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2014年01月15日
ゲームをするとはどういうことか
今日紹介するのは『連射王』という作品である。
ライトノベル作家の川上 稔 氏 の作品であり、また電撃文庫からも出ている作品ではあるが、一般的なラノベとはちょっと毛色が違う。
内容は、ある高校生がふとしたことから、シューティングゲームにハマり、それを極めてゆく。という内容の作品である。
徹夜で麻雀をやったり、職業にするほどまでに囲碁や将棋に打ち込んだり、ヒマにまかせて延々ソリティアをする職場のヒマなおじさんがいたり、あるいは私であればパワフルプロ野球のマイライフを惰性で何時間もやり続けてしまったり、ゲームというものは色々なかたちで人とともにあるのだ。
そして、コンピューターの発展によって、ゲームは私たちのより身近に近づいている。
おそらく今の若い世代の人々は、どのような形態のものになるのかはわからないが、コンピューターゲームを手放すことなく一生を終える人も多いのではないだろうか。
故にこそ『ゲームをするとはどういうことか』とか『価値ってなんなのか』ということを考察した本書の意味もいよいよ高まっているとは思う。
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2014年01月14日
チェーザレ・ボルジアの伝記
昨日は、川原 泉 氏の手になる、
ヴァレンティーノ公爵 チェーザレ・ボルジアについて扱ったマンガを紹介した。
マンガだから絵が付いてるわけで、その当時の風景や衣装などのイメージを持つには非常によろしいのであったが、その分だけやはり幾らか薄味になるというか、情報が足りなくなるという感じは否めない。
というわけで、今日は、その同じチェーザレ・ボルジアについて扱った伝記を紹介しようと思う。
『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 (新潮文庫) 』 である。
作者は 『ローマ人の物語』シリーズで超有名な塩野 七生 氏である。
このチェーザレ・ボルジアの本に限らず、この塩野 氏の本は、非常に面白くかつ勉強になる、素晴らしい本ではある。
が、この人がユリウス・カエサルなりチェーザレ・ボルジアなりの、特定の人物を描くときは、なんというか作中で主人公として取り上げた人物に対する思い入れが強いせいなのか、その主人公となっている人が魅力的に見えすぎるきらいがある。
人間と言うのはもっと醜い、というか魅力的でない部分も十分に持ち合わせているのではないか、と思えてしまうのである。
ちょっと中立性に欠ける、ような気がする。と言い換えてもいい。
というわけでウィキペディアなりで事前に、ネタバレがイヤであれば事後にでも、ある程度情報を得ておくのもいいだろう。
チェーザレ・ボルジア - Wikipedia
とまれ、父親こそ教皇で権力があったものの、それ以外には自前の兵力すら大して持てず、自身の有能さ以外にほとんど武器を持たなかった男が、群雄割拠のイタリアに覇を唱えようとした記録である。
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2014年01月13日
ルネッサンスの時代へタイムスリップ
今日紹介するのは、有名少女漫画家の川原 泉さんの作品である。
題名は 『バビロンまで何マイル? (白泉社文庫)』 である。
内容としては、とあることから不思議な指輪を手に入れた高校生二人組が、
過去の時代へタイムスリップをしてしまうという形式の歴史ものである。
恐竜の時代、と、ルネッサンス時代の二編が収められている。
けれども、恐竜時代編は、まあ前座というかウォーミングアップ程度の作品でしかない。
重要なのは、ルネッサンス時代編のほうである。
十五世紀末ごろの、分裂し戦国時代状態であったイタリアを舞台に活躍した、
ヴァレンティーノ公爵 チェーザレ・ボルジアが題材にとられているのである。
チェーザレ・ボルジアというのは、だから日本でいうところの戦国武将みたいなもので、
一種の政治的、軍事的天才、乱世の英雄のひとりなのである。
日本の戦国武将やら中国の武将やらなら、割と日本人にもなじみがあるのだけれども、
イタリアのそれはそうでもなかったりする。
しかしチェーザレ・ボルジアというのもなかなか面白い人物なので、この本を入り口にして、お読みになってみられることをオススメする。
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2014年01月12日
リアルな異星人との交流
今日紹介する本は 『緑の少女』 というSF本である。
あまり有名な本ではないようで、
私も、ブックオフで安かったから何の気なしに買ったという程度のものだったと思う。
が、読んでみるとこれがアタリなのである。
何がそんなに良いのかというと、
この本に限らずSFでは、異星人との交流、ファーストコンタクト、などをテーマにしたものはある。
けれども、SFのなかに登場する異星人というものは、なんと言うか人間の変形物でしかないものが多い。
例えばスタートレックのミスタースポック、クリンゴン人、スターウオーズのヨーダなど、
それなりに特徴付けはしていても、それは、人間という生き物がもっている性格、特性の一部を誇張しただけのものだったりして、単に見た目が違うだけで、精神的な部分は人間とほとんど変わらなかったり、まったく同じだったりするパターンは多い。
例外として今、思いつくのは 『ソラリスの陽のもとに』 ででてくるものくらいだろうか。
それで、この 『緑の少女』 で出てくる宇宙人は、見た目はもちろん、精神的にも人間とかけ離れたものであることが示される。
この宇宙人は、自分たちの幼生体を食糧にする習慣があるのである。
もう主人公びっくりである。
主人公 「なんでそんなことするんじゃあ!?」
宇宙人 「え、なにが?」
てなもんである。
よく考えれば、カマキリとかは交尾の後にメスがオスをむしゃむしゃ食べてしまうようである。
だから、幼生体を食糧にする習慣も宇宙人的には、まああり得ない話じゃないということなのだろう。
異星人と地球人が似通った価値観で簡単に交流できる、なんていうのは幻想だよねー。
っていう話なのである。
とてもオススメの本なので、ぜひご一読あれ。
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2014年01月11日
英国貴族の邸宅
今日紹介するのは 『英国貴族の城館』 という本である。
この本の素晴らしいところは、
ふくろうの本の図説シリーズらしく豊富な図や写真があるところなのはもちろんであるが、
それだけではない。
外国の城館を特集した本は数多くあるが、そういう本は、有名な城館の外観写真に、あとは適当な解説文を添えて終わり、になっている本があまりに多い。
けれども、今日紹介する本は違うのである。
英国の城館につきものの施設が、その施設ごとに解説が付され、写真や図が添えられているのである。
寝室、大広間、厨房、浴室、食堂、などのようにである。
だから、ワナビの皆様が、よくある中・近世ヨーロッパ風小説を書いたり読んだりするときに、その小説のキャラクターが動き回る場所としての城館を描写したり、描写を読みとったりする際の資料本として非常な実用性があるんである。
『小説家になろう』 とかに、それっぽい連載をもっておられる方などには非常にオススメである。
図説 英国貴族の城館―カントリー・ハウスのすべて (ふくろうの本) 中古価格 |
2014年01月10日
潜水艦もの
今日は、その昔にSFの大家であったジュールヴェルヌの本を紹介しようと思う。
『海底二万里』 である。
あらすじは、
謎の生物による衝角攻撃で艦船が沈没するという、海難事故が相次いでいた。
フリゲート艦で調査に向かった主人公、海洋生物学者アロナックス博士とその仲間たちが調査に向かったが、調査中にアロナックス博士らの乗った船がその生物の攻撃を受けて沈没してしまう。
が、アロナックス博士らは、ネモと名のる男の乗る潜水艦に救助され無事だった。
そう、謎の生物とは衝角を備えた潜水艦だったのである……
というようなお話である。
この本には、現在でいうところの原子力潜水艦なみの性能を備えた潜水艦が主要なメカとして登場する。
しかし、この本が書かれたのは1870年のことである。
つまり、この本は、書かれた当時には存在しないメカについて書かれた本なのである。
ある種の未来予測に基づく、いまだ空想に過ぎないメカが登場する物語。
そう、この本は書かれた当時にはSFであったのである。
そして、いまとなっては、この小説が書かれた当時には存在もしなかった、原子力潜水艦という、この小説に書かれたメカよりも性能が上のメカが現実に存在する。
SFは未来予測のひとつの形であり、目指す夢の表れなのだということが良く分かる。
現在まで百数十年にわたって読み継がれている名作SFである。
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2014年01月09日
帝国の中枢たる都市
今日紹介するのは 『永遠の都ローマ物語―地図を旅する』 という本である。
この本の何が凄いって、もうとにかくイラストが凄すぎなのである。
はっきりいってあり得ないレベルである。
表紙からしてそうなのだが、古代ローマの町並みを家の一軒一軒にいたるまで再現してびっちり書き込んである。
本文の内容としては、とある旅行者が古代ローマを訪れたときの記録という体裁をとっていて、古代ローマという都市の色々な場所についての解説がなされる。そして要所要所にイラストや写真が豊富に入っているのである。
そして、特に注目すべきは、オマケというかこれが主なのかもしれないが、カラーで精密に再現された古代ローマの全景の鳥瞰図イラストが一枚ついているのである。
このイラストを見ると、やっぱり穀物の倉庫は川のそばにあって荷揚げがしやすいように作ってあるなあ、とか、そういうふうに色々なところから船で食料を運んで一箇所に集中させられる川や海のそばでないと大都市って造り得ないんだなとか、色々なことが分かる。
これだけ大きく、分厚く、イラストや写真がたくさん入った本はそんなに多くない。
都市の設定とかにこだわるワナビの皆様であれば、この本は買いだと思われる。
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2014年01月08日
書簡体小説
書簡体小説というジャンルがある。
登場人物の手紙のやりとりが小説の文面になっており、それでストーリーが進行してゆく小説なのである。詳しくないのではっきりは分からないが、おそらく二人称小説の一形態であろう。
二人称小説というのは、読み手に向かって語りかけられる、
読み手=あなた形式の小説であるから、読み手=私とである一人称小説とはまた別の効果をもっている。
小説家になりたいワナビとしては、一度くらい読んでおくのもいいだろう。
けれども、書簡体小説はけっこう珍しい形式の小説なのでそんなにない。
そして、その書簡体小説の貴重なサンプルのひとつが、今日紹介する、
『恋文の技術 (ポプラ文庫)』 森見 登美彦 (著) である。
この小説の内容は、京都から能登半島に引っ越して、さみしくなったひねくれ大学院生が、能登半島から京都の友人や家族あてに、素直じゃない手紙を書きまくるというものである。
饒舌のうえにも饒舌を尽くし、かといって簡潔で流麗な、これぞ文章のプロたる『小説家』というものであると感じさせる、いつもの森見節も健在である。
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2014年01月07日
人間を見守るロボット
先日 『ヨコハマ買い出し紀行』 というマンガを紹介したが、
この作品は文明が衰退した世界であり、その衰退した世界で人間を補助し、あるいは見守るロボットを描いた作品なわけである。
この作品のなかに、ムサシノ運送という会社で配達員として働いている、鷹津ココネというロボットが出てくる。
配達員というのは、現在では人間が行う作業であるが 『ヨコハマ買い出し紀行』 の作品世界では、ロボットが人間が果たしてもよいような役割を人間の代わりに果たしているロボットなわけである。
今日紹介する 『ポストガール』 という作品も、文明の衰退した世界で郵便配達員として働く少女型ロボットを主人公に置いた作品である。
この作品は、ロボットの自意識という問題が主要なテーマになっており、主人公たるロボットの少女は、配達先に郵便を届け、その過程で、あるいは配達先で、物語を紡いでいく。
ロボットに自意識というものが存在し得るのかということは、非常に難しいテーマではある。
けれども、そのロボットを視点人物として一人称の小説を書いているのであれば、
その作品世界では完璧な人間としての自意識が発生している、
という結論が最初から出ているということになってしまうのではないかと個人的には思う。
だから、私は、この作品については、主要テーマである、ロボットの自意識ということよりも、
むしろ、人間を見守るのはなぜロボットなのかということが気にかかった。
人は小さなころは大人に見守られ、年老いると子供に見守られる。
けれども、人類の社会が衰退するという設定の作品では、人を見守るのはロボットなのである。
本作品の主人公も、人を助け、補助する、見守るロボットの類型に当てはまるだろう。
人間と、人間を見守るロボットという関係性についての描いた貴重な作品のひとつなのである。
この本は、短編集の形式をとっており、収録された短編には第1回電撃hp短編小説賞受賞作も入っている。
非常にレベルの高い佳作であるのでとてもオススメである。
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2014年01月06日
世界の人々は何を食べているのか
今日紹介するのは 『もの食う人びと (角川文庫)』 辺見 庸 著 である。
内容としては、色々な場所に著者が出かけていってものを食う、というルポタージュである。
ロシアの海軍の食事
ベトナムのうどんであるフォー
残飯
チェルノブイリ周辺で供される”汚染された”スープ
そしてソマリアの難民の食事まで味見しているのである。
そして、そのような飽食の国ではない、飢餓の国ににも著者は取材に行き、
そこで人々がなにを食べているのかが描かれる。
けれども、この本は飢餓や貧困の悲惨さを描いた本ではない。
著者にも言いたいことはあるかもしれないが、とりあえずは著者の主張を声高に述べるのではなく、事実を伝えようとしている。
アフリカの貧困を哀れむ人のうち、どのくらいの人がアフリカの貧困地帯の実際の食事のメニューを知っているだろうかと考えさせられる。
本で読んだ知識を貼りあわせて書くのではない、実際の取材に基づく、実に価値のあるルポタージュの名作である。
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