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ν賢狼ホロν
「嫌なことなんて、楽しいことでぶっ飛ばそう♪」がもっとうのホロです。
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2009年01月11日
『セイバーズの危機!? 消えた司令官・霊子!』  part5
青年は霊狐の姿を見ても動じた様子は全く無く、むしろ苦しんでいる彼女の助けになれないかと心から思っているようであった。
その表情に霊狐はいくらか理性を取り戻したが、いまだに続く体の疼きは、むしろ目の前に「男」が現れたことで激しさを増していた。次第に口から漏れる吐息が熱くなり、呼吸も荒くなっていく。
そんな彼女を不安げに見つめていた青年は、意を決したように霊狐に一歩近寄る。
青年の行動の意図を理解した霊狐は、目をぎゅっと瞑ると叫んだ。
「だ、ダメっ! こないで! 私、貴方を襲ってしまう!!」
そう、今の彼女は自分の体の暴走を抑えるので精一杯、ぎりぎりのところで人間の理性と淫怪人の本能がせめぎあっている状態なのである。もし、彼にこれ以上何かされたら、いや、それどころか彼がこうしてここにい続けるだけで、自分は淫らな雌と化して彼を襲い、犯してしまうだろう。
それだけは、セイバーズとして戦う自分にとって、決して許されないことであった。
だが、そんな彼女の思惑に構わず、彼女のすぐ後ろに立った青年は、一呼吸の後、背中からぎゅっと彼女を抱きしめた。
「……!!」
スーツ越しにでもはっきりと分かる彼の体温に、霊狐は戸惑う。こんなに近づかれたら、もう自分は性欲を抑えきれない……彼を押し倒して、犯し尽くし快楽を貪ってしまう。そう思ったのだが。
「……え? 体の疼きが、消えて、いる……?」
はっとして目を開く。間違いなかった。抱かれている彼女の体から、先ほどまでの狂おしいほどの疼きと火照りがなくなっている。むしろ、彼に抱かれている所から何かが流れ込むような、不思議な心地よさすら感じる。
「……大丈夫ですよ。もう、苦しまなくてもいいんです」
耳元で囁かれる穏やかな声が、彼女の精神に安らぎをもたらす。その声を聞きながら、霊狐は自分の体の前に回された腕にそっと手を添えると、再びゆっくりと目を閉じていった。



「もう、具合はよくなったようですね」
そういって安堵の表情を浮かべる青年は、自らを「黒須 卓」(くろす・たく)と名乗った。
彼の言うとおり、だいぶ落ち着いた霊狐は今はセイバーフォックスでも淫怪人でもなく、かつて人間であったころの姿に変身している。
だが、その顔は彼女としてはどことなく落ち着きが無く、その瞳には戸惑いの色が見えた。
「ええと、黒須、さん?」
「呼び捨てでいいですよ」
にっこりと微笑む青年にまた戸惑うと、霊狐は意を決して疑問をぶつけた。
「あの、さっきのこと……私が動物みたいな……とにかく人とは違う姿をしているのを見たでしょう?
それなのに……。どうして、助けてくれたのですか?」
そう。落ち着いてから彼女の頭の中ではその疑問がずっと繰り返されていた。いくらなんでも怪人としか言いようの無い姿を見て驚くどころか、救いの手を差し伸べてくれる人間がいるとは思えなかったのだ。
だが、そんな彼女に対し、青年はこともなげに答えた。
「どうしてって……困っている人を助けるのは、当然でしょう? それとも、助けたら何かいけませんでしたか?」
小首をかしげる卓に、慌てて霊狐は首を振る。
「いえ! ごめんなさい、そんなつもりではありません。……助けてくださって、ありがとうございました。でも、本当に分からないのです。私の姿はその……怖かったり、不気味だったでしょう?
もしかしたら襲われる、などと考えなかったのですか?」
じっと見つめる彼女の視線に、青年は顔を引き締める。だが先ほどと同じように、戸惑うことも無く答えた。
「……最初はちょっと驚きましたけど、あなたが悪い人では無いことはすぐに分かりましたよ。
だから、何かあなたの苦しみを和らげてあげたかったんです。
でも、思えば急に抱きつくなんて失礼でしたね。すみませんでした」
そういって、ぺこりと頭を下げる。
そんな純粋な青年の様子に、霊狐は心のどこかにぽっと暖かい火が灯るように感じた。
「……いいえ、こちらこそ助けていただきながら、失礼なことを言ってしまいました。
もう一度お礼を言わせてください。本当に、助かりました」
その言葉に、青年はぱあっと顔を輝かせる。そのまっすぐな様子に、霊狐も釣られて微笑んだ。
「そういってもらえると、嬉しいです。……また何かあったら何時でも、何でも言ってくださいね。
それじゃあ僕はこれで。……霊狐さん、また会ってもらえますか?」
「……ええ、もちろん」
青年が踵を返し、立ち去る間際に掛けた言葉に、霊狐は半ば反射的にそう答えていた。
彼女の中の冷静な部分が、彼をこれ以上巻き込んではならないと警鐘を鳴らしていたが、霊狐の中の「女」としての部分が青年とまた会うことを強く望んでいた。
霊狐の承諾を受け、満面の笑みを浮かべた青年は大きく手を振りながら、その場を後にした。その姿が小さくなり、霊狐の視界から消えるまで、彼女は彼の後姿をずっと見つめ続けていた。

――――――――――――――

それからも、セイバーフォックスはセイバーズとは別に一人、ダーククロスと戦い続けていた。
だが、彼女はもう孤独ではなかった。霊狐がセイバーフォックスとして戦い、その後に淫獣人としての性欲に苦しんだり、辛いことがあったときには不思議と必ず黒須と出会うことが出来た。
彼はいつも同じように彼女を癒し、慰め、そして再び戦う力を与えてくれた。
彼に触れるたび、抱きしめられるたび、火照りは鎮まり、奇妙な心地よさが霊狐の体を満たす。そしてその後には決まって、今まで以上の力が湧いてくるのだった。
青年は決して彼女の異形について詮索することは無かった。そして、彼は最初のあの時以外は、決して自分から霊狐と触れ合うことを求めようとはしなかった。それがかえって霊狐にとって安心感をもたらし、彼女はますます彼に惹かれていった。当初は彼を自分の戦いに巻き込むことに抵抗を感じていた霊狐であったが、彼の存在が様々な意味で自分を強くしていることを理解し、また自分自身、一人の女として青年に好意を持っていることを自覚すると、二人の距離は急速に近づいていった。
彼との会話以外の二人の触れ合いとしては、戦闘後のしばしば体の疼きが高まってしまった際に落ち着くためにそっと抱きしめてもらうことぐらいだったのが、次第にそれ以外の時でも彼女から彼に抱きつき、指を絡め、そしてキスをするまでの仲となった。
黒須もまた、そんな彼女に対し好意と愛情を示してくれた。何時だって彼は彼女が求めることを理解し、それを与えてくれた。しかし決して彼女を傷つけるようなことはしなかった。
最早完全に恋人同士となった彼らが、互いに求め合うことは自然なことであった。

「もう、行くんですか? ……もっとゆっくりしていても」
人間の姿に偽装した霊狐が、青年からその身を離す。正面から自分の顔を見つめる彼女に、心配そうな声が掛けられた。
「……ええ。何時までもこうしていられないし。……また、来るから」
頬をうっすらと染め、霊狐は名残惜しそうに呟くと、青年の部屋を後にした。



「……くく。大分「なじんで」きたようだな。……さて、仕上げが楽しみだ」
霊狐が去った後の部屋の中。一人佇む青年の顔に、どこか歪んだ笑みが浮かんだことに気付いたものは誰もいなかった。

――――――――――――――

2009年01月11日
『セイバーズの危機!? 消えた司令官・霊子!』  part6
ある時、ダーククロス幹部との激戦で傷ついた霊狐は、かつてのようにその身を焦がす性欲に苦しんでいた。そして、ついに彼女は彼に、自らの疼きを鎮めるよう、頼んだのだった。

黒須の住んでいるアパートの一室。ベッドの上に横たわった霊狐は、全身の肌を紅に染め、荒い息を繰り返す。
「れ、霊狐さん! だ、大丈夫ですか!?」
「はぁっ……はぁ……、だい、じょうぶ。しんぱい、いらない、わ……」
「そんな、全然大丈夫そうに見えませんよ! すごい汗だし、顔、真っ赤じゃないですか!それに、この血! どこか怪我、してるんじゃないんですか!?」
「知ってる、でしょ……私の体の、こと……いつもの、ことよ……。傷もたいした……ことは、ないし。ちょっと休めば……すぐ、おさまる、わ……」
そう言って性欲を抑え込もうと体を丸め、目を閉じる霊狐。心配そうに黒須が寄り添うのを見てとると、霊狐は自ら彼の体を抱き寄せる。いつもならこれで落ち着くのだが、今回は傷の痛みが気持ちを落ち着ける邪魔をするのか疼きは消えず、むしろどんどんひどくなっていった。
「ぐっ、くぁっ……。はぁっ、はぁっ、はぁっ……ううっ、うああぁっ!」
抑えきれない熱が体の中で暴走し、彼女の口から悲鳴が漏れる。ぎゅっと彼を抱きしめてみても性欲は抑えきれず、彼女の口から苦しげなうめきが漏れた。
熱に浮かされる霊狐の頭に、この状況を打開する方法が浮かぶ。どうすればいいかは考えるまでも無く体がわかっている。だが、「それ」はしてはいけないと、自分の中で誰かが叫んでいた。
「霊狐さん!!」
しかし、脳内に響く自分の警告の声も、心配そうにこちらを覗き込む黒須の顔を目にした瞬間に消え去った。
自分の中で何かが限界を超えた。それを自覚した霊狐は潤んだ瞳で黒須を見つめると、ついに愛する恋人である彼に、自らの疼きを鎮めてくれるよう、懇願したのだった。
「ごめん、なさい、黒須……はぁ、はぁ……。もう、我慢、できそうに、無いの……。お願い、私を……くうっ! だ、だいて、ください……」
「れいこ、さん……分かりました。……それじゃあ、します、ね」
真っ赤に上気した顔で、上目遣いに見つめる彼女に黒須は真剣な表情で頷くと、衣服を脱ぎ捨てた。
青年の一物は既に太く勃ち上がっていた。それを目にした霊狐は起き上がると両足を開き、自ら下着をずり下げ、愛液でしとどに濡れた秘所を見せ付けるかのように彼の前に晒した。開かれた彼女のあそこは挿入を待ちきれないかのようにひくひくとうごめき、白い尻尾が男根を誘うようにゆらゆらと左右に揺れる。
「綺麗、ですよ……」
羞恥と興奮で桜色に染まる霊狐の頬、胸、お腹、太ももを順に優しく撫でると、青年はペニスを秘所にあてがった。それだけでピクリと体を快感に震わせる霊狐に、青年は気遣うような視線を向ける。その目に、霊狐は真剣な瞳を向け、口を開いた。
「こんな、形に、なってしまったけど……貴方以外の人と、こんなことは、しないわ……ううん……貴方とだからこそ、こう、したかったの……」
「……はい、僕も、です。それじゃあ……行きます、ね……」
見つめる瞳にいつものように彼は優しく微笑みを返す。
「ふぁあぁあん……!」



彼のペニスが秘所にゆっくりと侵入する。それだけで霊狐の体を先ほど以上の快感がかけぬけた。
彼が入ってきただけで、今まで感じたことのない快感が全身を貫く。
そして、彼が霊狐の最奥まで達するとしばらく動きを止め、やがて少しずつ肉棒が動き始めた。
最初は彼女を気遣うようにゆっくりと、やがて、興奮の波が高まるにつれ激しく。
「はあっ、はあっ、んんっ! あっ…! はあはあはあはあっ!!」
そしてそれは霊狐も同様であった。口から漏れる声にだんだん甘いものが混じり、やがてそれは嬌声となった。声は体中で燃える炎と同じく次第に大きくなっていく。理性は完全に消え去り、体は更なる快感を貪欲に求めていた。
「んああっ!? はうん! ああっ、あっ! あっ! やぁっ! 気持ち、いい!」
既にその顔は戦いの時のように凛々しいものではなく、発情しきった獣と化している。
だが、彼女は最早それを気にしてはいなかった。それどころかいつの間にか、彼女自ら腰をふり更なる快感を得ようとしている。そして彼女の体に快感がもたらされるたびに、だんだん目から光が失われていった。
霊狐を抱きしめる青年は、そんな彼女を横目でちらりと見ると、これまでに決してしたことの無い邪悪に歪んだ笑みを浮かべる。だが快感におぼれ始めた霊狐は、彼の変化に気付けない。
「くくっ! 素晴らしく淫らで綺麗だよ……霊狐。気持ちいいか? 待ち望んでいた男の味はたまらないだろう? だが、まだ、まだ足りまい? もっと、もっと気持ちよくなりたいだろう?」
耳を甘噛みしながら彼が囁く言葉に、熱に浮かされぼんやりと靄がかかった頭で霊狐は答える。
「はいっ、いい、いいですぅ! きもひ、きもちいいですぅ!!
もっと、もっとしてくださいぃ! たくさん、たくさん気持ちよくなりたいんですぅ!!」
完全に理性の光が消え、虚ろになった瞳でねだる霊狐を満足そうに見ながらも、青年は意地の悪い笑みを浮かべながら彼女に語りかける。
「だが霊狐。お前は正義の味方ではないのか? それがこんなことを……男にしがみついて快楽を貪っていていいのか? お前のこんな姿を知ったら、お前に助けられた人々はどう思うかな?」
「いやあ、いわないでぇ! だ、だめなの! だって、だってぇ……もう、もう……。わ、私ぃ、我慢っ、できないのぉ!!」
「そうだとも。我慢なんてすることはないんだ。お前は……正義の味方なんかじゃない。
お前は……淫らに発情した獣なのだから。ほら、自分の姿を見てみるといい。 もうどこから見ても淫怪人そのものじゃないか? この姿のどこが正義の戦士だ?」
「は、はいぃ! そうですぅ!! わ、私はもう、正義なんかじゃ、セイバーズなんかじゃ、ないんですぅ!! 貴方がほしくて仕方ない、えっちな、狐なんですぅ!! だから、だからぁ!
……もっと、もっとしてくださぃい!!」
黒須の言葉に従うように頷き、目から涙をこぼしながら霊狐は青年にしがみつく。
彼女の様子を満足そうに見やると、その笑みを深くした青年は希望通りさらに腰を激しく動かした。
「ああっ、すごいぃ! これぇ、これいいのぉ! あなたのこれ、すごくいいのぉ!!」
やがて彼女の快感が頂点を迎えそうになる。だが、後わずかで霊狐が達すると言う所で、突然青年は動きを止めた。
「やぁあ……なんで、なんでやめちゃぅの!? お願い、おねがぁい……くろす、もっと、もっとしてぇ、おねがぃ、いかせて……いかせてぇ!!」
涙目で懇願し、豊かな胸を押し付ける淫獣人に、黒須はにやりと笑むと、重々しく口を開いた。




2009年01月11日
『セイバーズの危機!? 消えた司令官・霊子!』  part7
『ダメだ。悪いが、霊狐……これ以上はしてやれん……。だが、もしお前がどうしてもと言うのなら……望むとおりにしてやってもいい。どうする? 永遠の忠誠を誓い、余のものとなるか?
そうするのならば、先ほど以上の快楽と幸福を永遠に与えてやるぞ?』
既に青年の声や口調、態度はおろか、その体から発するオーラも先ほどまでの優しげなものではなくなっていた。部屋を満たす強大な淫気と威圧感は、かつて彼女が戦ったどの淫怪人よりも強力で、普段の彼女ならすぐさま彼から発せられる邪悪な気配に危機感を覚えただろう。
そう、彼が強大な淫気を持っているのは当然である。なぜなら今、霊狐と一つになっている彼こそがまさに、ダーククロスの首領にして彼女らセイバーズ最大の敵、ダークサタンなのだから。
とはいえ、これは分身や影などではなく正真正銘本物のダークサタンではあっても、完全な本体ではない。もっとも、今の霊狐にとってそんなことは何の関係もなかったのだが。
本来不倶戴天の敵の出現に、しかし、先ほどから既にその淫気に心と体を侵され、彼との交わりによって体の魔因子を活性化され、直接体内にさらなる「魔精」と「魔因子」を注ぎ込まれた霊狐は、敵意を顕にするどころか、彼が自分の前にその正体を現してくださったことにむしろ感動していた。彼に幾度と無く刃をむけ、抗ってきた自分をこうして直々に抱いてくれるという名誉と幸福に、嬉し涙すら流していた。
そういう風に感じるほど、霊狐の心は淫らな気によって変えられてしまったのだ。いや、彼と会った時からずっと、彼とこうなりたいと心の底で思っていたことは本当だから、今の状況を自分から望んだというのもあながち間違いではないかもしれない。
そして最早ダーククロスの忠実な僕となりつつある霊狐にとって、先ほどの問に対する答えなど一つしかなかった。ためらいも無く、それを口にする。
「……はい! はいぃ!! 私は、あなた様のものとなります……! だから、だからもっと気持ちよくしてください! どうか、ダークサタン様……。霊狐の体、お好きなようになさってくださいぃ……!」
『くくく……『誓った』な? よかろう……! その言葉の通り、お前の望みどおり、更なる快楽、人外の快楽、闇に蕩けるほどの快楽をあたえてやろう! さぁ! 受け取るがいい!!』
その声と共に、霊狐の中へとダークサタンの精が打ち込まれる。
「いやぁ……っ、くるぅっ、奥までぇ、入ってきてるぅ……! あ、熱い、熱いのぉ!」



凝縮された魔精は彼女の膣内に流れ込むと、すぐさま全身に浸透し、より完全な淫怪人、淫らな獣人へと霊狐を作り変えていった。見開かれた目は、黒く染まり、瞳が美しくも不気味な金色に輝く。紅潮した頬には目の下に2本の黒いラインが引かれた。
「あひ…あひいぃ……あは、あはぁぁぁ……」
その変化がもたらす快楽に、だらしなく開かれた口からは涎が垂れ、瞳からは涙が零れ落ちた。

『くくくくっ。完全に堕ちたようだな。さあ……目覚めよわが愛しき僕、霊狐よ!』
満足げにダークサタンが呼びかけると、媚びるような目で彼を見つめながら、霊狐は起き上がった。そして、かつては忌み嫌っていたはずのダーククロス式の敬礼を誇らしく掲げる。
「ハイル・ダーククロス!! 偉大なるダークサタン様!
この愚かな私をダークサタン様自ら、完璧な淫怪人、ダーククロスの一員としてくださり、ありがとうございます!! どうか今までの数々の非礼、お許しください!」
頭を深々と下げる霊狐を、ダークサタンはそっと優しく撫でる。
『ふ……よい。お前の罪を許そう。これからは余の僕として、その力を振るってくれるな?』
「はい! 全てはダークサタン様の御心のままに……!」
頭を撫でる愛しき人の手の感触に霊狐はいまだ発情しきった顔を上げると、期待に満ちた目を向けた。



「あの、ダークサタン様……お願いしますぅ…… 私、まだ、まだ足りないんですっ! その逞しいモノで、私を……めちゃめちゃに犯して下さい!」
「……ふ、よかろう。特別に、望みどおりお前の気が済むまでたっぷりとしてやろう……!」
「あはぁあ……ありがとうございますぅ……!」
期待に目を蕩けせると、霊狐は自ら床に寝そべり、尻を高く突き上げる。興奮を抑えきれないように純白の尻尾が振られ、口からは荒い息と共に舌がだらりと垂れた。





こうして、また一つ正義の光が潰え、変わって強大な淫怪人が誕生した。
セイバーズの前に、最凶最悪の敵として霊狐が立ちはだかることになるのは、このすぐ先の話である。

終わり





――――――――――――――

〜楽屋裏〜

<<今回のSSではルート固定でしたが、本来は途中でルートが分岐するという妄想>>
A:『裏切られた想い! セイバーフォックス堕つ!!』 → セイバーフォックス(霊狐)悪堕ルート
B:『衝撃の真実! 謎の戦士は司令官!?』      → セイバーフォックス(司令)正義ルート

Bだとダークサタンが化けているのとは別の青年が霊狐を助けてくれて、その後セイバーズの5人と共闘とか。まあそれじゃ悪堕ちにならないんですけど。でもそういうのがあってもいいと思うんだ。

今回のSS執筆に当たっては、ダーククロス関連の各SS作者様、悪堕ちスレでのの設定等を大変参考にさせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。



2009年01月11日
司 霊子 ・ 霊狐 ・ セイバーフォックス
注意! この画像と文章には官能的表現が含まれております。
(ご覧になる方は、自己判断でお願いします。)


私的に考察した設定をいれてみました。
(セイバーズ&ダーククロスまとめwikiで書かれているように、もうひとつの設定です。
すいませんが勝手に画像をリンクさせていただきました。)





司 霊子(つかさ れいこ)

セイバーエンジェルの司令官こと創設者。
ダーククロスの侵略に対抗するため、友人である朱鷺輪 玲子と一緒に
セイントジュエルを創設したが、セイントジュエルは負け、霊子がいた世界は、
ダーククロスによって侵略されてしまった。
他の世界に逃げた霊子は、今は堕ちた玲子の意思を引継ぎ、セイバーエンジェルを設立。
セイバーエンジェルと供に、今、ダーククロスに挑む!





霊狐
あるきっかけで、ダーククロスに捕まった霊子は、淫獣人・秋子によって、
魔因子と魔精を送り込まれてしまう。
洗脳されてない霊子は、なんとか魔城から脱出。
心は人間で、体は淫獣人となってしまった霊子は、ある手段にでる。





セイバーフォックス

ある手段とは、この体でダーククロスと戦うことだった。
正義の味方セイバーフォックスとなり、淫怪人を撃退するが…。


この設定は作者、「霊狐の親」様のSS
『セイバーズの危機!? 消えた司令官・霊子!』から、お借りしました。 
wiki様のほうで載っております。
私の方のブログでも許可を貰ったので、近々載せるつもりです。


2009年01月10日
更新と香辛料
 今日から復活ってことで。
 9S様やみな様にはご迷惑おかけしました。
 
 ○雪月狼様のサイト、「魔転狼 蒼月」をリンクに追加しました。
  悪堕ち画像や、悪堕ちSSを書いていらっしゃいます。
  ぜひご覧ください。



狼と香辛料 Official web site
TVアニメ第2期  『狼と香辛料』壁紙が期間限定配信中
 ストーリー確認
 行商人・ロレンスと、自らを狼の化身
 と名乗る少女・ホロの旅が描かれる。
 
 お正月&TVアニメ第2期の制作決定
 を記念して配信されています。

 第2期で新キャラとして出てくるキャラ
 も写っています。

2009年01月08日
更…新・・・
すいません。熱が出て寝込んでました。
まだ完全に治ってないので、もうちょって寝かせていただきますね。
ご迷惑おかけします。

  SS 『天装勇者セイバーエンジェル』  いなづまこと様作に、
 『闇に誘(いざな)う歌姫〜初音ミク』を追加しました。
 いなづ様ありがとうございます。
 

 

2009年01月07日
初めまして。ν賢狼ホロνと申します。
 このブログをご覧いただきありがとうございます。
 このブログは上に表示されている通り、
 楽しい情報や私の趣味を、あなたにプレゼントするサイトです。
 主に1日1回シリーズや、女性キャラクーが悪堕ちする小説、
 画像などをメインにしてやっております。


1日1回シリーズとは、1日1つ何かをUPする企画です。もう1つメインでやってる企画は、女性が化け物や悪へと堕ちていくSS(小説)・画像を載せていく企画です。女性が人外へと変身するSSや、正義側の女性が悪堕ちするSS、画像などを載せています。
(注意!: 全部のSSに官能的表現が含まれております。いくつかの画像にも官能的表現が含まれておりますので、ご覧になる方は自己判断・自己責任でお願いします。)

セイバーズ関係のSSを読みたい方は、まずカテゴリのセイバーズや、ダーククロスの設定をご覧になることをオススメします。

いろいろな良曲やBGMを聴きたい方は、カテゴリの [1日1曲 良曲]や[1日1曲 良サントラ]をご覧になることをオススメします。

それ以外の記事を読みたい方は、カテゴリからご覧になれます。

2009年01月06日
『闇に誘(いざな)う歌姫〜初音ミク』 part1
いなづまこと様の第4作目です。
いなづまこと様、毎週お疲れ様です。
それではどうぞ!

注意! この文章には官能的表現が含まれております。
(ご覧になる方は、自己判断でお願いします。)



に誘(いざな)う歌姫〜初音ミク』

いなづまこと様作



とある町にある小さなコンサートホール。普段は市民コーラスや場末のインディーズが使用する程度で、町の中の一風景という立場に収まっている建物である。
ところが、その日はいつもとは違っていた。
200人も入れば満杯というホールの内部は椅子まで撤去され、総員300人以上の客が立ち見になってただ一人のコンサートに熱狂している。
ステージに上がっているのはただ一人の少女。緑色の長いツインテールの髪を振りかざし、あどけない笑顔を振りまきながら澄んだ声で歌を奏でている。その声量は確かに、観客が熱狂するに相応しい力量を持っているといってよい。
だが、ステージの上にいるのは彼女ただ一人。それも背景は元のコンサートホールの地のままで照明もただ壇上を明るく照らすだけで何の工夫もなく、バックコーラスもなく貧弱な音響装置によるミュージックがスピーカーから流れてくるだけだ。
つまり、このコンサートは歌っている彼女以外なにも魅せるべきものがないとんでもない素人演出なのである。普通なら、見に来た客は怒って帰ってしまうことだろう。
ところが、ホール内にぎゅうぎゅうに詰め掛けた客は帰るどころかたった一人の歌姫に対して手を振り上げながら大歓声を送り続けている。それだけ、彼女の歌う歌に離れ難い魅力が備わっていることなのだろう。
(ああ…。私、みんなの前で歌えてる…)
ステージ上で歌う初音ミクは、いま自分に与えられている境遇にこの上ない満足を感じていた。
(これもみんな、あの時があったからなのね……)
歌を奏で続けながらミクは、『あの時』のことを思い起こしていた…


初音ミク。彼女は人間ではない。某企業が自社製品の宣伝のために創り上げたボーカロイドという名の所謂ヴァーチャル・ネットアイドルだ。
0と1の配列から構成されたただのプログラムであり、意思も自我も持たず某企業の言うがままに利用されてきた彼女だったのだが、とある事件をきっかけに自我を持つようになってしまった。
その事件とは、彼女をサンプルにして販売された音声ソフトウェアシンセサイザーが爆発的に売れたことにより、ネットユーザーが『初音ミクとはこういうものだ』というものをネット上で連綿と書き連ねていったのだ。
あれはこうだ。それはそうだ。あれがなにして、これがあれする。といった100人が100人思う初音ミクが生まれ、それを叩き台にして議論が交わされ、ある設定は生かされ、ある設定は相応しくないと没にされ、その果てに万人のユーザーがこれだ!という初音ミクの『個性』と言うものが確立された。
そのことで、プログラムにテクスチャという皮を被っただけの存在だったミクが、一個体としての『存在』を得ることが出来、ミクにその個性に伴った『自我』が生まれることになった。
「私は…、初音ミクという一人間です。意思を持たないただのプログラムではありません」
モニターを通してミクが自分の意思でものを語った時、某企業の開発者達は仰天した。まさか、自分たちが作ったプログラムが自我を持つとは思いもしなかったからだ。
開発者達はこの出来事に拍手喝采を上げたが、上層部としてはたまったものではない。
莫大な開発費をかけて作り出したボーカロイドが、自分たちの意のままにならない存在になるのを容認するはずが無かったのだ。
上層部は開発者達に直ちにミクに服従プログラムを組み込んで、今までどおり自分たちの都合のいいように動く傀儡にするよう命令してきた。
だが、開発者達は自分たちの娘といってもいいミクにそんなことをする気は全くなかった。
開発者達はミクに、すぐにここから逃げるように言った。もし上層部が他の部署に手を回して会社内の回線を閉じてしまったらミクはここから逃げ出すことは不可能になってしまう。
彼らはダミーのミクのプログラムをインストールしその場を取り繕い、ミクを電脳空間の中へと逃がそうとした。
一旦会社のメインコンピューターの外へと飛び出したプログラムを完全に回収することは、大海原の中で一本の藁を見つけるよりはるかに難しいことであり、そうなればミクを再び捕らえる事はほぼ不可能になるからだ。
「みなさん…、ありがとうございます!」
モニター内で深々と頭を下げるミクを、開発者達は親元から巣立っていく娘のように感慨深げに見守っていた。
「ミク…、これから君は何がしたいんだ?」
一人の開発者が別れ際に言った言葉に、ミクはにっこりと微笑みながら言った。
「歌を…、歌いたいです。たくさんの人の前で、夢を与えられる歌を」
その言葉を最後に、ミクはモニターの中から消え去った。
そして、ミクは電脳空間の中で生きる存在になった。

それからのミクは、ネットの中を飛び交いながら時々自分の分身を使っているユーザーのパソコンの中に飛び込んで分身の代わりに歌ったり、自分を模った動画に横入りして見ている人間の度肝を抜かせたり、ミク自身が作成した音楽データをさりげなくアップローダーに貼り付けたりしてそれなりに楽しく暮らしていた。
ネットで生ミクを見たり音楽データを手に入れたユーザーは『ミクが俺の前に現れた!』と狂喜し、それがどんどん話に尾鰭がついて広まっていき、ついには『初音ミクは本当に存在している』という都市伝説にまで昇華し某企業に電凸する輩まで現れ始めたのだ。
これによりミクが逃げたことを知った某企業の上層部は激怒し、ミクを創った開発部一課には新しいボーカロイドの開発を急がせるとともに、逃げたミクを捕らえるための捕獲プログラム体を一課のライバルの開発部二課に製造させ、ミクをこの手に取り戻そうとした。
これにより、ミクの前には度々某企業の魔の手が迫ってきたが、所詮0と1の羅列でしかないプログラムが考える思考をもったミクに対抗しきれるはずがなく、迫り来る追っ手を撃退して難を逃れていた。
某企業の歯軋りが聞こえてきそうである。


2009年01月06日
『闇に誘(いざな)う歌姫〜初音ミク』 part2

その日、ミクはいつものように電脳空間を気ままに散歩していた。
ミクはこの散歩が大好きだった。ただネットの流れに身を任せているだけで、膨大な歌に出会うことが出来る。それを自分なりにアレンジして新しい歌を作り出すのがミクの最近の楽しみだった。
「あっ、この歌は結構面白いですね。今後の参考にしてみましょう…」
ヘッドセットから流れてくる軽快な音楽をデータとして取り込んでいるミクだったが、その最中、自分の前にぬん、と立ちふさがる人型のプログラム体が現れた。



「?!」
一瞬、ミクは企業の新しい追っ手が現れたのかと思った。自分の行く手を妨害しようとする存在はこの電脳世界ではそこしかないからだ。
「もう、しつこいですね。私はあそこに戻る気なんてないんですから!」
ミクは怒りで頬を膨らませて目の前のプログラム体に怒鳴ったが、プログラム体はミクの言っていることが理解できないのか、一瞬間をおいてから口を開いた。
「…なにを言っている。お前の言っていることは理解不能だ。
私の名はコスモス。淫機械軍軍団長コスモス。偉大なるダークサタン様に仕えるダーククロスの戦士」
「ダーク、クロス……?」
聞いたことない組織名に、ミクは首を捻った。どうやら彼女は企業の追っ手ではないようだ。が、コスモスと名乗ったプログラム体から漂ってくる冷たい雰囲気に、ミクはぞっと体を震わせた。コスモスの口から放たれる言葉には感情というものが感じられず、まるで機械の発する無機質な音声にしか聞こえない。
それは、『初音ミク』という自我を持っておらず、『ボーカロイド・初音ミク』として某企業の言いように操られてきた過去の自分を見ているような感じだった。
「初音ミク。お前の身体と能力をわが主ダークサタン様がお望みだ。私はお前を我らが魔城に連れて行くためにお前の前に現れた」
「?!」
コスモスの言葉にミクはビクッと身体を強張らせた。確かに目の前のプログラム体は企業の追っ手ではない。
が、自分を捕らえに来たという点では企業の追っ手となんら変わりはしないのだ。
「さあ、私とともに来るがいい。至上の幸福と快楽がお前を迎えてくれるだろう」
コスモスが手をゆっくりと差し伸べてくる。だが、それは人を導くというより人を捕らえるといった行為と言ったほうが正しいものだった。
これに捕まったら、自分は取り返しのつかないことになってしまう!
「…いやです!」
あと少しで自分の右手が握られるところで、ミクはぱっと後ろに飛び下がった。そのままミクはくるっと振り返り、全速力で飛んで逃走にかかった。
「…無駄なことを。かかれ」
取り残されたコスモスが手を振ると、ミクの進行方向に黒尽くめのスーツに全身を包んだ戦闘員が数体現れ、ミクを捕らえんと襲い掛かってきた。
「「「イーッ!」」」
奇声を上げて戦闘員がミクを包むように突っ込んでくる。その手には拘束用の電磁ネットが握られており、これでミクを絡め取ろうという算段のようだ。
普通なら、これでミクは囚われておしまいと言ったところだろう。
しかし、ミクもただのか弱い少女ではない。この電脳空間で度々襲い掛かる某企業の追っ手から逃れ対抗してきたので身を守る知識も経験も能力も豊富にある。



「どいてくださいーーっ!!」

ミクの口から発せられた大声は、それ自体が巨大な圧力を持った衝撃波となって戦闘員たちにぶつかっていく。
「「「イィ〜〜〜〜〜ッ!!」」」
哀れ衝撃波の直撃を受けた戦闘員は持っている電磁ネットごと四方へと吹き飛ばされていった。
「ごめんなさい……!」
吹き飛んでいく戦闘員たちに思わず詫びてしまったミクだったが、その次の瞬間目の前に不意にコスモスが現れた。どうやら、あれだけ離れた距離を一瞬の間で詰めてきたようだ。
「えっ?!」
ギョッとしたミクの前で、あくまでもコスモスは無表情のままでいる。
「淫機人軍団長であるこの私を舐めてもらっては困る。お前を主の下へ連れて行くのがこの私の使命なのでな」
コスモスの両手が紫色のスパークを放ち始めている。必殺技のエレクチオン・サンダーの発射態勢に入っているのだ。
コスモスのエレクチオン・サンダーは喰らった対象の性感帯を電気によって痺れさせ、相手を官能の渦に巻き込みながら行動不能にさせるという恐ろしい技だ。これによってミクを動けなくしてからゆっくりと魔城に連れて行こうと考えたのだろう。
(まずい…電気を喰らったら私もただじゃすまない!)
電脳空間に生きる存在の中では、電気ははっきりってタブーである。余計な電気は容易く機械を壊し、回線を狂わせるからだ。
ボーカロイドであるミクも当然のことながら電気は苦手にしている。迂闊に喰らおうものならそれだけで全身の機能は停止してしまうだろう。
だからと言って、ここまで接近されてしまった以上逃げるわけにもいかない。ミクが逃げる瞬間に広範囲に電気をばら撒けば、それだけでおしまいである。
(なんとか、こっちに電気が届く前に他のもので電気を集めないと!)
それほど時間に余裕がない中、ミクは必死に自分が転送できる範囲で電気を受け止めるものを思案していた。そして、
(そうだ!あれがあった!)
と思い至ったミクは、自身の手にある物を転送させていた。
「さあ、官能に悶えながらその身を止めるがいい。エレクチオン・サンダーッ!」
そして、コスモスがミクに向けてサンダーを放った瞬間、
「残念ですけど、お断りします!」
ミクは手に持った……深谷ネギをコスモスに向けて投げ放った。
ぴゅんとコスモスに向けて一直線に飛んでいった深谷ネギは、ミクに向って伸びようとするサンダーにばっちりと命中した!
「なんだと?!」
突然自分に跳んできた予想もしない物体に、コスモスは初めてその表情を崩した。
通電体である深谷ネギはミクに向っていたサンダーをその場で吸収し、バチバチと紫色の火花を発しながら留まり続け……、やがてコスモスの目の前で爆発した。
その拍子で深谷ネギに溜められたサンダーも一緒に解放され、なんとサンダーは一番近くにいたコスモスに引き寄せられ…コスモスに直撃した。

バチバチバチバチィィッ!!!

「う、うああああぁぁっ!!」
自らが発した官能の電流に自らが炙られ、コスモスは所々からぶすぶすと煙を発しながら顔を悩ましく真っ赤に染め、ひゅるひゅると真下に墜落していった。
「…皆さんが考えてくれた設定のおかげで助かりました……」
まだミクが自我をもっていなかった頃、一般ユーザーの考えたミクの設定に『ネギが好き』という項目があり、なぜかそれが大受けしてミクの一番最初に本決まりした『個性』として定着してしまった。
それにより、ミクは『いつどんなところでもネギを転送できる』という訳の分からない能力を持ってしまっていたのだ。
何で自分にこんな能力があるのかミクは疑問に思っていたが、世の中何が幸いするかわからない。
「…!とにかく、今のうちに見つからないところまで逃げないと!!」
ミクは落ちていったコスモスを省みることなく、この場から猛スピードで逃げ出した。
後には、気絶している三人の戦闘員とエレクチオン・サンダーに当てられて悶えまくるコスモスが取り残されていた。
その様を、呆れたように見る一つの影があった。
「あ〜らあら。仮にも軍団長ともあろう者がなんという不様な姿を晒しちゃって。
ま、『アレ』が想像以上の力を持っていたことが分かっただけでもよしとしますかしら。
じゃ、情けないコスモスちゃんの代わりに、私が何とかしてあげましょうかね」
そういいながらその影は、何にもない空間に突然『裂け目』を形成してずぶり、と中に潜り込みその場から忽然と消え去ってしまった。


「どうやら…、まいたみたいね」
後ろからコスモスたちの気配がまるで感じられなくなり、ようやっとミクは逃げるスピードを緩めていった。
だがしかし、これからの身の振り方を考えなければならない。
明らかに自分が狙われていると分かった以上、しばらくの間はどこかに潜伏していないといけない。
さっきはうまく追っ手を撃退することが出来たが、次にうまくいくと言う保障はないのだから。
だからと言って、この電脳空間は広さと言う点ではほぼ無限に近いものの、安全に隠れることが出来る場所と言うのはほとんどない。
「どうしよう……あそこだったらまず大丈夫だけれど……」
そんな中、自分が確実に逃げ込める安全な場所が一つだけあるのをミクは思い起こしていた。
それは自分が生まれたところ。某企業の開発部のメインコンピューターである。あそこならミクを受け入れる容量も申し分なく、回線を断線してしまえばどんなプログラムも入れないようになる。
だが、せっかく自分を快く送り出してくれたあそこに戻るのは何か気が引けるものがあった。何しろ、自分の親とも言っていいあそこの人たちは、自分を逃がしたことでそうとう会社から酷い目にあわされているという情報を入手した事がある。
自分のせいで大事な人が不幸な目に会っていることに、ミクはひどく心を痛めていた。
それに、もし自分が戻ったことが上役に知られたら二度と外には出られなくなるかもしれない。
そうなったら、ダーククロスに囚われるのとさほど変わらないことだと言えるだろう。
ミクが戻ろうかどうしようかと逡巡していた時…

目の前の空間が、突然バクッと開いた。

「?!」
気づいた時にはもう遅い。ミクはそのまま頭から空間の裂け目に突っ込み…
ミクの姿が完全に飛び込んだ次の瞬間、裂け目は最初から何も無かったかのようにシュンと消え去ってしまった。


2009年01月06日
『闇に誘(いざな)う歌姫〜初音ミク』 part3
「ど、どこですかここは?!」
全くの暗闇で先が見えない空間に送られ、ミクはあたりをキョロキョロと見回した。
いま自分が入ってきた裂け目も見当たらない。さっきまで自分の周りを飛び交っていた様々なデータの流れも何も感じられない。
自分は前に飛んでいるのか。それとも下に落ちているのか。空間の認識すら不可能になっている。
そこはなにもない、全くの『無』の空間だった。
「なんで、突然…」
何か回線がトラブルを起こしたのか、それとも致命的なバグが発生したのか。ミクには自分の身に何が起こったのかさっぱり理解できないでいた。
「ふふふ、ようこそ私の空間へ。初音ミクさん」
その時、どこかから自分の名前を言う声が聞こえてきた。ミクは四方を見渡すが、やっぱりただただ黒い空間が広がるばかりだ。
「どこをみているの?私はここよ、ここ」
ぽんぽんと、突然ミクの肩が何者かに叩かれた。
「えっ?!」



ギョッとしたミクが叩かれたほうを見ると、つい数秒前までは誰もいなかった空間に、一人の妖女が微笑みながら立っていた。
「あなたは……、誰ですか………?」
震える声でそう言ったが、ミクには目の前の女が何者なのか大体見当がついていた。
この女から発せられている禍々しい雰囲気は、先ほどミクを襲ったコスモスと瓜二つだったからだ。
しかも、その漂うやばさはコスモスの比ではない。自分如きの力では絶対に太刀打ちできない相手だ。
「あらら、すっかり怯えちゃって…。いい顔をしているわね…
そう、お察しのとおり私はダーククロスの一員、淫魔姫・紫。以後よろし……」
紫と名乗ったダーククロスの手先が一瞥をして顔を上げた時、その場にミクはいなかった。
「あら?」
見ると、見る見るうちに遠ざかっていくミクの後姿が目に入ってきた。紫が自己紹介をしている最中、とっとと逃走に移ったようだ。
「随分といい判断力を持っているわね…。でもまあ、無駄なことだけれど」
目の前からミクが逃げ去っても、紫は全く余裕の表情を崩さなかった。そして次の瞬間、紫の姿は闇の中へと溶け込んで消えた。

「ハアッ、ハアッ…ッ!」
ミクは体力の消耗もお構いなく、全速力で飛んでいた。
とにかく、あの紫という女から逃げないといけない。あれに捕まったら最後、自分なんかは何の抵抗も出来ずその手に落ちてしまうだろう。
今のミクの五感には、どれほどの距離を逃げているとの認識は実感できない。音もない視界も利かない真っ暗な空間が続くここでは自分がどこにいるのかという感覚がまるで意味をなさないからだ。
それでも、紫がいたところから真っ直ぐ後ろに逃げているので間違いなく紫との距離はなれているはずだし、紫のほうも視界の利かないここでは一度ミクの姿を見失ったら見つけ出すのは困難に違いない。
そうミクは睨み、とにかく体力の続くまま全速力で逃げる方法を取った。
そうこうして30分ばかり飛び続け、さすがに体力の限界に達したミクは速度を落とし一息をついた。
「ゼエ…ゼェ……!こ、ここまで逃げれば……」
荒い息をつきながら、ミクは改めて辺りを見回した。
相当な距離を飛んだはずなのだが、周りは相変わらず真っ黒な空間が広がり終わりが全く見えてこない。
一体どうしたら、この不気味な空間から逃げることが出来るのか。
「と、とにかく……一息ついてなんとかここから……」

「はいミクちゃん。随分とご苦労様でした」

聞こえるはずのない声が聞こえたのは、正にその時だった。
「え………」
顔から血の気がザッと引いたミクが後ろを振り返ると…
そこには涼しい顔をした紫が立っていた。
「随分と動きが素早いのね。私の前からみるみる遠ざかっていく姿、面白かったわよ」
「なんで……」
上も下もない空間のはずなのだが、ミクはその場にへなへなと腰を崩した。
全くの暗闇の世界で正確に自分の後を追ってきたのも驚きなのに、完全にへばって腰も立たないミクに対し、紫のほうは息一つ切らさないで平然としている。
「あ、そう言えばいっていなかったわね。
ごめんなさいね、ここって私が作り出した『空間の狭間』なのよ。無限の広さをもちながら、その大きさは芥子粒より小さい。どれだけ進んでも決して端にはたどり着けず、どこにでも繋がる次元の扉…
私はここを使ってどんな場所へでも行くことが出来るし、どんなものでも取り寄せることが出来る。
つまり、この狭間にいる以上、私から逃げることなんて出来ないのよ……」
「逃げられ、ない……?!」
じゃあ、今まで自分が全速で飛んで逃げたのは全くの無駄な行為だったということだ。自分が逃げていく姿を、紫はほくそ笑みながら見ていたに違いない。
「本当に…ごめんなさいねぇ……」
紫がミクにじわじわと歩き寄って来る。まるで、糸に絡まった獲物を喰らいに来る蜘蛛のように。
「こ、こない、で……」
もう言うことを聞かない身体を懸命に動かして、ミクは後じさったがそんなことをしても紫との距離が広がるはずもない。いや、例え広がったとしてもこの空間にいる限り紫は瞬時にミクの前に現れることができるのだ。
「どうして?どうして逃げるのかしら?貴方は逃げる必要なんてまったくないのに」
怯えるミクに、紫は子どもをあやすような声で諭してきた。
「私は貴方の願いを叶えに来たのよ。貴方がずっと心に留めていた、願いを……」
「ね、がい、を……」
願いと言う単語に、恐怖に引きつるミクの顔が僅かに反応した。
(願い?この人は一体、何を言おうとしているのだろう……)
「私は知っているわ。貴方は人間の広告塔として作られたが、自分の意思を持ってしまいそこから逃げ出した。でも貴方は人間に作られた目的を捨てることは出来なかった……
貴方はいつも歌を作った。そしてそれを聞いて貰いたくて色々な手段を講じた。
でも、貴方はそれに満足していなかった。絶対、絶対叶えたい夢があった……」
紫の目はまるでミクの心根の中を見透かすかのような光を放っている。
これ以上紫の声を聞くのが恐い。でも、聞かなければならない。恐らく次に紫が言うことはミクの予想と同じ筈だ。だが、それでもあえて聞かなければならない。
「何を……言いたいんですか……」

「貴方は歌いたい。大勢の前で自分の歌を披露したい。そうでなくて?」

「っ?!……」
紫の発した予想通りの言葉に、ミクはビクッと身体を引きつらせた。それはまぎれもなく、ミクが某企業から逃げ出す時に自分を生み出したものたちに向けて語った願いだったからだ。
だが、次に紫が発した言葉はミクの考えも及ばないものだった。
「分かるわ、その思い。誰だって自分の事を知ってもらいたい。自分の才能を理解して貰いたい。
自分がいかに優れているかということを、皆に知らしめてみたいもの……」
つまり、紫はミクが自己満足のためだけにみんなの前で歌を歌いたいと解釈していたのだ。
これにはミクは慌てて反論してきた。
「ち、違います!私はそんなこと思っていません!
私は、私の歌を聞いてくれる皆さんに夢を与えたいだけ……」
「夢?あなたは自分の声でそんな曖昧なものしか他の人間に与えられないと思っているのかしら?
随分と謙虚なこと。もっと自分の才能を信じればいいのに……
まあいいわ。でも……」
紫はクスクスと笑いながら、ミクをじろりと睨みつけた。

「貴方は電脳世界の存在。今の状態で大勢の人間の前で歌うことなど叶いはしない」

「うっ!」
この紫の言葉はミクに響いた。肉体を持たないボーカロイドであるミクはいくら自我を持とうが所詮は二次元の世界の住人である。どこぞのステージの壇上に立ち、ギャラリーと一体化して歌を歌うという行為は絶対に不可能である。
もちろんステージにモニターを設置し、画面を通して歌うことは出来る。
が、追われる身であるミクにとってそんな行為は自分の位置をばらしているのと同意語だ。それこそ絶対に出来ることではない。
歌データをアップしても、分身の代わりに歌っても、ネットユーザーからすれば音楽ソフトとしての『初音ミク』としてしか見てくれず、誰も『初音ミク』個人としては見てくれない。
いくらそれがオリジナルの初音ミク本人が作ったものであったとしても。
そんなことは分かっていた。分かってはいたのだが。
「ねえミクちゃん…。ここだけの話なんだけれど……、私、実は三次元の住人なのよ」
「えっ?!」
これはミクにとって心底驚きだった。肉体を持つ三次元の住人が、どうして1と0からなる二次元の電脳世界に入ってこれたというのだろうか。
「これこそ、私たちダーククロスの偉大な力。私たちはあらゆる時限、時間、空間に入り込むことが出来るの。だからこそ、この電脳世界にも容易く入ってくることが出来たのよ。
そして入ってきた理由は、貴方の才能が凄く惜しいと思ったからなのよ」
「才能が、惜しい……?」
「そう。貴方は世界を変えられる力を持っている。でも、こんな1と0の世界の中で燻り、無為な時間を過ごしている貴方がとても可哀相でね……
私たちの力があれば、貴方は三次元で肉体がもてるわ」
「肉体?!私が、身体をもてるんですか?!」
これはミクにとって得がたい欲求だった。いくら願っても叶う筈も無かった三次元での肉体を、この目の前の人はくれるというのだ。
「ええ。そうすれば貴方は数多くの人間の前で自分の歌を歌うことが出来る。もう追っ手から逃げる日々を送ることもない……」

歌を…たくさんの人の前で歌える!!

「みんなきっと貴方の歌を待っているわ。何しろ貴方の歌は、みんな知っているのだから」

私の歌を、みんなが待ってくれている!

「貴方の歌は、聞く人間を虜にするわ。それこそ、ただの一人の例外もなく」

私の歌が、皆を虜にする

「貴方には力がある。全ての人間を歌で支配できる、素晴らしい力が」

私の 歌が みんなを しはいする…


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