面白い本に出合った時、アニメと同様感想や考察をネット上で探すのだがその数が少ない。
なにも大層な書評が読みたいのではない。ファンがギャーとかワーとか好きな点に狂っているのが見たいだけなのだ。
プリキュアやニチアサの感想が山のように流れてきているのとはえらい違いだ。
思えば読書の感想とは読書感想文とかいうやつが原体験になっているせいか敷居が高い。
全て読了して物語をすべて見届けたのち、書評を書くかの如く気合を入れて長文をしたためなければならないんじゃないか?
誰しもそんな思い込みにとらわれているような気がする。しかし読書だってアニメと同じリアルタイムに物語を消費する娯楽だ。
冒頭を読んでいる最中に物語のオチのことは知らないし、オチを知らないからこそ出てくる感想もあるだろう。
あるいは作者の仕掛けたミスリーディングにまんまとのって右往左往しながら読み進めることもあるだろう。
そんな体験をリアルタイムに記していったら何か新しい感じの本のレビューにならないか?
そう思って読書実況のようなことをやってみようと思った。
すっかり騙されましたなどと素人がすまして書き記すような感想に訴求力などない。
なにも気づいていない愚か者がギャー!と叫ぶ瞬間こそ素人にできる最大のエンタメだ。
作者の人も呼んでる最中の読者の感想はこれまで聞いたことないだろうから知りたいに違いない。
というわけで読んでみたのが結城真一郎さんの「#真相をお話しします」である。
価格:1,705円 |
帯の煽りによると、どうやら誰もが騙されるミステリで二度読み必至らしい。
一つ目の短編、惨者面談を読み進めてみた。
1,2ページ読んで引っかかるポイントがあるたびにあーだこーだとTwitterにつぶやいていく。
舞台が整い、怪しい人物が登場すると感想も盛り上がっていく。
不穏さが滲む描写にツッコんでみたり、全然関係ないけど面白いと思ったワードにかみついてみたり。
謎の真相を予想したりもするが、当たっていようが外れていようがどうだっていい。
この気楽さといい加減さが素人の感想の強みである。
そしてついに真相が明かされるページを読んだ後、感想を打ち込もうとしてふと気が付いてしまった。
これ思いっきりネタバレやないか。
別にネタバレを書き込んでも何か罪に問われることは無いのだが、何か気が引ける。
そもそも実況ってリアルタイムで見てる人たち同士で共有するようなものだから、ネタバレもクソも無いんだよな。
「ネタバレ注意!」の注意書きもなしにネタバレをばらまくのは良くないような気がして、真相の部分については芯を食ったような感想を書かなかった。
奇しくも「なるほどね、こういうミステリーなんだな」とかいうすっかり騙された素人がすまして書くしらじらしい感想になってしまった。
ネタバレの部分を気兼ねなく書き込むつもりで始めればなかなか面白い読書体験だった。
これに懲りずTwitterでたまにやってみて、スタイルを模索してみようと思う。