呪いから解放された少年は「あなたのナイト」になる
ソラの初代ヒーロー手帳はソラを孤独な人生に追い込む呪いの面も持っていた、という見方をしている。
キュアスカイの変身に当たって呪いのアイテムは破り捨てられ、それでも残った夢への強い気持ちと共にキュアスカイは変身した。
今回のツバサの変身に当たっても呪いを解く→変身の流れが見られたと思う。
それにしてもひろプリは夢を描くにあたり、負の側面も描く。なかなかハードな作風だ。
ツバサはプリンセスエルを助けるまでに何度も何度も壁にぶち当たっては「どうする?」と自問自答している。
これができるツバサは頭がいいとともに気持ちも強い。
それと同時に、頭が良すぎるがゆえに彼が夢への壁に直面していることも物語っている。
プニバード族は飛べない。それは呪い云々というよりも航空力学的に飛べる体ではないからが本質という気がする。
(ぽっちゃりした体に小さい羽。ペンギンのような進化をした体は空を飛ぶのに向いていないと見ていいだろう)
「どうすれば飛べるか?」を学んだことで「自分は飛ぶのに向いていない」ことを嫌というほど知らされることになったのだろう。
それでも彼は夢を諦めなかった。それは何故か?
最期の瞬間とその後の展開が物語っている。
一つは「空を飛ぶ夢を笑われたこと」
もう一つは「子を守るために空すら飛んでみせた、人を守りたいという願いへの憧れ」
ツバサにかかった呪いとは「空を飛ぶ夢を笑われた時に、自分を守った父親の思いまで馬鹿にされたように感じて、自分の夢の本質が人を守る気持ちが起こす奇跡への憧れだったことを見失ったこと」
空を飛ぶ父親の姿への憧れに、笑われた悔しさが混じって、彼の夢は漠然とした「人を守ること」から「空を飛ぶこと」に変換されて固定された。
エルを守るため、空を飛ぶのではなく手を放して自分を犠牲にすることで、本質的に彼の夢は「空を飛ぶ」<「人を守る」であることが示された。ここで空を飛ぶ夢を持つツバサは一度死んだ。
この時点で変身するのではないのがアツい。自分を守ろうとするプリンセスエルの姿をカバトンに笑われる展開は、彼に呪いがかかった時のシーンに重なる。
この激しい怒りが呪いを解くカギになり、空を飛ぶためではなく人を守るためにツバサはキュアウィングに変身する。だから口上は「あなたのナイトが参ります!」なのだ。
めちゃくちゃ簡潔にこの辺を捕らえたツイートがあった。
#ひろプリ 9話
— 桜ゆのば (@sakura_unova) April 2, 2023
「ツバサが"飛翔"を獲得する事によって、"飛ぶ鳥"としてのアイデンティティを確立する物語」だろうか?
否、むしろこの回は「アイデンティティからの解放」を如実に描いているのではないかなと。なぜなら、"アイデンティティ"とは他者との関係性の中で画定される可変的なものだから。
ちなみに、プリンセスエルを守るにあたりツバサの心に「どうする」は無かった。
本当の憧れの前にどうするもこうするもないのだ。幼い子供がプリキュアごっこをするように自然に体が動いてしまうものなのだ、ということを物語っていそうでとてもいい。
「男の子プリキュア」である意味
本質的にキュアウィングが「男の子」である意味はなかった。
むしろ「プニバード族」であることの方が彼の変身の本質に近いだろう。
しかし、大人としてはプニバード族の設定に込められた意図をくみ取ってもいいだろう。
「空を飛びたいプニバード族」とは「プリキュアになりたい男の子」なのだろう。
必死に空を飛ぶために学びその結果自分の体が空を飛ぶのに向いていないことを知るツバサの姿は、成長と共に男になっていく(一般的なプリキュアの外見からは遠ざかっていく)男の子たちの成長に重なる。
しかしプリキュアとは外見的なものではない。
プリキュアになりたいという憧れの本質に気付いたとき、男の子だってプリキュアになれる。
そんなメッセージがこめられているように私は受け取った。
それはそうとして、キュアウイングカッコ良すぎんか?
プリキュアシリーズ的に大きなチャレンジだったことを反映して、考察がゴリゴリ進むキュアウイングだ。
憂いなく憧れてもらえるよう、演出面はめちゃくちゃかっこよかった、いやカッコ良すぎたと思ってる。
私のイメージは少女漫画のナイト、デビューしたての男性アイドル、乙女ゲーのキャラ、、、といった感じ。
前シリーズの品田拓海が人間味あふれる恥ずかしい中学生(だがそれがいい)だったのとはずいぶん違う。
勿論、これからツバサのヒーローではない面も描かれると信頼しているし、それが楽しみだ。
解呪者カバトン
「ヒーロー手帳を破り捨てる(呪いのアイテムの破棄)」「人を守ろうとする想いを笑う(より強い呪いで相殺する)」
結局、ソラの時と同じで解呪者はカバトンである。
彼は何者なのか?
ツバサと話しているときに彼が豹変したタイミングがある。
「こんな小さい子が、知らない世界に放り出されて……助けてあげたいって思うのは、当たり前じゃないか!」からである。
ここでカバトンがヒーローに絶望した(助けてもらえなかった)子ども、っていう視点を持ち出すと、いろいろなことがつながってくる。
アンダーグ帝国にいる理由、強さにこだわる理由、脇役・傍観者を貶す理由、ソラの最初の敵として出てきた理由、それは彼が夢、ヒーローの対極にいるドラマを持っているからだ。
彼にも強い呪いがかかっているのを感じる。呪いが解けてキュアカバトンに、、、それはないか。
仮面ライダーギーツ29話:あかり⇔ネオン
祢音が創世の女神につくられた存在だと明かされた。
デザグラ視聴者は大荒れだ。スポンサーのお父さんの気持ちも知らずに。。。未来人の倫理観がヤバい。
それ以上に祢音という名づけの恐ろしさだ。
犯罪で亡くなった娘の名は「あかり」。その代わりに創られた娘のなが人工の光である「ネオン」。
さらに「祢」には形代という意味もあるとか。この物語を考えた人は人の心がねえな!
リタ・カニスカという5人目の王
4人ものタイプの違う国王を出してきた5人目。
上がり続ける視聴者のハードルをやすやすと飛び越えてきた強烈なキャラを持つ国王。リタ・カニスカ。
司法の国の男装の女性国王、片目を隠す髪型にオッドアイ、コミュ障のダウナーな面とぬいぐるみに癒される意外な二面性。
外見、設定からしてモリモリの大盛りである。
これに調査中に奇声を上げる奇行や、数々の奇行がばっちりつながるキレキレの裁判パート、そしてゴッカンのスタンスを堂々と示す口上で魅力はカンストだ。
法とは王を穿つ鉾
法とは民を守る楯
なればこそゴッカンは不動なり
三権分立の本質だし、めちゃくちゃ勉強になる。なによりかっこいい。
5人そろってからどのようになっていくか、楽しみだ。