圧縮(エンコード)してメディアに収めようとする時にデジタルノイズが出来ます。
「解像度低下」「ブロックノイズ」「ジャギー」「ディザ」「モスキート」「ランダム」などがあります。
バンディングなどもエンコードが原因だったりしますが・・・。
またテープならではのノイズというか癖があります。
ハイライトの階調が飛んで、真っ白または色が付いた状態がよくあります。
解像度にもよりますが、テープはハイライト方向の飛びが目につきます。
暗部も同様で階調性が薄くなっていたり、黒つぶれしているケースが目につきます。
総じてハイライトと暗部はベタっとなっている傾向があります。
なお撮影時のノイズは一般のデジカメでもおなじみで、「フリッカー」「色ずれなどの各収差」「高感度ノイズ」「周辺減光」「ゴースト」などがあります。
これはレビューでは高感度ノイズくらいしか取り上げていません。
他にもノイズは色々ありますが、ここでは省略します。
このような用語を把握したところで、映画のソフト用マスターの制作工程を見ていくと、理解しやすいと思います。
(色々端折っていますので、ご容赦下さい。)
フィルムマスター工程1
【DI工程のないフィルム撮影のマスター工程】
フィルム時代(ビデオ、LD、DVDなど)のマスターとしては、
・1世代目:
フィルム撮影時のフィルムネガ「オリジナル・ネガフィルム」
1本しかありません
・2世代目:
オリジナル・ネガフィルムの編集加工用コピー
編集用に複数あり
・3世代目:
オリジナルに特殊効果や色調整などの加工をした本当のマスターフィルム「インター・ポジフィルム」
完成品としては1本しかありませんが、編集分業などの関係で未編集のオリジナルフィルムのコピーが複数あります。
一般的には、このフィルムをマスターとして、テレシネ(ビデオ化、信号変換等)またはフィルムスキャンを行い、各種メディアのマスターを制作します。
そのため、この時点のフィルムの状態やテレシネ機材またはフィルムスキャン機材のレベルで、完成品メディアのクオリティに直結します。
本ブログで度々使うフィルムマスターとは、この3世代目を指すことが多いです。
・4世代目:
上映用プリント(コピー)作成のためのフィルム「インター・ネガフィルム」
国内用、海外用など複数のコピーあり
上記3世代目のフィルムでテレシネまたはフィルムスキャンが出来ない場合は、このフィルムを使います。
劇場よりもかなり映像が悪い(DVDやブルーレイ)の場合は、大抵はこのマスターを使用しています。
配給会社は、この「インター・ネガフィルム」をマスターとして、上映用プリントに字幕を焼き付けたり吹き替え音声を乗せたりしてコピーしていきます。
・5世代目:
上映用フィルム「プリント」
配給会社が制作しますので、上映館数以上に複数存在します。
字幕が焼き付けられているソフトがたまにありますが、このプリントをマスターとしたためですね。
大体このような感じです。
前後したり、抜けがあったりするかもしれません。
フィルムマスター工程2
フィルムマスターを使ったメディア用のマスターについても整理したいと思います。
【DI工程のないフィルム撮影メディア・マスター工程】
基本的には、第3世代目のフィルムからテレシネまたはフィルムスキャンを行い、メディア用マスターを制作していきます。
・メディア・マスター1世代目:
「マスター・テープ」(現在ではマスターはテープだけでなく、メモリだったりします。)
DVD時代ではテレシネし、SDテープやHDテープ(2K)に記録します。
このテープが通常は、各メディアの大元のマスターになります。
1990年代後半までは、ビデオやレーザーディスクのマスターは、テレシネしてSDテープに落としたものになります。
DVDの初期作品は、このSDテープのアップコンバートが多くがっかりしたものです。
1990年代後半以降、DVDが登場してからは2KのHDテープにテレシネするようになりましたが、その当時の新作が対象だったと思います。
同じ2Kでも1990年代のものと、2010年頃のものでは、クオリティには雲泥の差があります。
DVDで画質の良いものは2006年にブルーレイが登場してからだったと思います。
これは、ブルーレイの登場によって、テレシネからフィルムスキャンに方法が変わっていたためかと思います。
ブルーレイも初期作品は、DVD時代にテレシネしたHDテープマスターをそのまま使っていたりして、DVDと比べ解像感が向上したくらいであとは同じようなクオリティのものが多かったです。
同じDVDのマスターをブルーレイに使っても、DVDよりも解像感が良いのは、DVDマスターがHDだったためです。
DVDはそれをダウンコンバートしていましたので。
そしてDVDと同じような悪い部分が残っているブルーレイは数多くありますが、それはこのDVDマスターをダウンコンバートなしで使用しているためだと思われます。
ブルーレイもDVDと同様に、新作からはちゃんとした新しいHDマスターがフィルムスキャンによって制作され(当然ですが)、ようやくクオリティが向上しました。
一方で、フィルムスキャンしたマスターを使用しているブルーレイの多くも、2016年頃まではHDテープを使用しています。
そのためHDテープの悪い部分がソフトに表れているものも多いです。
2016年に4K UltraHDブルーレイが発売されていますが、2018年現在もその多くが、ブルーレイの2Kマスターを使用したアップコンバートになります。
新メディアはいつの時代も、初期は前メディアのマスターを使い、アップコンバートしたものなのですね。
そして、2012年頃以降に4KのDI環境が現れはじめ、2016年頃に4K環境が整ってきたのだと思います。
デジタル・リマスターなどの作業は、ここの1世代目のマスター化作業を再度行うことを言うようです。
デジタルノイズ以外のノイズや画質は、この工程が原因であることがほとんどです。
大抵は、解像度、輝度、色、階調などがこの工程で決まります。
一番の要素は、フィルムスキャン技術ですね。
同じ2Kのデジタルデータでも、1990年代後半にテレシネしてビデオ化されたものと、2018年にデジタルフィルムスキャンしたものでは比べられないほど、クオリティに差があるのは、容易に想像できます。
・メディア・マスター2世代目:
「マスター・テープ」のコピー
配布/メディア制作用のコピーになります。
米国と日本で、同じタイトルのブルーレイとかでも、画質が違うのはこのあたりのコピー精度やコピー世代なども影響していると思われます。
・メディア・マスター3世代目:
「メディア用マスター・テープ」(現在ではマスターはテープだけでなく、メモリだったりします。)
各メディアに合わせて、ダウンコンバート(SD化やカットなど)したりしたマスターになります。
メディアはデジタルベータカムが多いようです。
・メディア・マスター4世代目:
「オーサリング用マスター・テープ」
各メディアに収録するため、特典を付けたり吹き替え音声を付けたりします。
このようなメディア収録コンテンツを入れた状態にするため、本編もエンコード(圧縮)を行います。
メディアリリースのメーカーに寄りますが、本国で制作したり、各国独自に制作したり様々なようです。
20世紀フォックスやユニバーサルなどは本国で日本語環境も制作することが多いようですね。
このエンコード(圧縮)によって、デジタルノイズが付くケースが多いです。
テープとしては、DLTテープに記録されたものが、マスターとなるケースが多いようです。
DLTテープからオーサリングなどをすることもあり、一概には言えないようですが・・・。
これを工場で、コピー、プレスしていくわけです。
フィルムマスター工程3
【DI工程のあるフィルム撮影のマスター工程】
DI、つまりデジタル・インターミディエイトは、フィルムスキャン後のデジタルデータまたはデジタル撮影から納品までのデジタル作業工程全てをまとめた総称になります。
・1世代目:
フィルム撮影時のフィルムネガ「オリジナル・ネガフィルム」
1本しかありません
・2世代目:
オリジナル・ネガフィルムの編集加工用コピー
編集用に複数あり
ここでDI用のフィルムスキャンを行い、その後はデジタル編集工程(DI)に進みます。
DIが登場すると、わざわざテレシネのようなビデオ化する必要はなく、1コマ1コマを画像としてデータ化していくわけです。
テレシネよりは画質は確実に向上します。
デジタルノイズ以外のノイズや画質は、このフィルムスキャン工程が原因であることがほとんどです。
大抵は、解像度、輝度、色、階調などがこの工程で決まります。
家庭にマルチプリンターを何度か買い替えたことがある方ならわかると思いますが、スキャナーの精度が悪いと、暗部などがつぶれたり、影の黒いはずの部分に赤とかの色が乗るはずです。
フィルムマスター工程4
フィルムマスターを使ったメディア用のマスターについても整理したいと思います。
【DI工程のあるフィルム撮影メディア・マスター工程】
基本的には、第2世代目のフィルムからフィルムスキャンを行い、データ化されたものからメディア用マスターを制作(DI)していきます。
DIが登場してからは、徐々にテレシネは行われなくなりました。
その後、メディア用のマスターを制作します。
・メディア・マスター1世代目:
「マスター・テープ」(現在ではマスターはテープだけでなく、メモリだったりします。)
DIによる編集(カラーグレーディング、特殊効果、CG、音入れなど)が2Kや4K環境で行われ、HDテープ(2K)や4Kメモリなどに記録します。
2018年現在では、DI環境は4Kも出てきています。
いずれ8K環境も現れると思います。
このHDテープやメモリが通常は、各メディアの大元のマスターになります。
・メディア・マスター2世代目:
「マスター・テープ」「マスター・メモリ」のコピー
配布/メディア制作用のコピーになります。
海外作品の場合でエンコードを日本側が行う場合、日本に届くのはこのマスターになります。
・メディア・マスター3世代目:
「メディア用マスター・テープ」「メディア用マスター・メモリ」
各メディアに合わせて、ダウンコンバート(2K化やカットなど)したり、アップコンバートしたマスターになります。
テープメディアはデジタルベータカムが多いようです。
メモリの場合は、そのままダウングレード、アップコンバートしてメモリ記録します。
記録メディア変換が不要なため、メモリ記録はクオリティには有利ですね。
・メディア・マスター4世代目:
「オーサリング用マスター・テープ」「オーサリング用マスター・メモリ」
各メディアに収録するため、特典を付けたり吹き替え音声を付けたりします。
このようなメディア収録コンテンツを入れた状態にするため、本編もエンコード(圧縮)を行います。
メディアリリースのメーカーに寄りますが、本国で制作したり、各国独自に制作したり様々なようです。
20世紀フォックスやユニバーサルなどは本国で日本語環境も制作することが多いようですね。
このエンコード(圧縮)によって、デジタルノイズが付くケースが多いです。
テープとしては、DLTテープに記録されたものが、マスターとなるケースが多いようです。
DLTテープからオーサリングなどをすることもあり、一概には言えないようですが・・・。
メモリの場合は、そのままメモリを使うケースが多いので、クオリティには有利ですね。
これを工場で、コピー、プレスしていくわけです。
海外作品の場合でエンコードを日本側が行わない場合、日本に届くのはこのマスターになります。
プレスをするだけですね。
デジタルマスター工程1
【DI工程のあるデジタル撮影のマスター工程】
このデジタル撮影によるRAWデータを使った工程は、詳しい情報は他のサイトにたくさんありますので、省略したいと思います。
デジタルマスター工程2
【DI工程のあるデジタル撮影メディア・マスター工程】
この工程は、上記の工程と似ていますので、ここでは省略します。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
詳しい方にとっては、色々な工程が抜けているというご指摘や、いやいや違うメディア記録もある、とかご意見がたくさんあると思います。
ここでは映画などのメディアのクオリティレビューをする上で、抑えておきたい工程をピックアップしたかっただけですので、抜けがあったり、間違えている部分もあるかと思いますが、ご容赦下さい。
パッケージメディアのクオリティは、大きくマスターとなるテレシネマスター、フィルムスキャンマスター、デジタル撮影マスター、DIマスターとプレス元のマスターメディアの出来に大きく依存します。
前者は制作側の問題で、後者はエンコードなどの販売会社の問題によるケースが多いです。
後者はDVDからブルーレイになって、ずいぶんテクニックが向上し、日本ならではの丁寧さでやっつけ仕事はあまり見かけなくなりました。
DVD時代はかなりひどいものが多かったのですが・・・。
そうなると、やはり制作側のクオリティに一番着目すべきかと思います。
フィルム撮影マスターの映画は、フィルムスキャンなどで4Kや8Kにも対応出来て、今後も旧作の高クオリティ化に期待が出来ます。
一方、デジタル撮影を2Kレベルで行ったり、DI環境が2Kのものは、映画マスターそのものが2Kでしかないので、今後はアップコンバートしか方法がありません。
ちょっと残念ですね。
2KのDIの映画をネイティブ4Kとかにするには、映画そのものの制作工程をやり直さないといけないわけですから、まあ、不可能ではありませんが、ないと思います。
そう考えますと、1990年代後半頃から2012年頃まではテレシネマスターが多く、DIはあっても2Kが主流でした。
4Kデジタルカメラのリリースは、2012年頃だったと思いますので。
その時期の映画は、今後は不利ですね。
ブルーレイ画質で止まってしまう可能性が高いわけです。
また2012年以降も、4K撮影はあってもDIは2Kという環境がほとんどですので、Ultra HD Blu-rayの規格が2015年に出来たあとに、ようやく4KのDI制作環境が整い始めたと思われます。
そう考えますと、SDのDVDが登場した1990年代後半から2016年ごろまでは、映画の多くは2KのDIがマスターということになります。
違っていたらすいません。
この時期の作品のクオリティについての将来性は、ちょっと残念ですね。
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