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ν賢狼ホロν
「嫌なことなんて、楽しいことでぶっ飛ばそう♪」がもっとうのホロです。
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2009年01月14日
『闇の狭間の淫略〜淫魔竜レナ』 part4

が、とうとう日が沈んでもバッツが戻ってくることはなった。
「早く…、早く来いよ……。来いってんだよバッツ!!もう待ちくたびれたぞ!
もう俺たち二人でバル城に行っちまうぞ?!いいのかよぉ!!」
モンスターに見つかるかもしれないのに、ファリスは叫ばずに入られなかった。
こんなことで、自分が愛する人間が目の前から消えてしまうことにファリスはとても耐えられなかった。
(俺とはぐれたら、二人だけでバル城へ行くんだぞ!)
バッツが別れ際に叫んだ言葉がファリスの脳内にわんわんと反射している。
正直、ファリスが一人だけだったらそんな言葉を無視してタイクーン城へ戻っていただろう。
というより、先に逃げずにバッツの傍に寄り添い運命を共にしていたに違いない。
だが今ファリスには妹のレナがついている。自分ひとりが死ぬのはどうでもいいが、レナを巻き添えにするのだけは絶対に許されないことだ。
「……今は、バル城へ行くのが先か……」
そしてクルルに事情を説明し、バル城の兵力をあわせてタイクーン城を解放しに行く。
そしてそこで、バッツの仇を……
「違う!あいつは死んでない!絶対に死んでなどいるものか!
俺はバッツを見捨てていくんじゃない。絶対にどこかに逃げ延びているバッツを後で迎えに来るんだ。
だから今は、レナを連れてバル城へ逃げ延びるんだ。それをバッツも望んでいるんだ!」
口ではそう言っているものの、もうバッツの生存が絶望的なのはファリスにもよく分かっている。
ぎりぎりと噛み締めている唇から血がだらだらと零れ落ちている。
バッツを失った悲しみ。
それは父親、シルドラを目の前で失った時よりはるかに大きいものだった。
「とにかく…レナを起こして……」
奥で眠っているはずのレナを連れて、まずはここから……と思いながらファリスがアジトの地下に戻ってくると…
「あ、姉さん……」
そこにはすっかり顔色の良くなったレナが佇んでいた。
「あ…レナ!起きたのか……!」
「ええ。でも、ここって確か姉さんが海賊だった時の住処よね。何で私、こんなところに……」
そこまで言ってから、レナの顔が見る見るうちに青く染まっていく。どうやら、タイクーン城を襲った惨劇を思いだしたようだ。
「そう、だ…。突然、空が真っ暗になって、あたり一面からモンスターが現れて、
たちまち城の中に入ってきて……みんな……みんな………?!」
「ああ。俺たちが見たとき、タイクーン城はもう真っ黒い霧に覆われていた。
そこから、何とかレナだけは助け出せたんだが、バッツは、バッツは……」
「バッツ?!バッツがどうかしたの?!」
「ああ、実は……」
ファリスは、現在までいたる経緯をレナにかいつまんで説明した。
「バカだよな。自分ひとりなら何とかなるって言ってさ、一人でモンスターの群れに飛び込んでさ……なに言ってやがんだっての。結局戻ってこれなかったじゃねえか……
そんな背伸びしたことしてんじゃ、ねえよ……。こんなあっさり や、やられ  やられちち   …」
つい今まで軽口を叩いていたファリスの顔に見る見るうちに涙がたまり、口元が変な痙攣を起こしてきている。
「なあレナ、あいつバカすぎ…   …。一人で勝手に格好つけて   … し、 し しん    …」
「姉さん…」
「しん しんじ…死んじまうなんてよぉーーーっ!!うわあぁ〜〜〜っ!!」
とうとう我慢が出来なくなったのか、溜めた堰が決壊するかのようにファリスはレナに抱きつきながら大声を上げて泣き叫び始めた。
「なんで、なんでこんなことになっちまったんだぁ〜〜〜〜っ!!ひどすぎるよぉ〜〜〜〜っ!」
顔をレナの胸に埋め泣きじゃくるファリスを、レナは無言で抱きしめその頭を優しくなでていた。
これだけ見るとどっちが姉だかわかりはしない。
「可哀相な姉さん…。とっても、とっても辛かったのね……
私じゃバッツの代わりになれないと思うけど……、ずっと姉さんの隣にいてあげるね……」
「あぁ……あぁぁ……レ゛ナァァ……」
「ずっとずっと、永遠に姉さんの傍にいてあげる……そう」


私がバッツなんか忘れさせてあげる


「……レ、レナ……?」
ファリスを抱きしめるレナの腕にぎりぎりと力が込められていっている。あまりの強さにファリスの顔がレナの胸に埋まり、呼吸すらしんどくなってきている。
「ちょ…。レナ、苦しい……離して……」
「いや。ここで離したら姉さんはまたどこかに行ってしまう。私を置いてどこかに消えてしまう!
男を漁りに、私から離れてしまうの!!」
レナが発する声にしだいに黒いものが混じりだしてきている。ファリスを掴む腕の力はますます力を増し、頭蓋骨からミシミシと軋む音が聞こえてきているほどだ。
「や、やめろ……レナ……!離せ!!」
身の危険を感じたファリスは、渾身の力をこめ自分の身体をレナから引き剥がした。抱きしめられていた頭からザッと血が引き、軽い頭痛が起こっている。
「何をするんだいきなり………?!」
いきなりの仕打ちにさすがに怒ったファリスがレナを見たとき、途中でファリスの言葉は詰まってしまった。
ファリスを見るレナの瞳は尋常でない輝きを放っている。
それは憎悪であり嫉妬であり…、決して人間には出せるはずもない強烈な光だった。
「また、逃げるのね……」
レナがぽそりと喋った。
「また私を捨てて逃げるのね……。自分だけがいい想いをしたくて、ただ一人の血を分けた私を捨てて、いずこへなりと逃げるのね。
そして、別天地で男を作って酒色にふけるのね!許さない!許さない!!そんなの許さない!!」
「レナ……」
レナが発するあまりにも強い憎しみの炎に、ファリスは無意識に後ずさってしまった。こんなに薄ら暗い感情を爆発させるレナを、ファリスは今まで見たことがなかった。
「そんなことはさせない!姉さんは私のもの!未来永劫、私のもの!
もう絶対に逃がしはしない!姉さんは、私のものなんだぁーっ!!」
洞窟が壊れるかとくらいの大声を出したレナの容姿が、ファリスの目の前で見る見るうちに変わっていく。



皮膚の色が薄灰色に変化し、所々がぬめりを帯びた鱗で覆われていく。
額の天辺からは毒々しい赤色をした角が伸び、背中からは大きな翼、腰からは尻尾が生えてきている。
瞳は瞳孔が縦長に伸び、虹彩は狂気と淫気を帯びた紅色に変化し、耳元からは小さい翼状のものが伸びている。
その姿は、まるで人間と竜をいびつに融合させたようなものだった。
「レ、レナ……。その姿は……」
目の前で起こったことを、ファリスは受け入れることが出来なかった。
ついさっきまで妹だったものが、いきなりモンスターに変化してしまったなんて到底信じれるはずがない。
「…姉さん。私ね、姉さんが出て行った夜からずっと思っていたのよ。
なんで私の前から姉さんがいなくなるのか。せっかく再会した肉親なのに、それより大事なものがあるのかって……」
レナだったものはファリスを憎々しげに睨み付けている。自分の前から消えたファリスを心底怨んでいるようだ。
「それで私は考えたの。私に力がないから、逃げていく姉さんを止めることが出来なかったんだって。
だから私は空にお願いしたの。姉さんを引き止めることの出来る力が欲しい。
姉さんを私だけのものに出来る力が欲しいって……そうしたらね」
レナだったものはファリスに黒く歪みきった笑みを送った。
「空から声が聞こえてきたの。私の願いを叶えてくれるって。
城の人間全ての命と引き換えに、私の願いを叶えてくれるってね……」
「?!レ、レナ……まさか……」
その答えを聞くのがファリスは恐かった。あのレナが、そんなことを受け入れるなんて考えたくもなかったからだ。
だが現実は非情である。
「もちろん受け入れたわよ!!
城の人間全員を生贄にすれば、私の願いが叶うんならそうしないわけないじゃない!!
一言言ったわよ!『この城の人間全部差し上げます』ってね!!そうしたらあのお方…ダークサタン様はきちんと約束を叶えてくださったわ!
だってこの私にくれたんですもの!姉さんを、いや人間全てを蹂躙できる素晴らしい身体を!!」
レナはその場で新しい体をファリスに見せ付けるようにくるっと一回転した。
「バ、バカヤロ……。お前、そんなことのためにタイクーン城の人間全員殺したっていうのか?!」
ファリスが憤るのももっともだ。ファリスは確かにバッツを愛していたが、それと同じくらいにレナも大事にしている。どっちのほうが上かなんて比べられるものではない。
それをレナは、ファリスを独占したがためだけにエクスデスもかくやという大虐殺をしたことになる。
これはファリスにとって決して許されるものではない。
「そうよ!姉さんを手に入れるためなら他の人間なんかどうなってもいい!
私には姉さんだけいればいい!他の人間なんていらない!」
が、レナは体だけでなく心までモンスターに変わってしまっておりそんなことは気にもしていないようだ。
「だから、私は姉さんがいるリックスにモンスターたちを率いて攻め込んで、姉さん以外は皆殺しにしようとしていたの。でも、姉さんがこっちに向っているのを知って考えを変えたわ…」
レナの顔が邪悪に微笑む。
「姉さんの目の前で、バッツと離れ離れにして姉さんを一人ぼっちにする…
姉さんも分かったでしょ?大好きな人間が目の前で来て、孤独になる寂しさが……アハハハァ!」
「なんだと?!じゃあまさか最初から……」
「当たり前でしょ?!私だけが無事だったなんて不自然に思わなかったの?!私が生きていたと安心して頭の芯までボケちゃったの?!
そんな都合のいいこと、よく考えたらあるわけないのに!!キャーッハッハッハ!!」
目の前で馬鹿笑いをするレナを見て、ファリスはわなわなと肩を振るわせた。
これは最初から罠だったのだ。ファリスただ一人を捉えるための、一国を使った壮大な罠。
「許さねぇ……許さねえぞレナ!よくもバッツを……タイクーンのみんなを!!」
ファリスは怒りに燃えた瞳をレナに向け、腰にかけた剣を抜き放った。
目の前にいるモンスターを、ファリスは既にレナとは思っていなかった。
「うふふ!そうよ姉さん、私だけを見て!愛も怒りも憎しみも、ただ私だけに向けて!!」
「黙れ!もうお前なんか妹じゃねえ!この場でぶった切ってやる!!」
ファリスは剣に黒魔法ブリザガの力を込め、レナとの間合いをじわりと詰めた。レナは以前から魔法系の力は得意だが肉弾戦は苦手にしていたはずだから、一気に勝負を賭ける腹積もりでいた。
だが、そんなファリスをレナは余裕を持って待ち構えていた。
「ふふっ、そこから一気に間合いを詰めて私を切るつもり?
甘いわよ姉さん!追い詰められたのは姉さんのほうなんだから!!」
「なんだと………」

2009年01月14日
『闇の狭間の淫略〜淫魔竜レナ』 part5
バァン!!

レナの言葉に訝しんだファリスの背後から、突如物凄い衝撃が走った。
「うあっ!!」
不意をつかれたファリスはたちまち前のめりに吹っ飛び、ブリザガを込めた剣もあらぬ方向に飛んでいってしまった。
「な、なんだ………ハッ?!」
苦しげに顔をゆがめたファリスが周りを見ると……
なんとアジトの周囲をすっかりと囲むほどのモンスターが現れてきた。
しかも、そのどれもこれもが今までファリスが見たこともないようなものだった。
曰く、人間の顔から大蛇が伸びているようなもの。
曰く、脚が八本生えている怪馬。
曰く、人間の胴体に巨大な口が開いている頭のない物体。
曰く、足元が無数の触手で構成されている蟹。
そして、レナの後ろから出てきた全身が金色に光り輝くレナのように竜と人間が融合したような妖女と、その横につれそうどこかで見たような牛人間。



「ご苦労でしたねレナ。これでダークサタン様も大層喜ばれることでしょう」
「ありがとうございます。セイバー様」
レナは目の前の妖女に深々と畏まった。どうやら、セイバーと言う名前らしい。
「始めまして。私はダーククロス・淫魔竜軍軍団長セイバー。そこのレナの上司にあたる者です」
セイバーは地面に横たわるファリスに慇懃無礼にお辞儀をした。
「あなたの妹君はたいした方で、たった一人でこの国一つを滅ぼす決断をしてくださりました。
おかげで我々としても当面の侵攻がとても行いやすくなり、我らがダークサタン様もひどく喜ばれておいでです。
そして貴方はそこのレナがこれはと一押しした人間。本来なら、快楽に包まれ悦びのなかで我らが一員へと変えるところなのですが……」
あくまで顔に笑顔をたたえたままセイバーはファリスへと近づき…、
笑顔のままファリスの顔を思い切り踏みつけた。
「ぐっ!」
「な・の・で・す・が、私のモンタに傷をつけた以上、そうは問屋が卸さないのです」
セイバーは後ろにいる牛男〜ミノタウロスのモンタにちらと視線を送る。
するとモンタは「ぶもぉ」と鳴き、照れくさそうに頭を掻いた。
「ですから貴方には、まずモンタの素晴らしさをその体に教えて差し上げましょう。
どうせ、既に男を咥えている体なのでしょう?そんな男の記憶なんか、一瞬にして消え失せてしまいますよ…
モンタ、存分に恨みを晴らしなさい。貴方を傷つけた、不遜な女にね」
「ぶもーっ!」
それは恨みを晴らせる嬉しさなのか、それとも女を抱ける嬉しさなのか、モンタは喜び勇んでファリスの元へと駆けつけてきた。
そのいきり立った逸物を見て、ファリスの顔が真っ青になる。
「や、やめろ!!そ、そんなもの入るわけない!」
「大丈夫です。彼は毎日毎日私を悦ばせてくれます。問題はありません」
それはお前が化物だから…、なんていう暇もなくファリスはモンタに両足を掴まれ、強引に股を開かされた。
「うわーっ!バカーッ!!やめろやめろ!!やめてくれぇーっ!!」
「前戯なんて必要ありません。そんなことをしなくてもモンタのモノを受け入れればすぐに気持ちよくなってしまいますから…」
泣き叫ぶファリスに、セイバーは無慈悲に宣告した。その顔は明らかにファリスの醜態を面白がっているように見える。
「やめろやめろ!レナ!助けて……」
ついさっきまでは殺す気満々だったレナにファリスは救いの手を伸ばしたが、レナもファリスをニヤニヤと見るだけで何もしようとはしない。
「ぶもーっ!!」
「うわーっ!いやだぁ……があっ!!」

メリメリィッ!

絶対に、何かが裂ける音がした。そうファリスは確信した。
モンタが勢いよく突き入れたペニスは、ファリスの小さい陰唇を強引に引き裂き奥までずっぷしと刺し入った。
「が…    ぐぁ     …」
まるで焼けた鉄棒をねじこまれたような感覚に、ファリスは大きく口を開いたままパクパクと声にならない悲鳴を上げていた。
「さあモンタ、思い切りシェイクするのです。その女から思考というものを奪って差し上げなさい」
「ぶもぉーっ!!」

バンッ!バンッ!バンッ!!

それは腰と腰が当る音と言うより、つるはしか何かで岩を砕くような音だった。
セイバーはすぐに気持ちよくなるといったが、そんなものは毛ほども湧いてこない。むしろ、今にも自分が壊されるんじゃないかという思いのほうが大きくなっている。
「ぶもーっ!ぶもーっ!ぶもーっ!!」
モンタのほうはファリスの体を堪能しているようで、その顔は快楽に染まっている、ように見える。
牛の顔のどういうものが快楽の表情なのか、残念ながら普通の人間にはわからない。
「うふふ。そうですかモンタ。その女の中はそんなに素晴らしいですか……」
モンタとファリスの情事をセイバーは興味深そうに眺めていた。
その顔にはいまだに笑顔が張り付いているが、心なしか口元が引きつっているように見える。
「いだぁ……いだいぃ!とめてぇ……」
セイバーに顔を踏みつけられ、下半身をモンタに陵辱されながら、ファリスはか細い声で必死に止めてくれと訴えかけていたが、二人はそんなことお構い無しにその手を休めようとしない。
見るとレナもファリスの痴態を見て興奮したのか、下腹部に手を入れて荒い息を吐きながら自慰を行っている。
自分の不様な姿が妹に見られていることよりも、それを妹のオカズにされていることにファリスは深いショックを受けていた。
「うあぁ……レナァァ……
バッツ……バッツゥ……助けてくれ。助けてくれよぉ……」
もういないバッツに、ファリスはうわ言のように助けを求めた。
バッツなら、バッツならきっと自分を今の境遇から救い出してくれる。まるで本の中の英雄のように、今まで何度もピンチの時に現れてなんかしてくれたのだ。
今回だってきっとそうだ。そうに違いない。いま自分が苦しんでいるのも、そうなった時の心の爽快感をより引き立たせるためのスパイスなのさ……
バッツに救いを求めるファリスの目からは光が失われている。もう現実から目をそむけ、夢と願望の世界に心を預けないとファリスという個が消滅しかねないほどの精神的ショックを受けていたのだ。
そしてそんな心の中に逃げ込んだファリスを許すようなレナではなかった。
たとえ夢の中でも、ファリスとバッツが一緒にいるというのがレナには耐えられなかった。



「うふふ、姉さん。そんなにバッツに会いたい?」
恐らく聞こえてはいないと思うが、腕を弄り続けながらレナはファリスに語りかけてきた。
「実は……、バッツはまだ生きているんですよ。姉さん」
「………、うぁ…?」
『バッツ』が『生きている』。
この言葉にファリスは僅かに反応した。
「だって、バッツはかつて私たちと一緒にエクスデスを倒した大切な仲間じゃないですか。
なんでそう簡単に殺したりしますか?そんなことをする血も涙もないような私に見えますか?」
レナの顔は、一見すると心底バッツのことを案じているように見える。
だが、その目は意地悪く笑っておりその言葉が上辺だけの嘘っぱちだというのは明らかだ。
「だから私、セイバー様に頼んでバッツを殺さないようにって言っておいたんです。
そう。殺さないで……」
クスクス笑っているレナがすっと体を横に動かす。
すると、奥に並んでいる魔物の群れも左右に分かれ、隠していたものをファリスの視界に飛び込ませてきた。
それは…

2009年01月14日
『闇の狭間の淫略〜淫魔竜レナ』 part6

「あっ!あああぁっ!!気持ちいいっ!!」

それは、全裸に剥かれたバッツが多数の女性型モンスターに貪られている構図だった。
その下半身は蛇の下半身を持つラミアによって埋められ、ぐにぐにとした腰使いから多量の精をこ削ぎ取られており、溢れ出した精液がラミアの胴体の隙間からダラダラと零れ落ちてきている。
上半身には頭だけが人間の蛇ウロボロスが纏わりつき、大きい口から伸びた牙をバッツに埋め、快楽を与えると共にその血を吸い取っている。
さらに数匹の人魚が周りにたかって、バッツの肌をぺろぺろと舐めしゃぶっている。
「ひあっ!凄いぃ!もっと、もっとおぉ…っ!」
女モンスターのされるがままに任せ、快楽を貪るバッツの顔にはファリスが知っている精悍さは微塵もない。
そのあまりに酷い姿に、ファリスの目に光が僅かながら戻ってきた。
「ひっ……バ、バッツゥ……?!」
バッツのほうからも、モンタに組み伏せられているファリスの姿は見えているはずだ。
だがバッツはファリスには目もくれず、自分のものを咥えているラミアの下半身をギュッ掴み、ぐいぐいと自らの腰に押し付けていた。
「ですから殺さないで、私たちの体をたっぷりと味あわせてあげたんですよ!
とってもとっても気持ちいい、姉さんなんか眼中にも入らなくなるほどの魔物の快楽をね!
ほら見て姉さん!バッツのあの気持ちよさそうな顔を!
目の前で姉さんが犯されているというのに、全く気にしないで自分の快楽を貪っているんですよ!
なんて浅ましいのかしら!ねえ、姉さん!」
「ひ、ひぃぃ……」
もう二度と会えないと思っていた恋人に再会できた。本来なら諸手を上げて喜ぶべき場面であろう。
だが、『今』『この場面』というのははっきり言って最悪だった。
自分は化物に犯され身動きが取れず、相方は自分の目の前で化物に犯され歓喜の表情を浮かべている。
こんな姿をバッツに見せたくはない。あんなバッツをこっちは見たくなかった。
「あはは…、あへぇぇ………?」
快楽で緩みきったバッツの視線が、偶然かファリスの姿を捉えてきた。
モンタに下半身を貫かれているファリスの無残な姿がバッツの脳内に飛び込んでくる。
「や、やめろバッツ……。見るな、こんな俺の姿を見るなあぁぁっ!!」
それは恥ずかしさからか、それとも申し訳なさからか、ファリスは目を閉じながらバッツに対して訴えかけていた。
だが、心の中では淡い期待もしていた。
このままバッツが自分の姿を見て正気を取り戻し、自分を助けてくれる、という実に都合のいい期待を。

しかし、現実はやっぱり非情である。
「………も、もっとぉ…。もっと動いて!もっと吸って!もっと舐めて!!
まだ足りない!もっと、もっともっともっともっと気持ちよくしてくれぇ………!」
ファリスの姿を、バッツはまるで興味ないと一瞥してから自分に絡むモンスターたちに更なる奉仕を要求した。
もちろんモンスターたちはその願いをかなえるべくさらに淫らに蠢き始めた。
「見るな!見るな………っ?!」
ちらっと薄目を明けたファリスは、自分などいないかのように女モンスターとの狂宴に明け暮れるバッツを見て激しいショックを受けていた。
「バ、バッツ……?!
た、助けてくれよ!お願いだ!助けてくれ、助けてくれバッツゥーッ!!」
だがいくらファリスが声を上げようとも、バッツは振り向く気配すらない。完全に女モンスターがもたらす肉の快感に取り込まれ、それ以外のことを考えられないようになっている。
「あ、あああ……バッツゥ……。バ ッ    ツ………」
いくら叫んでも何のリアクションも起こさないバッツを見て、ファリスの顔から次第に表情が消えていった。
今度はさっきのように夢の世界に逃げたわけではない。
それこそ完全に、完膚なきまでに『ファリス』という人間の心が破壊されてしまったのだ。

「ぶ、ぶ、ぶもぉーーっ!!」

それと同時に、上り詰めたモンタがファリスの体内に大量の精液をぶち撒けたが、ファリスは特に反応するでもなくピクリとも動かないままその熱い精を子宮内で受け止めた。
「ふふっ、どうでしたか?モンタのモノは。あの世に昇るような心地よさで……む?」
セイバーの言葉にもファリスは全く反応しない。時折体をピクッと振るわせる以外は人間っぽい仕草はなにもしていなかった。
「むう、どうやら壊れてしまったみたいですね。まあ、肉体的にはそれほどのものではないので問題はないでしょう。
モンタ、もう離れなさい」
セイバーに諭され、モンタは名残惜しそうにペニスを引き抜きセイバーの傍らに寄り添った。
「…なに物足りなさそうな顔をしているのですか。これは、ちょっと貴方に指導をする必要がありますね……」
セイバーはモンタの腕をむんずと掴むと、そのままアジトの館の一つにずかずかと進んでいった。
「レナ、その女のことは後は貴方に任せます。煮るなり焼くなり好きにしなさい」
いきなりファリスの処遇を任され、レナは慌てふためいてしまった。
大体こういうのは軍団長あたりがダークサタンの一部を召還し、魔精と魔因子を注ぎ込むのが通例だと以前セイバーに聞いているからだ。
「えっ?!セイバー様、どこに行くんですか?何をする気ですか?!」
「私はこれから、モンタに自分の立場を知らしめる指導を行います。
私たちが出てくるまで誰も、決してこの扉を開けてはいけません。私たちを呼ぶことも許しません。
もしこれを破るものがいたら…、即、抹殺します」
そう言ってセイバーは扉をばたりと閉め、内側から鍵をかけてしまった。相変わらずいい加減な軍団長である。
「まったく……。でも…」
そのやっつけぶりに少し閉口したレナだったが、力なく蹲っているファリスを見てそんな思いはどこかに吹き飛んだ。
考えてみれば、自分の手で姉を淫怪人に出来るのだ。これほど喜ばしいことは他にない。
「フフフ……。私が、私が姉さんを……。私だけを見る、私だけの姉さんに……」
顔を淫靡に染めながらファリスに近づくレナの下腹部から、ダークサタンの触手が粘液を纏わりつかせながらズルズルッと競り出して来た。
これでファリスを犯して魔精と魔因子を注ぎ込めば、ファリスは淫怪人に生まれ変わる。
「本当なら、淫魔卵を入れて完全な奴隷にしたいけれど…、三回目はさすがに自重しろっていわれそうだし…」
どこかの心の声を代弁しながら、レナはファリスの腰に手を当て触手の先端をピトッとファリスの壊れかけた膣口にあてがった。
「姉さん……優しく、優しく抱いてあげます。
そして、姉さんの心の中をすべて私に染めてあげますね……ククク!」
レナは、虚空を眺めているファリスに顔を近づけて唇同士を重ねた後、ゆっくり、ほんとうにゆっくりとまるでファリスの体を隅々まで味わうかのようにその触手を埋めていった。



その際も全く肉体的反応を見せなかったファリスの目に、つぅっと一筋の涙が流れていった。
それが果たして本当の涙なのか、それとも飛び散った粘液の飛沫かはわからないのだが。

2009年01月14日
『闇の狭間の淫略〜淫魔竜レナ』 part7
「………」
ファリスがゆっくりと目を開いた時、目の前にはにこやかに、だが邪悪さを満面にかもしだしているレナの笑顔があった。
「………」
どうしたことか、さっきまであれほどおぞましかったレナの姿が、今はとても愛しく感じられる。
「おはよう姉さん。そしておめでとう。
見てみる?姉さんも立派にダーククロスの淫怪人になれたのよ」
レナが手鏡を出し、ファリスの姿を映し出してきた。



その姿は、首の付け根に三筋のえらがぱくぱくと動き、深水色に染まった体のあちこちに鱗が浮かんでいる。
肩口や耳元からは透明なひれが艶かしく生え、口からは鋭い牙が覗いている。
それは、まるで魚が人間の姿をとったような姿だった。
「これが……俺……」
ファリスは人外になった自分の姿を、隅々までなめるように見回した。
そして、自分の詳細がわかるにつれふつふつと笑いが込み上げてきた。
「そうか……これが、俺なのかぁ……。ハ、ハハハ………」
魚のようになった自分。
それはなんて自分に相応しい姿だろうか。
自分は最近まで海と共に生きてきた。その自分が海の生き物になるというのは、ある意味当たり前のことなのだ。
鋭く生え揃った牙。これで肉を引きちぎればどれほど旨い味がするだろう。
猛々しく伸びたひれ。ひと薙ぎすれば人間ぐらいなら容易く切り裂くことが出来る。
この滑った艶かしい体。これを見ればどんな人間でも篭絡され体を求めてくるに違いない。
「ハ、ハハハハ!!凄いぞ!この体凄すぎる!!」
高らかに笑ったファリスの瞳には、レナと同じ淫気と狂気があわさったダーククロスの淫怪人独特の淫らな輝きが放たれていた。
「アハハハ!レナ、ありがとうよ!俺をこの姿にしてくれて!!
今まで人間やってた俺は一体なんだったんだ?!こんな素晴らしい世界があったなんて、ついさっきまでは思いもしなかったぜ!!」
「そうでしょ姉さん。私はいつだって姉さんの幸せだけを思っているのよ。
だから、タイクーン城の人間全てを生贄にしたのも、バッツと姉さんを引き離したのも、すべては姉さんにとってよいと思ったからそうしたの。私の気持ち、わかってくれるよね?」
「ああ!ああ!!分かるぜ!レナが俺のことをどれだけ考えているってのがたっぷりとな!
そうさ!人間なんてのはしょせん俺たちのおもちゃなんだ。しかも、タイクーンの人間は俺たちに仕える連中だ。どう扱おうが自由って訳だよな!クククククッ!!」
さっきまでアレほどレナの行いを避難してきたファリスも、淫怪人になって心の根本が捻じ曲げられてしまったからか、それがさも当然のことと考えるようになっていた。
「そう!俺はファリス!淫水魔ファリス!!
この世界の人間全てを蹂躙し、ダークサタン様に捧げるのが使命なんだ!
レナ、やろうぜ!人間もモンスターもなにもかも、この世界全てをダーククロスのものに!」
「そう、それでいいのよ姉さん。それでこそ、私が愛する姉さんよ…」
身も心も完全にダーククロスに堕したファリスに、レナは顔を赤く染めながら抱きつき、その唇をチュッと奪った。
「んっ?!ん………」
最初は驚いたファリスだが、そのままレナを受け入れ互いに舌を絡めあい長い時間ディープキスを堪能した。
「ぷぅ……。じゃあレナ、早速他の国をダークサタン様に捧げに行こうじゃないか。どうせこの世界に俺たちに立ち向かえる人間なんてバッツとクルルぐらいしかいないんだ。
そして、バッツが俺たちの肉人形になっている現在、クルルのいるバル城さえ堕してしまえば、あとは簡単に全世界を淫に染めることが出来るさ!」
ああしようこうしようと勢いづくファリスだが、逆にレナは少し浮かない顔をしていた。
「そうね。でも……」
そう言って、レナはある館をちらっと見た。
それは、さっきセイバーとモンタが入っていった館である。
「一応、淫略は軍団長の指揮のもとに行われることになっていて…
で、今セイバー様はあの中に引き篭もって出てこないから……。今はちょっと……」
「なんだ、そりゃ」
時折ぎしぎしと軋む館を、ファリスとレナは呆れた顔で眺めていた。



セイバーが館に入って6時間…、いまだに閉ざされたドアが開くことはなかった…




文責 178





2009年01月12日
9S様からホロの悪堕ち画像を頂きました。
9S様からホロの悪堕ち画像の別バージョンを6つ頂きました。
いつもありがとうございます!!
今回も、プロフィール画像として使わさせていただきますね♪
本当のνホロになった感じで嬉しいですw
毎日変更していきますので、ご期待ください。


ホロ 悪堕ち(ゴスロリ)触手


2009年01月12日
更新だよ♪
 ○『天装勇者セイバーエンジェル』 設定に、
   司 霊子 ・ 霊狐 ・ セイバーフォックスを追加しました。
 ○カテゴリに、SS『セイバーズの危機!? 消えた司令官・霊子!』
   霊狐の親様作を追加しました。
 ○SS『セイバーズの危機!? 消えた司令官・霊子!』霊狐の親様作に、
   『セイバーズの危機!? 消えた司令官・霊子!』を追加しました。


今回のUPで皆様の努力と楽しさが、ひしひしと伝わってきました。
楽しみながら良い作品を作ることって本当に、良いものですね。
私もがんばって更新しちゃいます!! 

2009年01月11日
『セイバーズの危機!? 消えた司令官・霊子!』  part1
某スレで、新しいセイバーエンジェルのSSを、書いてくださった方がいました。
作者様の名前は、霊狐の親という方です。
この方は、画像も合わせてUPしてくださいました。
もちろん許可をいただいたので、それではどうぞ!


いなづ様も、今週もSSを書いてくださいました。
本当にありがとうございます!!
近日中にUPしますので、こうご期待!



注意! この文章には官能的表現が含まれております。
(ご覧になる方は、自己判断でお願いします。)



セイバーズの危機!? 消えた司令官・霊子!』

霊狐の親様作



セイバーズの基地内部、司令室。その中に置かれた机に向かい、一人の女性が座っている。



彼女こそ、対ダーククロス特別組織『セイバーズ』の司令官、「司 霊子」(つかさ・れいこ)である。
流石にセイバーズのメンバーよりは年上とはいえ、いまだに若々しい肢体と、整った凛々しい顔だちから組織内でも密かにファンも多い彼女であるが、今はやや灰色がかった長い髪にベレー帽、そして黒いスーツの制服に包まれた体からどこか鬼気迫るオーラが放たれていた。
彼女の机上に置かれたディスプレイには、セイバーズ各員の個人データ、そしてこれまでのセイバーズの戦闘記録、今現在判明しているダーククロスの情報などが表示されていた。
次々表示される文字列や数値を素早く確認し、手元に置かれたキーボードの上では両手の指がキーを軽やかなタッチで叩いていく。
室内には彼女以外の人間は居らず、ただキーが叩かれるカタカタという音だけが響いていた。
先ほどからわき目も振らず、一心不乱に画面を睨む霊子の表情は厳しい。
現時点では彼女たちセイバーズはダーククロスの襲撃に対して出動というのが取れる行動のせいぜいであり、ほぼ、彼らの侵略に対し後手に回っている状況だった。
かつての彼女の故郷、それがダーククロスに奪われた時の光景が霊子の脳裏に浮かぶ。
霊子はこの世界の人間ではなかった。彼女の生まれた世界は、ある日突如現れたダーククロスによって侵略され、彼女の家族や知人、友人をはじめ、ありとあらゆるものが淫怪人や淫魔に
されてしまったのである。
防衛軍の指揮官でもあり、また研究者でもあった彼女はその世界が完全に支配される寸前に、仲間達より「対ダーククロス兵器」という希望と共にこの世界に逃がされたのだった。
「……いまは表面上ではあまり目立っていないとはいえ、確実にダーククロスは勢力を増している。くっ……二度と、あんなことを繰り返させるものか!」
霊子の口から悔しさと怒りをにじませた言葉が漏れる。握り締めた拳を見つめ、彼女は決意を新たにした。

不意に、パシュッというドアが開く音が室内に響き、霊子は顔を上げた。



視線を部屋の入り口に向けると、オペレーターの安倍 麗(あべ・うらら)が白い湯気を立てるティーカップを両手に、こちらに歩いてくるのが見えた。
「司令、まだ残っていらっしゃったのですか?
あまり無理をしすぎると体を壊してしまいますよ? すこし、休憩なされたらいかがです?」
霊子の側までやってきた麗はそういってにっこりと微笑むと、彼女のパソコンの隣にカップを置いた。その中には紅茶らしい飲み物が入っており、麗が持つカップと同じく安らぐ香りを室内に
漂わせている。
「そうだな、少し根をつめすぎたかもしれない。今日はここまでにしようか。
ああ、折角だから紅茶もいただくよ。ありがとう」
パソコンの電源を落とし、体をほぐすように伸びをすると、霊子は置かれたカップを手に取った。
手のひらに伝わるカップの温かさ、湯気と共に漂う香りを楽しむと、そっと口をつけ液体を少しずつ流し込む。
口の中に広がった甘い味を堪能した彼女は、カップを机の上にそっと置くと自分を心配そうに見つめる傍らの部下に、口調を任務や仕事の物から普段の物にかえ、感謝と謝罪の言葉をかけた。
「紅茶、おいしかったわ。ありがとう。
無理ばかりすると心配させてすまなかったわね。だけど、これだけは今やらないといけないの。
私、いや……私たちがダーククロスに勝利するために……!」
「司令……」
霊子の瞳に強い決意の色を見て取った麗が言葉を詰まらせる。そんな彼女に対し、霊子は空気を和らげようと、張り詰めた気をとくと、まだ紅茶の残るカップを見ながら麗に問いかけた。
「それにしても、この紅茶は初めての味だったわ。今まで飲んだことは無いように思うけど、一番おいしかったかもしれないわね。麗、これはなんていう種類なの?」
もし手軽な値段の葉っぱなら、自分用に買っておくのもいいかもしれない。そんなことを思っていた彼女の耳に、一瞬理解できない言葉が飛び込んできた。
「ふふふ……オイシイでしょう? 淫妖花・鈴様の葉で作り、その蜜をたっぷり入れた特製の淫紅茶の味は。よかった、司令のお口に合って。もっともっとありますから、たっぷり飲んでいいんですよ。そして、私たちダーククロスの仲間になりましょう?」

「な、何ですって? 一体何を言っているの!?」
聞こえた不穏な言葉にぎょっとして思わず麗の方に振り向くと、彼女は光の消えた瞳をこちらに向け、普段なら絶対にしないような蕩けた笑みを浮かべていた。その頬は真っ赤に染まり、発情しきっているのが一目で分かった。
麗が発した「ダーククロス」という言葉が再び霊子の脳内で鳴り響く。最悪のシナリオが彼女の脳裏に浮かび上がった。
まさか、既に基地内部にまでやつらの手が伸びていたとは。
反射的に机の引き出しにしまってある拳銃を取り出そうとするも、突如霊子は体の自由を失い、そのまま机の上に倒れこんだ。キーボードが頬に辺り、がしゃんと言う音が響いたが、彼女にそれを気にする余裕は無かった。
「そんなに心配しなくてもいいんですよ司令。何も、酷い事しようなんて思ってないんですから。むしろ逆。司令にもとっても気持ちよくなってもらうんですよ……」
こちらを見つめ微笑む麗の顔が急速にぼやけていく。その声も、だんだんはっきり聞き取れなくなっていた。意識が遠のいているのだと彼女が理解した直後、その視界は闇に閉ざされた。
「く……すま、ない……みん……な……」
その言葉を最後に、司令官、司霊子の意識は途切れた。

――――――――――――――

2009年01月11日
『セイバーズの危機!? 消えた司令官・霊子!』  part2
「う……うう……」
「あら、お目覚め?」
自分の口から漏れたうめき声に対する声が耳に届く。その何者かの声を理解した霊子の意識は一気に覚醒した。目を開け、まだ混乱する思考を静めようと頭を振る。ようやく落ち着いた彼女が周囲を見回すと、自分は先ほどまでいた司令室とは全く異なる見知らぬ部屋にいることに気付いた。部屋の中は暗く、どれぐらいの広さがあるのかを見て取ることは出来ない。
体を動かそうとするも、ガチャンと言う音が響き、手足に金属のひやりとした感触が伝わる。
戸惑いながら首を動かして視線をめぐらした霊子は、自分の四肢、そして体が床に立てられた手術台のようなものに拘束されていることを理解した。それだけではなく、着ていたスーツはおろか下着までが剥ぎ取られ、一糸纏わぬ姿をさらしていることも。



「……!」
悲鳴こそ上げなかったものの、思わず体を隠そうと手足を動かそうとするも、拘束は無情にも彼女の四肢を戒める。霊子に出来ることは、ただ目を瞑り顔を赤らめることだけだった。
「くすくす……セイバーズの司令官様は相変わらず初心なのね。そんなに恥ずかしがらなくてもいいのよ?
それに、裸くらいでそんな調子じゃあ、この後にすることなんて、恥ずかしくて死んじゃうかもしれないわよ?」
そんな彼女の様子がおかしくてたまらないと言ったような声が、どこからとも無く霊子にかけられる。
それが先ほど聞こえた声と同じだと言うことに気付いた霊子は、そこで改めてこの部屋に彼女以外の何者かがいるということを認識した。
再び目を開け、声の主を探す。その人物は部屋の隅の暗がりから、拘束された霊子の目の前にゆっくりと姿を現した。その顔が霊子の目に映った瞬間、彼女ははっと息を呑んだ。
「貴女は……秋、子……」



そう、霊子の眼前に立つ人物はかつて彼女がいた世界での親友、秋子であった。
しかし、その姿は彼女の記憶にある、かつての優しく温和な彼女からは全く異なってしまっていた。
殆ど全裸の体には、所々首輪や腕輪、ベルトくらいしかつけていない。かわりに手の爪は鋭く、頭からは毛で覆われた耳を生やし、尻尾が背後で揺れる、まるで獣のような姿をしていた。
顔付きにはまだ少しかつての彼女の面影を残しているものの、淫らに光る目はこちらに絡みつくような視線を送っている。
最早彼女は霊子の知る秋子ではなかった。その姿はまさにダーククロスの淫怪人、淫獣人・秋子というものになっていたのだった。
「ふふ……お久しぶりね。あなたの活躍はこちらにも届いていたわ」
秋子は口元を緩めると、親しげに声をかけてきた。だが、そんな彼女に対し霊子は敵を睨みつける鋭い視線を送る。その視線に、秋子はわざとらしく悲しげな表情を作った。
「あら、折角の再会なのにそんな目で見るなんてひどいじゃない。私、あなたとこうして会えることをずっと待ち望んでいたと言うのに。
そう、ずっと……一緒にダーククロスのために働ける日が来ることをね」
「黙れッ! お前はもう私の親友だった秋子じゃない! 私の知る秋子は、あの時に死んだんだ!
今のお前などと例え死んでも一緒に戦うものか!!」
「ひどいこというのね、霊子。まあいいわ。どうせすぐにわかるものね。ダークサタン様の偉大さ、
ダーククロスの素晴らしさが」
霊子の言葉にも特に気を悪くした様子は無く、秋子は霊子を見つめたままゆっくりと拘束された彼女に歩み寄っていく。秋子が一歩一歩近づくたびに、霊子は次第に自分の体がじんわりと熱を持ち始めたことに気付いた。同時に、霊子の思考は靄がかかったようにぼんやりとし始め、目つきもとろんとしていく。
(なん、だ……からだ、が、あつい……。あたま、が……ぼやけ、て……)
その彼女の変化を見て取った秋子は、くすくすと笑いながら説明をしだした。
「あら、ようやく効いてきたかしら? うふふ……わからない?
貴女が飲んだ淫紅茶の効果に、さっきからずっと私が発している淫気。それが貴女の体に回ってきたのよ。並の人間なら、もうとっくに発情した雌犬になっていてもおかしくないくらいね。
それでもまだ、ちょっとだけ理性は残ってるみたいね? 流石はセイバーズ司令官、と褒めてあげましょうか」
語られる言葉も霊子には殆ど理解できない。すでに彼女の頬は真っ赤に染まり、体はじんわりと汗ばみ、秘所はじっとりと濡れていた。口の端からはよだれをたらし、はあはあと荒い息を吐いている。
「うふふ……霊子、もうすっかり出来上がっちゃったみたいね。本当はもっとじっくり貴女と楽しみたいんだけど、予定もあることだしすぐに「しちゃう」わね」
そんな彼女の様子を見て、秋子は満足そうに頷くと、傍らからあるものを手に取った。
それはパンツのような布きれに、男性器を模した紫色のディルドーがついたペニスバンドであった。
秋子はそのぺ二スバンドを自ら穿くと、ゆっくりと霊子に抱きついた。淫気に侵された霊子はそんな秋子を見ても特に抵抗する様子も無く、むしろ自分から秋子に体を擦り付けていく。
「ふふ……焦らなくてもいいわよ、霊子。すぐ、あげるから。
それじゃあ、じっとしててね? いくわよ……」
そう秋子が言うと同時に、ずぶぶぶという音を立ててディルドーが霊子に挿入されていく。
「ひゃああああん!!」
貫かれた秘所からは処女の証である血が流れ出したが、発情しきった霊子には快感しか感じられず、その口からは甲高い嬌声が響いた。
「あぁン! すごい、貴女の中……キツくて気持ちいいわ……」
特製ディルドーはまるで本物の男性器のように快感を秋子にも送っていた。秋子はうっとりした表情でつぶやくと、霊子に口付けし腰を激しく振り始める。
「あぁ……はぁン! やぁ……!」
体を駆け巡る刺激に翻弄され、悲鳴を上げる霊子。彼女と同様に蕩けた表情の秋子は、さらに霊子を責め立てる。
「あぁ……いい……! あはぁ、れいこぉ……いくわよぉ!」
その言葉と共に、秋子のペニスバンドからびゅくびゅくと魔因子を含んだ液体が霊子に注ぎ込まれる。
「あ、あっ、あっああああああーっ!」
熱いほとばしりを受け、霊子はひときわ大きな声を上げると、がっくりとうなだれた。
その様子を横目で見ると、秋子も大きく息をつく。抱いていた霊子の体を離し、ディルドーを引き抜くと、霊子のあそこからどろりと白濁した液体が流れ落ちた。
「うふふ……すごくよかったわ……。貴女もよかったでしょ?
でも、こんなものはまだ序の口。霊子、貴女も淫怪人になればもっと気持ちよく慣れるわ……ふふ、貴女はどんな姿に変わるのかしらね? 楽しみね……」
自分の体を抱きしめ、うっとりとした表情の秋子の言葉が霊子の耳に届く。その中身を理解した瞬間、霊子の意識は急速にはっきりとしていった。
「……なんですって? 私が、淫怪人になる?」
呆然と呟く彼女に、傍らの淫怪人がにやりと笑みを作る。
「あらあら、まさかさっきのがただのディルドーで、ただのセックスだったとでも思っていたのかしら? あれはダークサタン様にいただいた魔因子と魔精を含んだ魔因子ディルドー。その魔液をたっぷり注がれた貴女がどうなるかは……セイバーズ司令官様なら、お分かりよね?
うふふ……ほら、言っているそばから始まったみたいよ?」
言われて霊子が自分の体を見ると、健康的な色の肌が次第に不自然なほど白く染まりだしていた。
同時に、先ほどとは違った熱が下腹部を中心に生まれていることにも気付く。
それはすぐに全身に広がり、あっという間に彼女の体は雪のように美しい純白に染め上げられた。
白く染まった体は、すぐに変身の快感から桜色に色づく。
「な……ッ! ああっ! やぁん!!」
変化に悲鳴を上げるともに、手足の爪が黒く染まり伸びだすと、手足から手首、足首の辺りまで白い獣の毛が生えだし、覆う。手のひらや足の裏にはぷにぷにとした肉球が作られ、一瞬のちに手足は獣のものと化した。
さらに頭髪が銀色に変化し、霊子は頭からぐにぐにと何かが生えるような感触を覚える。
「あぁあああっ!」
変化がもたらす快感に嬌声を上げた瞬間、手足の体毛と同じく純白の毛に包まれた耳がぴょこんと頭から飛び出した。
「はぁ……や、やぁ……お、おしりがぁ……」
変化はそれだけにとどまらず、彼女の背後、腰の辺りがむずむずすると、ふさふさの尻尾がのび始める。
「あ、ぁあ、ああ……い、いやあああああああぁぁぁ!!」



完全に体が淫怪人のものに変えられる嫌悪感と、変化していく体がもたらす快感がないまぜになった叫びを上げると、霊子はがくりとうなだれた。
その姿はまるで、人間の女と白狐を合成したような異形と化していた。そう、それはまさに今まで霊子たちが戦ってきた淫怪人そのものであった。
「うふふ……変身がずいぶんよかったみたいね? とっても美しく淫らな狐になったわよ、霊子?
いえ、今のあなたには『霊狐』と言った方がぴったりかしらね。
その体、素敵でしょ? これからはもっと、もっと気持ちよくなれるわ……。
さあ、最後の仕上げよ。ダークサタン様の偉大さをしっかりと刻み込んであげるわね」
そういうと、秋子は霊子が拘束されている台の横のボタンを押す。
入力に反応して、天井から半球状のドームのような機械が下りてくると、霊狐の頭をすっぽりと覆った。
これが淫機械軍が開発した洗脳装置である。今は一台で一人の洗脳しかできないが、将来的には大人数を一気に洗脳できるように改良するらしい。
秋子はコスモスから、この機械を借り受け、霊子の洗脳に使おうとしたのだった。
ドームの内部では様々な映像、光や音、さらには機械から発せられる淫気によって、淫怪人となった霊狐にダーククロスの素晴らしさ、理想、その一員としての思想・思考が刷り込まれていく。
その様子を秋子が満足げに見つめていた、その瞬間。

どん、という衝撃が部屋を揺らした。

「な、何!? 何が起こったというの!?」
思わず身構える秋子。すぐに、部屋のドアが開いて部下の淫獣人が入ってきた。
「ご無事ですか秋子様!? どうも動力制御室でのトラブルのようです!
未確認ですが、何者かが侵入したのではないかという報告もあります!
念のため、各軍団長は至急部隊を警備に当たらせろとの命がでております!」



きびきびと事態を説明すると、黒い猫型淫獣人の少女、唯子は秋子を見つめ、指示を待った。
「あらあら、いいところだったのに。仕方ないわね、霊狐、続きは後でね?
唯子、行くわよ。皆にも警戒レベルBで各自の持ち場につくように通達。
私は他の軍団長の所に行くわ」
「了解しました。そのように皆に伝えます」
当の秋子は楽しみを邪魔されて不機嫌そうに眉をひそめたものの、流石に上からの命令を無視するわけにも行かず、最後にいまだ拘束される霊狐を一瞥すると、唯子と共に部屋を後にした。

――――――――――――――

2009年01月11日
『セイバーズの危機!? 消えた司令官・霊子!』  part3
「う、ぐっ……」
秋子達が出て行った後、部屋にひとり残された霊狐は洗脳装置に必死に抗っていた。
(く……まける、ものか……! 例え体は淫怪人にされたとしても! 
私の心まで、好きにはさせない……!)
強靭な意志で機械から送り込まれる思想や情報、淫気をはね除けていく霊狐。だが、そのたびにひどい頭痛が彼女を襲う。霊狐の抵抗を排除しようと機械が圧力をかけ、さらに機械が発する淫気がそれを拒絶する彼女を責めているのだった。
いくら彼女が強靭な精神力をもっていようと、絶え間なく送り込まれる情報や淫気にはいずれ屈してしまう。実際、霊狐の抵抗が次第に弱まり、ついにその精神の防壁が破られようとしていたその時。
ギュウウウウン、という音が響いたかと思うと、洗脳装置をはじめ、部屋の電気が切れた。
どうやら、基地の電源が落ちたらしい。よくは分からないが、先ほど言っていたシステムのトラブルに関係しているのだろう。非常電源は生きているのか、小さな非常灯はあちこちに灯っているものの洗脳装置や手術台などの電気が切れ、システムはダウンしたらしく、彼女の拘束が緩んだ。
その隙を逃さず、霊狐は台から身を引き剥がす。淫怪人に改造されたおかげか、手足に力を入れると緩んだ拘束具はいともたやすく外れた。
「よし! ……とも言えないか。こんな体にされてしまってはね……」
部屋の壁についていた姿見に霊狐は自分の体を映すと、溜息を一つついた。
銀色の髪に純白の肌。白い毛に覆われた手足、獣の耳。そして狐のふさふさの尻尾。
ただ、瞳の色だけは秋子達のように人外のものではなく、まだ人間の時のままであった。
もしかしたら完全な淫怪人にされていない証、あるいは洗脳されきっていない証なのかもしれない。
「おっと、悔やむよりまず行動、ね。なんとか洗脳はされなかったものの、このままぐずぐずしていたら秋子たちが戻ってくるかもしれないし。幸いまだこの基地の混乱は収まっていないようだし、とにかく脱出しましょう」
霊狐は頷くと、考えを中断させる。使えるものが無いか部屋を探すと、隅に置かれていた箱から、おそらく自分のために用意されていたのであろうコスチュームを取り出し手早く身につけ、誰かに見つからないようそっと部屋を後にした。

ちなみに、その衣装があまりにもきわどかったのでずっと赤面していたのは内緒である。

――――――――――――――

その後、混乱に乗じて何とか上手く警備をかいくぐった霊狐は、地上侵攻用のテレポーターを使い、基地を脱出することに成功した。

あまり淫怪人の能力を使いたくは無かったが、狐娘の格好のままうろうろするわけにも行かず、霊狐は人間に化けると、とりあえず状況を整理し、必要な物資などを得るため自宅に戻ることにした。
彼女はほとんど基地ですごし、基地に寝泊りしているようなものであったが、非常時のために隠れ家となるような場所を郊外に持っていた。森の奥にひっそりとたたずむ小さな山小屋。最悪の事態を考え、その場所は誰にも――セイバーズのメンバーにさえも――明かしていない。
「まさか、その最悪の事態になるとは……」
基地に戻ることも考えたが、例え人間に偽装していても、中枢の厳重な警備システムにばれるであろうし、そうなればあの淫怪人の姿では偽者が化けていたと言われるのが関の山だろう。
そういえば、どうして自分はさらわれたのだろうか? 基地の中にいたはずだったのだが……記憶を思い返そうとするものの、どうしても肝心なところに差し掛かるとそれがぼやけてしまう。

実はそれはオペレーター・麗が既に敵の手に落ちていることを悟られないよう、ダーククロスの基地につれてこられた時点で紫によってその不都合な部分の記憶を消されているためだったのだが、霊狐にはそんなことは知る由もなかった。

とにかく、今はこれからどうするかだ。理想としては何とかセイバーズと連絡を取りたい所だが、基地に戻れない以上、単独行動を取るしかあるまい。そのうちに機会を見つけて誰かと密かに接触するのがいいだろう。
ふと、部屋の隅に置かれたコンテナが目に止まる。霊狐は無言でコンテナに近づくと、そのふたを持ち上げた。
その中には、セイバーズのメンバーが戦闘時に纏うスーツと同じものがクッションに包まれて収められていた。
しかし、白を基調としたセイバーズのスーツとは異なり、その衣装は黒字に紫色の紋様の入ったものであった。
「……そうか、これはここにあったのね。すっかり忘れていたわ」
感慨深げな声が、霊狐の口から漏れる。
それこそ、彼女が元の世界で研究し、この世界で完成させたセイバースーツのプロトタイプ。
出力・防御力は完成品すら上回るものの、そのパワーの反動に生身では耐えられず封印されたものであった。
だが、淫怪人となり、人間以上の強力な体になった今の自分なら、これを使いこなすことも出来るはずだ。そんな考えが浮かび、霊狐はスーツを手にとる。
すぐに地下の簡易研究室でスーツを最終調整し、変身用にクリスタルに封じる。
霊狐は完成したクリスタルを手に取り、じっと目を瞑った。
やがて、かっと目を見開くと、力強く言葉を発する。
「変身!! セイバーフォックス!!」
そのキーワードに反応し、クリスタルが輝く。光は霊狐の体全体を包み、一瞬でその各部にセイバースーツが装着された。
体に纏う黒いボディスーツやオーバーニーのような各部には紫色のラインが複雑な紋様を描き、頭部には淫怪人の素顔を隠すかのように半透明の黒いバイザーとインカムが装着される。
何故か大きな金の鈴のついた首輪も装着されたが、それはご愛嬌。
雪のように白い素肌や手足、耳と尻尾の色の対比が、漆黒のスーツに美しく映えていた。



「よし、システム・オールグリーン。この体なら、プロトセイバースーツにも耐えられる!」
体を動かし、自分が負荷に十分に耐えられることを確認する。
この姿を利用してしばらくは正体を隠したまま、セイバーズを影ながら助けていくことことにしよう。
「ダーククロス……私をこんな目に合わせたことの借りは、必ず返させてもらう!
私の正義の心は、セイバーズは決してお前たちには負けはしない!!」
拳を固め、霊狐……いや、セイバーフォックスは強く決意するのであった。

――――――――――――――


2009年01月11日
『セイバーズの危機!? 消えた司令官・霊子!』  part4
「も、申し訳ありません! 何卒、何卒お許しを!」
ダーククロスの拠点、何処とも知れぬ異空間に存在する魔城。
その内部、ダーククロスの首領、ダークサタンとの謁見の間で、淫獣軍団長・秋子はひたすら頭を地にこすりつけ、ダークサタンの許しを請うていた。
ダーククロスにとって、地球淫略の最大の障害が『セイバーズ』である。これまで何度も苦汁を舐めさせられていたその組織に対し、先ごろ本格的に対抗作戦が始められたのであったが、その攻略作戦
のキーポイントである「セイバーズ司令官・司霊子の誘拐・洗脳作戦」が、思わぬ不注意から当の霊子の脱出を許してしまうという失態を晒してしまったのである。
しかも、その後の秋子たち淫獣軍の必死の捜索も空しく、霊子の行方はようとして知れなかった。
あまつさえ、最近では「セイバーフォックス」と名乗る謎の戦士が現れ、ダーククロスの侵略作戦の邪魔をたびたび行うようになっていた。その力は淫怪人はおろか、セイバーやコスモスといった幹部クラスの者達にも勝るとも劣らないものであり、ダーククロスの淫略作戦は遅々として進まない事態に陥っていた。

そもそも、この「セイバーズ司令官、司霊子の誘拐・洗脳作戦」については、秋子の淫獣人軍をはじめ、淫機械軍、淫妖花軍、さらには紫の親衛軍までもが共同で行う大規模な作戦であった。中でも秋子は――霊子がかつての己の親友であったことから――ダークサタンに直々に請願し、「霊子の淫怪人への改造」と「洗脳」という重要な役割を任されていたのだった。
それだけに――彼女だけの責任ではないとはいえ――霊子を逃してしまったことの責任は重く、何とか事態が明るみに出る前に霊子を彼女は捕獲しようとしたのだが、ついにその失態はダークサタンの知るところとなり……こうして呼び出された彼女はただひたすら首領の前で土下座をしていたのだった。

謝罪と許しを請う言葉を繰り返す秋子に対し、その眼前のダークサタンは先ほどから沈黙を通している。それが何よりも秋子には恐ろしく、震えながら再び土下座を繰り返すのであった。
秋子には永劫に続くかと思われた重苦しい時間。だが不意に、広大な謁見の間にダークサタンの重い声が響いた。
『……もうよい。秋子、面を上げろ』
その声にびくりと震えた秋子が顔を上げると、ダークサタンはこちらにじっと視線をとめていた。
重苦しく立ち込める空気に耐え切れず、秋子が再び頭を下げようとした刹那、再びダークサタンが口を開く。
『秋子、余は面を上げろといっている。……本来ならこの失態、どのような罰をもってしても不足する所ではあるが……今回は特別に不問とする』
「は……不問、とは……? ダークサタン様、一体……」
正直な所、重罰すら覚悟していた秋子にとって、首領が下した決定は理解できないものであった。
いくらなんでも、重要作戦での大失態をお咎め無しとは考えられない。そのため、半ば反射的に疑問の言葉が口をついて出てきてしまった。
ダークサタンは、そんな秋子をぎろりと睨む。
『何だ? 余の決定が不服か?』
「い、いえ! そんな、滅相もありません!!
この身にあまる慈悲深く寛大な処置、ありがとうございます!』
再び頭を下げる秋子を一瞥すると、ダークサタンはこの件については終わりとでも言うかのように秋子に声をかけた。
『うむ。だが心しておけ、秋子。余が許すのは今回限りだ。……次は無いぞ?
分かったなら行け。そして、次こそは必ず奴等セイバーズどもを倒し、淫怪人へと堕としてみせよ!』
「イ、イーッ・ハイル・ダーククロス!!」
その声に震えながら敬礼を取ると、秋子は謁見の間を後にした。



「うふふ、お優しいことですわね、ダークサタン様?」



秋子が去った後の謁見の間。ダークサタン以外誰もいないはずの空間に、女の声がどこからとも無く響く。だが、ダークサタンはそれに特に驚くことも無く、虚空に向かって声を返した。
「……紫か。よく言う。余に秋子を許せと言ったのはお前ではないか。
もっとも、お前の部下が持ってきた情報が無かったなら、いくらお前の申し出でも聞きはしなかったがな」
ダークサタンはそういいながらも、別に不機嫌な様子は無かった。むしろ、既に別のことに興味が移っているようにも見える。その間に、いつの間にか虚空から現れた紫はダークサタンにぴったりと寄り添い、視線の先、虚空に映し出された映像を首領と共に見つめていた。
「うふ、なかなかのものでしょう? 射命丸の偵察は。この映像を見たら、セイバーズの子たちだけでなく、軍団長の皆さんもびっくりするでしょうね。何せ謎の戦士の正体が、彼女だったんですもの」
そういって心底楽しそうに笑う紫の手には、部下の射命丸が先ほど送ってきた数枚の写真があった。
そこには、これまで何度も作戦の邪魔をし、しかしその正体を掴むことのできなかった謎の戦士・セイバーフォックスの正体が映っていた。写真にはダーククロス二改造され、淫獣人と化した霊狐がセイバースーツの変身をとく瞬間がはっきりと納められている。
『ふん……ヤツもつまらん小細工をしたものだ。もっとも、正体がばれてしまった今となってはもうそんなこともムダだがな』
そう言うダークサタンの声は、どこか獲物をいたぶるような嗜虐的な喜びがにじんでいた。
「楽しそうですわね? ダークサタン様」
彼にしなだれかかり、腕を絡ませる紫の髪を梳きながら、ダークサタンは頷く。
『ふふ……余に楯突く狐をどのように弄んでやろうかと考えるとな。
紫、お前も我らに刃向かう愚かなヤツらに最高に残酷で、救いなど欠片も無く、そしてこれ以上ないほど淫らなショーを演じさせてやりたいと思わんか?』
「ええ、そうですわね。くだらない正義などにしがみつくのがどれほど愚かか、あの子たちには身をもって理解して貰わなくてはいけませんものね」
闇と淫気に包まれる部屋の中、彼らの笑い声だけがいつまでも響いていた。

――――――――――――――

「ぐ、くぅっ……。はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
人気の無い路地裏の一角。雑草が生い茂るなかに隠れるようにして、一人の女がうずくまっている。
その呼吸は荒く、苦しげに背が丸められている。身に纏う黒を基調としたスーツに、銀髪と純白の肌、そして手足や耳、腰から伸びる白い尻尾が映える。
彼女こそ、「セイバーフォックス」と名乗りセイバーズを助け、ダーククロスと戦う戦士。淫怪人に改造されながらも、正義の心を持ち続けた元司令官、司霊子の現在の姿であった。



「危ない所だった……まさか、淫妖花軍団の長が自ら出撃してくるとは……。
何とか今日のところはやつらを引かせられたが、くっ……力を使いすぎたか……」
苦しげに言葉を搾り出す彼女の頬は真っ赤に上気し、額には珠の汗が浮かんでいる。
一目見て発情していると分かるその姿を隠すように、霊狐は壁に体を押し付けた。
「セイバークリスタル、そしてスーツが、淫怪人の淫力を完全に遮断する能力を……はぁっ、持っているといっても、流石に自分自身の体から、出る淫気までは全て消しきれない、か……」
普段の戦闘程度なら、スーツを装着してさえいれば自分の淫気も中和できるが、今回は敵が強力な幹部であり、セイバーズの危機を救うために淫怪人としての能力を全開にしてしまったため、スーツでも性欲が抑えきれなくなってしまったのだ。
既に霊狐の秘所はパンツ越しでも分かるほどぐっしょりと濡れており、気をしっかり持っていないと無意識に自慰をしてしまいかねない。だが、何もせずただ耐えることも難しいほど体が火照ってしまっているこの状況では、この波が引くまでに発狂してしまうかもしれない。
「ああ……ぁ……ほしいぃ、誰かぁ、誰かにぃ……私の……からだぁ、鎮めてぇ……ほしいのぉ……」
思わず口をついた言葉に、霊狐は愕然とする。性欲に流されるまま男を貪るなど、それこそまさに彼女の敵、ダーククロスの淫怪人と同じではないか。
(くっ……何を考えているんだ私は! だめだ、ここはこらえるんだ……し、しかし……)
絶え間なく続く疼きに、彼女の限界が近づく。
(もう、だめ、だ……。せ、せめて一回、一回だけ……。いや、だめだっ!)
いけないとは思いながらも、彼女の手がそれぞれ胸とあそこに伸ばされようとしたその時。
「あの、誰か、いるんですか?」
彼女の背後から、若い男の声が掛かる。不意のことで思わず霊狐の手は硬直し、一瞬体の火照りも頭から消え去った。
(見られた!?)
今の自分は声の主に背を向けているとはいえ、頭から生えた獣の耳や、豊かな毛並みの尻尾は隠していない。性欲を押さえ込むことに必死だったことと、まさかこんな所に人が来るとは思わなかったとはいえ、霊狐は自分のうかつさを呪った。
背後で青年が息を呑むのが分かった。淫怪人の存在はまだまだそれほど世の人々には知られていないとはいえ、この獣のような姿を見られては化け物扱いされても仕方ないだろう。
どこか悲しさと空しさを抱きながら、直後に青年が上げるであろう悲鳴に対して耳をふさごうとする彼女に掛けられたのは、霊狐が想像もしなかった言葉だった。
「あの……大丈夫、ですか? 具合が悪いのなら、その……何か、手を貸しましょうか?」
「え……」
思わず肩越しに振り返った霊狐の目に映ったのは、穏やかで優しげな顔に心から彼女を心配する瞳をもった、青年の姿であった。

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