2017年11月24日
クラウドクレジットの第5期決算を見て思うこと
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既にいくつかのブログで話題になっています
クラウドクレジットの第5期決算が発表されました。
以前私は、クラウドクレジットの第4期決算を持ち出して安定性についての記事を書いた事があります。
その時には次の決算に注目、と書いたのですが、今回の第5期決算はかなりインパクトが強いものでした。
クラウドクレジットに投資し、アフィリエイトリンクを貼っている私への影響も無視できないと考えたため
記事を書くことにしました(ちょっと長いです。ほとんど文字です。すみません)
(参考記事:SL初心者向け情報:各ソーシャルレンディング事業者の安定性を検証するB)
まず、クラウドクレジットの第4期及び第5期の決算公告の内容です。
(参照元:官報ブログ)
決算公告の概要
第4期(先期)→第5期(今期)
・資産(流動+固定) 10.65億円→9.93億円
・負債(流動+固定) 10.25億円→9.12億円
・資本金等 3.36億円→6.51億円
・利益剰余金(赤字) 2.96億円→5.69億円
・当期純損失 1.49億円→2.73億円
私的ポイント:
@貸付総額が前年比でほぼ横ばい
A資本金が揺れ動きすぎている
B赤字絶賛拡大中
ポイント@:貸付総額が横ばい
資産と負債のどちらを貸付金と見る方が正確かは不勉強につき分かりませんが、一つ分かる事は
いずれをとってみても、前決算期横ばい(少なくとも貸付総額は増えていない)ということです。
この理由には、いくつか考えられます。
@クラウドクレジットの看板案件の一つ、ペルー案件で税制上の問題が確認された。
この結果、当初一旦増加した利回りが元に戻り、見た目の利金額が一時的に減少している。
当ブログ参考記事:【解説記事】クラウドクレジット ペルー案件不成立の理由
良く考えれば、「増えたと思ったものが元に戻った」だけで損はしていないのですが、ぬか喜びで
持ち上げられた後に落とされた、という失望はあるでしょう。
さらにこの件の後、ペルー案件の募集がストップしていることも、募集案件が伸び悩んでいる
理由の一つだと思われます。
Aもう一つの看板商品である「東欧事業者ファンド」において、最近の利率低下が著しい。
当初は円建て13ヶ月利回りで10%くらいあった利回りが、8%以下まで落ち込んでいます。
その代わりにEUR、RUR、USD建てなどの円建てより利回りの良い商品が出てはいるのですが、
クラウドクレジットには円建て口座しかないため、償還と同時に為替リスクが確定してしまい
リスク回避ができないという問題点があります。
(さらに、13ヶ月8%なら何も無担保の海外個人貸し付けでなくても、国内案件で良いわけで)
Bカメルーン案件は良く遅延する+その割に利回りが・・・
カメルーン案件はかなりの割合で返済遅延や、下手をすると元本毀損が起こる可能性があります。
高リスク案件は高リターンがあって初めて成立しますが、上記の利回り低下はここにも及んでおり
当初13%ほどあった円建て案件の利率は、現在ではEUR建てで12%まで落ち込んでいます。
以上を総合しますと、身も蓋もない言い方ですが、
「貸付総額が増えない理由=高リスクを呑み込むほどの案件への魅力が無くなってきた」
と言えるのではないでしょうか。
ポイントA:資本金が揺れ動いている
クラウドクレジットの過去の資本金推移を見てみますと、つい最近大きく動いていました。
・『カメルーン農業支援ファンド』販売開始のお知らせ (2017年10月26日)
この時点で資本金は3億5,275万円
・クラウドクレジット 累計出資金額50億円を突破! (2017年11月21日)
この時点で資本金「等」は10億5,091.7万円
「等」と敢えて付けるということは、資本準備金(資本剰余金)も含んでいるはず。
さらに今回、資本金を5億283万円減資して、現在の資本金等は6.51億円となっています。
資本金が増減するのは会社の常なのですが、いくらなんでも動きすぎではないでしょうか。
社内で何らかの激変があったのかと疑ってしまいます。
今回資本金を減資する理由はおそらく、累計損失を相殺するためと思われます。
資本減資額5億283万円により、利益剰余金の赤字分5億6,918.7万円はほぼ相殺。
さらに、資本金が5億円を割り込むため、会計監査人(年間数百万円の負担)の設置義務がなくなります。
おそらく今回の資本金減少は、株主にキャッシュアウトしない無償減資の形で行われています。
無償減資には株主総会の特別決議が必要と記憶していますので、今回の無償減資は大株主と思われる
伊藤忠やマネックスベンチャーズの了解は得ていると推定されます。
ただ、資本金の原資は投資家にとっても大事なので、せめて公式サイトで展開すべきだと思います。
少なくとも現時点において、資本金の変動はニュースリリースされていません。
・クラウドクレジット ニュース
ポイントB:赤字絶賛拡大中
見てすぐに分かる通り、当期純損失が大きすぎます。
前期の約1億5,000万円から縮小するどころか、今期は2億7,300万円と悪化している状態です。
クラウドクレジットの現時点における貸付額は約10億円。
事業者利益は2〜3%取っているはずなので、貸付金から得られる利益は2,000〜3,000万円でしょう。
利益の10倍も経費使ってどうしようというのでしょうか。
人件費に行っているのか、広告費に行っているのか、アフィリエイト代に行っているのかは分かりませんが
日本の歳出ではないのですから、もう少し支出方向を抑える事を考えるべき内容だと思います。
まとめ
今回の減資が、無償減資の行われる主たる理由の一つである「経営数字の仕切り直し」が目的であるなら
選択としては分からないでもありません。
ただその場合、今後業績を改善する目処が必要になります。
前述したようなペルーの税制問題、東欧ファンドの利回り低下、カメルーンファンドの延滞問題など、
リスクの高い案件に対し、今後それに見合うリターンは提供できるのでしょうか?
もしできなければ、貸付金額は増加せず、赤字だけが膨らむばかりとなります。
今のところ大株主は離れていませんが、不透明感は強まっていると考えます。
まとめとしましてまず、私の個人的なクラウドクレジットへの投資はこのまま継続します。
また、自身で投資を継続する限りはアフィリエイトも継続しますが、クラウドクレジットの財務状況が
安定するまでは、アフィリエイト説明文にリスクを明記することとします。
これを受け、以下の2つの記事にリスクを追記しました。
・なるべく客観的なまとめ:SL初心者にお勧めの事業者
・SL初心者向け情報:各ソーシャルレンディング事業者の安定性を検証するB
(*以上内容につきましては、ある程度勉強して書いたつもりですが、私は専門家ではありませんので
事実の誤認などありましたら勉強させて下さい。よろしくお願いします)
今回はクラウドクレジットに厳しい内容の記事となってしまいましたが、全世界的な需給ギャップを
解消する、というクラウドクレジットの理念に、私は変わらず強く賛同しています。
財務状況の改善や支出の見直し、魅力的な案件の募集などを通してクラウドクレジットが大きく飛躍し、
今回の私の記事が後から笑いものになる事があれば、それが一番だと思います。
クラウドクレジットへの投資をお考えの方は、こちらから検討いただけると嬉しいです。
(アフィリエイトリンク)
ランキングに参加しています。
リンク先には同じ話題を取り扱うブログが沢山あります。こちらもいかがでしょうか。
posted by SALLOW at 12:20
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こちらこそ、お世話になっております。
営業報酬を上げるのは手段としては正しいですが、今回は悪手だと思います。
まず魅力的な案件を出す→投資が集まる→安定配当を出す→さらに投資が集まり固定客が付く→営業者黒字化のために営業者報酬を上げる
というのが筋で、投資が集まっていない状況での営業報酬引き上げは逆効果です。
そもそも、2.5%に上げたところで、クラウドクレジットの貸付残高(およそ10億円)から予想される年間利益額は数千万円。数億円の出費を削らない限り焼け石に何とやらです。
もっとも、クラウドクレジットのビジネスモデルは海外の情勢に左右されますので、一概にクラウドクレジットのせいとも言えないところが微妙です(大幅な支出除く)。
私は多少利率が落ちても、分散投資先としては置いておくつもりです。今後の状況打開に期待したいと思います。
クラウドクレジットにメールしましたが、営業手数料を1%→2.5%にあげて黒字化を狙うようです。
利幅が2.5倍になっても、売り上げが増えないと赤字解消できないんじゃないの?と思うんですけど、どうなんですかね。
個人的には利率の魅力がなくなるんだったら撤退をするつもりです。
長文記事をお読みいただきありがとうございます。
増資の件は正直、私は推測でも背景を思いつきません。
10/26の時点では資本準備金に関して言及していなかった、という可能性もありますが、それにしても資本金が動きすぎだろうと考えています。
少なくとも、「平常時では無い何かが起きている」と推定(あるいは邪推?)するには十分かと。
slinvestor様の記事でも私的していらっしゃった事ですが、一番の問題点は際限なく膨らんでいる赤字だと思います。
将来に対する投資と言う解釈もありますが、既にクラウドクレジットの事業はある程度の軌道に乗っていると考えられます。ここから何らかのブレイクスルーを隠していると楽観的に考えることはできません(もし隠していたら、クラウドクレジットの性格的に匂わせてくると思います)。
一応、会社はいくら赤字があっても増資し続ける限り存続はできますが、株主側にも堪忍袋の緒というものはあるわけでして。
質問すべき事項がまとまったら、クラウドクレジットに質問をぶつけてみようと思います。
いつもながら丁寧かつきめ細かい解説参考になります。
私のブログも見習いたいです。
今期も増資していた件、私は完全に見落としていました。
これだけ頻繁に増資ができるということは、いいふうに解釈すれば、業績を回復させるだけの何らかの施策を持っていて、株主から評価されているということでしょうか?
それにしても、これだけの赤字(なぜこんな大赤字になるのか私には理解できません)を出しておきながら事業者からの説明がないのはいただけないですよね。
今後もSALLOWさんの公正な記事と鋭い分析を楽しみにしています。
ご訪問、コメントありがとうございます。
私は不動産投資を行っているわけではないので、その点差し引いて素人が何か言っている、というくらいの話半分にお聞き下さい。
東京五輪は誰にでも分かりやすい節目なので、そこを境に不動産価格の変動が・・・という記事はよく見かけます。
ただ、2020年に完成するマンションなどは、2018〜2019年くらいには募集開始をしているはずです。
その売れ行きがこれまでと比べてどうか、というあたりが一つの観測気球になるのではないでしょうか。
ソーシャルレンディングの場合、実物不動産と比べて投資期間が短いので、観測気球に異変があってからでも逃げられる公算は高いのではないでしょうか(多少のダメージは覚悟、また事業者自体の安全性は常時最警戒するとしての話です)。
私の今後の投資スタイルは基本的に変えないつもりですが、不動産担保+長い期間(2年以上など)の案件は、より慎重に検討することになるだろうと思います。
それよりもむしろ喫緊の問題は、来年2月のパチンコのみなし案件だと考えています。
ひとつSALLOWさんにご意見を賜りたいのですが、東京五輪が近づいてきています。
五輪後の不動産価格への変動が懸念されているような新聞記事などを目にする事もあります。
来年あたりには長い案件であれば、五輪前後に差し掛かるものもちらほら散見されると思いますが
SALLOWさんの見解として、今後の投資スタイルに変更は検討されますか?